幻想郷と別世界からの来訪者   作:フォーウルム

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紫煙の悪夢

 

 

「平和だな」

秋風の吹くなか、零は人里で物思いに耽っていた

最近はパラサイトどもも落ち着いて暇、と言ってはアレだが特に何もやることなく過ごしていた

「たまには目的もなくふらつくのもいいかもしれないな」

そう思った時だった

「あれ?零さん?」

「ん?鈴仙じゃないか」

そこにいたのは鈴仙・優曇華院・イナバだった

永遠亭の医者の永琳の弟子であり、最終決戦後に俺の看病をしてくれていた人物でもある

「その格好は…」

「ああ、今ちょうど往診がおあわった所なんです」

「なるほどな。お疲れ様」

「あ、ありがとうございます」

労いの言葉をかけると、鈴仙は顔を真っ赤にする

「? 大丈夫か?」

「は、はい!大丈夫です!」

「そうか?」

「それより!この後お時間ってありますか?」

「あるけど、それがどうしたんだ?」

「近くのお茶屋さんでお茶でもしないかな〜?なんて」

「なるほど。わかった、付き合おう」

「本当ですか!」

お茶の誘いに応じると鈴仙はグッとガッツポーズをした

 

 

近くにあった団子屋で一息つく

「あの」

「ん?どうした」

「いえ、最近の零さんってどこか上の空なので」

「…そうか」

「何かお悩みでも?」

「悩み、では無いんだろうけど、ちょっとな」

「どうされたんです?」

「最近変な夢を見るようになってな」

「悪夢ですかね?」

「そうも思えないんだ。なにか大切なものを無くしてしまって、それを探しているみたいな。…言葉にするのは難しいな」

「そう、なんですか。お力になれればと、思ったんですけれど」

「そう思ってくれるだけで嬉しいよ」

そう言ってみたが、彼女の心はどこか曇っていた

 

 

 

その日の夜

 

 

 

 

 

 

零と別れた後、彼女はそのまま布団に横になって眠っていた

 

「あれ、ここは?」

気がつくと彼女は人里の道の上に立っていた

しかし、その人里は彼女の知っているものとかけ離れていた

「なにこれ…紫色の…世界?」

全てが紫色に染まっている

あたりには同色の煙も立ち込めている

唯一空だけは白い

見ていて気持ち悪くなりそうだ

おそらくここは夢の中なのだろう

歩いてみると、どこもおかしくは無いように見える

そう思った時

「キシャアアアアアア!!」

「?! な、何!」

物陰から何かが飛び出してきた

それは、豚の頭に異形の体をくっつけたかのような見た目の化物であった

「た、戦わないと!」

しかし、どう頑張っても弾幕を撃つことはできない

「キシャアアァァ!」

「やばっ!」

なんとか身を守ろうとしたその時だった

 

ズガガガガガガ!!!

 

「グギャァ?」

「え?」

化物に大量の槍のようなものが突き立った

化物は何が起こったかわからずに消滅していった

「今のは…一体…?」

首を傾げる鈴仙

そこへ

「何故、お前がここにいる」

後ろからの声に驚いて振り向くと、そこには零がいた

「ぜ、零さん!」

「なんでいるんだ?」

「さぁ?気がついたらここにいたんです」

「ったく。俺がいたからよかったが、危なかったな」

「ありがとうございます。もしかして、これがさっき仰っていた」

「ああ、『悪夢』だ。今日は紫みたいだが」

「今日は、って他にもあるんですか?」

「青や赤、緑に黄色。合計5色ある」

「カラフルですね」

「んなこと言ってる場合か。ほら、危ないから戻れ」

そう言って零は鈴仙の肩に触れる

その瞬間、彼女は夢からいなくなった

「…これ以上巻き込むなよ?」

零の目の前の地面から、何かが這い出てくる

「しゃあねえな、遊んでやるよ」

 

 

 

 

 

 

「…あれが、悪夢」

鈴仙はさっきまで見ていた夢を思い出していた

あんなに奇妙な夢、しかも他にもあるなんて

普通じゃ考えられない

なんであれで平然を保っていられるのだろうか?

いや、あれが異常なんじゃない

彼にとって()()()()()()()()

「すごいな、そこまで強いなんて」

おそらく私は無理だ

毎晩あんな世界に1人

しかも正体のわからない何かに襲われるなんて

考えただけでも頭がおかしくなりそうだった

それが、彼の力の源

彼を突き動かす何かを隠すもの

以前そうじゃ無いかと思っていたが、今日会った時に確信した

彼の異常さに

「早く、彼を救わないと」

彼の中にある何か

それはおそらく

幻想郷にとって最大の異変になるだろう




ここまで読んでいただきありがとうございました
こちらの投稿が久しぶりのフォーウルムです
最近はもう一つの方を集中的にやっているのでこちらの投稿が遅れてしまっています
それでも忘れたわけじゃありませんので、気長に待っていただけたら幸いです

四章が終わったら…

  • 描かれなかった日常編
  • そのまま五章に突入
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