遊戯王 デュエリストのお兄さん 蒼銀の導き 作:ひろやん(すぴ出身)
日本からの帰り、何処からか情報が漏れて私は
「と言う訳でお休みを下さい」
「3日の特別休暇をあげマ~ス」
ペガサス会長に回収した海馬の
1日目は倒れるように眠りに付き、2日目よくやく私は再起動した。その間食事などの家事は人間形態で実体化した蒼銀がしてくれた。しかしその所為でエプロン姿で家事をしてくれていた蒼銀と私を訪ねて来た夜行くんと鉢合わせるという事態におちいってしまった。
「桐野さん、一体この子は何なんですか?」
蒼銀の見た目は少女だ。そんな子が20代の私の部屋で家事をしているのだから気になって当然だろう。どう説明しようかと考えていると、蒼銀は喋れないので紙に書いて事情を説明した。
『幼な妻』
「違うだろ」
『じゃあ、(カードからの)通い妻?』
「それも違う」
『本当は僕とご主人様』
「(確かに遊戯王だとモンスターは僕扱いだけど)それも違う!」
「桐野さん!」
その後蒼銀の事をバイトで雇ったとごまかしてようやく夜行くんを納得させた。
「それで夜行くんは何しに来たの?」
蒼銀を(カードに)帰らせた後、私は夜行くんに訪ねて来た理由を聞いた。
「お父さんから桐野さんの様子を見に行くように言われたので様子を見に来たんです」
「ああ、それは手間を取らせたね」
「いえ、こちらも変な誤解をしてすいませんでした」
「いや、悪乗りした蒼銀も悪いから」
そう言うと私は気分転換の為に夜行くんに提案をした。
「ところでこれからデッキを組み替えるためのカードを探そうと思っているのだけど、いい店があったら案内して欲しいな」
「…ごめんなさい、カードはお父さんや会社の人が用意してくれるのでお店とかよく分からないです」
「…そうか、なら社会見学だ。着いてきなさい」
取りあえず前からチェックしていた店に出向く事にした。
「いろんなカードがありますね」
「ああ、でも必要なカードはないな」
まず有名なカードショップを訪れてみたのだがめぼしいカードは無かった。高額な『レア』なカードは有ったものの、私のデッキと相性のいいカードは無かったのだ。上級、最上級モンスターは今の所必要無い。リリース無しの『召喚』モンスターはアレキサンドライトドラゴンとガード・オブ・フレムベルという攻撃と守備のトップクラスが有るから必要なのは効果モンスターなのだがいい効果を持ったモンスターは無かった。魔法、罠も凡庸カードばかりでこれといったようなカードは無かった。
「ここは初心者とコレクター向けの店だったな」
「そういうものなのですか?」
次に向かったのは双六爺さんの店のような小さな店だった。しかしここは隠れた名店とかではなく、本当に小さな店だった。
「ここはデュエルモンスターズは商品の1つという扱いか。カードの種類も多くない」
「そうですね、デュエルモンスターズだけが玩具ではない事を思い出しました」
その後もいくつかの店を回ってみたのだがめぼしいカードは手に入らなかった。
「今度パックで買っていいのが出てくるのを祈る事にするよ。夜行君付き合ってくれてありがとう」
「いえ、僕もいい勉強になりました」
そうして帰ろうとすると、蒼銀が精霊状態で私の前に現れた。とうぜん精霊状態なので夜行くんには見えていない。
「桐野さん?どうかしたのですか」
夜行君が不思議がったが私は蒼銀が私を何処かに連れて行きたいと感じて後を追った。そして裏路地に入るとフード付きのボロマントで身を来るんだ女性らしき人物がカードを売っていた。
「カードを買ってください」
「桐野さん、相手にしては駄目です」
夜行くんはそう言ったが私は蒼銀が連れて来た以上何か有ると思い、置かれていた4枚のカードを買った。
「ありがとう…」
「桐野さんも物好きな」
「そうでもないみたいだ」
私が買ったカードは禁じられた宝具のカード4種だった。
「このカードは…。きみこのカードはどこで…っていない」
カードを見た夜行くんはカードを見て驚き、カードを売っていた女性に問い詰めようとしたけれど女性はもういなかった。
「ま、いいカードが手に入ったからよしとするか」
後になってペガサス会長に聞いたところ禁じられた宝具シリーズに絵書かれている女性は宝具の持ち出しを神によって咎められて失楽の聖女となり、宝具の力が体から抜けるまで地上をさ迷っているという設定が有るという。
もしかしたらあの女性はその失楽の聖女で宝具のカードを配る事で力を抜こうとしていたのかも知れないと思ったりした。