凛音はビビっていた。
基本的に後方支援に徹していたので、単騎戦闘は慣れていない
「どうした?凛音」
「あ、零さん」
「怖いか?」
「……はい」
「まあ、今まで前線に出なかったからな、前は一人だったっぽいが」
「昔の話です、もう皆さんと居るのに慣れすぎてしまって」
凛音は目を伏せる。
悲しいが
以前、何人かに話したらしいが、その内容は事実とは異なる
関係ないはずなのにそんなことが頭をよぎる
「凛音」
「はい?」
「別に勝てなくてもいい。出せるだけの力を出してこい」
「陸斗君は出しきってませんでしたけど」
「まあな、あいつは出すのに慣れてないだけだから」
「そう…ですか」
「すまないな」
「え?」
急な零の謝罪に首を傾げる
「君の音色を戦いに使わせてしまって」
「大丈夫です、いつかなるんじゃないかなって思ってましたから」
「…すまない」
「気にしないでください、とりあえずいってきますから」
「わかった、気をつけてな」
「はい!」
そう言って彼女は幻想郷に転移する
「それで?次は誰なの?」
もはやここで集まるのが当たり前、と言わんばかりに紅魔館には人がいた。
「フランの話じゃ、次は《演奏家》らしいじゃない」
「ああ、そうらしいな」
そこには紫と龍義の二人がいた
その周りには他の面々が待機している
「実際どうなの?彼女」
「単騎じゃそこまで強くは無いらしいな、基本的に後方支援だとか」
「じゃあ、誰を向かわせましょうか」
「私が行っても?」
声のするほうを見るとそこには傘を持った女性が
「幽香…貴女が出るの?」
「ええ、でもできれば近接で戦える人がほしいわね」
「じゃあ、私が!」
名乗りをあげたのは妖夢だった
「行けるか?妖夢」
「はい!任せてください!」
やる気は十分そうだ
「なら、任せる。場所は…」
龍義はマップから《演奏家》の位置を探る
「ん?ここは…」
「見つけたの?」
「ああ、場所は」
「向日葵畑だ」
「綺麗…」
転移してきた先で凛音の目に入ったのは一面の向日葵だった
全ての向日葵が咲き誇っているが、今の季節は本来なら秋のはずだ。
「ここは秋でも向日葵が咲くの」
「?!」
振り向くとそこには緑色の髪に淡いピンク色の日傘をさしている女性と、白髪で背中に刀を2本背負った少女がいた
「貴女が《演奏家》?」
「ええ、貴方は?」
「私は風見幽香。それで…」
「私は魂魄妖夢です」
風見幽香に魂魄妖夢、恐らくこの二人が私の敵
ならばやることは決まっている
急に雰囲気が変わった
先程まで柔らかい印象だったのに
まるで背筋が凍ってしまったようだ
「貴女達が何方かは深くは知りませんが」
彼女の手には横笛が握られている
「消えてください」
その言葉を合図に戦闘が始まる
圧倒的
すべてにおいて
攻撃の回避や衝撃の逸らし方は勿論
放つ弾幕の制圧力と破壊力のバランスもとれている
先程まで笛だけだったのに今の彼女の手には機械のようななにかがあり、そこから太鼓、笛、弦楽器などの音が響き渡る
以前、紫が持ってきた「CD」で聞いた音色にそっくりだった
美しく激しい彼女の弾幕はかなり驚異だった
発射されてから着弾まで1秒かかるかどうかというレベルだ
音そのままの速さで飛ぶその様は、まるで弾丸のようだった
しかし、一定のリズムで攻撃が止む瞬間が存在する
そこを突ければ、勝てるはずだ
「妖夢!いつでも行けるようにしなさい!」
「はい!」
強い
戦いはじめてからそう感じたのはあの方以来だろうか
緑髪の女性は弾幕を撃ち落とし、白髪の少女は弾幕を切り伏せる
こちらの攻撃は一応音速とほぼ同速度であるはずだがあの2人はそれを紙一重で捌いていく
才能なのだろうか、と考えたところで首を横に振る
怖気ついてはいけない
それにこれは勝てるかどうかじゃない
自分の全力が出せるかどうかだ
最後の最後まで諦めない
剣撃と光線、音の弾幕による均衡は
突如として崩れ落ちる
「妖夢!」
幽香の放った渾身の一撃が凛音を掠める
「ッ! 危なかった」
「隙あり!」
妖夢は凛音が体勢を崩した隙を逃さなかった
霞むような速さで凛音に接近する
勢いを殺さずにそのまま抜刀する
「しまった!」
「もらったぁ!」
妖夢の一撃は吸い込まれるように凛音の首に直撃した
「う、う〜ん」
「気がついたみたいね」
目が覚めるとそこは向日葵畑の横の道端だった
首元を見るとペンダントは割れてしまっている
「…負けちゃいましたか」
「なかなか手強かったわよ?」
幽香にそう言われて少し笑みが溢れる
「そう、ですか」
「ええ。きっと鍛えればもっと強くなれるわよ」
「そういえば、もう一人の彼女は?」
「いないわよ?」
「え?」
「貴女と相打ちになってロストしたのよ」
相打ち?そういえば直前に弾幕飛ばしたっけ
当たったんだ、あれ
「貴女の音色は本当に綺麗だったわ。今度もっと聞かせてくれるかしら?」
「! はい、喜んで!」
幽香が差し伸べた手を凛音はとり、戦いは終わった
「むぅぅぅぅ〜〜」
「何唸ってんだよ」
「悔しいんです!」
相打ちになった妖夢は紅魔館に飛ばされていた
「まあ、そこまで消費してねえみたいだし、また出ればいいだろ」
「はい…」
落ち込む妖夢を慰める龍義
そこへ
「戻ったわよ」
「おお、幽香か」
戦いを終えた幽香が戻ってきた
「次のやつわかったか?」
「ええ、次の相手は」
「《執行者》よ」
「はぁ、疲れた」
次元の狭間に戻った凛音は腰掛けていた
ここは零が造った屋敷だ
『お前らの家だ好きに使ってくれ』
という話だが、かなりでかい
紅魔館という屋敷ほどの大きさらしい
「お疲れだったな、凛音」
「ああ、焔君ですか」
声をかけてきたのは焔、捕食者の名をもつ青年だ
「かなりの奮闘だったみたいだな」
「1人は慣れてないので疲れましたけどね」
「いつかなれるさ、今度組み手でもやるか?」
「私じゃ相手にならないでしょ?」
「釣れねえなぁ」
「それよりも、次って竜胆君なの?」
「らしいぜ、あいつも戦いたいんだろ」
「うーん」
「なんだ?心配か?」
「そうじゃなくって」
「???」
「
次回 vs《執行者》 戦う理由
竜胆「ふむ、美味いな」
勇儀「だろ?ほら飲め飲め」
ここまで読んでいただきありがとうございました
次回は竜胆戦になります
最近、寒くなってきてラーメンを食べる機会が増えました。
結構夜は寒いんすよ
皆様もお体にお気をつけください
UAが3000を突破いたしました!嬉しい限りです!
四章が終わったら…
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描かれなかった日常編
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そのまま五章に突入