遊戯王 デュエリストのお兄さん 蒼銀の導き   作:ひろやん(すぴ出身)

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第3話 逆襲のブルーアイズ

 海馬を更生するためにペガサス会長は海馬コーポレーションを傘下に収める事にした。ペガサス会長は海馬を社長の重圧から解放してそこから教育をしなおすつもりのようだ。それで海馬コーポレーションを乗っ取ろうとするのはソリッドビジョンシステムをビッグ5に任せるのは不安なのだろう。インダストリアル・イリュージョン社の利益も考えないといけないのだろうし。

 

 その為の第一歩としてペガサス会長は海馬が青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のカードを破いた事を知って激怒していると噂を流した。ただでさえ遊戯に負けて信用が落ちているのに自身の過失で取引先の会長を激怒させたという噂が流れれば信用はさらに落ちるだろう。そこから株の買収を始めるつもりのようだ。

 

 それで今私が何をしているのかと言うと、開ける事が出来ないパックを睨みっこをしていた。

 

 別に遊んでいるわけではない。月光くんたちが海馬コーポレーション乗っ取りで忙しいからエキスパートルールの作成を一時中断しているだけだ。そしてこれはペガサス会長から言い渡された任務でもある。

 

 現在シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムのカードはインダストリアル・イリュージョン社では作られていない。作りたくてもサンプルが無いから無理と言ってもいいだろう。

 

 シンクロは蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)が有るのでなんとか解析できた。予定では年内には試作1号が完成する見通しだ。

 

 けれどもエクシーズはサンプルがない。だからこそエクシーズが入っているだろうパックを開けてエクシーズのカードを手に入れなければならないのだが…

 

「開けられないんだよな~」

 

 ペガサス会長が開けれなかったのは元の持ち主ではないと思っていたのに、購入した私でも開ける事ができない。手でも開けれないし刃物の刃が入らないのだ。

 

「ここにいましたか」

「ペガサス会長」

 

 パックを開けれずに困っているとペガサス会長がやってきた。

 

「申し訳ありません。いまだにパックを開ける事が出来ない状況です」

「シンクロだけでも大きな革命になるでしょう~。エクシーズは焦らなくても大丈夫デ~ス。実はキリノに渡したい物がありマ~ス」

 

 そう言ってペガサス会長は私をインダストリアル・イリュージョン社本社ビルの地下に連れて来た。

 

「ここには封印されたカードが眠っていマ~ス」

「封印されたカ~ド?」

「たいそうな物ではありまセ~ン。エラーカードと呼ばれる印刷ミスをしたカードデ~ス。実は未完成品という事で世に出さなかった青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のエラーカードがあるのデ~ス」

 

 そう言うとペガサス会長は資料庫をいう部屋のロックを外して中に招き入れた。資料庫と銘打って入るが中は金庫室みたいだ。

 

「これデ~ス」

 

 そう言って渡されたのはカード名こそ青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)と書かれてはいるがイラストは4色の棒のみのカードだった。

 

「本来こういったエラーカードもルール上は正規のカードとして使う事ができマ~ス。しかしこのカードはソリッドビジョンシステムには反応しないでしょう」

 

 そう言うとペガサス会長は済まなさそうな顔をした。

 

「本当なら新たに青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のカードを作り出して渡したいところデ~ス。ですが作ろうとしても皆こうなってしまうのデ~ス。私に出来るのはキリノの持っていた青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を本物と認めることと、このソリッドビジョンシステムでは使えないカードを渡すことだけデ~ス」

 

 それだけでも十分にありがたい。行き場の無い私に居場所を与えてくれてここまで気を使ってくれる。感謝こそすれ文句を言えるわけが無い。

 

 そう思い感謝の言葉を口にしようとすると、何処からか女の子の声が聞こえてきた。

 

『許さない…』

 

「?」

「ワッツ?」

 

『お前だけは許さない、許してなるものか!!!』

 

 その声と共にエラーカードの青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)が光だし私は昔のビジョンを見た。それは私が子供の時、遊戯王のカードを始めて買った時のことだった。

 

「そう、こっちがいいんだ。じゃあこのデッキはあげるよ」

 

 あの頃はカードを集めるよりも純粋にカードで遊びたかった。だから2個入りのデッキセットをかって青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)の方を弟に渡した。

 

「罠カード、落とし穴を発動。召喚された青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を破壊」

『いや~』

 

「ブラック・マジシャンでミノタウロスを攻撃。残された青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を地割れで破壊」

『また落ちるの~』

 

「リバース、人喰い虫(ひとくいむし)青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を破壊」

『いや~!虫いや~!』

 

「異次元の戦士で青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を攻撃。そして除外」

『やっと2人っきりになれたね』

『ぎゃ~!こんなのと2人っきりはやだ~』

 

「強奪で青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のコントロールを得る」

『やっと、やっと私の価値を理解してくれたのね』

「そして生贄に捧げてブラック・マジシャン・ガールを召喚」

『え?』

『うふん』

 

『もうやだ~!お家かえる!』

 

「…」

「キリノ…」

「いや、あの頃は攻撃力が高い青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)はカードの効果で処理するのが一般的だったので」

 

 同じビジョンを見ていたペガサス会長が名前を呼んだのでそう言い訳をした。あの頃はデッキを調整したら弟とデュエルしていたのであの青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)ともよく戦った。

 

『(ひそひそ)あの子人間界から逃げ帰ってきたんですってね』

『(ひそひそ)それも対戦相手からデュエルで酷い目にあわされたっていう理由で』

『(ひそひそ)やーね、おちこぼれよね』

 

「…」

 

『私を酷い目にあわせたのに、こんな目に会わせたのに。新しく青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)でデュエルだなんて許さない!許してなるものか!』

 

 そう言って私の目の前に青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)が現れた。その体はだんだんと黒くなっていった

 

『ああ力がみなぎってくる。今は私はSinの力を手に入れた。生まれ変わった私はSin青眼の白龍(シン ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)!』

『いいかげんにしなさい!』

 

 黒くなり私に襲い掛かろうとした青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)の頭に鎌が刺さった。

 

「カードを狩る死神?」

 

 いつの間にかもう一体カードの精霊が現れて青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を片手で締め上げた。

 

『どうもご迷惑をおかけしました。そのカードはお詫びです』

 

 そう言うとカードを狩る死神は青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を引きずって消えて行った。

 

「キリノ…」

「こんど青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)の精霊に会ったらやさしくします」

 

 その後エラーカードだった青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のエラーが無くなり他のカードと同じになった事に気づいた。しかし調査の為とペガサス会長に取り上げられてしまい、私の元に来るのはデュエルキングムの開催途中となる事を記して置く。


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