博麗霊夢は現在、妖怪の山に来ていた
近々来るであろう決戦に備えて
先ほどまで滝行をしており今は着替えて近くの岩場に腰掛けていた
「…そろそろ帰ろうかしら」
そう言って立ち上がった時だった
「あなたが、博麗霊夢?」
「! 誰?」
木の影から現れたのは1人の女性
身長は170より少し低いくらい
髪は漆黒の黒で両目も黒だ
会ったことはない
ただ、彼女の雰囲気だけはどこかで
「初めまして、私は神薙 彩(かんなぎ さやか)よ」
「神薙…彩。一体なんのよう?」
「あなたにこれを」
そう言って伸ばされた彼女の手には封筒が握られている
「これは?」
その封筒を手に取り、それに目を通す
どういう仕掛けかはわからないが封が開かないようにしっかりと閉じられている
「彼に、零に渡してくれるかしら?」
「!! あんた零のことを!」
視線を前に戻すが、すでに彼女の姿はない
彩は次元の狭間にいた
霊夢に封筒を渡した直後に引き込まれたのだ
「よかったの?彩」
声をかけるのは紫
「ええ、これでいいの」
そう言って地面に座り込む
彼女は幻想郷に来た時点で死ぬ寸前であった
「あれが、博麗霊夢」
「そうよ、博麗の巫女。そして…」
「
「一眼あえてよかったわ」
彼女の体が崩れ始める
「紫さん」
「紫でいいわ、何?」
「あの子を、お願い…します」
それを最後に彼女は塵となり、崩れ去る
「ええ、任せなさい」
例え何があっても
約束は守るから
幻想郷 迷いの竹林
鈴仙は頭を悩ませていた
想定外の射程と威力
完全に見誤った
絶対にあり得ないという距離
こちらがほぼ見えないであろう立地
にもかかわらず、相手の狙撃は止まない
着弾時の轟音と衝撃波は凄まじいもので近くに着弾すれば音で脳が狂いそうだった
「どうします?!鈴仙さん!」
早苗がこちらに聞いてくる
初撃でやられたと思っていた早苗はまだ無事だ
右腕の装甲は砕け散っているが
「どうするったって、反撃のしようが…」
「ちょっといいかしら?」
永琳が声をかけてきた
「なんですか?お師匠様」
「にとりのやつなんだけど」
「あれはアサルトライフルだからダメです」
「これも?」
そういった永琳の手には巨大なアタッシュケースがあった
「なんですかこれ?」
開けてみると中には分解された銃が入っていた
「これって!?」
「組み立てまで何分あれば足りそう?」
「5分、いや10分くらいで」
「わかったわ」
そう言って永琳は庭に出る
「?! 何を?!」
「時間稼いであげるからさっさと組み上げなさい」
永琳は矢をつがえた弓を構える
「久しぶりだから、手加減はできないわよ」
「??? 何してるの?」
翼はスコープで永遠亭を見ていた
先ほどまでいなかった白い髪に赤と青の服の女性が現れた
その手には弓が握られている
「弓なんかじゃ届かない…!?」
間一髪で回避する
こちらに向けて光の矢が放たれたのだ
「あなたが、相手なんだね」
口角が上がり、体が熱くなるのがわかる
引き金に指をかけ、スコープを覗き込む
「簡単に、壊れないでね?」
「ぴ…PTRD…?」
「なにそれ?」
「『PTRD1941』または『デグチャレフ対戦車ライフル』っていいます。改造型ですかね?」
「さあ?でも、使えるみたいね」
鈴仙の手には一枚の紙が
それには
『MBTK2000 カッパレフ対物狙撃銃の取り扱い説明書』と書いてある
名前からして早苗の言っていた銃が元になっているのだろう
「射てそうですか?」
「なんとかね、こう見えて結構軽いのよ」
「じゃあ、永琳先生の元に!」
「急ぎましょ!」
「…案外当たらないものね」
あれから10分近くたったか
永琳は弓を下ろし物陰に隠れている
休みなしに矢を射っていたのだ
流石に疲れる
鈴仙が戻るまで、あとどれくらいだろうか
「お師匠様!」
「鈴仙!遅かったわね!」
「すいません、でも行けます!」
「! 来た」
スコープに先程までいたピンク髪の女性が写る
「次で仕留める」
そう言って彼女はカードを切る
「スペルカード『《穿弾》ライトニングスティンガー』」
翼の銃に眩い光が集まる
永琳にも使っていたこの技を最大火力で撃ち込む
「これで、終わり…!」
「鈴仙さん!」
かなり遠くに強烈な光を放つものが浮かんでいる
恐らくあれが《狙撃主》だろう
「外さない!」
鈴仙はそう言って引き金に指をかける
「当たれぇッ!」
二人が銃弾を放つのはほぼ同時であった
両者から放たれた弾丸は同じ一直線上を飛ぶ
だが、弾丸は互いの軌道を反らせてすれ違う
翼の放った弾丸は鈴仙のすぐ横に
鈴仙の放った弾丸は
翼の銃を貫き……
彼女の体を穿つ
「無事ですか?鈴仙さん?」
「無事に、見える?」
奇跡的にそれた弾丸の余波を受けて鈴仙は床に転がっていた
永遠亭はいつの間にかきれいさっぱり元通りだ
「それよりも、敵は?」
「さ、さあ?どうなったのかは……」
「…ここにいるよ」
「「!?」」
声がするほうを見れば、青い髪に青い目の少女がそこに立っていた
「…すごいね、お姉さん」
「貴女が、《狙撃主》?」
「…うん、私は翼。よろしくね」
そう言った少女はどこか嬉しそうだった
「…私、もう戻るよ」
「ええ、わかったわ」
「…お姉さんの名前は?」
「鈴仙。鈴仙・雲曇華院・イナバよ」
「…鈴仙お姉ちゃん、か」
お姉ちゃん、と呼ばれ少しくすぐったい
「…次に来るのは《捕食者》よね」
「…うん。焔お兄ちゃんだよ」
「どれくらい強いか、わかったりする?」
その鈴仙の問いに翼は狭間の入り口を開きながら答える
「…強いよ、とっても」
そう言って彼女は虚空に消える
「お疲れ様でした、翼さん」
「…陸斗」
館に戻ったら陸斗が出迎えてくれた
確か以前は立場が逆だったはずだ
「…マスター、何か言ってた?」
「特には、でも「頑張ったな」と」
「……そっか」
「何はともあれ、お疲れ様でした」
「…うん。焔お兄ちゃんは?」
「さっき出発されましたよ」
その言葉に翼は首をかしげる
「…もう?」
「はい、なんでも調べものがあるとか」
「此処か」
焔は妖怪の山に来ていた
今彼が立っているのは、先程霊夢が居たところだ
「確かにこの辺りだったんだが…」
ついさっきまで感じていた何かの気配
「どことなく御主人のに似てると思ったんだが、気のせいか?」
今となっては完全に消えてしまっている
御主人こと零は今は館にいるはずなのでありえない
御主人は今までに無い試みをしている
俺たちパラサイトには羽が存在する
全てではないが俺らみたいな特殊個体は強さに応じて羽が増えるんだが
俺は4枚とかなりの強さらしい
それを増やそう、というのはなかなかにきつい話だ
それはさておき
「そこにいるんだろ?出てきたらどうだ?」
誰もいないはずの暗がりに向かって呼びかける
「…いつから気づいてたんですか?」
そこから出てきたのは犬走椛だった
「なんとなくだ、案外勘がいいんだよ」
「そうですか…」
「んで?戦んのか?」
彼女は確か以前の異変での被害者だったはずだ
直接は戦ったことはないが、実力はどんなだろうか?
そこへ
「私も混ぜてもらおうか!」
「あ?」
そこに青く長い髪に黒い帽子を被った女がいた
「誰だ?お前?」
「私を知らないのか?」
「知らん」
ほんとに誰こいつ
「私は比那名居天子だ!覚えておけ!」
「2人だけかよ、まあ悪くはねえか」
そう言って彼は武器を抜く
「ほう?」
「な?!」
天子と椛はそれぞれ焔の剣を見て少なからず衝撃を受ける
長さは2メートルを超えて本体は暗い赤、刃は両刃となっていてその色は鮮やかな赤い色
その姿は見てるだけで重厚感が溢れている
だが、椛は焔の次の一言でさらに驚愕する
「さあ、本気で殺るぞ
次回 《
天子「さあ、行くわよ。番犬椛!」
椛「誰が番犬ですか!?」
焔(賑やかすぎんだろ、あいつら)
ここまで読んでいただきありがとうございました
ついに五人目、捕食者こと焔戦です!
戦闘中にもう2人くらい参加させます
まだ誰を入れるかは決めかねています
あと彩に関しては式神の紹介にでも載せる予定です
四章が終わったら…
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描かれなかった日常編
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そのまま五章に突入