新たなる異変
「診察終わったわよ。」
永遠亭の主である八意永琳が目の前の男に言う。
「何かわかったのか?」
「そうね、
「……そうか」
その言葉に俺は頷く。
「その様子だと心当たりがあるみたいね?」
「まあな、龍義の話とこの前の戦いで確信した。」
「……それって他の式神のことよね?」
「知ってたのか?」
「あなたが遊びに行ってる間にね。」
「なるほど。」
それはつい最近の事だ。
別世界の強者と戦わないか、的なことを言われた俺はその言葉通りに次元を移動し、戦いに行ったのだが。
そこで万が一死んだときの保険である術式《無天》を壊されたのだ。その時に感じた違和感はあの悪夢を見ているときに感じたものと同一のものだった。
「あなたでも死ぬのね。」
「普通は死なねえよ。相手が異常だっただけさ。」
あの男、霜月雪華は予想以上だった。こちらの世界とは別の住人だけあって飽きることの無い戦いをすることができた。
……それに没頭しすぎて死んでしまったのは元も子もないが。
「それで、この後はどうするの?」
「龍義に呼ばれているからな、なんでも重要な話らしい。」
「そう、面倒ごとにならないといいけれど。」
そんな永琳のボヤキを聞きつつ部屋を出た俺は一言つぶやく。
「面倒ごとじゃなければ呼ばれねえんだよなぁ。」
次元の狭間 式神の館にて
「んで、話ってなんだよ。」
「ああ、お前の悪夢と関連する話をしようと思ってな。」
龍義は腕を組みつつ言う。
「それはありがたいが、なんでこいつ等も居るんだ?」
こいつ等、というのは式神たちの事だ。普段なら全員が個々にやりたいことをやってるはずなので全員揃うのは珍しい。
「俺らにも関係あるんすよ、御主人。」
「勿論、私にもね。」
「しれっと居るのか、八雲。」
スキマから現れたのは八雲紫だ。
「俺が呼んだ。」
「そうか、んで?話ってなんだ?」
「単刀直入に言おう。式神って何人いる?」
龍義の言葉に首をかしげる。
「何人って見ればわかるだろ。5人だよ。」
「そうか……じゃあこいつらが組織にいるときの幹部の人数はわかるか?」
「幹部?」
恐らく幹部というのは帝国軍の変異型
「それこそ5人だけじゃないのか?」
「…知らないのか。」
龍義がうなだれる。
「どういうことだ?」
「……俺らが軍に居たころ、番号が振られてたんすよ。」
焔がそう言う。
初耳の情報なので驚きを隠せない。
「番号だと?」
「はい、強さ順で。」
「なるほど、それで1~5の番号が振られていたと。」
「零さん、そうじゃないんです」
そう言ってきたのは凛音だ。
「どういうことだ?」
「私は今ここにいる式神のなかで一番下の番号をもらっていたんですが、その番号は『9』なんです。」
「…何?」
「私たちは
「そうか……んで、その話が俺とどう関係がある?」
「それがお前の悪夢と関係があるんだ。」
「なんだと?」
龍義の言葉に驚く。
「お前が悪夢で見る光景は、もとはあいつら用のものだったんだ。」
「何を言っている?」
「つまり……つまり………あーなんだ、その。」
「俺らがまだ自立してなかったときの待機所みたいなものです。」
「待機所?」
「そうです。戦闘時のときは外に出ますが、それ以外は御主人の能力で作られた空間に居たんすよ。」
「つまり、そこに放り込まれていたのか?」
「精神だけな。」
龍義と焔の言葉で納得する。
「オリジナルから聞かなかったのか?」
「そんな話をしたことは無かった。」
オリジナル、というのはクローンである俺の元になった人間だ。すでにこの世にはいない。
「それで、問題はここからだ。」
「あ?」
「デウエクを覚えているか?」
「ああ、覚えている。」
デウエク。正式名称は『デウス・エクス・マキナ』。俺が元々いた世界に存在した高性能の自立型演算処理装置のことだ。人類の知識の終着点、などと呼ばれていたが、そんなことは無かった。
あれがなければ帝国と連合の戦争もなかったし、パラサイトも生まれず、平和な世界になったはずだ。
だがそれが作り出した技術がなければ俺が存在しないというのはなかなかの皮肉である。
「それがどうした?」
「それの一部が幻想郷に流れ着いた。」
「はぁ?!」
衝撃の(ry。
「いつの間に流れてきたんだよ!」
「お前が「遊びに行っている間に」だろ?○○ッ〇〇が!」
俺がいない間にそんなことになっていたとは。
「落ち着け。流れ着いたのはほんの一部のデータだけだ。戦争になるようなものも入ってはいなかった。」
「……そうか。内容は何だったんだ?」
「上位パラサイトの生存状況についてだ。」
「どうだったんだ?」
「残りの5人は生存している。」
生きていたのか。別の世界で幸せになれてるといいんだが。
「それが何か問題か?」
「やっと私の出番ね。」
さっきから話を聞いているだけの紫が口を開いた。
「一体どういうことだ?」
「その5人は今、
「……冗談みてえだな。」
「彼らはどうやらこっちに攻めてくるみたいなの。」
「なるほど。つまり迎え撃て、と?」
「話が早くて助かるわ。」
「俺はいいが、お前らはどうなんだ?」
俺は式神たちに問う。
「もちろん参加するっすよ。久々に顔合わせるんだから、挨拶がてらぶっ倒します。」
焔の言葉に他の式神たちが苦笑いしている。
だが、全員が戦うようだ。
「話はそれだけか?」
「ああ。」
「そうか。お前はどうする?」
「俺は見てるよ。」
「あっそ。」
期待してはいなかったが、龍義は不参加のようだ。
「何はともあれ、各自準備を怠るな。いつでも戦えるようにしておけ。」
その言葉の後、話し合いはお開きとなった。
「……ってことがあったんだよ」
「へー。」「なるほどです。」「そうだったのね。」
博麗神社で話し合いの内容を目の前の三人に説明していた。
目の前…というかなんというか、どういえばいいかわからない。
右腕には霊夢がくっつき、左腕のは妖夢が抱きつき、さらに後ろから覆いかぶさるようにフランが乗っかっている。
「怒ってるのかお前ら?」
「そりゃあ怒るでしょ!勝手にどっか行って戦いに巻き込まれた挙句一回死ぬなんて!何考えてるのよ!?」
霊夢に怒涛の勢いで叱られる。
巻き込まれたんじゃなくてふっかけたと言ったら殺されそうなので言わない。
「悪かったって。」
「お兄様ってそういうところあるよね。まあ、そこがいいんだけど。」
後ろにいるフランがそういいながら顔を肩にのっけてくる。
「……今度埋め合わせしてやるから。」
「絶対だよ!」
「それで、見せたいものって何ですか?」
「ああ、すっかり忘れるところだった。今度の戦いに備えて式神たちの武器を改良したんだが。」
妖夢に言われたので本題に入る。
「あれでしょ?《神器》ってやつ。」
「紫に聞いたな?」
「まあね、それで?」
「そん時にふと思ったことがあってな。俺も武器を持とうかなって。」
「なるほど、でもその肝心の武器がありませんよ?」
「これからそれを見せるんだよ。」
彼女たちを少し遠ざけ、立ち上がりとあるものを取り出す。
それは式神の核たる透き通った立方体だ。
「それって。」
「ああ、無天だったものだ。捨てるのももったいないしな。」
人間でいう脳死状態になり、完全に崩壊しかけたそれを宙に浮かべる。
「無天は俺のもう一つの人格といってもよかった。だからこそ、これで武器を創る。
その言葉に応じたかのように立方体が光り輝き、形を変えていく。
完成したのは、長さは1メートルほど、太さはバットのような棒だった。
「それが武器?」
「ああ、見てろ。」
俺がそれを構えると、棒は剣に姿を変える。
「まだまだ!」
それを持ち、戦っているかのようにの振るう、その光景はまるで舞のようだ。
零がもつ剣は槍、刀、戦斧と形を自由自在に変える。
「ふぅ……」
一通り振り、構えを解くと、武器は光に包まれ、右腕の手首にブレスレットとして装着された。
「それが零の武器?」
「さっきそう言ったろ?」
「想像以上ですね。」
「お兄様、かっこいい!」
「ありがとうな。」
「それで、名前は?」
「名前?」
「そうそう、必要でしょ?」
霊夢にそう言われ、しばし考える。
「決めた。」
「そう、なんて名前?」
「『神威』。」
「『神威』…神の威を借るつもり?」
「まあ、そんなところだ。」
俺の言葉に霊夢が少しだけ呆れたように言う。
「あんたらしいわね。」
「そうか?」
「そうよ。何も変わってない。」
霊夢はそういいながら立ち上がる。
「さて、私たちも準備しましょうか。」
「ですね。」「やろうやろう!」
「気合入ってるな。」
「そりゃあね、負けられないもの。」
「手始めにお兄様!私と戦ってよ!」
「わかった。相手をしてやる。」
「次は私ね。」
「そのあと私もお願いします!」
「いいぜ、かかってこい!」
そんな感じで始まった特訓は咲夜や魔理沙たちも参加し、大盛り上がりとなった。
その後宴会になったのはまた別の話。
続く
実装して欲しい兵装(元ネタの名前で募集)
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しめ縄
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千岩
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雷のような怒り
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楽団
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剣闘士