遊戯王 デュエリストのお兄さん 蒼銀の導き   作:ひろやん(すぴ出身)

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第3話 反逆の黒き竜

 ツインバーストに倒された混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)とサンダー・エンドは消滅せずに残っていた。ただ体が不安定な状態になっているようだ。

 

『勇者としての力見せて貰いました』

『我々は力の回復のため霊廟に祀られている石版に戻り休ませて貰う』

 

 私の力を認めてくれた2体はそう言うと消えて行った。私はツインバーストを青子とSin子に戻すと歩いて霊廟に向かう事になった。(バー)を使いすぎて青子を実体化できそうに無かったからだ。

 

 空を飛んでの移動は不可能になったがソウが言うには霊廟までのんびりと歩いて半日ということだったので休みながらのんびりと行く事にした。

 

 しかしその半日で事態は大きく変わってしまった。半日後、霊廟に着くと霊廟はモンスターの襲撃を受けていたのだ。

 

幻影騎士団(ファントム・ナイツ)…」

幻影騎士団(ファントム・ナイツ)?」

「あいつ等と戦っていた騎士団の1つです。霊廟を襲っているのは彼らの魔物(カー)に間違いありません。でもどうして幻影騎士団(ファントム・ナイツ)魔物(カー)が…」

「それは僕が魔物(カー)を操っているからさ」

 

 ソウが霊廟を襲っているモンスターの事を説明していると1人の少年がモンスター達を従えて現れた。

 

「あなたは…たしか幻影騎士団(ファントム・ナイツ)の…、名前は何でしたっけ」

 

 ソウが少年の名前を思いだせずにいると少年は怒りの表情を浮かべた。

 

「そうだね、どうせ魔物(カー)を持たない僕の事なんか誰もおぼえてはいないんだ。でもいいよ、人間だった時の名前なんて僕にはもう意味が無いもの」

 

 少年はそう言うと一言『やれ』と言った。その命令に反応して少年の隣に控えていた首無しの騎士が先の折れた大剣を私に向けて振り下ろしてきた。

 

 私はそれを盾で受け止めてると勢いを殺すために後ろに吹き飛ばされた。

 

「キリノさま」

「大丈夫、怪我は無い…」

 

 うまく吹き飛ばされたので怪我は無かった。しかし受け止めた盾の一部が破損して崩れ落ちた。そして崩れ落ちたパーツの下からデッキをセットするのにちょうど良さそうな穴が開いている事に気づいた。

 

「まさかな…」

 

 私はもしかしてと思いデッキをセットした。すると盾に生命力を吸われるような感じがした。

 

「キリノさま、逃げて!」

 

 立ちくらみに近い状態に陥っているとソウの声が聞こえた。いつの間にか首無しの騎士が目の前に来て剣を振り下ろそうとしていた。私は思わず盾を掲げて身を守ろうとした。すると盾が輝き首無しの騎士を吹き飛ばした。

 

 そして盾からいくつものパーツが剥がれ落ちた。そして現れたのは形こと遊戯達のものとは違うが違うがデュエルだった。デュエルディスクはディスプレイにライフ4000を表示させるとデュエルモードに展開した。

 

「これはいけるか。手札から『アレキサンドライドラゴン』を通常召喚!」

 

 私はシャッフルされたデッキから手札を取ると手札にあったアレキサンドライドラゴンを召喚した。すると(バー)を消耗せずに魔物(カー)では無いアレキサンドライドラゴンを呼び出すことに成功した。

 

「『禁じられた聖杯』で『アレキサンドライドラゴン』の攻撃力をアップ。行け『アレキサンドライドラゴン』!あの首なしの騎士に攻撃だ!」

 

 禁じられた聖杯の効果でアレキサンドライドラゴンの攻撃力はアップした。魔法カードも使えるようだ。そして攻撃力が上がったアレキサンドライドラゴンは首無しの騎士を撃破した。

 

「へえ、(バー)を使って魔物(カー)では無い魔物(カー)を実体化させるだなんて、勇者と呼ばれることだけはあるね。でもこの程度じゃ僕には勝てないよ」

 

 少年はそう言うと霊廟の奥から1枚の石版をモンスターに運ばせてきた。

 

「オーバーレイ」

 

 少年が石版に向かってそう言うと、近くにいたモンスター2体が光の玉になって石版に吸い込まれた。そして石版の中から黒いドラゴンが出現した。ドラゴンの周りには吸い込まれた光の珠が2個周っている。おそらくエクシーズモンスターなのだろう。

 

「召喚、『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』。さあダーク・リベリオンよ、僕と1つになるんだ」

「待て!やめるんだ!」

 

 私は少年が何をしようとしているのか理解して止めようとした。しかし私の制止は間に合わず少年はダーク・リベリオンに飲み込まれた。私に出来たのはソウにその光景を見せないためにソウの視界を防ぐ事だけだった。

 

『あはははは!これで僕は最強だ!『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の効果を発動!オーバレイ・ユニットを2つ使い『アレキサンドライドラゴン』の攻撃力を半分にする。そしてその数値分の攻撃力を『僕』に加える』

 

 少年…、いやダーク・リベリオンは攻撃力を上げるとアレキサンドライドラゴンに攻撃して戦闘破壊した。その時に受けたダメージが2500だったので今のダーク・リベリオンの攻撃力はアレキサンドライドラゴンの攻撃力2000÷2=1000から計算して3500になる。

 

『ああ、今の僕は白き龍の力を超えた。もう誰も僕には勝てない』

 

 そう言って高笑いするダーク・リベリオンの事を私は哀れに思った。

 

「おまえ、その姿で一生生きていく気か?もう誰の手も握る事も抱きしめる事も出来ないんだぞ?」

『ああ、そんな事をしたいと思える奴なんていないよ。皆僕の前に跪けばいいんだ!』

 

 そう言うダーク・リベリオンの事を私は許せなかった。ドラゴンのモンスターである蒼銀は私と触れ合いたいから人の姿を取っていた。でも本当の人間では無い事を気にしていた。私には気づかれないように気をつけていたみたいだが私はその事に気づいていたのだ。

 

「分かった、私はお前の過去も事情も知らない。ただ敵として倒す。ドロー!魔法カード『ドラゴン・目覚の旋律』を発動。コストにした『伝説の白石』の効果も合わせてデッキから3枚の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』を手札に加える」

『だから白き龍では僕に勝てないんだって』

 

 ダーク・リベリオンがそんな事を言っていたが私は無視した。

 

「魔法カード『融合』を発動、手札の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』3体を融合させて融合召喚!『青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)』」

 

 アルティメットの攻撃力は4500。攻撃力3500のダーク・リベリオンとの力の差は歴然だった。そして『オーバーレイ・ユニット』を使い切ってしまったダーク・リベリオンに、カードを使う人間からただのモンスターになった少年に逆転の余地は無かった。

 

『あ、あ、あ…』

「1体のモンスターで最強など存在しない」

 

 力の差を感じて怖気づくダーク・リベリオンに私は言った。

 

『何なんだよ!何なんだよお前は』

「カードを駆使してモンスターを操り勝利する。私はデュエリストだ」

 

 私がきめぜりふを言うとソウがキラキラとした目で私を見ていた。知り合いがいないからちょっと格好を付けてみた。

 

「さあ、大人しく降伏しろ」

 

 私がそう言った時だった。

 

『俺はスケール3の『相克の魔術師』とスケール8の『相生の魔術師』でペンデュラム・スケールをセッティング』

 

 何処からとも無く声が聞こえ、上空に男女の魔術師が空に浮かんでいた。

 

『『ペンデュラム・ターン』で『相生の魔術師』のPスケールを10にしてペンデュラム召喚』

 

 その声と共に2人の魔術師との間にゲートのようなものが開かれ左右の眼の色が違う翼の無いドラゴンが登場した。

 

「オットアイズ・ペンデュラム・ドラゴン、連中の…、ペンデュラムのボスです」

 

 ソウが現れたドラゴンを指してそう言った。アレが敵のボス。ペンデュラム召喚を使う存在。

 

『た、助けてください、ペンデュラム様!』

 

 ダーク・リベリオンはオットアイズに助けを求めた。しかしオットアイズはそれを無視した。

 

『相克の魔術師』と『相生の魔術師』のP効果で『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』のレベルを7にする。そして俺とオーバーレイ・ネットワークを構築』

『ぎゃあぁぁぁ!や、やめてください!』

 

 ダーク・リベリオンは助けを求めながら光の玉になって行った。そして同じく光の玉になったオットアイズと1つになり1体のドラゴンになった。

 

『俺は覇王!『覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン』だ!』

 

 そう名乗りを上げるとオッドアイズは翼から雷を出して残された幻影騎士団(ファントム・ナイツ)のモンスター達を破壊して言った。さらにその雷はソウも襲おうとしていた。

 

「魔法カード『禁じられた聖衣』」

 

 私はとっさに禁じられた聖衣を発動してソウを破壊の雷から守った。ちなみに私はデュエリスト扱いなのか盾が雷から守ってくれたので平気だった。そしてもう1体、アルティメットも雷を受けても平気だった。

 

『さすがにレベルが高い魔物(カー)の破壊は無理か。だが目的は果たした』

 

 オットアイズがそう言うと霊廟から飛行系のモンスター達が4枚の石版を運び去ろうとしていた。

 

『『巌征竜-レドックス』、『瀑征竜-タイダル』、『焔征竜-ブラスター』、『嵐征竜-テンペスト』。地水火風の4大征竜は頂いていくぞ』

「待て!そうはさせるか!」

『今の俺はそのドラゴンに勝てそうには無い。だがより強き力を手に入れ全てを俺のものにして見せよう』

 

 そう言うとオッドアイズは石版と共にPスケールに入って去って行ったのだった。

 

「そうだ!霊廟の人たちを助けないと」

 

 オッドアイズに逃げられた悔しさをかみ締めているとソウがそう言い出した。確かに生存者を助けないといけない。

 

『無駄じゃよ!皆やつらに殺されてしまった』

 

 そう私達に話しかけきたのは竜人の姿をした老人だった。


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