プラモな細道   作:鳥頭堂正太郎


原作:酒の細道
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出張先の町で見かけた小さなプラモ屋。
覗いてみると、なかなかの品揃いで、田舎の店だと思ったけれど、悪くない。
そう思っていたら、奥の座敷からお爺さんに声をかけられます…

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プラモな細道

5月のゴールデンウィークだってのに、うちの会社は仕事で、俺は出張に出た先の町で、偶然、小さなプラモ屋を見かけたんだ。

小さな店構えの店なんだけど、店先のショーウインドウには完成品の作品とか展示してあったりしてて、なんかいい感じ。

どれ、田舎の模型屋か、1丁、ちょっと軽くもんでやるか?

って感じで、中に入ってみたんだが、

「いらっしゃい」

って、入ってすぐにあるレジから優しい感じのおばちゃんの声がする。

たぶんだけど、あのおばちゃん、俺が子供の頃から、ずっと、あのレジにいるんだと思う。

 

ほう。

 

中に入って見渡してみると、小さなプラモ屋なのに、予約してもなかなか入荷しない最新作のギャオギンダムのプラモデル、争奪戦になるスヤの美少女プラモデルまで揃ってるかと思いきや、名城シリーズや、飛行機、艦船、戦車といったミリタリー、誰が買うんだよ。と言いたくなるような情景模型。

挙げ句の果てには、とっくの昔に絶版になったはずの貴重なプラモデルまでしれっと置いてやがるし、筆やナイフ、プラ板にパテに塗料といった道具類も充実してやがる。

 

こりゃあ。めっけもんなんじゃない?

 

偶然、入った店にしちゃあ悪くない。

ちょっと嬉しくなってさ。

見せてもらおうか、地方のプラモ屋の実力とやらを。

って思ってたら

 

電話がかかってきて、レジにいたおばちゃんが、電話をとって、話をしてたんだけど、

「ちょっと倉庫を探さないとわからないから、探してみますね。後から電話します。」

とか言って電話を切った。

で、俺に向かって、

「お客さん、ちょっと探し物があるんでいなくなるけど、、すぐ戻ってくるから、ゆっくり見ててよ。」

というと、どっか行っちゃった。

 

あらら。と思ったんだけど。

まぁ、いいや。ゆっくり見させてもらおうかな。って本気で棚を見回り始めて、ちょっとオレ、買うた止めた音頭を軽く踊っちゃったんだよね。

 

そうすると、奥のほうからフフッと笑う声が聞こえたんだ。

何?と思って奥を見ると、座敷になってて、客でも靴を脱いであがれるようになってる。

なんだぁと思って見ると、座敷にはちゃぶ台があって、プラモ作る道具とか置いてあるんだ。

 

あれ、この店の中でプラモ作れるようになってんの?

って思いながらも、よくよく中を見てみると、爺さんが一人、見たこともないようなメーカーの古いボロボロの箱のプラモを前にして座ってんだよ。

 

「兄さん、久しぶりに見たなぁ。買うた止めた音頭。」って、爺さんが俺に向かって笑いかけながら言ってきた。

 

ついつい、引き込まれるように、俺も座敷にあがって、座りこんじゃった。

 

見ると、爺さんの前に置かれていたのは、エルエムという聞いたことも無いような模型メーカーの、日光仮面少女のバイクという謎なアイテム。

 

箱絵を見ると、なかなか可愛らしい女の子のイラストが書いてあるけど、箱の中に入ってるソフビの女の子の顔はそのイラストには似ても似つかない誰だよお前みたいな造形。

 

バイクもバリだらけの黒一色の明らかに作れるのこれ?と言いたくなるようなプラモ。

 

そんなプラモを前にして、爺さんはニコニコ笑って、

 

「見事な買うた止めた音頭やったねぇ。

最近はなかなかそれを踊る人は見いひんからな。」

と言った。

 

そうなんだよなぁ。

最近はプラモの新作は予約だけでソッコーで売り切れていて、店にある在庫は見慣れた売れ残りばっかりだから、あまり、欲しい!とも思わんのよね。

だから、なかなか、買うた止めた音頭を踊る機会がない。

 

さみしい話だ。

 

(続)

 




ごめんなさい、話途中です。
続きます。
ちなみにこれは酒の細道という漫画の、鰻屋の話が元ネタです。

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