遊戯王 デュエリストのお兄さん 蒼銀の導き   作:ひろやん(すぴ出身)

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第2話 白き龍の可能性

 オベリスクが踊っている。ムキムキ、ニクニク言いながら筋肉ダンスを踊っている。バックダンサーはエクゾディアとデーモンの召喚だ。最後に『俺達マッスルモンスター』と言う所で目が覚めた。オベリスクからの侵食が酷くなってる証拠だ。

 

「ここは一体?」

 

 私は古びた霊堂に入ってそこで突然光に包まれて気を失ったはず。しかし目が覚めたら知らない建物の中で寝かされていた。周りを見回すと電化製品が無い。一体ここは何処だろう?

 

「お目覚めですか?勇者様」

「蒼銀?」

 

 状況を把握しようとしていると蒼銀が部屋に入ってきた。いや違う。この子は蒼銀ではない。蒼銀は言葉を話せないしこの子は血肉を持った人間だ。

 

「どうして私の名前を…」

「名前?」

「あの、私の名前はソウと言います。勇者様」

「いや、知っていること間違えただけだ。名前はまあ偶然だろう」

 

 そこまで話して会話の中に気になる単語が有った事に気づいた。

 

「所でどうして私の事を勇者と呼ぶんだい」

「え?勇者様は勇者さまでしょう。祭司様が儀式で召喚して勇者様はそれに答えてくださったんでしょう?」

 

 そう言われて余計に訳が分からなくなった。が、これだけははっきりとさせておかないといけない。

 

「私は勇者ではない。呼ばれて答えた覚えも無いし勇者と呼ばれるような力も持ってはいない」

 

 私がそう言うとソウは悲しそうな顔をした。

 

「そんな、祭司様が間違えて呼んでしまったというのですか」

 

 そう言うとソウは走り去ってしまった。私は体に異常が無いかを確認してそれからデッキを確認した。そこでカードに異状がある事に気づいた。オベリスクと青子とSin子のカード以外絵が消えてしまっているのだ。そして蒼銀のカードと思われるカードは全て真っ黒になっていた。

 

『マスター、精霊のカード以外全部力を失っているわ。それと銀ねえはよく分からないけど封印されている』

『私達も呼べるけど(バー)の消耗が激しいから注意しなさい。オベリスクを呼んだら死ぬわよ』

 

 青子、Sいn子がそう話しかけて来た。どうしてこうなったのか訳が分からないがソウの言っていた祭司様に会うべきだと考えた。そして移動するために建物の外に出て驚いた。

 

 町並みが中世の小さな村のようだ。しかもあちこちに戦闘の後が有る。とりあえず祭司様の居場所を聞こうとしてあることに気づいた。ここの人たちは皆青い眼と白い肌そして銀色の髪をしているのだ。村の人たちは私の姿を見ると私から距離を取った。

 

 その行動に驚きつつも話を聞こうと一歩前に出ると目の前にがたいのいい男が現れて剣を私に突きつけてきた。

 

「動くな!ソウから話を聞いたぞ。勇者では無いのならお前は侵入者だ。一体この村に何をしにきた!」

護人(もりと)さまだ!」

護人(もりと)さまが来て下さったぞ」

 

 周りから護人(もりと)と呼ばれる男はそう言って私を威嚇した。

 

『銀ねえがいない今私がマスターを守る!』

 

 そこで青子が過剰反応をして青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の姿で勝手に実体化した。

 

「青子、こんな所で実体化したら騒ぎになるだろ!」

『大丈夫、ここは現代じゃないから』

 

 勝手に実体化した青子を嗜めると青子はそう答えた。ここは現代じゃない?つまり過去ということなのか?

 

 私がそう考え込んでいるといつの間にか護人(もりと)を含めてこの場にいた者全員が土下座をしていた。

 

「申し訳ございません、白き龍を従えし勇者様」

 

 土下座をしながら護人(もりと)がそう言った。

 

「ひょっとしてブルーアイズを従えていれば勇者なのか?」

「それは私から説明させていただきます」

 

 いつの間にか髭を生やしたおじさんがやって来てそう言った。後ろにはソウと若い男がいる。

 

「申し送れました。私は青き眼の一族の祭司を勤めさせているものです。後ろに控えているのは巫女と賢士です」

 

 ソウは巫女だったのか。それで気を失っていた私の世話をしていたと。

 

「ここではなんですので中へどうぞ」

 

 そう言われて私は寝かされていた家に戻って話を聞く事になった。

 

 そして祭司から聞かされた話を要約すると。ここの人たちは(バー)を使って魔物(カー)を使役して生活を成り立たせていた。しかしある部族が肉体を捨てて自分の精神と魂を魔物(カー)と一体化させる禁術を編み出した。

 

 そしてより強力な魔物(カー)を求めて他の部族を侵略し始めたのだという。

 

「我々と有効関係に有った殆どの部族は全滅し我々も戦える者はここにいる者だけ。ですが遠き地に我々と同じ魔物(カー)を扱えるものがいると聞きました。それで一か八か魔物(カー)の力を使ってこの場に呼び出す儀式を行ったのです」

「それで呼び出されたのが私だと」

「呼び出される所は見ておりませんが儀式を行った霊堂で倒れていたので勇者さまだと。それに我々の守護龍である白き龍を従えておられたので間違いないかと」

「そう言われても戦う事は…出来るな。やるしかないか」

 

 そうしないと元の世界に帰れそうに無い。それに青子とSin子がいればたいていのモンスターは倒せる。倒したモンスターはペガサス会長から貰った白紙のカードに封印すればいい。問題が有るとすれば青子とSin子だけで戦えるかと言うことだ。他のモンスターや魔法、罠カードが使えないと厳しい。

 

「それでしたら龍の霊廟に行くのがよろしいかと」

「龍の霊廟?」

 

 私が持っている魔法カード『竜の霊廟』とよく似た名前だ。

 

「そこにはドラゴン族の魔物(カー)が大量に封印されています。勇者様の持つ札に移し変える事が出来れば勇者様の力になる事でしょう」

 

 祭司がそう言うと後ろに控えていた賢士が持っていた箱から盾を取り出した。この盾は石碑に書かれていた青き眼の盾とよく似ている。

 

「我等の祖先がアトランティスの時代より受け継ぎし魔物(カー)を操るための道具です。残念ながら使い方までは分かりませんが勇者様ならきっと使いこなせると信じております」

 

 ここの人たちはアトタンティスの関係者だったのか。でもまあダーツとは係わり合いが無さそうなので気にしないでおこう。それにしてもこの盾、腕に着ける事が出来るけれども一体どうやって使うのだろう?

 

「それと、霊廟には巫女が案内します。本当なら護人(もりと)達も付けたかったのですがここを守る戦力を残さないといけないので…」

「よろしくお願いします。勇者様」

 

 ソウがそう言って微笑んだ。それにしてもこの子は本当に蒼銀の人間形態に似ているな。

 

「じゃあ、急ぐとしよう。青子頼めるか?」

『任せてマスター』

 

 私は青子を実体化させるとその背に乗り、ソウに手を貸して後ろに乗せた。

 

「すごい!高い!」

 

 青子の背に乗ってソウははしゃいでいる。こういったしぐさも蒼銀そっくりだ。蒼銀が封印されている事と何か関係があるのだろうか?

 

『待て1ここから先には行かせない』

『我等霊廟の守護者。魔物(カー)を操る者よ止まりなさい』

 

 そしてもう少しで霊廟が見える所で目の前に2体のドラゴンが現れた。

 

混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)、それにもう一体は石碑に描かれていた雷を纏った龍」

『私の名前はサンダー・エンド・ドラゴンだ』

 

 混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)だけ名前を呼ばれたのが気に食わなかったのかサンダ・エンドは自ら名前を名乗った。

 

『とにかく何人たりともここを通すわけには行かない』

 

 臨戦態勢で混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)は私達を威嚇した。

 

「青子、地上に降りろ」

『了解』

 

 話し合うにしと戦うにしろ上空では不利なので私は地上に降りた。

 

「勇者さま、あの2体はどちらも白き龍と同じだけの戦闘力を持っています。戦えば相打ちになるでしょう」

 

 混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)だけではなくサンダー・エンドも攻撃力は3000なのか。

 

「Sin子来てくれ」

『ふふふ、私の出番ね』

 

 使い始めて分かった事だがSin子は適切に使えば言うことを聞くチョロイ子だった。

 

「これで攻撃力3000は2体同士、相打ちには持ち込めるけど…」

 

 そんな事をしたら反動であの世行きなのは確実だ。

 

「待って下さい!私です青き眼の巫女です。お2人は霊廟の護人(もりと)役ですよね。どうしてこんな姿に…」

 

 どうしようかと悩んでいるとソウが取り成してくれようとした。

 

『久しぶりですね巫女よ』

『残念ながら龍の霊廟は奴等に襲われて殆どのものは討ち取られた』

『僅かな生き残りが霊廟を守るために魔物(カー)と一体化したのです』 

『青き眼の一族の事情は聞かされている』

『ですが私達が認めるかどうかは別の話です』

『龍の霊廟に行きたければ我等を倒して力を見せてみろ』

 

 結局戦わないといけないのか。でもどうすれば。せめて魔法カードが使えれば…

 

『マスター!石碑の事を思い出して』

「青子?」

『あの石碑には2つの頭を持つブルーアイズが描かれていたの』

『つまり私達2体での融合体が存在するという事』 

「そうかもしれない、でも融合が無いと融合はできない」

『諦めちゃ駄目だよ』

 

 魔法カードが使えない事で諦めていると青子が励ましてきた。

 

『死にかけていた私を助けてくれた。銀ねえと一緒に頑張ってきた。Sinちゃんが仲間になってこれからもっと仲間が増えていく。その未来の為に戦わないと!』

『私はマスターの事が嫌いでした。でも弟にカードを渡して一緒にデュエルを楽しもうとした優しい人だと言うことは分かっていました。これから私達とデュエルを楽しむために今を進まないと』

『私達は何の効果も持たない通常モンスター』

『でもその先にも可能性は有る!』

 

 2人がそう言うと白紙のカードの1枚が輝きだした。そして白紙のカードは1枚の融合モンスターのカードに変化していた。

 

青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)

 

 テキストにはフィールド上の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)2体を墓地に送った場合特殊召喚できると書かれていた。そして攻撃力3000で戦闘では破壊されない能力と一度のバトルフェイズで2体のモンスターに攻撃が可能という能力を持っていた。

 

『Sinちゃん』

『青子ちゃん』

『『融合(フュージョン)!』』

 

 2人は融合無しで融合を果たしここに青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)が召喚された。

 

「バトル!『青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)』で『混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)終焉(しゅうえん)使者(ししゃ)-』を攻撃!」

 

 ツイン・バーストと混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)の攻撃力は同じだったが自身の効果でツイン・バーストは生き残った。

 

「つづいて『サンダー・エンド・ドラゴン』に攻撃!」

 

 つづいてサンダー・エンドにも攻撃をして同様にツイン・バーストが生き残った。

 

『見事!』

『その力を認めて私達も力を貸しましょう!』

 

 こうして私の力を認めた混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)とサンダー・エンドはそう言って白紙のカードに宿ったのだった。

 

「やりましたね!勇者様!」

「いや、全部青子とSin子のおかげだ。それとキリノだ」

「?」

 

 勇者様と呼ばれ続けられて名前をまだ教えていないことをこの時ようやく気づいた。だから名前を教えた。

 

「私の名前だ。これからはそう呼んでほしい」

「はい、分かりましたキリノさま!」

 

 そう言って笑うソウの事を青子が不安げに見ている事にこの時の私は気づかなかった。

 

 

 

 

 

 オマケ NG集

 

 

『Sinちゃん』

『青子ちゃん』

『『フューーー・ジョン!』』

「待て!それは作品が違うだろ」

 

 距離を取って左右対称に踊りだしたので私はそう言った。しかし2人はそのままモーションを続けて指を合わせるところで頭をぶつけた。

 

「うん、手が短くて頭が大きいとそうなるわな…」




 本当はもっと早く更新する予定でしたが、オリキャラで長老のおばあさんをを考えていたら『青き眼の司祭』の情報が出たのでカードが販売されて情報が出揃うまでは書くのを中断していました。結局前情報のカードしかブルーアイズ関連のカードは有りませんでしたが。

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