遊戯王 デュエリストのお兄さん 蒼銀の導き 作:ひろやん(すぴ出身)
力を求めてモンスターになったものの覇王黒竜のやり方に嫌気が差して逃げてきたというセイバーの案内で私達はペンデュラムの本拠地である城にやってきた。しかし城には門番が居らず人の気配が無かった。
「おかしい。警備が手薄どころか誰もいないだなんて」
「もしかして罠か?」
「誰に対するだ?」
確かに、もうこの地にペンデュラムの敵はいない。
「もしかして青き眼の一族の追撃に出てしまったとか」
「いや、それだと途中で私達とすれ違っているはずだ」
「考えられるとしたら私達が逃げ出したから本拠地を変えたとかも知れないが…、そんな時間は無いはず」
セイバーが私達を騙したかも知れないとも考えたのだがそれは違うなと考え直した。セイバーはそういう事をするような正確には思えなかったからだ。
「中に入って確かめてみるか」
「だったらいいものが有ります」
このままじっとしていても仕方が無いので中に入って様子を見ようとするとノエルが荷物から何かを取り出して組み立てた。組みあがったそれはダンボール箱だった。
「私が外出する時に使っているステルスボックスです。厚紙を組み合わせて作ったので軽くて丈夫。これに入って隠れれば誰にも見つからないんです」
ドヤ顔でそういうノエルを見て私はどうコメントすればいいのか分からなかった。せっかくの技術をそんな事に使うなと言うべきか、何でダンボールというべきか…
「分かったじゃあちょっと様子を見てくるから貸して欲しい」
「え、私も一緒に行きますよ」
信用できないセイバーと残りたくは無いのだろう。ノエルは一緒に行くと言った。しかしダンボール箱は1つしかなかった。
「大丈夫ですよ、荷物を置いて身軽な状態で身を寄せ合えば2人でも入れます」
いいのかそれで。私と体を密着させる事になるんだぞ。ノエルは自分の発明品を自慢したくてその事に気づいていないだろ。
その事を言おうとしたら突然殺気を感じた。しかし見回しても誰もいなかった。
「さあ、行きましょう」
周りの様子を覗った所為でノエルに突っ込むタイミングを逃してしまった。そしていつの間にかノエルは城から見える位置に来ていた。もうこうなったら行くしかあるまい。私はセイバーと魔術師の少女を残してノエルと城に侵入した。
結論を言うとダンボール箱を使う機会は無かった。城の中には1人しかいなかった。そう覇王黒竜しか…
覇王黒竜は
「意外と早かったな。こちらはデッキが完成したばかりだと言うのに」
「デッキ?」
私がそう言うと覇王黒竜はカードの束を私達に見せつけた。それは間違いなくデュエルモンスターズのカードデッキだった。
「お前が使っているのを見て真似させてもらった。ちょうど部下達をカードに封印してデッキを組み上げた所だ。もう少し時間が有れば他の連中もカードに出来たのだがな」
つまり覇王黒竜は部下を仲間をカードに封じ込めてしまったのだ。
「さて俺を倒しに来たのだろ。ならばちょうどいいデュエルとやらで勝負してやろう」
「その前にミアちゃんを、エンディミオンの仲間を帰して」
覇王黒竜がデュエルを持ちかけるとノエルが前に出てそう言った。
「エンディミオン?そこら辺の石版の中に居るのだろう。後でカードに移してた後一緒にしまってやるから先にカードになっていろ」
覇王黒竜はそう言うとノエルに向けて光をはなった。そして私が割って入る間もなくノエルの体から人の形をした
私は覇王黒竜に奪われる前にカードを手にした。カードにはシャイニート・マジシャンという名前のエクシーズモンスターが描かれていた。
「貴様、絶対に許さない!」
「邪魔者は消えた。さあデュエルを始めよう!先攻は貰うぞ。私のターン。私はスケール8の『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』とスケール1の『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』でペンデュラムスケールをセッティング!これでレベル2から7までのモンスターが同時に召喚可能。そして『EMドクロバット・ジョーカー』を通常召喚。通常召喚に成功したことで効果を発動。デッキから『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』を手札に加える。フィールド魔法『天空の虹彩』。そして効果を発動。『EMドクロバット・ジョーカー』を破壊して手札から『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』を手札に加える。そしてペンデュラム召喚。手札の『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』(攻撃力2500)、『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』(攻撃力2500)、エクストラデッキの『EMドクロバット・ジョーカー』(攻撃力1800)を攻撃表示で特殊召喚。カードを1枚伏せてターンエンド」
覇王黒竜 ライフ 4000 手札0 伏せカード1枚
「私のターン。ドロー!」
初めてだな、楽しむためのデュエルではなく相手を叩き伏せるためのデュエルは。
「手札から『青き眼の護人』(攻撃力800)を通常召喚。通常召喚に成功したことで効果を発動。手札から『青き眼の乙女』を特殊召喚。『青き眼の乙女』を対象に『青き眼の護人』の効果を発動。これにチェーンして『青き眼の乙女』の効果を発動させる。デッキから『
ツインバーストは1回のバトルファイズで2体のモンスターに攻撃できるモンスター。これで2体のオッドアイズは戦闘破壊され500のダメージ×2の1000のダメージを与えられる。
覇王黒竜 ライフ 4000 - 1000 = 3000
「そして『白き霊龍』(攻撃力2500)で『EMドクロバット・ジョーカー』(攻撃力1800)を攻撃。最後に『青き眼の護人』(攻撃力800)でダイレクトアタック」
覇王黒竜 ライフ 3000 - 700 - 800 = 1500
「メインフェイズ2に入る。レベル8の『白き霊龍』にレベル1の『青き眼の護人』をチューニング!シンクロ召喚!レベル9『
キリノ ライフ4000 手札1 伏せカード0
これで私優勢だ。怖いのはレベル4のEMドクロバット・ジョーカーがペンデュラム召喚されて手札からレベル4を通常召喚される事。これでダーク・リベリオンを呼ばれて効果を使われるととやっかいだがツインバーストは戦闘破壊されないし受けるダメージは2500で耐えられる。それにツインバーストと戦闘をすれば生き残ってもゲームから除外されるから問題ない。
一番いいのはスピリット・ドラゴンの効果で蒼眼の銀龍を特殊召喚すれば対象を取れなくなるので無傷でやり過ごせる。しかし蒼銀のカードは黒く塗りつぶされたままだ。
そう考えていると覇王黒竜はEMドクロバット・ジョーカーとレベル4のEMボットアイズ・リザードをフィールドに揃えていた。
「ダークリベリオンを呼んでも耐えられると考えているのだろう」
覇王黒竜は不適に笑いながらそう言った。
「残念だったな。俺の『ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン』はレベル5以上のモンスターにしか効果の対象に出来ず、ターン終了時に効果は切れるがエクシーズ素材の消費は1つで同一ターンでの回数制限は無い。つまり『
それを防ぐには蒼眼の銀龍を呼ぶしかない。でも私のエクストラデッキの蒼眼の銀龍は…
「私の力が必要なんですね」
私と覇王黒竜しかいないはずのこの場に少女の声が響いた。
「私の
いつの間にかダンボール箱を被ったソウが私の隣に立っていた。
どうでもいい補足2
どじっこ魔術師、調律ちゃん
セイバーにつれられて逃げてきた少女。『少女』と書いた前の話を書いた後に調律の魔術師は実は性別不明と知ったけれどもこのまま『少女』で押し通す。
味方のライフを回復させて敵のライフにダメージを与えるはずがどじっこなので逆の効果になってしまう。この戦いの後カードに封印されて異次元に飛ばされてしまう。そこで天から舞い降りて1人の少年の手に…。
キャラ付けを考えたものの展開を飛ばしたので細かい出番が無かった少女。