「こ、此処が艦橋……‼︎」
アンカレッジは外装も酷いやられようであったが内部もまた散々たる惨状であった。主要機関部はミゾレの尽力により何とかなったがそれでも通路等を始めとした大部分は手付かずのままだった。その為、今機能する場所は艦橋くらいしか無いのが実情。
「……オペレーター席もあるわね。思えば今更だけど貴方以外、誰も乗っていなかったの?」
思えば小型とは言え艦船を1人で制御するのは難しいだろう。なのにミゾレ1人でこの世界に現れた……。その事に疑問符を浮かべる楯無。
「……まぁな、俺1人での単独作戦の最中だったからな」
「ひ、1人で……?」
「1人で敵の大軍を相手しろと言われる事も少なくねぇよ。グロリアなんて国は年がら年中、内戦が起きている環境ならカウンターだと分かればそんな状況に放り込まれるさ。この世界で言えばIS操縦者1人で敵の大隊を相手しろと言っているようなモンだろうよ」
「IS 1機あれば国家戦力が変わる程の戦力よ? まぁ、貴方は普通に叩き潰しちゃったけど」
「……悪かったな、状況柄」
ジト目の楯無にミゾレは形なりの謝罪を投げつつ艦長席に座る。今の状況では乗組員はミゾレ1人しか居ないので艦長もクソも無いのだが。
『ミゾレさん。そろそろ、私の事を紹介しても良いんじゃないですか?』
「「「⁉︎」」」
その時、柔らかい雰囲気を持つ人工音声らしき声が艦内に響き渡り、千冬達は驚いた。何処から?と言う表情を浮かべつつミゾレの方に視線を向ける。
「別にバラさなくても良いだろ」
『それはそうですけど……。私だけ除け者みたいで何かイヤですっ‼︎』
「ミゾレ……この声の主は何処に居るんだ?」
「モネカ」
ミゾレがそう告げると同時に艦橋、艦長席の近くに青白い光で構成されたホログラムが形成される。長く緩やかなウェーブが掛かった金色の髪をした長身の女性が千冬達の前に姿を見せた。
『初めまして、管理局戦隊級戦術支援AIオペレーターのモネカです。ミゾレさんの無茶に付き合って貰ってありがとうございます』
人型モデルとなって現れたモネカはそう自己紹介した。
「え、AI……⁉︎」
「何だ?AIの存在がそんなに珍しいのか?」
「いや……AIにしても此処まで人間みたいな反応なのは流石に驚くぞ……‼︎ ISにも自我はあるとは言うが……」
「モネカは感情表現レベルが常に最高レベルに設定されているモデルだからな……。此方の世界だとAIの技術は発展している方だ。機甲兵器に殆どAIが搭載されている」
——……頭が痛くなる様な人格モデルばっかりだけどな。タイタンとか、ホライゾンとか。
『はい。……私としては機動兵器に搭載されるのはもうコリゴリです〜』
「自律兵器も発展している……と言う訳か。ますます世界がお前を放っておく理由が無くなってくるな」
「だから、興味無ぇっての。お前らの世界はお前らで回せば良いってのに、部外者はさっさと帰りたいってのが本音なんだよ」
『はい。私もミゾレさんに同意見です。ですけど、目処が立たないのもまた事実です〜、ふえん』
感情表現のレベルが最高レベルなので、泣き真似を普通にする。もはや何処にでも居そうなお姉さんって印象である。
「……つまり、今迄はモネカ、さんと一緒に動かしていたって事?」
「艦船の制御は殆どモネカがやってる。コレ以外にも次元艦船にはAI搭載の戦術コンピューターが搭載されて制御するケースもある。軍属艦船は最もたる例だな」
『人件費の節約ですね』
「大半の人間はガソリン代よりも安い命なのに何言ってんだろうな」
『それは管理局未認可のタスクフォースカンパニーのケースだと思いますよ?』
「いや、ウチの副社長先輩は守銭奴で横暴でぼったくりマニアじゃん。その癖、給料ケチるし」
『……間違ってもご本人の前でその様な失言はしない方が良いと思います』
「……所々、物騒でシャレにならない台詞が交じって来るわよね、ミゾレ君って」
モネカとミゾレの漫才染みたやり取りに楯無はミゾレの言動が時偶に物騒になる事を見てコレが平常運転なのだなと改めて納得する。
「成程。ミゾレが此方の事情の把握が早かったのは……」
『はい。私がネットワークにクラックして情報を収集し必要な内容をミゾレさんに伝達していました。支援役の面目躍如、ですね』
恐るべき性能だと言わざるを得ない。ネット社会とは言う為に凡ゆる分野でクラッキング対策は考慮されているのにあっさりと看破している。コレではIS学園の電子情報も易々と把握されてしまうだろう。
「モネカ、余りやり過ぎないでやってくれ。俺が知ったとしても役に立たないし、余計な干渉は面倒事を生みそうだからさ」
『はぁい、分かりました〜』
「な、何と言いますか……甲斐甲斐しい姉と呆れている弟、みたいな構図ですね……」
ミゾレとモネカの関係を遠目から(まだミゾレに対して恐怖心が勝る為)見ていた真耶はそう表現した。言われて見ればそんな気がして来た。そして、楯無も内心はそんな関係を少し羨ましいと思っていた。
『……おや? ミゾレさん』
「ん? どうした?」
『ええと、管理者様が失踪者捜索用としてCRF観測装置を造ってこのアンカレッジに搭載したのですが』
「……いつの間に造ったんだろうな。つーか、失踪しちまったのは俺の方なんだけど?」
『微弱ですが反応があります』
「え、えっと……?」
「あー、つまり……俺やモネカが把握している限り俺と此処にいる簪以外にもカウンターが現れた、と……そう言う事か?」
『はい。そうなります……ですが、このIS学園島では無くそれ以外の場所になりそうです。ただ、観測装置もダメージが入ってて整備が進んでいないので場所の特定は困難です』
「ふむ……。その装置自体初耳なんだが……予定を少し変更してその装置とやらを先に直してみようか。この世界の誰かが覚醒したのか、
「ふむ……乗り掛かった船とも言うしな。それに元より手を貸すつもりで来たんだ。用意出来る物なら今すぐ手配させよう」
「うん、他人事……じゃないから」
「そうね〜。まだまだ分からない事だらけだし……情報や戦力は多いに越した事は無いわ」
『分かりました。ではお願いしますね』
——さて、どんなツラを見せてくれるか……。
覚醒ユニットの上方修正来たのなら、せめてモネカの性能の上方修正して欲しい。せめて8秒で良いから‼︎ 効果時間が5秒ってそりゃないでしょう⁉︎
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