【求む】カオス転生でダークサマナーが就職する方法 作:塵塚怪翁
今回は、ある意味装備ネタ回。
第22話 異界突入準備
準備期間の1ヶ月が過ぎ、師匠のいるであろう異界攻略の当日となった。
異界のある場所は、京都の公的な地図から消された小さな廃集落の中にある廃寺の一角にある。
そのため、かろうじてアスファルトの残る1台分の幅しかない車道を、『ガイア運送』と書かれた冷凍トラックが3台、黒塗りの大型バンの4台がそこを通って目的地の廃寺の近くの広場まで移動していた。これらのトラックは連合員の装備運搬目的の為に中が改造されており、1台が表だって運べない装備運搬用で、他の2台は女性の着替え用の車であり冷蔵機能は車内用のエアコンに付け替えられている。
寺の門の階段の下にある元は屋敷の瓦礫を片付けて作られた広場に、大型バンが次々と停まり中から大勢の人たちが降り始めると、一際大きい体格のレスラーニキが声を張り上げる。
「よーし、それじゃあ各自決められた通りに準備開始だ。
突入班は装備の準備だ。
ベースキャンプの設営班は俺について来てくれ。
突入は、30分後だ。動くぞ!」
「「了解です、支部長」」
「我々も行動開始だ。駆け足!」
「「はっ、大佐殿!」」
他の各チームが動き出すのを見て、隆和もなのはとトモエに話しかける。
「濃い人が揃ったなぁ。
こっちも準備をしようか?」
「人前であれを着るのは恥ずかしいんですけど、主様?」
「そうなの。さらに、『元ネタそのまま』だなんて言われるの」
「かと言って、今回はレベル30超の悪魔が出るだろう最奥に突入するんだ。
ちゃんと、防御力の高いやつを大枚はたいて買ったんだからね。
大丈夫。二人ともよく似合っていて綺麗だし、ね?」
「そ、そこまで言われると照れるの」
「悪い気はしませんけど」
「それにさ、充分、他のみんなもコスプレの集団みたいなものじゃないか。
それに、俺の【能力は優秀な下ネタ装備】よりはいいんじゃないか?」
「あっ。じゃ、じゃあまた後でなの」
「す、すぐに戻ります、主様」
隆和の言葉になのはとトモエはそそくさと自分の装備を運搬用のトラックから受け取ると、着替え用のトラックへと移動し中には入った。
隆和も憮然とした表情でバッグを取ると車の中でさっさと霊装に着替え、表に出て改めて車のミラーで自分の格好を見る。
一見何処にでもあるような前側にあるチャックを開け閉めして着るタイプの青い全身つなぎの改良型【アーッニキのツナギ】、少し開けた首元にはHPの上昇する【活脈】のスキルが付与され女性型悪魔の目を惹き付ける効果もある男性用の金のシンプルなネックレス霊装【チャラ男のゴールドネックレス】、両足には外見は工事現場でよく使われるハーフブーツ型の革製の安全靴だが、障害物を躱して移動でき転倒しにくくなる効果と装備者の速のステータスを少し増加する【追跡者の安全靴】、ここまでは隆和でもまだ許せる範囲だ。
でも、両手に付けた格闘家が使う手首と拳を保護できる黒のオープンフィンガーグローブで、右手の甲に『耽』と左手の甲に『靡』がそれぞれ達筆の白字で書かれている格闘ダメージを上昇させる効果のある【パワアーッグローブ】と、中に着ている効果を使うのも憚れる尻に達筆の白抜きで『摩』の印刷がある黒いブーメランパンツの男用水着霊装【ギリギリブーメラン】は、我慢できずに隆和は山梨の黒医者ニキに抗議の電話を入れた。
入れたのだが、その有用な効果をこんこんと説明されて実際に有用なため折れるしか無かった。
それを思い出し、ため息をついていると着替えたトモエが現れた。
あの某あいとゆうきのおとぎばなしのゲームに登場するピッチリとした体のラインが諸に出るパイロットスーツを再現した【99式衛士強化装備・レプカ】の上に専用の黒いコートを着込み、左腰にはメカメカしい鞘に納められた刀身が1m近くある【名刀ムラサマ】を下げている。
「主様。準備完了です」
「ああ。ん? ……なのはは?」
「それが……」
トモエが後ろを振り向くと、【ししょーパラ子・レプリカ】の女騎士姿のニヤニヤと笑っている某騎士王似のモリソバに引っ張られて着替えが終わったなのはが真っ赤な顔で現れた。
「やっぱり、この歳でこの服は恥ずかしいの!」
「何言ってるの? よく似合っているじゃない。
ほら、上を向いて『少し頭を冷やそうか』と言ってみて?」
「言・い・ま・せ・ん」
「ほら、もう彼氏の前だから遅い遅い。
あ、彼氏さん、どうも。
恥ずがしがって、動かないから連れてきたよ」
「…………どうかな?」
「うん、可愛いよ。選んでよかった」
真っ赤な顔でもじもじとしながら、なのはは両手で持っていた専用の杖をドスンと地面に立てた。
あの彼女がそっくりだと散々言われていた某リリカルな魔砲少女アニメに登場する主人公が19歳時の胸元の赤いリボンと青と白で構成された服を再現した衣装を、唯一サイドテールの髪型のまま白いリボンをつけた彼女は纏っていた。この服は他の3人娘の衣装と同様に連合員向けに販売されているものを、隆和が代金を全て払って彼女用に仕立て直したものである。
ただ、手にしている杖は少し違うものだった。
柄の途中から某白羽根つきWのロボットが持っていた主力兵装である大出力ビームライフルの様に変わり、途中に左手で保持する取手とトリガーの付いたゴツい両手持ちのなのは専用の杖【バスターライフル・スタッフ】を彼女は持っていた。
製作者曰く、【ビームライフルに見えるかもしれないが、これは杖です】と述べていたと言う。
恥ずがしがっているなのはを頷いて見ながら、隆和は最後の追加装備を封魔管から呼び出した。
「出てこい、【ファース】」
「はっ、上官殿!」
隆和の傍らに、白地に赤十字のマーク付きのヘルムと腕輪をした自衛隊の衛生兵の服装をした金髪碧眼の10代前半の美少女のような容姿の美少年?が、彼に敬礼をして現れた。
ただ、その背中には白い羽根が生えていた。
彼?の名前は【天使エンジェル】の【ファース】。『ファーストエイド』の略で【ファース】である。
もともと彼?は、とある異界の過激派の天使を掃討する依頼で捕獲されたボス天使に召喚されていた天使である。
捕獲した転生者のその人物は技術検証用の実験用悪魔を欲しがっていた技術班の友人に彼?を譲渡し、その技術者の所で趣味の入ったやり方で散々いじくり回され飽きられた後はガチガチに契約で縛り上げて治療用の“備品”として使われていた。
そこを偶々、隆和が抜けた治療役の仲魔を探してくれと相談されていた黒医者ニキが丁度いいとばかりに交渉の末に二束三文で譲り受け、隆和の新しい仲魔として送られて来たという経緯でここにいた。ちなみに、この姿も天使っぽい白い服からその技術者の趣味で今の服装に変えられた。
どこか諦観のある光のない目でこちらを見るファースに、やり辛いなと思いつつ隆和は告げる。
「いいかい、君の任務はここにいる3人の現場での治療が任務だ。
その次は、なのはの護衛を優先するんだ。
後は、適宜、MPに余裕があるなら周りの人間の治療をしなさい。
あと、MPが切れそうな時はここにいる3人の誰かに報告すること。いいね?」
「はっ。了解しました、上官殿。
なのは殿、随伴しますので何かありましたらご命令を」
「よ、よろしくなの」
「天使が彼氏さんの使い魔かぁ」
甲高い子供の声でそう答えると、複雑そうな表情のなのはの傍らで待機するファース。
準備が出来た5人は、異界の入り口を目指して階段を上り崩れた寺の門を通り過ぎた。
†
廃寺の中に入ると、そこは隆和が来ていたときとはまるで違う光景がそこにあった。
彼らが来ていた頃は崩れ落ちて朽ちた木造の建物があり、その角に異界の入り口の目印になっていた岩と小さな祠があってそれ以外は何も無かった。
しかし、今の状態は入り口のすぐ近くに設置型のバリケードと簡易テントがあり、忙しく色取り取りのコスプレの集団にしか見えない人々が大勢動き回っていた。
その中で一際目立つ人物といえば、隊列を組んで全員が目出し帽と迷彩服の上から防弾ジャケットを着込み、手にボウガンや改造モデルガンを持った20人ほどの一団を後ろに従えた某錬金術師漫画の火炎使いにそっくりな軍服の人物がいる。
そして、それ以上に目立つのが、白とピンクのリボンがたくさん付いたへそ出し魔法少女の衣装をピッチピッチに着ている身長2mマッチョのレスラーニキが真面目な顔で軍服の男性と打ち合わせをしている風景だろう。
それに、近くにいる軍服の一団の何人かは小刻みに体を震わせながら隊列を維持しているのは、こちらにも飛び火しそうなので止めて欲しいと隆和となのはとモリソバは思った。
その光景を見て足を止めていた隆和たちに気づいたレスラーニキが手を振るのを見て、そこから一抜けするかのようにモリソバは声を掛けて駆け足で離脱した。
「おーい!」
「ぷっ、そ、それじゃこっちはあそこの簡易テントのベ、ベースキャンプと入り口の護衛がし、仕事だから。
なのは、彼氏さん。じゃ、じゃあ!」
「あ、こら。ふぇいとちゃんてば!」
「だ、だから、本名言うなし!」
「こっちだ、こっち。打ち合わせするから来てくれ、アーッニキ」
「ああ」
走り去るモリソバに文句を言うなのはと右手で太ももを抓りながら無表情で黙っているトモエを伴い、お互い様な格好だよなと思い笑う気にはなれない隆和は魔法少女レスラーニキの所へと話が出来る距離の側まで近寄った。
そして、表情を崩さずこちらを冷徹に見つめる軍服の男性と挨拶をし、主に視線をそちらに向けて打ち合わせが始まった。
「アーッニキ、魔王ネキ。
こちらは今回、天ヶ崎くんが本部に掛け合って呼んでくれた味方の【大佐ニキ】だ。
大佐ニキ。
彼らが今回最奥まで突入するチームの一つで、アーッニキと魔王ネキだ」
「大佐ニキだ。
異能者のPMC【国境なき復讐者】の代表でもある。
今回、君らと共にこの異界の悪魔の殲滅の依頼を受けた。
よろしく頼む」
「よろしく」
「よろしくなの」
「今回の作戦では、彼ら大佐ニキとこちらで選抜したメンバーが数人ずつチームを組んで奥に突入する。
大佐ニキのところとは違ってこちらはバラバラに動くだろうから、そこは注意してくれ。
それと、俺はレベルが奥まで行くには足りないからな。
救助と入り口の確保のために、内部の入口付近で指揮をする事になる。
何か質問は?」
大佐ニキが隆和たちをちらりと見て質問する。
ファースを見た時、一瞬だが睨みつけるようにしているのに隆和は気づいた。
「一つ聞きたい。
最奥にいるらしい彼の師匠とやらの扱いについてだが、こちらは触れなくても構わないな?」
「そうだな。
彼によると奥でボスの女性悪魔を封印し続けているらしいが、その辺の対処は彼に任せよう」
「そうなると、彼らを最奥まで送り届けるのも目的の一つになるな。
では、もともとこちらは悪魔の殲滅を目的にしているから、露払いは任せてもらおうか」
「ああ、大佐ニキはそういう事で頼む。
治療は、本部からも呼んだ応援をそこのベースキャンプに置いているから安心していい」
簡易テントのあるベースキャンプの方を見ると、本部から来た応援の人らしいウサギを肩に乗せた若い男性や胸のとても大きい某源氏の総大将の女性シキガミを連れた少年に、ピンク色のマシュマロのようなシキガミを連れた中年男性などこの辺ではあまり見かけない人たちも出入りしている。
彼らが、レスラーニキの言う治療担当の応援だろうと隆和は考えた。
そこへ、ピピピッとレスラーニキの左腕のこれだけは男性用の銀色の腕時計がアラームを鳴らした。
突入開始のようだ。
レスラーニキと大佐ニキは周囲へと声を掛け始めた。
「時間だ!
それぞれチームを組んで、突入開始だ。行くぞ!」
「聞いていたな、隊員諸君。
こちらもチームを組んで突入開始だ。
効率よく悪魔を殺すぞ! 状況開始!」
バタバタと一斉に動きが慌ただしくなり、祠の前で待機していた職員が結界を解き入口を開ける。
暗い穴のようになっているそこへ、準備の出来たチームから総勢数十名がぞろぞろと突入して行った。
隆和も皆に声を掛け腰のアイテム入れのポーチを確かめると、入り口へと移動を開始した。
「それじゃあ、行こうか。必ず生きて戻るぞ!」
「はい、主様」
「はいなの」
「了解です、上官殿」
そして、隆和たちも暗い穴のような異界の入り口へと突入して行った。
後書きと設定解説
・仲魔
名前:ファース(ファーストエイド)
性別:両性
識別:天使エンジェル
ステータス:レベル13
耐性:破魔無効・呪殺弱点・精神無効(契約者は除く)
スキル:ハマ(敵単体・低確率で即死付与)
アギ(敵単体・少威力の火炎属性攻撃)
ディアラマ(味方単体・大回復)
アムリタ(味方単体・状態異常を全て回復)
飛翔(障害物を無視した移動が出来る)
房中術(弱)(取得経緯は察して欲しい)
詳細:
金髪碧眼の10代前半の美少女のような容姿の備品扱いされていた天使
一部の技術班員により趣味の入った調整処理済みで絶対に逆らえない仕様
白地に赤十字のマーク付きのヘルムと腕輪をした衛生兵の服装をしている
・アイテム
【アーッニキのツナギ】
前側にあるチャックを開け閉めして着るタイプの青い全身つなぎの霊装
いろいろと改良され、正式名称がこれになった
麻痺無効と回避強化を付与されている代わりに防御力は低い
【ギリギリブーメラン】
尻に達筆の白抜きで「摩」の印刷がある黒いブーメランパンツの男用水着
効果は後ほど
【チャラ男のゴールドネックレス】
チャラ男がよく着けそうな金のシンプルなネックレス
HPの上昇する【活脈】のスキルが付与されている
また、女性型悪魔を惹き付ける自動効果あり
【追跡者の安全靴】
外見は工事現場でよく使われるハーフブーツ型の革製の安全靴
障害物を躱して移動でき、転倒しにくくなる効果がある
また、装備者の速のステータスを少し増加する
【パワアーッグローブ】
格闘家が使う手首と拳を保護できるオープンフィンガーグローブ
色は黒で、両手の甲の箇所に白字で「耽」と「靡」がそれぞれ達筆で書かれている
使用している間、格闘ダメージを少しだけ強化する効果がある
【ナノハ・バリアジャケット】(なのは用)
某リリカルな魔砲少女アニメに登場する主人公19歳時の服を再現した物
コスプレ衣装の様だが、見た目に反し霊装としての防御力はかなりのもの
【呪殺無効】を付与され、靴やストッキングにリボンまで全てセットで揃っている
女性用の霊装として、他にフェ◯トやは◯ての物も一般販売している
ネタ装備は考えるのが楽しい。
次は、出来るだけ早く。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。