幻想郷と別世界からの来訪者   作:フォーウルム

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真相に迫れ/主席対次席/真の黒幕

 

 

「あり得ない、ってどういうことかしら?」

 

紫は零を見据える。

 

「これを見ろ。」

 

零の手から現れたのは五枚の半透明のウィンドウ。

そこには他の式神達が写し出されている。

 

「さっきから見ているが、明らかにおかしな点がある。」

「おかしな点?」

「まずは博士だな。」

 

零は竜胆と陸斗が写っていたウィンドウを選んで、自身の前に持ってくる。

 

「竜胆に接触した統制者が言うには、こっちに来る前に永琳のことを知っていたそうじゃないか?あり得ないよな、そう言うことって。」

「………。」

「それに、監視者もそうだ。」

 

零は淡々と続ける。

 

「以前龍義に聞いたが、アイツにはあんなステルス迷彩はなかったはずだ。何かしらお前が関与したと見ているが、反論はあるか?」

「………。」

 

紫は黙ったままだ。

 

「言えない理由でもあるのか?」

「………。」

「……そうか。」

 

何も言わない紫に対し、零は溜め息を吐く。

 

「言いたくなければいいさ。これ以上は詮索しねえよ。」

 

零は神威をおろす。

 

「監視者に関しては俺が適当にでっち上げたブラフだし、あんたにだって言えないことの二つや三つあるんだろ?」

「…察してもらえて助かるわ。」

 

紫は安堵の表情を浮かべる。

 

「俺は戻る。橙の相手を凛音に任せてるしな。」

「それもそうね。……藍が言ってたけど今日の夕食の天麩羅、多く作りすぎたらしいの。貰ってく?」

「そいつはいいな。藍の作る天麩羅は三番目に旨いからな。」

 

紫の誘いに零は乗る。

 

「ちなみに一番と二番は?」

「霊夢の作る天麩羅と焔が焼く焼き鳥。」

「そうなのね。」

 

そのときの零の表情は

 

 

 

あまり優れてはいなかった。

 

 

 

 

 

 

人里での戦いは熾烈を極めていた。

 

「アハハハハハ!滑稽だねぇ!」

「やってくれるじゃねえか……!」

 

焔はその手に持っている剣を目の前の女__殲滅者(アニヒレイター)に向ける。

 

「昔のあんたはもっと強かったはず…随分と弱っちくなったねぇ!」

「言ってろ!」

 

焔は女と剣をぶつけ合う。

女の持つ剣はチェーンソーのような形をしており、それを片手に1本ずつ持っている。

 

「こんなんだったらアタシでも勝てる!」

 

焔はジリジリと押され続ける。

少し離れたところでは霊夢が結界を張って人里に出る被害を最小限に抑えている。

 

「(このままじゃ勝ち目がねぇ……だが本気を出そうにも……。)」

 

もし、今本気を出したらどうなるかの想像がつかない。

普段なら被害を気にせずに戦えるが、今はそうではない。

 

「クッソ……!」

「辛いかい?辛いだろうねぇ!」

 

殲滅者は口を歪ませる。

髪の毛は鮮やかな橙色だが、その眼は黒く濁っていた。

 

「あんたには解らないだろうね、その悔しさが!」

「…何が言いたい…!」

「『負けるかもしれない』、『誰かに追い抜かれるかもしれない』…ずっとアタシが抱えてた気持ちは解らないだろうねぇ!!」

 

殲滅者はさらに火力を上げる。

 

「アタシは悔しかった。ぽっと出のあんたが一位の座に就いて、アタシの居場所を奪った!アタシが…アタシが持っていたのを全部!」

 

殲滅者は声をさらに張り上げる。

 

「あんたが退屈そうにしてる中で、アタシは必死に頑張った。何度もあんたに挑んで奪い返そうとした!なのに…なのにあんたは!」

 

焔の脳裏に思い浮かぶのは零のもとに付く前の記憶。

帝国軍での暮らしだった。

何不自由なく過ごせていたが、何一つとして満足できなかった。

1人で任務に赴き、歯向かう者達を始末する生活。

独りで遠征に行き、静かな夜に星を見上げた暮らし。

そんな中受けた初の()()()()()()()で、零に出会い、満たされない日々を終わらせたのだ。

 

「勝手に居なくなるし、コールドスリープから目覚めたら何もかも無くなってた。だからここまで追ってきたんだ!あんたに勝ち逃げなんてさせない!」

「…殲滅者。」

 

やっと彼女の思惑が解った。

彼女は蹴りを着けたいのだ。

昔から続いていたこの下らない格付け(因縁)に。

 

 

そんな時、今まで結界に注力していた霊夢から声がかかる。

 

 

「あんた!さっさと勝ちなさいよ!」

「巫女……。だが」

「だがも何もないわよ!あんたの攻撃くらい防いで見せるわ!」

 

そう言って霊夢は滅暗の神霊杖を持ち上げる。

杖は霊夢の意思に従うように、その装飾を展開させる。

 

「《神霊符 二重神結界》!」

 

スペルが放たれると同時に今までの結界を覆うように新たな結界が展開される。

 

「そう簡単には壊れないわ。遠慮せずやっちゃいなさい!」

 

霊夢の言葉に焔は笑みを浮かべる。

焔も直感していた。

これなら遊べる、と。

 

「なぁ、殲滅者。」

「な、なんだい急に。」

 

その変化に殲滅者も気がつく。

 

「お前が吹っ掛けたんだ。」

 

焔の剣が揺らめく。

 

逃げんなよ?

 

瞬間、焔の姿が消える。

 

「な?!」

「遅えなぁ!!」

「は、速い!」

 

焔の剣は紅の炎を纏い、目に留まらぬ速さで振るわれる。

振られる度に衝撃波が空を叩き、爆発に似た衝撃波が発生する。

 

「がっ!?」

「まだ、弱っちいか?おい!」

 

焔の連撃が、遂に殲滅者の体勢を崩し、両手の剣を跳ね上げた。

 

「あ…。」

 

弾かれた剣はそのまま跳んでいき、焔の剣が殲滅者の首もとでピタリと止まった。

 

「終わりだ。」

「……そうだな、アタシの敗けだ。」

 

殲滅者は悔しそうに唇を噛む。

 

「俺らと来ねえか?」

 

焔は剣を担いで言う。

 

「な……!」

「ご主人だってそう言うだろうよ。」

 

焔はニカリと笑う。

 

「…いいのか?」

「いいだろ。強さは俺が保証してやっから。」

「そうか…そうだな。あんたに勝つまでは、死ねないからな。」

 

殲滅者はそう言って笑う。

その眼は、先程と違い、きれいなオレンジ色だった。

 

 

 

 

ちなみに霊夢にこっぴどく叱られた。

デスヨネー

 

 

 

 

 

 

「揃ったな。」

 

博麗神社に零達が集まっていた。

焔達式神は陸斗以外全員。殲滅者達は五人全員だ。

 

「もう一度確認する。『今後は俺の式神として協力する。』『幻想郷で面倒事を起こさない。』この二つを守れればあとは何でもいい。」

 

零が確認すると、全員が頷く。

 

「じゃあ一旦お前らを式として取り込む。」

 

そう言うと、殲滅者達の体を光が覆い尽くす。

光はそのまま輝いていたが徐々に小さく、眩しくなり、最後には綺麗な珠になった。

零はそれを取り込み、一息ついた。

 

「終わったわね。」

「ああ。」

「それで、今回の元凶は誰だったんです?」

「ん?ああ、それなんだがな。」

 

そう言って真相を話そうとしたとき、零の意識は暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………。」

 

零が見下ろすのは巨大な島。

さまざまな地形があり、そこには多種多様の生き物達が住んでいる。

全身が赤い液体で覆われた巨人、半透明な体をした海に住まう巨大な蛇、雲の上にある遺跡で眠る半分天使でありながらもう半分は悪魔の怪物等々。

 

「こいつは……。」

 

零は考えを巡らせる。

自分はこれと似たものを見たことがあるはずだ。

いや、見たのは島ではなく怪物達の方だ。

 

「こいつらは……まさか!!」

「『魔法式と生物の複合計画』。」

「誰だ!」

 

背後から聞こえた声に振り向く。

 

「な?!」

 

そこにいたのは。

 

「やぁ、久しぶりだね。ゼロ。」

 

自分と全く似た姿と顔立ち、自分の白い髪や瞳とは対照的な漆黒の髪と瞳を持つ少年がそこにいた。

 

 

 

 

 

 

続く。

 

 

実装して欲しい兵装(元ネタの名前で募集)

  • しめ縄
  • 千岩
  • 雷のような怒り
  • 楽団 
  • 剣闘士
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