【求む】カオス転生でダークサマナーが就職する方法   作:塵塚怪翁

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続きです。


第15話 血縁と因縁と

 

 

  第15話 血縁と因縁と

 

 

「安倍はんの母親の女性はな、華門さんもおった華屋敷で育てられていた土御門の一族の娘や」

 

 

 長く話し込んでいたおかげで昼食の時間になり、一休みしようとなって隆和がトモエや希留耶の分も買って来た金龍ラーメンのテイクアウトを食べて、食後の諸々も終わり全員が人心地つくと仕切り直しとばかりにカバンから書類を取り出し千早は話の続きを切り出した。

 

 

「彼女の出生に関する連中の記録にはこう記されとる」

 

『帝都にて霊災を起さんとした一族の血筋の娘、産まれる。

 七番目に産まれし娘の為、名を【安倍七菜】とす』

 

「そこが麿呂にも不思議でおじゃった。

 かの安倍晴明の陰陽に通じる子孫は、普通、『土御門』か『賀茂』の姓を名乗るのが通例。

 されど、姓が『安倍』なのは不可解でおじゃる」

 

 

 その出生に関する一文に一条氏が疑問を呈し、千早は答えを返す。

 

 

「それについても調査は済んどるよ。

 かつて土御門の一族の衰退に憤慨した者達が帝都にて邪悪な神を呼び出さんとして、かの葛葉ライドウにより『安部』姓を名乗った一族が結社ごと潰された事件が実際にあったんや。

 ガイア連合のデータベースにも記されとった。

 【秘密結社コドクノマレビト】、安倍はんはこの結社の生き残りの血筋や」

 

 

 

 

 デビルサマナー葛葉ライドウ対コドクノマレビト (ファミ通クリアコミックス)

 

 著者 作画:綾村切人

    原作:金子一馬(ATLUS)

    監修:山井一千(ATLUS)

    脚本:真壁太陽

    脚本:原田庵十(RA―SEN)

 

 ゲーム「葛葉ライドウ対アバドン王」のその後の物語

 2012年4月より全6巻刊行 今なら電子書籍がおすすめ!

 

 

 

 

「何や?

 おかしな間があったような気いがするけど、まあええわ。

 とにかく、これに賛同したけど参加仕損なって運良く生き残ったのがご先祖さまや。

 どうや、安倍はん」

 

「なるほど。じゃあ、続きを」

 

「反応がえらい薄いな!?

 自分のルーツに関することやで?」

 

「いや、ぶっちゃけ今世の自分の血筋がどうと言われても、あまり関心がないし。

 あと、出来れば手短に出来るかな?

 元々今日は、希留耶やなのはと買い足りないものとか相談する予定だったんだ」

 

 

 時間をおいて冷静になった隆和の反応の薄さにがっくりと来る千早。

 だが、隆和からしたらいろいろと手を尽くしてくれている事には感謝しているが、もういろいろと勘弁して欲しいのが正直なところだと考えている。

 

 両親がどうしたのかは興味があるが、それ以上にいかにレベル30を越える実力や直に悪魔と殴り合える精神的なタフさがあろうと、それとは別に隆和にとってぐいぐいと押して来る女性と一緒に過ごす事はたとえ美女でも苦手である。

 適切な距離の構築を恐る恐る進めているなのはと希留耶だけでもこちらのやる事に完全に合わしてサポートしてくれるコレットとトモエが居ないと難しいのに、さらに千早と華門嬢を合わせた十数人の女性達が「面倒を見て」と現れたとしたらハーレム云々言う前にもう手一杯である。

 

 そんな隆和の内心と彼にはわたし一人でもう充分と考えるなのはの内心は別にして、千早は憮然として話を続けた。

 

 

「ええとな、その七菜はんやけど大人になって巫女として拝み屋を修行がてら言い付けられてな。

 その過程で、敵対者の呪殺から身を守って貰った事でうちのおとんも助けて貰っているんや。

 だから、安倍はんは恩人の息子でもある訳やな。

 で、父親は行きずりの関係やったらしく不明でその後に出産の際に七菜はんも亡くなり、赤子の安倍はんは組織の孤児院に預けられて今に至るちゅう事や。

 ざっと纏めるとこれで全部や」

 

「それで母の墓とかは分かるかい?」

 

「ああ、それならこの資料のコピーにあるさかい、後で見てや」

 

「ありがとう」

 

「ええんや。

 ほな、そういう事ならうちらはそろそろ引き上げるわ」

 

「ほほ。興味深い話であったおじゃ。

 勿論、他言はせぬ故、安心してたもれ」

 

「それでは隆和様、また折を見てご相談させて頂きとうございます。

 本日はこれにて失礼致します」

 

 

 それぞれに別れを告げられ、千早に資料の書類を渡されるとなのはと隆和は疲れた表情で隣の自室へと帰って行った。

 それを見送り、自分達も帰る準備をしながら千早は二人に聞いた。

 

 

「どや、安倍はんは?」

 

「麿呂の術でも分からぬ程の実力を持つのに、只人と変わらぬ意識の稀有な男子よの。

 市井の出が多いガイア連合の実力者も、あのような者が多いのは理解しておったのでおじゃるが」

 

「私の知る男性の中でも、とびきりにまともな方でした。

 『悪魔と相対するならば、女性は遺書を書き残し純潔も悪魔に散らされる前に経験すべし』と教えられていましたが、実力といい心持ちといい一族の方である事もとても素晴らしいです。

 ぜひ、あの方に私や皆のお相手をして頂きとうございます」

 

「言うてる事は分かるけど、そんな申し出は直接言いに行ったらアカンよ。

 なのははんのとの契約があるし、監督責任はうちにあるからな。

 今は我慢しい。悪いようにはせんさかい。

 まずは、男の気を引くなら実力と経済基盤からや。

 バリバリ行くで」

 

「はい。精進致します」

 

 

 頬を染めフンスと意気揚々とする華門嬢と懲りずに彼女なりの『男の気の引き方』を箱入り娘に教える千早を見て、引き気味の一条氏はポツリと小声で述べた。

 

 

「それはもしや、結婚ではなく男をヒモにする気でおじゃ?

 あな、恐ろしや。家に帰りたい」

 

 

 さて、そんな彼女の企みは関西支部にもたらされた急報によって中断する事になる。

 関西支部の支部長が大怪我を負って運び込まれた、という急報で。

 

 

 

 

 この日、関西支部長である【レスラーニキ】こと関本順一郎は、いつもの如く大雑把な彼はもともと内部監査で来た千早に監査するなら全部見てくれと事務の権限を放り投げて任せると、自分は低位の俺らや現地の霊能者の訓練の為に関西支部で幾つか確忍している山中の低レベルの異界で彼らを率いて湧き悪魔と戦っていた。 

 何しろ彼は身長2mにもなる和風ザン◯エフのような容貌でかつ前職の関西日本プロレスの興行ではヒール役として有名だったので、参加する人員が大人しく従いトラブルが非常に少ないと好評な主に男性向けコースの指導役をしているのである。

 

 その日の彼や参加者が覚えている限りでは、先頭を一反もめん型のシキガミ2体と最後尾に彼が付き途中の広間で戦っている時に奥の通路から閃光を発する物を投げ込まれ、視界を封じられている状態で奥から来たレスラーニキに匹敵する体躯の何かに打ちのめされ、財布や参加者の霊装を奪われたという事だった。

 レスラーニキは、この際に襲撃者や悪魔等から皆を逃がすために殿を努めて大怪我を負ったという事だった。

 

 その後、関西支部ではしばらく異界の訓練は中止して犯人の捜索に注力する事になった。

 2m近い体躯に目出し帽をして、服装は革の手袋に革ジャンとGパンとスニーカーで、腕や首元に入れ墨の一部が見られるおそらく若い男性であるため、そいつは仮称で“ヤンキー”や“半グレ”と呼ばれることになる。

 

 

 

 

 視点をその襲撃者の所に変えてみよう。

 

 襲撃を終えたその大男は、近くの峠の駐車場で待機していた仲間のバイクで早々に逃亡した。

 もちろん、すぐには追えないように不良共は、彼らが乗ってきたバンしか車がないことを確認して車上荒らしとタイヤに穴を開けた上で逃げていた。

 戦利品を伝手のある質屋で売り払い、アジト代わりにしている仲間のバイト先のカラオケで日も暮れて暗くなった中、コンビニで買った酒や食べ物で宴会をしていた。

 

 目出し帽は脱いでいたリーダーらしいその大男は飲んでいたカップ酒を置くと、副リーダーらしいマスクをした痩せぎすの男に話しかけた。

 

 

「そんで、木下よぉ。儲けはどんくらいだ?

 あいつら、お前の情報通りすげぇ強かったんだ。金、持ってたんだろぉ?」

 

「ああ。

 手持ちも、そこそこ持っていた。

 車もリーダーじゃなきゃ壊せないくらい頑丈だったしな。

 車内に指輪とか首飾りとかあったから、いい稼ぎになった」

 

「ああ、この木刀とかこの指輪とか、クソ雑魚のくせになかなかいいの身に付けていたしな。

 この木刀があったから鉄パイプで殴っても駄目だったあの車、壊せたんだしなぁ」

 

 

 手に入れた木刀を誇示するリーダーに、木下も酒を飲みつつ聞き返す。

 

 

「なあ、人は殺してないよな?」

 

「中で出て来たでけぇレスラーだって殺してねぇよ。

 殺しは面倒になるから今は止めろと言ったのはお前じゃん」

 

「レスラー?」

 

「おお。

 このクソ寒いのに半袖シャツとGパンだけでよ。

 その格好で、プロレスマスクを付けていた俺よりでかい男だったぜ。

 いくら頭をぶん殴っても倒れないくらい頑丈だったな」

 

「…………」

 

「おい、どうしたよ。木下?」

 

 

 考え込んでいた木下は、リーダーをじっと見た上で話を続ける。

 

 

「知り合いがさ、稼ぎが上手くいかないって嘆いていたんだよ。

 最近、今日相手にした連中に幾つも仲間やアジトを潰されたからってさ。

 なあ、リーダー。そいつに力を貸してくれねぇか?」

 

「金が手に入って、今日みたいな潰しがいのある相手がいるならやるぜ」

 

「上手くやりゃ、金も女も手に入り放題だぜ、リーダー。

 あんたの強さなら、向こうも納得するだろう。

 じゃあ、向こうの奴に話をつけるから待っててくれ」

 

「そんじゃ、前祝いだ。もっと飲もうぜ!」

 

「「「ヒャッハ~~!」」」

 

 

 騒ぎ出す彼らを横目に見ながら部屋を出て、電話を掛け始める木下。

 リーダーの強さを再認識し、ニヤリと笑う。

 

 

「もしもし、木下ッス。

 ジングォンの兄貴に伝えて下さい。

 うちのリーダー、あいつらの幹部を潰せたって」




後書きと設定解説


・主人公

職業:工務店契約社員→フリーター/ダークサマナー

職業:ホテルガイア大阪警備員(契約社員)/京都土御門家総代(名義貸し)

・関係者

名前:レスラーニキ(関本順一郎)
性別:男性
識別:転生者(ガイア連合)・38歳
職業:関西日本プロレス選手→ガイア連合関西支部支部長
ステータス:レベル16・アタック型
耐性:物理耐性・破魔無効・呪殺無効(装備) 
スキル:マッスルパンチ(敵単体・中~大威力の物理攻撃。
            自身の残りHPが多いほど威力が上昇)
    投げ技(敵単体・中威力の物理攻撃・低確率で転倒による緊縛付与)
    ぶっ潰し(敵全体・中威力の物理攻撃。命中率が低い)
    気合(使用後の次の物理攻撃の威力が一度だけ2倍になる)
    挑発(しばらくの間、敵から狙われ易くなる)
    地獄のマスク(状態異常になる、及び即死する確率を減少)
装備:プロレスマスク『ザ・ギエフ』(呪殺無効付与)
詳細:
 元は『関西日本プロレス』のベテラン選手で引退後にガイア連合に最近合流した転生者
 面倒見の良さを買われ支部長になるが、現場にばかり出て書類は部下任せ
 体格は2メートルを越える和風ザンギエフのような風貌で女性は苦手 
 自分専用のシキガミ嫁はまだ資金不足でなく貯金中


次回は、次の事件。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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