遊戯王 デュエリストのお兄さん 蒼銀の導き   作:ひろやん(すぴ出身)

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 今回のデュエルは書き直す前とほぼ一緒です。


第8話 運命のドラゴン

 形式的には私の部下になったキースだが簡単に私の言う事を聞くとは思えなかった。それでもキースを使わないといけないので私はキースと取引をする事にした。

 

「け、俺はペガサスの部下にはならねーぞ」

 

 悪態をつくキースに私は1枚の紙を取り出してキースに見せた。

 

「これはバイトの契約書です。研修期間の自給はビー$で本採用になるとビー$。さらにイベントでの活躍によっては特別手当(ボーナス)も有り。その査定は私がすることになります」

 

 私がそう言うとキースは契約書を見てこう言った。

 

「俺はペガサスの部下になるんじゃねえ、お前の部下になるんだからな」

 

 つんでれさんですか。とにかく『金』の力でキースに言う事を聞かせることに成功するのだった。

 

 そして、一旦部下にするとキースは有能だった。カードプロフェッサーと名乗っていた事も有り、カードの知識は豊富でエキスパートルールもすぐに覚えて対応できた。

 

 後から採用されたバイトの教育もキースがサポートしてくれたおかげで随分と楽だった。昔のペガサス会長は有能な男を潰してくれたものだ。

 

 口は悪いが有能な部下のおかげでスタッフの教育は終えた。それを見計らってか私はペガサス会長に呼び出された。

 

「キリノは海馬ボーイに勝った武藤遊戯ボーイと面識がありますね」

 

 青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の時に顔を会わせているので当然だ。

 

「その遊戯ボーイに決闘者の王国(デュエリストキングダム)の招待状を送ったのですが参加しないと言う返事が届きました。私としてはぜひ遊戯ボーイには決闘者の王国(デュエリストキングダム)に参加して欲しいとおもっていマ~ス。スタッフの教育は終わったと聞きました。キリノ、ちょっと日本に言ってきて遊戯ボーイを説得してきてくだサ~イ」

 

 千年眼(ミレニアム・アイ)を失ったペガサス会長は遊戯に呪い(?)のビデオレターを送っていない。だから大会に興味が無い遊戯は大会に参加しようとは思わなかったようだ。

 

 それで私が日本へ説得しに行く事になったのだが、説得する必要は無いだろうと私は楽観していた。招待状が届いた時は城之内の妹さんのビデオレターはまだ届いていなかったのだろう。

 

 この世界の決闘者の王国(デュエリストキングダム)は原作の決闘者の王国(デュエリストキングダム)同様多額の賞金が出る。失明の危機にある城之内の妹さんの手術費を手に入れる為に遊戯と城之内は参加したいと言って来るだろう。

 

 そういう考えで双六爺さんの店に行き家の中に通されると、出会いがしら城之内に土下座された。

 

「お願いします。俺を決闘者の王国(デュエリストキングダム)に参加させてくれ」

 

 一緒にいた遊戯から原作通りの妹さんの話を聞くと私は城之内に顔をあげるように言った。

 

「城之内くん、私の権限で参加者を1人割り込ませることは出来る。しかし何の実績もない者を参加させるわけにはいかない。だから君の実力を見せて欲しい」

 

 そう言うと私はデッキからカードを1枚出して城之内に見せた。

 

「攻撃力2950…」

 

 見せたのは攻撃力2950の通常モンスター、ラビードラゴンだった。

 

「このカードが入ったデッキと戦って貰う。デッキを用意する時間を上げるから決闘者の王国(デュエリストキングダム)に参加するだけの実力が有る事を見せて欲しい」

 

 そう言って私は遊戯達がいる部屋から出て双六爺さんがいる店の方にまわり、双六爺さんと世間話をして時間を潰した。

 

 ちなみに預かった青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)は持ってきていない。まだ修復中で接着剤が乾いていないのだ。

 

「準備できました。お願いします」

 

 そして城之内の準備が終わり私達はデュエルすることになった。ルールは原作で言うところの王国ルール、ライフは2000、プレイヤーへの直接攻撃(ダイレクトアタック)は無し。あと今回『私の』青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)はお休みだ。

 

「では私の先攻で。私はラビードラゴン(攻撃力2950)を攻撃表示で召喚。ターンエンド」

 

 デッキはしっかりとシャッフルしたのだが、一枚しか入っていないラビードラゴンは最初から手札に入っていた。

 

「いきなり本命かよ。でも俺も負けていねえ。俺は炎の剣士(攻撃力1800)を召喚。装備魔法サラマンドラの力を装備して攻撃力アップ。カードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

 攻撃力1800の炎の剣士にサラマンドラの力で700ポイントアップして攻撃力2500か。だとすると伏せカードが鍵か。まだ序盤なので構わず攻撃だな。

 

「私のターン。ラビードラゴンで炎の剣士を攻撃」

「リバースカードオープン鎖つきブーメラン!これで炎の剣士の攻撃力を500アップ。攻撃力3000で反撃だ!」

 

 城乃内の言うとおり今のラビードラゴンでは強化された炎の剣士には勝てない。反撃を受けてラビードラゴンは破壊されて私は50のダーメージを受けた。

 

 キリノ・ライフ 2000 - 50 = 1950

 

「どうだ、これで俺のモンスターに勝てる奴はいねーぞ」

「では私のターン。フールド魔法竜の渓谷をセット。このカードの効果で手札を一枚捨ててデッキからダークストーム・ドラゴンを墓地に送る。そして死者蘇生でダークストーム・ドラゴン(攻撃力2700)を復活。ダークストーム・ドラゴンは召喚された後もう一度『召喚』する事で効果を発揮する事ができる。ダークストーム・ドラゴンを再度召喚。ダークストーム・ドラゴンの効果を発動。自分フィールド上の表側表示の魔法・トラップカードを一枚墓地に送り。フィールド上の魔法・トラップカードを全て破壊。私は竜の渓谷を墓地に送り、効果を発動。これによりサラマンドラの力と鎖付きブーメランは破壊される」

「そんな、俺の炎の剣士の攻撃力が元の1800に」

「バトル、ダークストーム・ドラゴン(攻撃力2700)で炎の剣士(攻撃力1800)を攻撃。炎の剣士を撃破。城乃内くんのライフに900ポイントのダメージ。ターンエンド」

 

 城乃内・ライフ 2000 - 900 = 1100

 

 さて、あえて見せたラービードラゴンが撃破されたのは想像通りだ。ここから原作デュエリスの力を見せてもらおう。

 

「俺はアックスレイダーを守備表示で召喚してターンエンド」

 

 城乃内は守りに入ったようだ。私は特に何かをするわけでもなく、城乃内の出した壁モンスターを撃破して様子を見ることにした。そして…

 

「城乃内くん、ここまでだ」

 

 私が引いたのはエネミーコントローラー。表表示の守備モンスターをこれで攻撃表示に変えればデュエルは終わる。このカードが出る前に城乃内が死者蘇生を引いてラビードラゴンを呼び出せれば勝機は有った。

 

「エネミーコントローラーで城乃内くんのアックスレイダーを攻撃表示に変更。ダークストーム・ドラゴンで攻撃」

「俺は手札のクリボーを墓地に送って攻撃を無効」

「クリボー?」

「僕が城乃内くんに貸したカードだ」

 

 突然のクリボーの登場に戸惑っていると、遊戯がそう言った。どうやら手持ちのカードでは勝ち目が薄いと考えて遊戯がカードを貸したみたいだ。

 

「言っとくけどブラックマジシャンのような主力は借りていないからな。借りたのはサポート目的のカードだけだからな」

 

 一瞬ブラックマジシャンクラスの登場を予想したが、城乃内はそれを否定した。

 

「カードを一枚伏せてターンエンド」

 

 どうやら本気で行かないと駄目なようだ。攻撃が無効化されたので私はカードを一枚伏せてターンエンドした。

 

「俺のターン!よし来た、死者蘇生!。これで桐野さんの墓地のラビードラゴンを俺の場に復活させる!」

「リバースカードオープン。リビンデットの呼び声。これでラビードラゴンを特殊召喚。墓地にラビードラゴンは居無くなったので特殊召喚できない」

「なら俺は格闘戦士アルティメーターを守備表示で召喚。アクスレイダーを守備表示に直してターンエンドだ」

 

 もうデュエルも終わりが見えてきた。ただ遊戯からカードを借りている以上。洗脳ブレインコントロールがあるかもしれない。念のために対策を立てておこう。

 

「私のターン。私はダークストーム・ドラゴンとラビードラゴンで守備モンスターを攻撃。カードを一枚伏せてターンエンド」

 

 私がターンを終わらせると、城乃内はカードをドローせずに止まっていた。遅延行為は失格になるけど、それは後で注意するとして今は特別に見守る事にした。もしこれで立ち止まるなら、たとえ原作キャラでも特別扱いする理由はなくなるからだ。

 

「俺のターン、ドロー」

 

 でもその心配は無用で1人で立ち直ったようだ。

 

「俺は時の魔術師を使用、タイムルーレット。コイントスをして表か裏で効果が変わる」

 

 時の魔術師は原作ヴァージョンの魔法カード扱いか。私が伏せたカードは王者の看破でラビードラゴンが出ているから使用可能だ。これで無効化できるけれども城乃内の引きの強さに免じて、使わないで見守る事にしよう。

 

「コインは表、タイムルーレット成功。時の魔術師の効果で桐野さんのモンスターは数百年の時が流れて全滅。そして攻撃力の半分のダメージを受ける」

 

 私の場に出ているダークストーム・ドラゴンとラビードラゴンの攻撃力の合計は5650.その半分の2825のダメージだがらライフは0か。

 

 キリノ・ライフ 1950 - 2825 = 0

 

「よっしゃあ!俺の勝ちだぜ」

「おめでとう。城之内くんが決闘者の王国(デュエリストキングダム)に参加できるように私が取り計らう事を約束しよう。その代わり遊戯君も決闘者の王国(デュエリストキングダム)に参加してもらうのが条件だ」

「ま、城之内だと優勝は無理だろうからな、やっぱり本命は遊戯だ」

「なんだと、本田!」

 

 じゃれている城之内を見ていると、パカッという音が聞こえたような気がした。もしやと思って荷物を見ると今まで開ける事が出来なかったパックの1つの口が開いていた。

 

「どうかしたんですか?」

 

 私の様子を見て遊戯が声をかけてきた、しかし私は返事をせずに口が開いたパックの中身を見た。開いたパックは遊戯王の原作者さんが書き下ろしたイラストのカードで10周年を記念して作られたものだ。5年もの間売れずに残っていたこのパックには青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)が入っている可能性があった。だから購入したのだが、このパックには青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)は入っていなかった。

 

 もしかしたら青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を期待していたのに入っていなかったからパックは開けれなかったのかもしれない。それが今開き中に入っていたカードは…

 

「城之内くん」

「は、はい!」

 

 私に名前を呼ばれて城之内は姿勢を正した。

 

「見たところエース級のレアカードは持っていないみたいだね。それでは決闘者の王国(デュエリストキングダム)を勝ち抜くには厳しいから1枚カードを上げよう」

 

 そう言って私は5枚のカードを城之内に対して裏面を向けて扇状に開いた。

 

「この中から1枚選ぶといい」

「いいのか?」

「参加させたデュエリストが弱いと私の沽券に関わる。決闘者の王国(デュエリストキングダム)が始まれば贔屓はしないからこれが最初で最後だ」

 

 私がそう言うと城之内は5枚のうちの1枚を選んだ。選ばれたカード、真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)は城之内に掴まれると原作者さんのイラストからこの世界のペガサス会長のデザイン(まあ、どっち原作者さんのデザインなのだが…)に変化した。

 

「よっしゃあ!レアカードゲットだぜ」

「いんですか、霧野さん」

 

 カードが選んだのだからしかたがない。

 

「1ついっておくけど決闘者の王国(デュエリストキングダム)は今日戦ったルールとは違うエキスパートルールで行われる。ルールの詳細はこの冊子に書いてあるからよく読んでデッキを調整しておくように」

 

 そう言って私は荷物から2冊(・・)の冊子を取り出すと遊戯を城之内に渡した。そして双六爺さんに挨拶をしてから店を出て帰路に着いたのだった。

 

 そして飛行機の中で

 

「残りの4枚はサイコ・ショッカー、バスター・ブレイダー、ブラック・マジシャン・ガール、柴戦士タロか、どうしようか」

 

 使う予定の無い原作カードの扱いに悩むのだった。




 ちなみに5年前の10周年の記念パックはとあるお店で本当に売れ残っていました。

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