遊戯王 デュエリストのお兄さん 蒼銀の導き   作:ひろやん(すぴ出身)

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 今回はデュエルモンスターズとの関連は薄い話です。


第4話 デュエルとはまったく関係の無い話

 私はペガサス会長の使いで海馬コーポレーションを訪れた。

 

 現在の海馬コーポレーションの最重要取引先はインダストリアル・イリュージョン社である。ソリッドビジョンシステムもデュエルモンスターズあってのことであるし。(ほとんどブルーアイズランドといてもいい)海馬ランドもキャラクターの版権はインダストリアル・イリュージョン社が握っている。

 

インダストリアル・イリュージョン社が海馬コーポレージョンに対してデュエルモンスターズを使わせないと契約を打ち切ると海馬コーポレーションは事業の大半を活動停止に追いやれれてしまう。もっともその場合インダストリアル・イリュージョン社もソリッドビジョンシステムが使えなくなるのでそこまでは出来ないが。それでも今主導権を握っているのはインダストリアル・イリュージョン社である。

 

 そのインダストリアル・イリュージョン社の使いである私が契約の為に海馬コーポレージョンを訪れる。その情報は経済界の裏の情報網で出回った。何しろ契約の内容で海馬コーポレージョンの株の価値が変わるので契約の前に情報を手に入れようとして様々な刺客が私に送り込まれてきた。

 

 ざっと文庫本1冊分の冒険をデュエルとは関係ないところで終えて私はようやく海馬コーポレーションのビルの中に入る事ができた。

 

「始めまして。ビッグ1の大下幸之助(おおした こうのすけ)といいます」

「これはこれは、インダストリアル・イリュージョン社会長、ペガサス・J・クロフォードの名代で訪れました霧野優一といいます」

 

 無事にたどり着いた私はビッグ5の1人と面会した。それにしてもビッグ5は正式な役職だったのか。驚きである。

 

「では契約の最終確認をお願いします」

「その前に確認しますが、この場に大下氏しかいないということは現在の海馬コーポレーションの代表は大下氏であり、大下氏1人のサインは有効であると言う事でいいのでしょうか?」

 

 ビッグ5が1人しかいないという意外な展開なので念のために確認してみた。社長である海馬が心身喪失状態でサインできない以上、ビッグ5全員で動くと思っていたからだ。

 

「ええ、役員会は『現』社長の海馬瀬人の社長解任を正式に決定しました。現在は引き継ぎ業務の為に社長では有りますがその権限は凍結されています。そのため『次期』社長である私がサインすることになりました。そのため契約の執行は社長交代後となります」

 

 ああ、やっぱり木馬の持っている鍵が見つからないんだな。あれが見つからないから海馬はまだ社長のままだ。ここまではこちらの掴んだ情報通り、ペガサス会長のシナリオを進めて問題はなさそうだ。

 

「では契約は大下氏が正式な社長に就任してからという事で」

「そ、それは」

 

 契約書のサインが有効では無い以上これは当然の事だ。だが海馬コーポレーションはそれでは困る。今海馬コーポレーションが欲しいのはインダストリアル・イリュージョン社との関係を修復したという事実とそれによる信用の回復だからだ。

 

「分かっています。ですから正式な契約がなされるまでインダストリアル・イリュージョン社が海馬コーポレーションの株を買い支えましょう。その事実だけでも信用はある程度回復されるはずです」

「それは確かに。それでその対価は?」

青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)。資産価値としては足りないところですが担保としては十分でしょう。それにもう海馬コーポレーションには必要ないものでしょう」

「…分かりました。『わが社』が所有している3枚の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のカードをお渡ししましょう。(たかがカードでこの対応、ペガサスの指示だろうが甘いな)」

「それではインダストリアル・イリュージョン社に連絡を入れて株の買い支えを始めましょう。(ああそうか、私ごとき1人で十分という事か)」

 

 最後の最後で大下がこっそりとにんまりとしたのでようやくビッグ5が1人しか来なかった理由を理解した。

 

 まあ、もともと正式な契約を結べない事は分かっていて、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)の回収の為だけに送り込まれたので見下されてもどうとも思わない。自分自身役不足は理解しているので。むこうも正式な契約が結べないのは分かっていた筈なのであの会話は茶番だったのだろう。終わってから気づくとは私もまだまだだ。

 

 とにかく無事に青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を回収できたので良しとしよう。

 

 

 

 

 

 

 おまけ NG集

 

 本編とは何の関係も有りません

 

 

 

 

 これは青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)の受け渡しの後ありえたかもしれない会話である。

 

「ところで海馬の解任後の扱いですがそちらとしてはどう思いますか」

 

 これはペガサス会長が海馬に激怒しているという噂に対してのアクションだろう。

 

「そうですね。カードを破くような根性が曲がった子は自分のところで性根を叩き直すと言うのがペガサス会長の考えなので、こちらに出向させてもらうとありがたいですね」

「そうですか…。話を変えますがペガサス氏は若い男の子を集めているそうですね」

「? ええ、後継者を育てるために…」

 

 ここまできて大下が何を考えているのか想像できてしまった。

 

「後継者を育てるために『若い』男の子を養子にして集めていますね」

 

 独身主義が誤解されている。しかしここで迂闊な事を言えば被害が広がるし巻き込まれかねない。

 

「そうですか。もし海馬をそちらに出向させるときは弟の木馬も一緒に送りましょう」

「そうですね。やはり兄弟は一緒のほうがいいですね」

「兄弟と言えばペガサス氏の一番のお気に入りは双子でしたね」

「ええ、そうですよ」

「はははは」

「あはははは」

 

 

*****

 

 終わり


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