エルデ最初の王 《オーバーロード》   作:ガルテガルテ

2 / 3
更新が遅れて申し訳ありません。


オリ主の容姿は作者の趣味です!


感想、評価、お気に入り登録ありがとうございます!


第2話

 スレイン法国の神殿、その一室において一つの部隊が集結していた。

 円卓に座るその部隊は、一見すると服装、装備、年齢層も違うバラバラな手段であり、側から見ると奇妙な集団ではある。

 しかし、その身から発せられる強者としての空気は、通常の人とはかけ離れすぎており、その者達が尋常の集団ではない事を示していた。

 

 彼等は漆黒聖典。

 

 スレイン法国が誇る六色聖典、その中においてもなお特別。

 スレイン法国最強の特殊部隊にして、人類の守り手、全員が英雄級、もしくはそれを超える力を持つ集団である。

 

「皆忙しい中、この場に集まってくれて感謝する」

 

 最初に口を開いたのは1人の青年である。下手をすれば少年に見えるほど若い容姿の青年だ。

 彼はこの漆黒聖典の隊長、神の血を覚醒させた神人であり人類最強の1人である。

 

「大丈夫だよー、クソ兄貴と一緒行って終わらせてきたー」

 

 続けて話すのは第九席次《疾風走破》クレマンティーヌ、スティレットを武器とする金髪ボブカットの美少女だ。

 

「黙れアホ妹……ゴホン、まあ確かに昨日の任務は私と妹で終わらせましたので何の問題もございません」

 

《疾風走破》によく似ている1人の男性、第五席次《一人師団》と呼ばれ本名は

 クアイエッセ・ハゼイア・クインティア、クレマンティーヌの兄である。

 

「かまわねぇさ隊長、ちょうどこっちも色々あったゴタゴタが終わった所だからな」

 

 隊長の言葉に答えるのは第十席次《人間最強》。武器は大斧、老人のような姿ながら巨躯に黒い肌、弱々しさは一切感じさせない男だ。

 

「ところで、全員集まるって言ってたけど《戦王戦斧》はどうしたの〜?」

 

 気怠げに質問したのは《無限魔力》。どう見ても下着にしか見えない服を着る美女である。

 

「ああ彼なら今レイモン様に先の件を報告にしに行ってる所だ。そろそろ来る頃だと思うが……」

 

 隊長が話を切り視線を扉の方へと向ける。それと同時に扉の向こうから足音が近づき、扉が開け放たれる。

 

「遅れてしまったな、すまない」

 

「いえ、こちらも今会議を始めようとしたところです。《戦王戦斧》」

 

 扉を開け中に入ってきたのは、漆黒聖典、例外の更に例外的に2人目の番外席次になった《戦王戦斧》フレイ・ユングヴィ・ゴッドフレイである。

 その容姿は長く艶やかな白髪、肌は白く身体は細く、その顔立ちは下手をすれば女性と見間違えてしまうほど整っている。

 全身には見事な彫刻が施された鎧をそれぞれの部位に纏っており、その背に目を向ければ、一匹の黄金の獣(…………)が共にいた。

 

「久しぶり《戦王戦斧》、セローシュも」

 

「久しぶりだな、《無限魔力》」

 

『グルルルルルルル……』

 

《無限魔力》の言葉と共に、唸り声を上げながら明確に姿を表したのはセローシュ、《戦王戦斧》と共に在る、黄金の獣である。

 

「数日前のビーストマンの一件、ご苦労様でした」

 

「ああ、そちらも任務の処理を全て任せてしまったな」

 

「いえ、遺跡の主は貴方が倒してくれたおかげで、楽に探索を進める事ができましたので、さほど苦労せず、多くのマジックアイテムを回収する事が出来ました」

 

 新しく遺跡を発見し、その遺跡の探索を複数の漆黒聖典の隊員と進めていたが、遺跡の主はナイトリッチであり、遺跡の多くの場所に罠を仕掛け、こちらを翻弄してきたが、竜王国の一件を聞いた《戦王戦斧》がこれまで、周りの被害を気にしていた為の加減を止め、頑丈な筈の壁をぶち破り、遺跡の主の元まで直行し、戦斧の一撃を持って討伐をしてみせた。

 

「ただ、竜王国に向かう際の被害はどうにかしてほしかったです」

 

「それについても、レイモン様に苦言を呈された」

 

 心なしかしょんぼりする《戦王戦斧》に苦笑いを浮かべる。彼は常人をはるかに上回る身体能力を持っているのだが、それと比例してか加減をするのがかなり苦手だ。今回も竜王国に移動する際に転移なども利用したのだが、それを使わない時は自らの脚で移動したのだ、その通った移動箇所のいくつかに爆心地のような場所ができてしまい。その周辺の人々を騒がさせてしまっている。

 そのため、神官長達の悩みの種の一つになってしまってる。

 

「《戦王戦斧》は加減が苦手だからねー、模擬戦くらいは出来るんだけど、一年くらい前にも山奥の怪しい祭壇に出現してた悪魔、山ごと粉砕してたよね」

 

「ズーラーノーンの幹部が呼び出してたアンデッドの群れを潰した時も、でかいクレーターができってたっけな」

 

「川に出てきた水竜を倒した時も川の流れ変えそうになってたよね〜」

 

《疾風走破》《人間最強》《無限魔力》からの3連撃に更に凹む《戦王戦斧》。

 彼の名誉の為に言わせてもらうとこれでも大分加減はできるようになってはきているのである。

 ただ、それでも被害はまだ出てしまうというだけで。

 

「はい、そこまでに。そろそろ今日の会議をはじめましょう」

 

 少しばかり《戦王戦斧》が可哀想になってきた隊長が話を切る。彼はその武力とは違い弁舌はそれほど上手くはない。

 隊長の言葉にそれぞれの隊員が円卓に座り始める。

 

「それでは初めの議題は、それぞれの任務の報告からお願いします。まずは、《疾風走破》《一人師団》から」

 

「んーと、私達は亜人達の群れの駆除を……」

 

「俺は出現した魔獣の討伐だ」

 

「私は発見されたマジックアイテムの解析を……」

 

 それぞれが自らの任務を報告していく。

 スレイン法国周辺は敵が多く、そして基本人間は弱い者が多い、そのため彼等の任務は難易度が高い事が多く大忙しだ。

 

「……ビーストマンの群れ及び前線基地を潰した。これでビーストマンの動きを抑制できる筈だ」

 

「前線基地ごとって……相変わらず無茶やってんなおい」

 

「ですが、その結果は確かなものかと、実際に竜王国に侵攻していたビーストマンの群れが一斉に後退しています。これでしばらくはビーストマンの動きを抑制出来るかと、そして次の議題ですが…… 《占星千里》の予言です」

 

 第七席次《占星千里》。その言葉に場の空気が引き締まる。見た目はJKな彼女だがその能力の一つは予知能力、これまでに様々な事件災害について予言をしてきた存在である。

 

 

「《占星千里》説明してくれるかい?」

 

「わかりました。予知の内容は『一ヶ月後、カッツェ平野に火の巨人が現れる』です」

 

「カッツェ平野に? 火の巨人? 霜の巨人(フロスト・ジャイアント)じゃなくてか? 予知はそれだけか、数や大きさは分からんのか?」

 

「はい……それ以上を見ようとすると何か靄がかかったように見えにくくなって」

 

「……隊長、どう見る?」

 

 眉間を険しくした《人間最強》が隊長に問いかける。

 

霜の巨人(フロスト・ジャイアント)海巨人(シー・ジャイアント)は聞いた事があるが、火の巨人は聞いたことがない、カッツェ平野に巨人が出るという情報も聞いたことがない、加えて《占星千里》の予知に靄のようなものがかかるというのは初めてだ」

 

 火の巨人という聞いた事がない種族、しかもそれがカッツェ平野というアンデッド多発地帯に現れという、そして予言には靄がかかる。このような不可解な現象に漆黒聖典の全員が嫌な予感を感じていた。

 

「神官長の方々と今回の予言を協議した結果、この度の予言はこのような不可解な現象のため、万全を期して漆黒聖典の殆どの隊員であたるとの結論が出された。

 皆には一ヶ月後に向け準備をするようにお願いしたい」

 

 一ヶ月後の任務に向け、隊員全員からの了承を取れたことに安心し、ホッとため息が出る。連日の任務により隊長にも疲れが溜まってた。  

 

「では本日の会議はこれにて終了する。ああそれから、レイモン様より3日間の休日を頂いた、『緊急の任務の場合は出動しなければならないが、そうで無ければ、この3日間で日ごろの疲れを癒してくれ』との事だ、皆疲れた身体を存分に体を休めてくれ」

 

「やったー! ねぇ、《戦王戦斧》模擬戦しよう! 今日こそ一発当ててやる」

 

「お! いいなそれ! 俺も頼むぜ《戦王戦斧》!」

 

「じゃあ私はゆっくりと……「おりゃ!」ぐえっ!」

 

「クソ兄貴もやろうじゃん、ビーストテイマーだからって身体を鍛えなくてもいいってわけじゃないじゃん」

 

「グホッ、止めろアホ妹! 離せッ」

 

「私はマジックアイテムの研究が……「お前も行こうぜ《無限魔力》」ホゲッ」

 

「魔法やマジックアイテムの研究ばかりじゃ体も鈍るだろ! いい汗流しに行こうぜ!」

 

「私はそっちのが得意だし、それに《戦王戦斧》がいるって事はあいつ(……)が高確率でいるって事じゃ……ちょ、やめっ、離して」

 

「……模擬戦するのは良いですが、演武場を壊さないでくださいね」

 

 元気有り余る武闘派達に連れてかれる隊員達に苦笑いを浮かべながらも、止めない隊長。後で自分も模擬戦に行こうかと思っていた。

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 大神殿の地下深くの演武場、六色聖典……主に漆黒聖典が己の体や技、魔法を鍛える為に使用する、専用の鍛錬場だ。

 広大な空間であり、漆黒聖典が使う為かとても頑丈に造られている。  

 演武場に繋がる通路ではある一人の少女が佇みルビックキューと呼ばれる玩具を扱っていた。

 

「はぁ……《戦王戦斧》は早く来ないかしら?」

 

 彼女名前はアンティリーネ・ヘラン・フーシェ。

 漆黒聖典、一人目の番外席次にして、二つ名は《絶死絶命》

 ある事情により大神殿から外に出る事が出来ずに、退屈な日々を過ごしていた。

 

 

 

 彼と出逢ったのは今から10年程前であった。大神殿に籠り退屈にしていたところ、六色聖典の隊員の一人から私のところにある情報が届いた『漆黒聖典に新たな新人が入隊する』という情報である。

 

『珍しいわね。誰も欠けていないのに新たな入隊者がはいってくるなんて』

 

『なんでも難度200を超える魔獣をたった一人で倒してみせたのだとか』

 

『へぇ、難度200を超える魔獣を一人で』

 

『はい、レイモンさまが直々にその戦闘を拝見されたそうで、後日招待をされたそうです』

 

 土の神官長レイモンが法国の某所へ視察に向かった所、その道中で戦闘が繰り広げられている現場を目撃したらしい。その戦闘で戦っていたのが今回の新人だという。

 そして見事魔獣をその戦斧にて討伐してみせた。その戦闘能力に目を見張ったレイモンが後日その新人に使者を送り大神殿に招待し、漆黒聖典に勧誘を行い新人はその勧誘を引き受けたのが事の次第らしい。

 レイモンは元は漆黒聖典第三席次その見識は信頼して良いだろう。

 

『そこまでの戦闘能力なら神の血を覚醒させた神人なのかしらね』

 

『いえ、それが家系図や魔法で調べました所、神の血がその身に流れている形跡はなかったそうです』

 

『……本当?』

 

『はい、よく精査した結果なので間違い無いかと』

 

『……そう、その新人は今どこにいるの?』

 

『現在は演武場にて自己鍛錬をなさっておいでで……《絶死絶命》殿どこへ……』

 

 その場を立ち、その新人の元へと向かう、既に隊員の言葉は耳に入っていなかった。

 神の血を覚醒させずに難度が200を超える魔獣を倒した新人、その事のみが頭の中を埋め尽くしていた。

 

 そいつなら私に敗北を刻んでくれるかも。

 

 その思いに心を揺らし胸を弾ませながら演演武場へと小走りで向かっていった。

 

 

 

 演武団へと着いた後、その新人は見つけることが出来た。

 白髪長髪に長身顔は素晴らしく整っており戦斧の素振りをしていた。

 

『(女なんだ……少し残念)』

 

 性別が女の事に残念がりながら新人へ近づき話しかけた。 

 

『こんにちは、私は漆黒聖典番外席次《絶死絶命》、一応貴方の先輩になるわね。よろしく、貴女の席次と二つ名は?』

 

『漆黒聖典では二つ名で名乗るのであったな』

 

『えぇ、そうよ』

 

『漆黒聖典番外席次《戦王戦斧》だ、これからよろしく頼む』

 

『私と同じ番外席次! それに二つ名は《戦王戦斧》か、大層な二つ名だけど貴女にはぴったりかも『それと』ん?』

 

『勘違いしてるかもしれないから話すが、俺は男だ』

 

『えっ、嘘そんなに綺麗なのに』

 

『…………』

 

 

 ものすごい嫌そうな顔をした、本人的には間違えられるのは嫌らしい。

 でも仕方ないだろう、この美貌では殆どの人が女と間違えるだろう。

 

『ふふ、でも良かった』

 

『? ……』

 

『こっちの話、ねぇ難度200を超える魔獣を討伐したんですって』

 

『ああ』

 

『強かった?』

 

『微妙だったな』

 

『難度200を超える魔獣を微妙だったか、ふふっ』

 

 難度200、一体で国を滅ぼせる伝説級の魔獣に対しての評価が微妙との事に笑みが出る。

 

『ねぇ、なんで漆黒聖典に入ったの』

 

『人類を守るという事に共感したという事もあるが、もう一つは』

 

『強い者と闘えると聞いたからだ』

 

『……』

 

『幼い頃から己の武力を鍛え上げて来た』 

 

『その鍛えた武力で行う強者との闘いは素晴らしきものであった』

 

『お互いに鍛えた武力をぶつけ合いたい』

 

『強い者と闘い鎬を削り合い、全力で闘い』

 

 

 

 

『その一瞬に全力で命を燃やしたい』

 

 

 

《戦王戦斧》の顔にはこの先の未来にあるであろう強敵との闘いに、堪えきれない、戦士としての笑みを浮かべていた。

 少し驚いてしまった。その願望に驚きながら、似てはいても違う願いを抱いている私が、その願いに全力で共感してしまっている事にも驚いていた。

 

 どうやら私達は()()だったらしい。

 

『へぇ、良い願いね、所で……』

 

『私はこの法国でも一番の強者な訳だけど、その私でも貴方から滲み出る武力この体で感じてるわ、だから……』

 

()りましょう?』

 

 瞬間、目の前の新人……《戦王戦斧》へと全力で切り斬り掛かった。完全な不意打ちでありながらもその不意打ちに目の前の男は戦斧で防ぎ対応してみせた。最高の喜びを感じた。

 それからは互いに全力、遠慮無用の闘いを始めた。互いに殺す事は考えておらずとも全力で鍛え上げた武力をぶつけ合った。

 

『アハッ! やるわね!』

 

『そちらも』

 

 戦鎌と戦斧が互いにぶつかり合いその衝撃で周りの床や天井壁が破壊されていく。

 戦斧から衝撃波が広がり、戦鎌により放たれる武技により斬撃が放たれ、頑丈に作られている筈の演武場が破壊されていく。

 その原因である二人の顔には喜悦の笑みが浮かんでいた。

 

 それから暫く全力で闘い、演武場を半壊状態にしてしまった頃、騒ぎを聞きつけた土の神官長レイモンが来た事で、闘いは中止になり演武場を半壊状態にしてしまった事にお叱りを受けながらも《絶死絶命》は先程の闘いの余韻を感じていた。

 敗北を刻むことは出来なかったけど、最高の好敵手を得ることができた。

 

 この時から私の人生は更に輝いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 思い出にしたりながら玩具を弄っていると、奥から隊員を複数人連れて歩いてきた《戦王戦斧》が現れた。

 

「来た!」

 

 喜びに身体を震わせ玩具を置き小走りで近寄る。

 

「《戦王戦斧》また()りましょう! 《人間最強》《疾風走破》久しぶり、《無限魔力》《一個師団》も来たんだ珍しいわね」

 

「私もちょうど()りあいたいと思ってたところだ、お前も付き合ってくれるのはありがたい《絶死絶命》」

 

「好きで来たわけじゃ〜」

 

「そろそろ離せっ、落ちるっ」

 

「まだ、一撃与えてないからね〜、リベンジマッチて感じ?」

 

「俺もそんな感じだな!」

 

 騒がしい集団ががやがやしながら、演武場へと入っていく。

 

《戦王戦斧》が漆黒聖典に来た日から、鎬を削り合う好敵手の存在により私の人生は更に輝きが増した。

 それに合わせて自分の武力も確実に上がっている事を実感できてる。

 

「(でも、もう一つの願望を諦めたわけじゃないからね)」

 

《戦王戦斧》を見るその顔は妖しく妖艶に笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




クレマンティーヌとクアイエッセの関係はオリ主が間に入った事で多少良好になっています。
喧嘩をよくする兄妹って感じです。 



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。