遊戯王 デュエリストのお兄さん 蒼銀の導き   作:ひろやん(すぴ出身)

25 / 31
第5話 別れと出会いと

 シャイニート・マジシャンことノエルを保護した私は青き眼の一族の所に戻る事にした。ノエルは人見知りの激しくてコミュニケーションを取るのが難しかったが、一族の所に戻る頃には普通に会話が出来るようになっていた。その結果どうなったかというと…

 

「キリノ様から離れてください」

「イヤです」

 

 青き眼の巫女(ソウ)シャイニート・マジシャン(ノエル)が私を挟んでにらみ合う事になってしまった。羨ましいと思う人もいるだろうが私の年齢は20代半ばだ。中、高校生位の年齢の女の子の取り合いに挟まれても疲れるだけである。

 

「キリノ、祭司様が呼んでいるぞ」

「分かった、そういう訳だから私はこれで」

「キリノ様!」

「キリノさん、私も行きます」

 

 護人から祭司が呼んでいると言われたので逃げ出すのだった。

 

「結論を先に言います。我々はこの地を捨てて逃げる事にしました」

「な!」

 

 司祭の話をまとめるとこうなる。私がエンデュミオンに行っている間に真紅目谷に使者を送ったところ、真紅目谷は壊滅していて不死竜しか居なかったそうだ。もっとも強力な白き竜をもつ青き眼の一族が最後になった訳だが、一族だけではペンデュラムに対抗できないと判断して逃げる事を決めたそうだ。

 

「それじゃあミアちゃんは…エンデュミオンの皆はどうなるんですか!」

 

 その決断にノエルは叫んだ。

 

「残念ながら今の私達には助けるだけの力は無いのです。勇者様も元の世界にお帰しします」

「いや、私は残って戦う」

 

 私がそう言うと皆驚いて私を見た。

 

「別に勇者としての使命感を持って言っている訳では無いですよ。私にとってペンデュラムを野良ばらせては都合が悪いだけですから」

 

 ここが過去の世界ならペンデュラムを止めないといけない。蒼銀がソウの精霊(ルー)なら黒く塗りつぶされた蒼銀のカードは過去を変えられるかもしれないという証だと思うからだ。

 

「私も一緒に行きます!私がミアちゃんを助けないといけないの!」

「わかった、協力して欲しい」

 

 ノエルが一緒に行くと言ったので私は受け入れた。

 

「じゃあ、私も一緒に行きます!」

「駄目だ」

 

 続いてソウも一緒に行くと言い出したのできっぱりと拒否した。

 

「どうしてですか!」

「ノエルは家族や友達が連れ去られて、居場所を取り戻す為に一緒に行くんだよ。でもソウの居場所は青き眼の一族でしょ?」

「キリノさまのバカー!」

 

 そう言って諭そうとするとソウは泣きながら走り去って行った。

 

「朴念仁」

「どんかん」

「あの子可哀想」

「慰めてくるね」

 

 周りから散々言われ、最後に実体化した青子が追いかけていった。一体私にどうしろと?

 

「若い男性教師が無自覚に生徒を落としたって感じ?」

「ノエル、的確な表現ありがとう。でも傷付くからやめてね」

「ごめんなさい」

 

 ノエルは少し前まで学生だったからそんな表現をしたのだろうけれども、本当に子供に手を出したらアウトだからやめて欲しい。

 

「一応ソウは16歳で成人していますけど」

「あ、私と同い年だ」

「うそ」

 

 と言う事は高校2年に進級した遊戯達と同じ年齢!?中学生くらいにしか見えないのに?子供だと思っていたからスキンシップを許していたのに…。カードの乙女とソウは完全に別人だな。

 

「じゃあこれ以上は大きくなれないんだ。可哀想」

「言わないであげてください」

 

 ノエル、正確は控えめなのに毒舌なんだな…

 

「話を戻しますが、勇者様が残って戦うというのなら託したいものがあります。まず我々の(バー)の力を勇者様のカードに込めます。これで我々の写し身を魔物(カー)として呼ぶことが出来るでしょう。そして霊堂に祀られている白き竜達も連れて行ってください。この地を捨てる我等にはもう彼らと共に資格は無いのですから…」

 

 司祭にそう進められて私は多くのカードを手に入れてデッキを強化した。その間に青き眼の一族は遠くへ逃げる準備を行い。ノエルは錬金術で役に立つ道具や薬を製作していた。

 

 そしてその間ソウが私の前に現れる事は無かったのだった。そして全ての準備が終わり、青き眼の一族は旅立って行った。キサラの事を考えるとおそらくこの流れを変える事は出来ないのだろう。でもソウの運命は変えられたはずだ。

 

「じゃあ以降か」

「はい」

 

 青き眼の一族を見送った後私とノエルはペンデュラムの拠点を目指して旅立とうとした。しかし…

 

「そう言えば連中の拠点は何処だっけ?」

「え?私は知りませんけど」

「…」

「…」

 

 一歩目でつまずいた。

 

「追いかけて話を聞くしかないか」

「恥ずかしいですけどそれしかないですよね」

 

 情けないけれども青き眼の一族を追いかけようとすると、誰かの助けを求める声が聞こえてきた。

 

「いやー!助けてください!」

「あれは!鎧を着けたオッドアイアズ?」

「背中にいるのは魔法使いらしい少女?」

 

 ドラゴンは背中に少女を乗せて爆走している。背中の少女は振り落とされないようにドラゴンにしがみ付いているように見える。

 

 オッドアイズが少女を誘拐しているのか?テレビだとこういう場合しがみ付かずに手を離せばいいと思う人もいるのだろうが、普通は怖くて手を放すことは出来ない。それをいい事に誘拐犯は爆走して遠くへ行くのだ。もっとも目立つのですぐにばれるのだけれども。(あと掴んだまま爆走すると振りほどこうとして暴れたあげく放り出された所をヒーローがチャッチというパターンもある)

 

「大変!助けないと」

 

 ノエルがそう言うと同時に青子が青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の姿で実体化してドラゴンに向かって突撃した。そしてドラゴンの横っ腹に頭突きを食らわせると衝撃で放り出された少女を起用に受け止めた。

 

「ふふ!ロリコンは死ね!」

 

 そして何時の間にが実体化していたSin子が止めを刺そうと体制を崩した衝撃で頭からダイブしたドラゴンに近づいて行った。

 

「待って下さい。違うんです、誤解です」

 

 青子に助けられた少女がそう叫んだのでSin子は攻撃を止めた。

 

「キリノさん、何かが来るよ」

「ん?オッドアアイズ似のドラゴンが2体?」

 

 ノエルが指した方向を見るとオッドアイズの進化系みたいなドラゴンが2体走りながらやってきた。

 

「あいつらが敵です!追っ手です!」

 

 少女がそう言うので青子とSin子は合体して青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)になった。そして

 

「くく我が魔眼より逃れるものはいない。我が名はルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」

「俺はビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン。そいつ等を渡してもらおうか」

 

 中二病ぽいドラゴンと野性味あふれるドラゴンはそう名乗った。しかし

 

「「ツイン・バースト・ストリーム!!」」

「「きゃぁぁぁぁ!!!」」

 

 名乗った直後に青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)の2回攻撃を受けて敗れ去ったのだった。

 

「助けていただいて感謝する」

 

 2体のドラゴンを倒したのを見ていつの間にか起き上がっていた鎧を着けたオッドアイズがそう言った。この声女なのか?

 

「女の子だったんだ。鎧を来ていたから分からなかった」

 

 ツインバースト(青子とSin子)がそう言ったので間違いなく女の子だ。

 

「我が名はオッドアイズ・セイバー・ドラゴン。問おう貴方が私のマスターとなる人か?」

「いや、違うけど」

 

 見た所、光属性のドラゴンのようがだレベルが7だし私のデッキとの相性は良く無さそうだ。ところでこいつのキャラの元ネタは…

 

「そうか、では後もう1つ。お腹がすいたので何か食べ物を分けて欲しい」

「腹ペコさんまで真似するな!」

 

 思わずそう叫んでしまったのだった。

 

 

 

 

 どうでもいい補足

 

 オッドアイズ・セイバー・ドラゴン オッドアイズの中で正義の心を持ち叛旗を翻したドラゴン。人間だった時は騎士の格好をした男装の少女でそのまんまフェ○トのセ○バーである。

 

 ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 魔術を使えそうで仕えないドラゴン。人間だった時はゴスロリの眼帯を着けた中二病少女。恋をしてたりしてなかったりとか

 

 ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 言葉遣いは男だけれども言動はまともなお姉さん。人間だった時は筋肉ムキムキで日焼けして色黒の肌を持つバーサーカーのような姿をしていた。

 

 この後ルーンアイズとビーストアイズはカードに封印されて回収されました。今後の番外編で出てくる予定。




ずっとやりたかったセイバーネタ。オッドアイズ・セイバー・ドラゴンでセイバーネタをやった人って他にいるのかな?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。