零の造った館には二つの地下室がある
誰も立ち入ることがない部屋が一つ
もう一つは
「♪〜」
その部屋には大量の機械やら工具が転がっている
部屋の入り口付近には2人の男女が
中心には1人の少女がいた
「あれ、なんですか?」
「俺に聞くなよ、銃はわからん」
凛音と焔は中心にある巨大な兵器を眺めていた
元々帝国軍所属の2人からしたら製作工程に関しては見慣れていた
作ってるのが自分より幼い少女という点を除いて
部屋に篭り始めてから丸2日近く経っている
食事や睡眠はとっているのか、という心配をよそにその少女は鼻歌混じりに作業を進める
「…できた」
「お疲れ様です、翼ちゃん」
「…凛音お姉ちゃん」
作業を終えた翼を凛音が抱きしめる
「これは…狙撃銃か?」
「…うん」
「にしては、ゴツいな」
「…そうでもない、本質は性能だから」
竜胆が戦った日に三日後に戦うと話を聞かされた。しかも相手も銃使いだと言われれば気合が入る
「大丈夫だよ、心配はいらない」
いつもと違い、はきはきとした物言いに凛音と焔は彼女の変化を感じ取る
「確実に仕留めるから…」
ガシャンガシャン
キュイィィィィン
バチッバチバチッ
機械の駆動音や作業の音が鳴り止まない
本来、幻想郷では聞かないであろう音が鳴っている
ここは妖怪の山の河童の基地
そこに鈴仙はいた
「調子はどうだい?」
「好調よ。にとり」
基地の河童たちを束ねるにとりが声をかけてくる
「そっちこそどうなのよ?」
「順調さ。問題なく進んでいるよ」
鈴仙がにとりに依頼したのはとある武器の製作だった
相手はおそらくかなりの長距離狙撃を行なってくるはずだ
だが、それは普通ならの話だろう
迷いの竹林の奥の永遠亭を狙うことはまず不可能なはずだ
きっと接近してきての銃撃戦になるはずだ
そうなった時の武器をにとりに頼んでいた
河童たちの手がける武器は最新鋭で、どれも使い心地はよかった
「あと2日だっけ?」
「ええ、間に合いそう?」
「勿論、出来しだいに永遠亭に持っていくよ」
「ありがと」
決戦まであと2日
2日後
「ここに置いとくよ~」
「わかった、ありがとねー」
「おまけも置いとくから~」
「おまけ?よくわかんないけどありがとー!」
決戦当日の夜、永遠亭では準備が進められていた
迷いの竹林には兎達が待機しており、各自が連絡できるように無線機を持っている
永遠亭内部には永琳と鈴仙が待機している
加えて…
「何故貴女がここにいるのよ、早苗」
何故か早苗がいた。
普段は巫女装束なのに、彼女は今はガチガチの迷彩服やらギリースーツを着ている
「何故って、戦うために…」
「そうじゃなくって、なんで重装備なんですか?」
「こう見えて私、超が付くほどのガンマニアなので」
「はぁ、好きにして」
「それよりも、うまく行くんですか?」
「ええ、相手は確実に竹林に入ってくる」
「そこをゲリラ戦法で襲撃する、と」
「確実に仕留めるわよ」
「勿論です!」
そう言ったときだった
早苗の体を一本の光の線が貫いた
「がっ!?」
「な!? なんで?」
早苗はそのまま吹き飛び壁に激突する
幸い、零の干渉能力で建築物は破壊されないが、それでも衝撃が凄まじい
それよりも
(狙撃!?一体どこから!?)
本来と全く違う進展に戸惑っていた
ここを狙撃するのは不可能なはず
距離が離れている上に、竹林があるのだ
おまけに夜でかなり暗い
届くはずが……
待て
もし相手の狙撃銃が
ここまで狙える精度だったら?
相手の技術が
それを可能にするほどなら?
ありえる
相手は式神で元々はパラサイト
おまけに《狙撃主》の異名持ち
圧倒的な実力があってもおかしくはない
「さて、どうしようかしら?」
「…外した、かな?」
永遠亭から3キロ程離れたところに翼はいた
浮遊しながら銃を構える
だが、彼女のそれは銃とは呼べないようなものだった
銃身の長さが4メートルくらい
薬室や、ボルトハンドルは簡素で、外からではどこにあるか視認できない
引き金は銃の下部についたカバーの中にありこちらも外からではよく見ることができない
上部の持ち手の近くには長さ20センチにもなるスコープが備え付けてある
対物狙撃銃にしては口径も大きい
「…使い心地は良好」
彼女の狙撃の腕は群を抜いて素晴らしかった
そして、その実力にあった性能の銃
「…次は、確実に」
狙いをピンク髪の女性に定めて引き金を引く
弾が音速を超える速さで射出されると同時に薬莢が薬室から放り出される
射つと同時に排莢され次弾が装填される
発射された弾丸は目にも止まらぬ速さで飛ぶ
だが、運がいいのか身体能力が高いのか
銃弾を回避された
銃弾はそのまま地面に激突し辺りに衝撃波を撒き散らす
避けられた
その事実が翼に殺意を与える
「……楽しくなりそう」
そう言って笑う彼女の顔にはみたことも無いような笑みが浮かんでいた
次回 闇穿つ銃弾
早苗「…危なかったぁ…」
鈴仙「ええ?!無事だったの?!」
ここまで読んでいただきありがとうございました
翼が使っている銃に関しては今後追加する予定の式神紹介にて記載します
もうしばらくお待ちください
四章が終わったら…
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描かれなかった日常編
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そのまま五章に突入