ポケットモンスターNAVY ~暴投モンスターボール~   作:サンダーゴリラ

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レポート20 グレンタウン/時を超えた遭遇

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 ここはグレンタウン。

 グレンの赤は情熱の色

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 グレン島は火山になっており、グレンタウンはそのふもとにできた町だ。

 ポケモンセンターの食堂では、グレン風・火山ハンバーグなるメニューを食べた。熱くて美味しかった。

「ケチャップをかけたらもっと美味しいだろうなあ」

 余計なことも想像した。

 休息した後はさっそく、ポケモンジム──ではなく、ポケモン研究所に向かう。マサラタウンの研究所とは倍以上のスケールがある施設だった。

「たしか、ここでカセキを復活させる研究をしてるとか……すいませーん」

 さっそく職員に尋ねてみる。

「あの、ポケモンのカセキを、復活できるって……」

「え、なに? なんで小声?」

 ニビ科学博物館の研究員の例があるので、アクタはこれが秘密情報だと思っていたのだが──

「カセキからポケモンの復元? できるよ」

 そんなことはないようで、職員の男は当たり前のように頷いた。

「そこの廊下、一番奥の実験室に、エラーイさんっていう博士を尋ねてみるといい。ちょっと変な喋り方のひとだから、すぐにわかるよ」

「エラーイ博士ですね。ありがとうございます」

 さっそく、訪ねた。

「はいー! わたしはエラーイ博士。いつも珍しいカセキ研究してるあるよ!」

 変な喋り方のひとだった。

「あなた! いいカセキ持ってるか?」

「はい。『こうらのカセキ』と……あとこの『ひみつのコハク』ってのもカセキなんですか?」

「おお! 『ひみつのコハク』とはめずらしいあるね!」

 博士は、アクタの差し出したカセキを食い入るように見つめる。

「よし! わたしの造ったカセキ再生マシンで、これ! 生き返らせて見せるね!」

「ほんとにできるんですか? じゃあ、お願いします……」

 正直、半信半疑だった。自分のリュックのなかでずっと眠っていたアイテムが、()()()()()()()など、少年の理解を越える現象だ。

「はいー! じゃそれ、早くこっちによこすよろし!」

 彼の口調はともかく、これほど大きな研究所の職員だし、手腕は信用できるのだろう。覚悟を決めたアクタは、変な博士に『こうらのカセキ』と『ひみつのコハク』を預けた。

「ちょっと時間かかるよ! そこらへんをすこしブラブラしてくるとよろしー!」

「よろしくお願いします。──じゃあジムでも行こうかな」

 アクタはポケモン研究所を後にして、グレンジムに向かった。7つ目のバッジに挑戦だ。緊張感を胸に、ドアに手をかけた。

 ドアには鍵がかかっていた。

「え? 休み?」

 現在の時刻は午前11時。ドアに休業の張り紙などはない。

「なんで? トキワシティとおなじで、しばらく開いてないとか? そんなあ、ここまで来て……」

「おや少年、ジムチャレンジかね?」

 通りすがりの老人が声をかけてきた。杖をついた、長い金髪の老爺だった。

「…………」

 アクタは、不自然な金髪に気を取られる。

「どうかしたかね?」

「あ、いえ、なんでも……そう! ジムに挑戦したいんですけど、鍵がかかってて」

 見ず知らずの老人の、身体的特徴、あるいはファッションについて指摘するのは失礼だ。べつにいいじゃないか、被っていても。

「なに、鍵がかかっているのならば、カギを探せばいいじゃないか」

「へ? いや、そういうわけじゃ……」

「ここに挑戦するトレーナーは、みんなポケモン屋敷に行くよ。きっとそこにカギがあるんだろうねえ」

「ポケモン屋敷?」

「町の北にあるお屋敷さ。住人が手放してしまってからは、ポケモンたちの住処になっていてね。トレーナーも出入りしているから、まあ行ってみればいいじゃないか」

 そう言い残して、「では」と老人は去って行った。

「……なんなんだろう」

 すこし訝しむ。だが、ポケモンやトレーナーがいる場所なら修行になりそうだ。アクタはポケモン屋敷を目指すことにした。

 

 

 その屋敷は、きれいだったら「豪邸」と呼ばれただろう。しかし荒れ果てている現在においては「廃墟」だ。

 奇妙なのは、侵入者に嫌がらせするような仕掛けが組まれていることだ。開かない扉は、銅像のスイッチを押すことでロックが解除される。しかしそのたびに、べつの扉にロックがかかる。

「まるでジムチャレンジの仕掛けみたいだな……」

 しかしあの老人の言葉を信じるならば、あながち、このカギを探す行為はジムチャレンジの一環なのではないか、と思い始めていた。

「だとしても、なんだか火事場泥棒をやってるみたいで、気分が良くないなあ……ん?」

 本棚を漁っていると、研究記録──というより、日記帳のような書物を見つけた。どうやらこのポケモン屋敷ではポケモンの研究が行われていたようで、あちこちに研究ファイルが詰まった本棚があった。

 気になるタイトルなので、手に取ってみる。

 

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 7月5日

 ここは南アメリカのギアナ。

 ジャングルの奥地で新種のポケモンを発見。

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 7月10日

 新発見のポケモンをわたしはミュウと名付けた。

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 2月6日

 ミュウが子どもを生む。

 生まれたばかりのジュニアをミュウツーと呼ぶことに……

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 9月1日

 ポケモンミュウツーは強すぎる。

 ダメだ……わたしの手には負えない!

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 アクタは、記録をパタンと閉じた。

「なんだこりゃ」

 そう吐き捨てて、適当な棚に戻した。

 タイトルは、「#150 Mewtwo」。

 

 

 屋敷の地下まで探索して、ようやくそれらしきカギを見つけた。屋敷の中でほかに施錠されている部屋はなく、言うなればこの『ひみつのカギ』は、この屋敷で使うにはデザインが新しい。

 アクタはポケモン屋敷を後にした。ジムに向かう前に、カセキの様子が気になってポケモン研究所と訪れる。

「遅いねー! もうカセキ生き返ったよー!」

 エラーイ博士の手には、ふたつのモンスターボールがあった。

「ほ、ほんとに復元できたんですか……!?」

「当たり前よ! やっぱりカセキは、カブトとプテラだったアルね! さあ、外に出てご対面するよろし!」

 エラーイ博士に連れられて、研究所の外の広場に出る。ひとつのボールを開けた。出てきたのは、盾のような甲羅だった。

「これが……カブト?」

 アクタがかがむと、甲羅にある小さな目が少年を見上げた。腹部は黒く、爪と発光体がある。

「頑丈そうだなあ。ふふ、よろしくね」

「もうひとつも開けてみなよ! プテラは珍しいあるよー!」

 博士に促されて、残ったボールを開ける。まず目につくのは、巨大な皮膜の翼。そして頑丈そうな大顎に、尖った尻尾。生まれたて(厳密には復活したて)とは思えないほどの体長で、アクタはおろか、エラーイ博士よりも大きい。

 獰猛さを匂わせる瞳が、アクタをギョロリと睨んだ。

「わあ、カッコいい!」

 アクタは、手を大きく広げる。プテラは少年のしばらく少年の匂いを嗅いだかと思うと、やがておとなしくしゃがんだ。

「おみごとだねー! きみ、若いのにポケモンの扱いが上手いよ!」

「そ、そうですか? ふつうだと思うけど……」

「むかしプテラを復元させたときはねー、復活した途端に大暴れして、大変だったんだよー! みんなだいたい大怪我したねー!」

 そんな能天気な口調で語る出来事ではない。

「そういうの、先に言ってくれません? ぼく、危うく食べられちゃうところだったんじゃ……」

「一回、ボールに入れてるから大丈夫よー。プテラの事件にならって、復元すると同時にモンスターボールに入るように組んでるあるよ! 科学の力ってすげー! あるね」

 アクタは、プテラの角を撫でた。岩よりも固い。プテラは鼻を鳴らしたかと思うと、翼を広げた。

 そして、後ろ足でアクタの肩を掴む。

「え?」

 そのまま飛び上がった。

「うわああああああああ!?」

 プテラは大空へ飛翔した。あまりにも唐突な空の旅。アクタは悲鳴を上げるも──

「──あっはははははははは! 高いなー!」

 高い場所は平気なタイプだった。

「そうだよね。せっかく翼があるんだもの。まずは飛びたいよな」

 一瞬、巣に持ち去られて捕食されてしまうのではないかと思ったが、復活したばかりのプテラの巣は、アクタのモンスターボールなのだ。むしろ、初フライトに付き合わせてくれた厚意がありがたい。

 プテラも徐々に飛び慣れたのか、飛行は安定する。アクタが指をさすと、その方向に進路を変える。

「すごいな、飛行ポケモンって。グリーンはリザードンで、こうやって空を飛んでるのかなあ、いいなあ」

 しばらくフライトを楽しんだ後、アクタとプテラはグレン島に戻った。若干、着地が乱暴だったので、ここは要練習である。

「お、戻って来たね。食べられちゃったのかと思ってびっくりしたよ!」

「まさか。もうプテラは、ぼくの友だちですもん」

 足元に寄ってきたカブトと、プテラをモンスターボールに戻す。そしてボールを腰に装着しようとしたが……

「あ、7匹?」

 一般的にポケモントレーナーが持ち歩くポケモンの、最大数を越えていた。ボールを格納するホルスターも、6つ分しかない。

「これは……そうか。あれを使うときが来たんだ」

 嬉しくもあり、同時に寂しさも覚えた。ポケモンセンターへ向かう。

 

 

 25番道路。通称、ハナダの岬。ポケモン預かりシステムの管理人、マサキは旅の荷物をまとめていた。とある島でポケモン通信システムを管理している友人に頼まれ、手伝いに向かうことになったのだ。ほんの2、3日だけこの小屋を空けることになる。

「ええと、連絡船はグレン島まで来てくれるっちゅうてたから……そろそろ行くか」

 ふと、点けっぱなしになっていたパソコン画面の、通知メッセージに気が付いた。

「お、新規の利用者か」

 ありふれた通知だ。ポケモンを6匹以上捕まえたトレーナーは、おのずとポケモン預かりシステムを使用することになる。何気なく、マサキは新規に開設されたボックスを覗いてみた。

「フシギバナ? 珍しいポケモン持ってるなあ。利用者名は……」

 マサキは目を疑った。だが、フシギバナを持っているこの名前のトレーナーは、ひとりしか思い浮かばない。

「あいつがボックスを使うなんて──なにがあったんや、アクタ!」

 




ギャラドス
 がんばりやな性格
 ラプラスと仲良くなった。

サンダース
 きまぐれな性格
 空気中のマイナスイオンを吸い込んで、約10000ボルトの電気を吐き出すことがある。

エビワラー
 ゆうかんな性格
 シャドーボクシングをするとき、アクタのほうをチラチラ見る。

ラプラス
 おだやかな性格
 ギャラドスと仲良くなった。

カブト
 さみしがりな性格
 古代生物の化石から再生したポケモン。硬い殻で身を守っている。

プテラ
 やんちゃな性格
 コハクに残された恐竜の遺伝子から復活させた。高い声で鳴きながら飛ぶ。
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