幻想郷と別世界からの来訪者   作:フォーウルム

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翡翠の悪夢と別世界の来客

 

 

「勘弁してくれ……」

今日は朝から頭痛が酷かった

何を食べても吐くし、何かをする気力も起きなかった

 

 

仕方がないので横になったらこれだ

辺り一面緑色の世界だ

一瞬森にでもいるのかと思ったが、近くの木の幹が緑色だったので悪夢か、と肩を落とす

おまけに緑色の化物どもまで出てくる始末だ

「やられるのも癪だ。皆殺しにしてやる」

手頃な大きさの剣を作り出し、殲滅を開始する

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?ここ、どこだろう?」

元の姿に戻って帰ってきたと思ったら説教されるし、挙げ句の果てには暴走しかけるこいしたちを止めたりと忙しかった

だからさっさと寝ようと横になったのに

気がつけば全てが緑色の世界に俺は立っていた

見た感じ幻想郷のようにも見える

「なんだろう、今まで生きてきた中でこんなの初めてだ」

そんなことを考えていると

「ギシャアァァ!」

「え?うわぁ?!」

目の前に奇妙な生き物が出てきた

周りと同じような緑色だったので気づかなかった

竦斯(しょうし)!」

俺は式神である竦斯を呼び出す

呼び出された竦斯は急ではあったものの目の前の生き物をしっかりと倒してくれた

「助かった、サンキューな」

「ふん、これくらい当たり前なんだから」

「ってあれ?」

ふと気づいたことがある

本来、俺の式神は俺の神力を消費して呼び出すのだが

ここではその消費が全く必要ないようだ

「それより、ここって幻想郷ですか?すごい違和感があるんですが…」

「わからない、普通じゃないことは確かだが…」

その瞬間、地響きのような音が真後ろから響いた

振り向くとそこには身長が8メートルもあるような怪物が2本の足で立っていた立っていた

「でっか!」

「こんなのいるの?!」

その巨大な怪物に驚いていたが、さらに驚かされる事が起きた

それは……

 

 

 

ゴシャアッ

 

 

 

「「え?」」

 

 

その怪物が一瞬にして砕け散り、肉片を撒き散らしたからである

「ったく。まだ残ってやがったのか」

その残骸の中から声が聞こえる

立っているのはかなり背が高い男だった

その手には長さが2メートル程の大剣が握られている

「こんなとこにまで居たのか…ん?誰だ?」

目の前の男と目が合う

透き通るような白い髪に透明な瞳をしている

「人型、しかも御供がいるのは初めてだな」

「え」

「殺ったことはないが、まあ問題はないだろ」

そう言って男は剣を構える

 

 

 

 

 

こんなやつは初めてだった

人間の皮を被っているがその中身は化物のようだった

人間にしてはあまりにも大きすぎる力が夢の中であるにもかかわらずひしひしと伝わってくる

「あんた、人間じゃねえのか?」

「一応神なのかな?」

「疑問を疑問形で返すな。まあそれなら本気出しても良さそうだな」

俺は新しい力『六天の翼』を発動させる

六色ありそれぞれに対応する能力を発揮できる

俺は火力特化の『赤天』と防御特化の『緑天』を発動させる

「消し飛べ!」

たった一撃で辺り一面を更地にする威力の火球を撃ち込む

着弾すると同時に辺り一面が真っ赤に染まる

「………へぇ、やるじゃん」

中心にいた奴を庇うように壁のような生き物が覆い被さっている

どうやらそいつのお陰で防げたらしい

「さて、何処まで耐えられるかな?」

 

 

 

「大丈夫か、塗壁」

塗壁がすぐに盾になってくれたおかげでなんとか無事だった

それにしてもなんなんだあの威力は

たった一発の火球程度でここまで塗壁が消費するのは稀なんて物じゃない

明らかに異常だ

「本気でやらないと、俺も危なそうだな」

そう思った瞬間

ドゴォン

再び強大な揺れと熱が襲いかかってきた

「このままじゃ間違いなく負ける」

「でも、どうするんですか?」

竦斯が尋ねてくる

「一か八かだ…」

 

 

「なんか動かないな」

二発目を打ち込んでしばらく経つが動く気配がない

流石にまだ死んじゃいないと思うんだが

そう思っていると壁の中から影が飛び出した

「あ?」

それはさっき御供を連れていた男だった

そいつはそのまま覆いかぶさっていた奴から距離をとり

ありえないような脚力でこちらに向かって跳んできた

「真正面からくるか!」

俺は右手に持つ剣の先に力を集中させ、赤い光弾を作り出す

「この距離なら外さねえ!」

そして射出した光弾は___

 

男を避けて後ろに飛んでいく

「はぁ?!」

光弾が向かう先にはさっきの壁の生き物が

「まさか…!」

「塗壁はあらゆる攻撃を引きつけてくれる!」

「?!」

いつの間にか目の前にまで迫っていた男に驚く

「お前、何者だ?」

「俺はリク、君こそ誰なんだ!」

「リク?名前があるのか?」

首を傾げながらとりあえず地表に降りる

「逆に名前がない奴がいるのか?」

「いや、待て待て待て。お前まさか、()()()か?」

「外?よく分からないけれど、少なくともここ出身じゃないよ」

「……まじか」

俺は頭を抱えた

 

 

 

先ほどまであの男から溢れて威圧感が嘘のように消えている

「あ、あの。どうかしたんですか?」

「…いや、驚かずに聞いてほしいんだ」

「はい」

「ここが外の世界と違うのはわかるか?」

「え、はい。辺り一面真緑ですし」

「ここは()()()()()()()なんだ」

「……ええ?!」

「驚くなって言ったろ」

「いやだって。えぇ」

「そんなに驚かれるとは思わなかったな。続けていいか?」

「うん」

「それで、いつもなら化物どもを皆殺しにすれば覚めるんで殺し回ったんだが、なかなか覚めなくってな」

「は、はい(殺し回る…?)」

「まだいるのかと思って探してたら少し大きめの怪物を見っけたんで叩き潰したんだ」

「な、なるほど…?」

「そしたらお前らが居たんでてっきりこの悪夢から生まれた奴らかと思って…」

「……殺しにかかってきた、と?」

「そうだな」キリッ

「悪びれてくださいよ?!少しは!」

「すまんすまん」

「でもこれで納得しました。通りでいつも以上に戦えるわけだ」

「そうか?」

「うん。いつもならもう式神は戻さなきゃ神力の消費が酷いんですが、今は大丈夫ですから」

「なるほどな」

そういった時、彼の体が光の粒子と共に消え始めた

「! これは…」

「どうやら時間らしいな」

「そっか」

「まだ俺の名前を言ってなかったな。俺の名前は『零』だ」

「俺はリク。さっきも言ったけどね」

「なかなかに楽しかったぞ?次は本気で殺るからな?」

「…あ、あれで本気じゃ無いのか」

俺の言葉にリクは苦笑いする

「ねえ、また会えるよね?」

「…ああ。まだ決着はついて無いからな」

「そっか、楽しみにしてるよ!」

 

その言葉を最後にリクの姿は完全に消え、俺の悪夢も覚めた

 

 

 

「…………」

目に入るのは自室の天井

頭にはリクのことが焼き付いている

初めて全力が出せそうな相手を見つけた

「……楽しみだなァ」

それだけで俺の口から笑みが溢れた

 




どうも、フォーウルムです
ここまで読んでいただきありがとうございました

今回はサイコパスのらいらいさん様の作品『無意識少女と優男』の主役であるリクくんが登場してくださいました!
コラボしてくださったサイコパスのらいらいさん様に感謝です!
今後も《来訪者》、及び《地憶譚》のコラボは募集してますので気軽にお声がけください!

四章が終わったら…

  • 描かれなかった日常編
  • そのまま五章に突入
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