【求む】カオス転生でダークサマナーが就職する方法   作:塵塚怪翁

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続きです。

今回は閑話。

※付き合う女性が三人以上になったので「ハーレム」タグ追加


第12話 閑話・年の瀬の彼ら彼女ら

 

 

  第12話 閑話・年の瀬の彼ら彼女ら

 

 

「ぶっちゃけさ、結局ヤったの? ……このっ」

 

「正式におつきあいは始めたよ、とだけなの。……【メギドラ】っと」

 

 

 この辺に居た幽鬼の群れを粗方処理し、ビジネススーツの霊装の姿のなのはは彼女の問に適当に答えて息をついた。

 

 あの事件から数週間が過ぎ、クリスマスも過ぎてもう少しで今年も終わる日になった。

 彼女たちは、この年の瀬に発生した異界の攻略の仕事を受けて奈良の山中にある廃寺の異界の中にいた。理由としては、なのはと一緒に潜っている女性が「お金が無いから助けて」と頼まれたからである。

 彼女は通称、【モリソバ】。本名を嫌っているため、なのはの付けたあだ名で通している。

 なのはの高校時代からの友人で、ガイア連合の関西支部になのはの推薦で所属している現地の能力者としてはかなりの素質を持ったデビルバスターである。

 もっとも、そのスキルの多くは防御のものが主でもあるが。

 そして、稼ぎの多くをソシャゲの推しショタに貢いでいる廃課金者でもある。

 

 

「ふう。後は奥にいるボスだけね。

 いやあ、助かった。これで年明けのピックアップに間に合うわぁ」

 

「また、爆死して【クルシミマス】だったの?

 去年と同じなの」

 

「ぐふっ。だって推しの短刀の子がPUなんだから、回さないと!

 ガチャが回るから、日本の経済も回るのよ!」

 

「今、何個やってるんだっけ?」

 

「男性アイドルと刀剣と騎士ものがメインかな?

 後は、サ終した奴ばかりだし」

 

「みんな、ガイアグループのなの」

 

「いいじゃない。

 そこの系列が一番、R18も含めて運営が多いんだし」

 

 

 モリソバは持っていた片手剣をガチャガチャと音を立てながら脇に抱え、指を折って今やっているソシャゲの数を数える。

 彼女が今使用している装備は、ガイア連合が初期に売り出したがその法的携帯性の悪さから安くなり、さらに中古の放出品で値段の下がった【ししょーパラ子・レプリカ】のフルセットである。

 鋼鉄製の片手剣とカイトシールドに、フルプレートと肌の露出のない本格的な鎧下も付いた確かな防御力と重量のある霊装である。

 先程まで、この装備をまとって息切れもせずに幽鬼の群れを押し留めていたのだから、彼女の実力も現地の人の間では群を抜いているのだろう。

 

 その後、モリソバが呪殺で死に掛かるトラブルはあったがボスの悪霊の討伐と異界の消滅を終えて、地元組織の歓待を断わって足早に装備を中古の軽自動車に積み彼女らは大阪まで戻って来ていた。

 もう日も暮れているため、近くのファミレスで夕食を取ることにして注文を済ませた所でモリソバになのはは質問されていた。

 

 

「前に見かけたことがあるけど、彼氏ってあの作業着を着てた人でしょ?

 長い事、友人付き合いのままでヘタレてたあんたがどうやったの?」

 

「ヘタレ言うな、なの。

 その、ヘタレたいろいろな原因が重なってこうなった?」

 

「ヘタレたいろいろな原因って、何?

 その彼って、小姑みたいな使い魔の子いたよね。

 その子はどうしたの?」

 

「まあ、その子が彼の意思を無視してやらかして?

 あの子は彼にこっぴどく叱られて?

 彼と話している内に、流れで本音を思わず言ってそのまま、ね」

 

 

 真っ赤な顔でもじもじと答えるなのはに、呆れた表情でモリソバは言う。

 

 

「ああ、これが『かーっ見んね、卑しか女たい』かぁ。

 リアルで見るとは思わなかった」

 

「卑しくないし、昔はそっちの方があざとかったくせに。

 ねえ、ふぇいとちゃん?」

 

「本名言うな。

 貴女にそう呼ばれると、あの痴女フォームの自分を想像して嫌なのよ」

 

 

 モリソバの本名は、【田中菲都】。

 読みは『たなかふぇいと』で、もちろん純粋な日本人ある。

 この名前で就活にも失敗し、実家を出ることにもなった事でこの名前を彼女は嫌っている。

 ちなみに本人の容姿は某騎士王似なので、体型的には痴女フォームは子供時代の方が近い。

 モリソバは注文していた150gステーキを食べながら、パスタを食べているなのはに聞いた。

 

 

「それであまり詳しく知らないんだけど、その彼はどう?」

 

「どうって?」

 

「ムグムグ。……人物としてはどう?」

 

「んー彼って、あんな生い立ちなのに真面目でお人好しなんだよねぇ。

 今だって、行き場のない子を抱えているし。

 交友関係もまあ問題があるようにはないかな」

 

「嫌な所は?」

 

「強いて言うなら、これ以上は女性関係を増やして欲しくない、かな?」

 

「…ほほう?」

 

「使い魔の子や式神の子はもう彼の術理の一部だから、もし排除して彼が死ぬような事になるのは嫌だからこの二人は我慢するけど、人間の恋人はわたしだけにして欲しいな。

 それに、使い魔の子の言い分も私がいれば充分なの」

 

「言い分?」

 

「……何でもないの。他には?」

 

 

 3つ目のライスと追加の100gステーキを頼みながら、モリソバは続ける。

 

 

「彼の趣味とかは?」

 

「彼の?

 資格の勉強と筋トレ、かな。

 あとは、色々なスキルの考察と実践かなぁ?」

 

「スキルの考察?」

 

「ほら、わたし達の魔法とかスキルとかゲームみたいじゃない?

 でもこれは現実だから、コマンドを入れれば自動的にはしてくれない。

 下手すると、味方に当たる危険性だってあるんだから。

 だから、ガイア連合の上手な使い方のノウハウの書かれた『魔界魔法概論』とか面白いの。

 彼に貸して貰って、とても勉強になったの」

 

「魔法は使えないからよく分かんないけど、ためになった?」

 

「もちろん。例えば……」

 

 

 なのはは、メモ用紙を取り出し簡単な図を描いて説明する。

 

 例えば、【マハラギ】という魔法が使えたとする。

 ゲーム的に言えば、『敵全体に小威力の火炎属性の攻撃をする』の効果である。

 しかし、現実となった場合、大きく3つのパターンに分類される事になるだろう。

 

 1つ目が、炸裂する火球を投げつける【射撃型】。

 2つ目が、火炎放射器のような【放射型】。

 3つ目が、火炎をばら撒く範囲を決めて炸裂させる【起点指定型】である。

 

 なのはの使う【メギド】系なら、普通は3つ目の使い方をするがなのはは2つ目の使い方のごん太光線を得意としているように皆が個人で感覚で使っているので、この魔法にはこの使い方という基本はあまり無いとその本には書いてあったという。

 

 

「それで、そんなすごい本を書いたのは誰?」

 

「ガイア連合の頂点の人。

 色々仕事で忙しいはずなのに、よくそんな執筆の時間があったのかといつも仕事に追われている神主だよ」

 

 

 デザートのクレープを食べながら答えるなのはに、追加のステーキを食べながらモリソバは話題を戻した。

 

 

「まあ、そんな本を読むくらい趣味も真面目なのもわかった。

 それで、デートしている時はどう?」

 

「遠出する事はあまりないし彼の今の自室が会社の寮だから、わたしのマンションの部屋で過ごすことが多いかな?

 やっぱり手料理とか喜ばれるし、片付けとかの家事も自分からしてくれるからそれだけでも一緒にすれば楽しいよ。

 嬉しいけど、頑張るのは程々にして欲しいなの」

 

「ステーキが甘いわぁ。……それで夜は?」

 

 

 顔を赤らめてフォークでクレープに付いている果物を突きながら、なのはは一息に答える。

 

 

「彼、わたしと会う時は、二人の時間を大切にしたいって他の二人は連れて来ないでいつも一人で来るの。いちばん大事な夜の時間とかさ、いつも優しくしてくれるの、激しくても良いのに。実際、一番最初の時なんか頭が真っ白になって意識が飛んだし。それで、終わった後も髪や頭を撫でてくれたり愛してるとか言ってくれたりこれがまた嬉しいの。嬉しくてもう一回もう一回としてしまって、朝が眠いから大変なの。優しくされると、本当に困るの。おまけに、この間のクリスマスの時は、お姫様抱っことか花束やペアリングをくれたりとか本当に本当に困るの」

 

「うらぎりもの」

 

「な、何で?」

 

 

 ナイフをガッと肉に突き立てて、モリソバは座った目つきで言う。

 

 

「『困る』ってさ、何か不満があるの?」

 

「概ね無いけど」

 

「修羅場の一つもない訳? 風俗通いとか」

 

「その修羅場が原因で今の関係が始まったようなものだし?

 今いるわたし達で満足しているから、他には行かないって彼が言うの。

 照れるから困るの」

 

「正直さ、本気で困ってないでしょ?」

 

「うん、そうだけど」

 

 

 ナイフで突いた肉をムシャムシャと食べて、わざとらしく泣き真似をし始めるモリソバ。

 そんな彼女に、はいはいと答えるなのは。

 

 

「あの日の『我ら生まれた日は違えども、彼氏を作る時は同じ日同じ時を願わん』という誓いは忘れたのかぁ」

 

「そんな『桃園の誓い』は誓った覚えもないし、嫌なの」

 

「ノリが悪いな~。

 そこは『喪女園の誓い』かって、突っ込んでくれないと」

 

「あと、読みの方は『モモゾノ』じゃなくて、本当は『トウエン』だよ」

 

「え、うそ!?

 あ、それはそれとして、誰か同僚の人を紹介してくれない?」

 

「本音はそれかなの。あのね……」

 

 

 こうして女性組のなのはとモリソバ、彼女たちは楽しく夕食を終えて家路についたのだった。

 さて、もう一組の彼らの方も見てみよう。

 

 

 

 

 同日の午前、隆和も依頼を受けて彼女らとは違う場所に来ていた。

 

 そこは、先日、なのはと正式に付き合うことになったと関西支部にいた天ヶ崎千早の元を訪れて頭を下げて報告した時に、目が笑っていない笑顔の彼女からお詫びと思うならと渡された幾つかの依頼の目的地であり、代わり映えのしない洞窟が奥まで続く異界である。

 1つ目の依頼は【幽鬼ガキ】が無数に湧き出る廃寺の異界の封印が壊れたので何とかして欲しいというもので、同時に2つ目の依頼もそこで達成するようにと言われていた。

 そんな異界で、隆和が何をしているかと言うと。

 

 

『上腕二頭筋ナイス・チョモランマ!』

 

「安倍さん。奥から追加のガキが!」

 

「そっちは施餓鬼米を撒いてくれ。トモエ、こっちのに破魔呪文!」

 

「はい。【マハンマ】!」

 

「「「ギギギィッ」」」

 

 

 ナイスボートニキの気づいた声を聞き、トモエが範囲破魔呪文でガキの群れを消し去った。

 残っていたガキを殴りつけて倒し、隆和は息をついた。

 そして、ナイスボートニキが手に持っている『それ』について話しかける。

 

 

「それで、そのアイテムは本当に効果が出ているのか分かるかい?」

 

「確かに働いてはいるようなんですが」

 

『ケツのキレがバームクーヘン!』

 

「説明書だと、こうやってセリフを言う間は作動中だとありますね」

 

「これを作った奴は何を考えているんだろうか」

 

 

 ナイスボートニキが持っているのは、高さ30cm程の禿頭のボディビルダーがにこやかに笑いながらサイドチェストのポーズをしている金色の金属製の像である。

 その像の名は、【お願いゴールデンマッスル】。

 以前、隆和が持ち込んだ仏像を解析して作ったらしい産物で、あの仏像とは反対の敵を寄せ付けない【エストマ】の効果を発揮するらしいと説明書には書かれている。

 つまり、2つ目の依頼とはこの怪しげなアイテムのテスターである。

 

 

『筋肉国宝! ルーブル美術館に展示したい!』

 

「台詞はオフに出来ないのかな?」

 

「仕様だそうです。そういえば、もうひとりの彼女は?」

 

「ああ。

 コレットなら他のアイテムのテストに協力してもらったから休んでいるよ」

 

 

 コレットは先日の件での罰の代わりに、もう一つのアイテムのテストに協力したおかげで封魔管の中で腰を押さえて唸っている。

 知り合いだった神父の死からやたらと奔放になった彼女がテストに協力した試作アイテムの名前は、【螺旋棒カラドバイヴ(仮)】。

 山梨での隆和のスキルの解析データを見たとある女性技術者が、彼女の悲願を達成するべく己の趣味全開で作った突っ込むと【ハピルマ】が掛かる女性用の大人の試作玩具である。

 技術者の女性本人が山梨からわざわざ来て昨日いっぱい掛けて試したため、いまだにコレットはまともに歩けない状態である。ちなみに、女性技術者の方はほくほく顔で元気に帰って行った。

 

 

『プロテインにイースト菌混ざってんのかい!』

 

「時間も惜しいし、それじゃ奥に行ってボスを倒しましょう」

 

「そうだな、トモエ。前方は任せたよ」

 

「はい、主様」

 

『筋肉の徳が高すぎる! 前世で国でも救ったんか!』

 

「煩いぞ、この像」

 

「そうですね」

 

「わたくしもそう思います」

 

 

 この後、危なげなくボスだった【幽鬼ストリゴイイ】を殴り倒し異界を消滅させることが出来た。

 前の一件から地元組織の歓待やらはスルーして速やかに大阪に戻り、老舗のお好み焼き屋の奥の個室で3人で早めの夕食を食べていた。

 注文したモダン焼きを食べながら、豚玉を食べている隆和にナイスボートニキは聞いてきた。

 

 

「それで、この像の報告書どうしましょうか?

 あの異界だといまいち効果が分かりませんでしたけど」

 

「悪魔の強さとしては試験的には良かったかもしれないけど、封印が破れた途端にガキがぞろぞろと出てくる異界はちょっと数が多すぎる」

 

「結局、全部で何体くらい居たんでしょうかね、あそこ。

 持っていった施餓鬼米や破魔札、カバンいっぱいに用意したのに全部無くなりましたからね」

 

「トモエは分かるか?」

 

 

 モソモソと少しづつ焼きそばを食べていたトモエは問われて、少し考え込んでから答えた。

 

 

「直接刀で倒したのだけで、20は越えていました。

 一番奥の湧き出てくる裂け目にお地蔵様を置くまで、全部で50近くは倒したかと」

 

「一応あれで治まったからいいけど、あそこを管理してた人たちが全員やられたのはあの数のせいだろうしな。

 しばらくはガキって、もう見たくないな」

 

「じゃあ、あの像の報告書は『効果はイマイチ』という風にしておきます」

 

「それでいいんじゃないかな」

 

 

 それからしばらくは食事を続けていたナイスボートニキは、恐る恐る隆和に聞いた。

 

 

「あの、……もしかして高橋さんとお付き合い始めました?」

 

「そうだけど、何かあった?」

 

「あー、ほらこの間来ていた女の人、あの人、関西支部の監査部門の所属になったみたいです。

 それで、安倍さんが居ないときに来て高橋さんとバチバチやりあっていた時に聞きました。

 そこに立ち会った服部さん、胃が痛そうにしていましたよ」

 

「服部さんに今度何かお詫びを持っていかないといけないなぁ」

 

 

 呑気にサラリマンニキに持っていく品を考えている隆和に、真剣な顔で忠告するナイスボートニキ。

 

 

「安倍さん。

 包丁ケースになりたくないなら、高橋さん達と話し合っておいて下さいね。

 やっとそういうのから逃げれたのに、職場で見たくないですから」

 

「はい、すみませんでした」

 

「わたくしとコレット様の事もお忘れなく。主様」

 

「はい、埋め合わせはいずれするから」

 

 

 忠告をするナイスボートニキとボソッと主張するトモエに謝りつつ、彼らは楽しげに夕食を終えてガイア大阪に帰って行った。

 

 

 

 

「仮にもさ、義理とは言え父親だったらさ、他の女の人の事ばかりで娘の事を放りぱなし過ぎじゃないかな?

 言ってる事、おかしい? 隆和さん」

 

「ごめんね。正月はどこかに出かけようか?」

 

「ふ、ふうん。じゃ、じゃあ期待しておこうかな?」

 

 

 その日の夜、ガイア大阪の食事スペースにて、お土産にお好み焼きを買って帰って希留耶のご機嫌を伺う隆和の姿が見られたそうな。

 どっとはらい。




後書きと設定解説


・関係者

名前:モリソバ(田中菲都・たなかふぇいと)
性別:女性
識別:異能者・自称20(29)歳
職業:フリーター→ガイア連合関西支部所属デビルバスター
ステータス:レベル19(成長限界)・フィジカル型
耐性:破魔無効・呪殺耐性
スキル:変なスラッシュ(敵単体・小威力の物理攻撃・低確率で幻惑付与)
    全門耐性(物理・万能以外の属性攻撃を受けた際、ダメージを50%にする)
    みかわし(物理攻撃を回避しやすくなる)
    食いしばり(HPが0になった際、自動的に一度だけHP1で復帰する)
    不屈の闘志(HPが0になった際、自動的に一度だけHP全開で復帰する)
    生還トリック(即死効果攻撃を受けた際に自動的に必ずHP1で生き残る)
装備:片手用の剣(ガイア連合の初期製品)
   片手用の盾(同上)
   フルプレート鎧(同上)
詳細:
 某騎士王に似ているが黒髪で日本人顔の女性デビルバスター
 高卒での就活に全滅し、両親と揉めて家を追い出されこの業界へ
 魔王ネキの学生の頃の友人で、あだ名の命名者も元ネタを知ってる魔王ネキ
 ソシャゲの複数の彼(ショタ)のために、ガチャやグッズに課金する廃課金勢


次回は、新しい事件。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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