カウンター・ストラトス   作:夢現図書館

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 知識の伝達は時折改変されて伝わる。口伝ならば尚更、時を経るにつれて変化して行くモノである。それが、荒れた者達であればより過激になっていくであろう。


真似事

 

 

 

 

 

「思いの外、思い切った真似をするんだな」

 

「……私とお前にとっては予想出来たが、世界からすれば予期せぬ事態だったんだ。やむを得んだろう」

 

 千冬はミゾレを連れて校舎の廊下を歩いている。漸く1組の教室の再建が完了した。最もミゾレは授業中は殆ど寝ていたので大して興味が無かったのでその話題はスルーしていた。

 

「……何を見ているんだ?」

 

 歩く傍らでミゾレはモネカが調べた調査資料を流し読みしていた。各地の侵食地帯の位置や確認された侵食体等のデータである。

 

「現在、CSEが維持されているエリアの情報、だ。先も告げた通り、俺がこの世界の為に戦ってやる義理は無い」

 

——しっかし、こりゃオールスターレベルじゃねぇか。普通にパターンレッド級やら複数のタスクフォースカンパニーが参加が前提の面倒臭過ぎる奴もいる。

 

「ああ、それは分かっている。その為にもアイツらには使い物になって貰わなくては困る。IS操縦者としての面もあるが……今は対侵食戦の意味でだ」

 

「……アンタは前線に出ないのか?」

 

「出たいのは山々だが、IS学園を守る義務があってな。立場が上になると如何しても動き辛くなるモノだ」

 

「ああ成程、分かる気がする。昔、少佐昇進の話が来た時、絶対に後が面倒臭ぇって事で昇進蹴った挙句に除隊したしな」

 

——少佐クラスになると色々喧しく言われるし、動き難いしなぁ。

 

「お前の世界の基準は理解出来んからツッコまんぞ……。それと理解して貰って何よりだ。話を戻すが、そのデータは私が見ても分かるか?」

 

「此方のタスクフォースカンパニーの対侵食戦の業界用語に加えて漏洩防止の為に専用の暗号化処理されているから読めんよ」

 

「そうか。まぁ、必要ならその都度、お前に聞くとするさ。それで、第3段階だそうだが……つまり」

 

「最低でも第3種侵食体相当が居座っている可能性が濃厚だな」

 

「……更識が遭遇したと言うタイラントソードとやらが現れたら最悪だな」

 

 ロシアで確認されたタイラントソードと言う識別名の侵食体。本気で被弾が許されない相手でIS学園関係者から言えば常時『零落白夜』でぶった斬って来るバケモノと言える。

 

「正直、俺から言わせて貰うとタイラントソードで手古摺っていたら、幸先が不安だ。確かに奴の危険度は第3種の中でも指折りだが、まだ第4種が控えているんだしよ……」

 

「む、そ、そうだったな……。お前が知っている第3種や第4種の情報は後々教えて貰いたいものだ」

 

「今、この瞬間にも俺の知らない新種の侵食体が誕生しているかも知れないな……」

 

——また、何処かの世界が滅亡したとか何とかで。

 

「……お前の例えは怖いからなるべく考えたくは無いな。話が逸れたな。基本的に対侵食戦において訓練対象は代表候補生だ。アイツらを中心として対策案を提示して欲しい。可能ならば戦闘訓練のメニューもお願いしたい。私が聞いて説明するよりも現役傭兵本人からの言葉の方が真実味があるからな」

 

「分かった分かった。そいつらの得意な戦術を把握してどうしたら良いか位は考えてやるよ。馬鹿正直に突っ込んで勝てるのはA級以上のカウンターばっかだからな」

 

「ああ、頼む。ISの実践訓練はお前の提示した訓練メニューを元に此方で対応は出来るが、情報となると欠落が出るのは言うまでもないからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「諸君、席に着け‼︎」

 

 新調された1年1組の教室。其処では代表候補生を中心とした専用機持ちや、残留を決めた一部の生徒達が席に着いていた。残留か避難かにより生徒数が減少した為に、在籍クラス(少々語弊があるか)が変更されたり、空席も存在している。こと、1組は実質的に『主力メンバー』の位置付けとなり専用機持ちが中心として集められていた。元々1組の者もいるが、元4組の簪も再編により1組へ異動となっている。他にも元々1組で一般生徒で残留を決めた生徒も何人かは居る様だ。

 

「……諸君も既に世界中で発生している侵食と言う概念に関しての話は知っているだろう。そして、此処、IS学園が対侵食戦における最前線となる事もな。

 代表候補生は責任があり覚悟があって此処に居ると言う事は確認するまでも無いが、専用機を持たない諸君らは自分の意思で残留する意思を固めたと私は捉える。……もし危険を感じて身を引くならば私は止めはしない」

 

 千冬の言葉に新1組のとなる生徒兼戦闘員となる者達は固唾を飲んでその言葉を聞き入れる。教室の隅に立つ真耶も静かにその言葉の続きを待っている。

 

「この際だ、ハッキリ言っておこう。代表候補生、専用機持ち、その他は殻の破りたてのヒヨッコ共だ。そして対侵食戦は訓練でも模擬戦でも試合でも無い。実戦だ。それからシールドバリアや絶対防御を過信するな。

 何人かは知っているだろうが侵食体の攻撃は全部、零落白夜のエネルギー無効化攻撃と考えておけ。

 些細なミス1つでお前達の命が容易く消し飛ばされると考えろ」

 

「ち、千冬姉⁉︎ それは」

 

「織斑先生だッ‼︎」

 

 バゴーンと言う出席簿アタックは健在な様である。

 

「……さて、前置きは以上だ。そして対侵食戦におけるスペシャリストに今後の対策のアドバイスを行って貰う。事の経緯は何人かは知っているし、本人とは何人かは顔を合わせて居るだろう。ミゾレ、入ってこい」

 

「やれやれ、2回もこんな自己紹介みたいな真似をしなきゃ行けないのか?」

 

 其処でミゾレがやや呆れた形で教室に入って来る。

 

「初対面の者も居るんだ。それに、最初に形式として改めた方が気が引き締まると言うモノだ。様式美と言う言葉を知らんのか?」

 

「じゃあ、アンタの腕を圧し折る所まで様式美だな」

 

「それは様式美に含めんで良いわ、馬鹿者‼︎」

 

 相変わらず千冬とのコント染みたやり取り。千冬の人物像とは若干外れている様にも思えた。

 

「さて、紹介に与った以上。改めて自己紹介だな。知っている奴も居ると思うが別次元からのエグザイラーのミゾレだ。

 此処の学園長との利害一致による契約に基づいて元の世界への生還するまでの間、知識関連の協力要請を請け負う形となった」

 

「……生徒として在籍した理由は彼が異世界からの訪問者だった事に起因している。理由までは説明しない、勝手に理解しろ。さて、今後は生徒では無く新1組の副担任相当の権限を有する立場を担って貰う。彼の指示は従うように、出来なければ……如何なっても知らんからな。

 では、ミゾレ。後はお前の判断で今日は如何するか決めろ」

 

 ミゾレの改めての紹介が終わり、話の主導権をミゾレに譲った。

 

「そうだな……先ずは、このクラスの面々の戦闘スタイルと言うのを知りたい。以前は、修理云々で欠席ばかりしていたからな」

 

「うむ……良いだろう。では、全員。ISスーツに着替えて第3アリーナへ集合しろ‼︎ 遅刻したら、グラウンド10周だ‼︎」

 

「「「はいっ‼︎」」」

 

「では、山田先生、ミゾレ。我々は先に第3アリーナへ向かうぞ」

 

「はいっ‼︎」

 

「分かった」

 





 オルタニウムリアクターの10秒不死って普通に強いな……流石は公式主人公。
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