遊戯王 デュエリストのお兄さん 蒼銀の導き   作:ひろやん(すぴ出身)

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 そして明かされるヒーロー誕生の秘話。


第2話 変わり始めた世界

 ペガサスが自分で千年眼(ミレニアム・アイ)を抉り出したことで待機していた黒服は慌てて治療するためにペガサスを連れて行った。

 

 ペガサスが自分で千年眼(ミレニアム・アイ)を抉り出した事は黒服達も分かっていたので私に危害が加えられる事は無かったのだが、そのまま放置されてしまった。

 

 取りあえず床に転がったままの千年眼(ミレニアム・アイ)を(血まみれだったので)ハンカチで拾った。すると千年眼(ミレニアム・アイ)が輝きだし、目の前に蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)が現れた。

 

 そして私は生命力を奪われたかのようにがっくりと倒れた。千年眼(ミレニアム・アイ)の力と私の(パー)を使って蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)が実体化したんだなと原作知識から想像をたてていると、蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)も私が倒れたのは予想外だったのか慌ててテーブルの上のデュエル後でまだ片付けていなかった私のデッキのカードに向かった。

 

 そしてフィールドに置かれていた青き眼の乙女(あおきめのおとめ)のカードと同調するように光り輝くと、蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)は少女の姿に変化した。

 

 それと同時に私の負担も大きく減って私は何とか立ち上がることが出来た。これはLVの低い青き眼の乙女(あおきめのおとめ)のカードを媒介にして小エネモードになったと解釈すればいいのだろうか。まあ乙女と呼ぶには少し育ってはいない姿ではあるが。

 

 少女の姿になった蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)…面倒なので蒼銀は千年眼(ミレニアム・アイ)に手をかざして念じると血をぬぐって千年眼(ミレニアム・アイ)を私に持たせた。

 

 これは私に千年眼(ミレニアム・アイ)を持っていろという事なのだろうか。まあ、千年眼(ミレニアム・アイ)がなければ蒼銀は実体化出来ないのだろうけど。それから蒼銀は私のデッキをまとめると私に渡して消えて行った。

 

 その後どうすれば良いのか分からず部屋で大人しくしていると、黒服がやってきてペガサスが私に会いたいから着いて来いと言って来た。私は大人しく黒服の後を追い、応急処置を終えたペガサスと再開した。

 

「これはあくまで応急処置です。今は麻酔が聞いていますので平気ですが、後で病院に来てちゃんとした治療を受けてください」

 

 ペガサスの治療をした医者がそう言って立ち去るとペガサスは人払いをして私と2人っきりになった。

 

「見苦しい所をお見せしました。デュエルはアナタの勝ちです、ですからこれは私からのお願いデ~ス。私の質問に答えてくださ~い。桐野優一(きりのゆういち)

 

 始めてペガサスに名前で呼ばれた。名乗りもしてもいないのにどうして私の名前を知っているのかは、きっと私の所持していた身分証から知ったのだろう。そしてデュエルに勝った事でようやく名前で呼ばれるようになったのだろう。

 

「改めて、桐野優一(きりのゆういち)です。好きなように呼んでください。それで聞きたいことは何ですか」

「それではキリノと呼ばせてもらいマ~ス。キリノは一体何者ですか?私がデザインした者とは違うイラストの青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)青き眼の乙女(あおきめのおとめ)を始めとする私の知らないカード。そしてアーク・ファイブと書かれた説明書。始めは私のデュエルモンスターズの偽物かと思いましたがカードは間違いなく本物デ~ス」

 

 その点については私も分からない事が多い。最初は混乱していて気づかなかったけれども、説明書やカードから『遊戯王』のロゴが消えていた。(私自身は遊戯王は久しぶりなので気づかなかったがカードの裏面のデザインもこの世界の物と同じに変化していた)

 

「本当の事を言って信じてくれますか?」

「キリノが本当の事を言うので有れば信じマ~ス」

 

 そこまで言われたので私は別の世界から来た事を話した。もっともこの世界がマンガやアニメになっている事はさすがに言えなかったけれども。あと最初にペガサスの顔を知っていたことは私の世界でもデュユエルモンスターズを作ったのはペガサスと言う事で誤魔化した。心苦しいが原作の設定ではペガサスが作ったので嘘は言っていない。

 

「それなら納得がいきマ~ス」

「信じてくれるのですか?」

「信じましょう。千年眼(ミレニアム・アイ)を失ったとは言え人を見る目はあるつもりです」

 

 ペガサスがそう言ったので私は蒼銀から渡された千年眼(ミレニアム・アイ)をペガサスに返そうとした。しかしペガサスは受け取らなかった。

 

「もう私には必要ありませ~ん。しかしこれは誰かが持っていないといけないものデ~ス。だからキリノが持っていてください。あの銀色の竜の加護があればきっと大丈夫デ~ス」

 

 なんだか厄介な物を押し付けられたような気もしないでもないが、今のペガサスに千年眼(ミレニアム・アイ)を持たせるのも酷なので蒼銀の事もあり私が持つ事になった。

 

「では、ここからは取引の時間デ~ス。キリノ、私の元で働きませんか?行くあてが無いのでしょう。デュエルモンスターズの新しいルールを持ち込んで私がそれを採用したという事で内外に説明しま~す」

 

 それは願っても無い事だ。なにしろ戸籍すら怪しいので今後の生活をどうすれば良いのか困っていたのだ。

 

「そのかわり仕事はちゃんとして貰いマ~ス。最初の仕事はマスタールールの調整デ~ス。さすがにこのルールをそのまま使用すれば混乱が生じるでしょう。他の社員と共に上手く調整してくださ~い」

 

 これは原作のエキスパートルールを作れと言う事だろう。たしかに原作だとライフは4000だしシンクロもエクシーズもペンデュラムも存在しない。

 

「分かりました、これからよろしくお願いします。ペガサス会長」

 

 雇い主を呼び捨てには出来ない。これからはペガサス会長と呼ぶことにしよう。

 

「ペガサス様と呼ばれているので『会長』はちょっとくすぐったいデ~ス。これからしっかりと働いてくださ~い」

 

 こうして私はこの世界で生活基盤を手に入れた。それから数週間後…

 

 

「やっぱりライフは4000で決まりですか」

「そうですね、ペガサス様と桐野主任のデュエルは私も見ましたが、あれはトゥーンと攻撃力0のサクリファイスが相手だから一気にライフを削れたのが理由です。私もそうでしたけどテストプレイヤーはライフ8000は多すぎると言っています」

 

 私はペガサスの後継者候補と言われている天馬月行という青年とエキスパートルールについて話し合っていた。ペガサスは独身を貫く代わりに後継者となる子を何人か育てていて月光くんもその1人だった。

 

「キリノさん。ペガサスさ…お父さんが呼んでいるので会長室に来てくれませんか」

 

 月光くんと仕事をしていると月光くんの弟の夜行くんがペガサス会長の伝言を伝えに来た。ちなみに月光くんも夜行くんのペガサス会長のことを以前は『様』づけで呼んでいた。しかし私が『会長』で呼ぶようになってからペガサス会長は子供達から『様』づけされるのはおかしいと思うようになり、今はお父さんと呼ばせている。

 

 呼ばれたので大至急ペガサス会長の所に行くと、ペガサス会長は怒っていた。

 

「キリノ、これを見てくだサ~イ」

 

 ペガサス会長に言われてモニターを見るとそこには海馬瀬戸が武藤遊戯の祖父である武藤双六の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を破る姿が映し出されていた。

 

 遊戯Vs海馬のデュエルは全国放送されたと聞いていたが、このシーンまで放送していた事は知らなかった。…いや放送されずNGシーンになったものをペガサス会長が独自に入手したものかもしれない。

 

「知っての通り海馬ボーイのこの後デュエルに敗北して心身喪失してしまいました。ですが私は海馬ボーイを許せまセ~ン。ですから海馬ボーイから青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を取り上げようかと思いマ~ス」

 

 改心してからのペガサス会長は自分が生み出したデュエルモンスターズに対する愛情が深まっている。自分が生み出したカードを破かれたのは許せないのだろう。

 

「ちょっと待って下さい、子供がしたことではないですか。ペガサス会長が許せない気持ちは分かりますし、お仕置きは必要かも知れませんが青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)と取り上げるのはどうかと。海馬社長は親も無く1人でここまでやってきたせいで道を間違えた時、正してくれる大人がそばにいなかったんだと思います。ここはペガサス会長が海馬社長を叱って道を正すべきなのでは」

 

 私がそう言うとペガサス会長ははっとした。

 

「そうです。その通りデ~ス。私は怒りに任せて道を間違うところでした。キリノの言うとおりデ~ス。海馬ボーイには正しい保護者が必要デ~ス。海馬ボーイを弟の同級生から『様』付けさせて悦に浸っている性格から真に子供達から好かれるヒーローに育てる存在が。…ヒーロー」

 

 そう言うとペガサス会長は私を見て言った。

 

「キリノは青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)をモチーフにした正義の味方のカードを持っていましたよね」

「正義の味方 カイバーマンのことですか?」

「そうです、そのカードデ~ス。そのカードを私に貸してくださ~い。海馬ボーイを更生させるいいアイディアが浮かんできました」

 

 そう言われて後で私はカイバーマンをペガサス会長に渡した。

 

「それとやはり海馬ボーイから青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を取り上げマ~ス。ただし海馬ボーイが青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)に相応しい成長を遂げたら返すことにしましょう。キリノ日本に行って来てくださ~い。お膳立てはしておきますので青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を回収してきて欲しいのデ~ス」

 

 こうして私は日本に行くことになった。これが変わりつつあった遊戯王の物語をさらに変革させることになるとはこの時の私は知る良しもなかった。




 補足説明

 青眼龍デッキはゼアルのデッキなので入っている説明書はゼアルの物だと思う人がいるかもしれませんが製造時期によってはアークファイブの説明書が入っています。
 私はアークファイブの説明書が入っているのを買ったのでその事に気づくのが遅れて、補足を書くのが遅くなりました。

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