【求む】カオス転生でダークサマナーが就職する方法   作:塵塚怪翁

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続きです。
いよいよ、ラスダン突入。


第23話 異界・大内屋敷

 

 

  第23話 異界・大内屋敷

 

 

 【異界・大内屋敷】へと、いよいよ突入した。 

 もちろん、雪崩込むような勢いではなく奇襲を受けないように慎重に進むのだが、隆和たちが見覚えのある異界内の入り口に到着すると先に入っていたメンバーが困惑したように立ち止まっていた。

 遅れて自分が率いるチームを連れて入って来たレスラーニキに、先に斥候に出ていた一人が大慌てて戻って来て彼に報告している。

 

 

「支部長! 大変です!

 事前の情報と内部が食い違っています!」

 

「どうしたぁ、報告しろ!」

 

「は、はい!

 内部の外観も変化していますし、出現する悪魔も違います!

 天使の群れがいます!」

 

「何だと!」 

 

 

 目の前には隆和も見慣れた入口になる左右を高い瓦屋根付きの塀で遮った寺風の大門があるが、先行しようとしたチームが門の扉を開け放つとその向こうには異様な風景が広がっていた。

 

 山梨支部にも報告書を上げた隆和が見た異界だと、中は常に曇天が広がり薄暗い空のある寺の庭のような風景が広がっていた。

 また、ここの異界は高い塀と門で遮られたエリアが連続で続く造りになっており、最奥に行くにはそれらのエリアを守る敵を倒し複数回それを突破しないとたどり着けなくなっていた。

 塀の高さは2mを越えていて侵入者は乗り越えようとすると、透明な壁で遮られ乗り越える事は出来なかった。さらに、この異界にいる空を飛ぶ悪魔と互いの攻撃は通過できるため、遠距離攻撃を隆和たちはよくされていたものだった。

 そして、奥の方角には小高い石垣で出来た高台に塀で囲まれ一際大きい瓦屋根が中央に見える事からそこが最奥の屋敷だと思われていた。

 

 しかし、今そこに広がる光景はそれとは違っていた。

 

 奥に広がる空は晴天の明るい空となっており、エリアを遮る塀と大門が白亜の西洋風の石を積み上げた城風の塀と大門に変化していた。また、床は白い砂利と石畳の日本風のものが芝生と白い石の通路に変わり、節目節目で通路を照らしていた石灯籠は聖人の石像や十字架の立像へと変わっていた。

 そして、奥に見えるはずだった日本家屋の屋敷も一際高い鐘楼を持つ荘厳な白い教会へと変わり果てていた。

 

 その変わり様に呆然とする隆和の横で、それを見つけた大佐ニキが叫ぶ。

 

 

「見ろ! 天使の群れが飛んでくるぞ! 迎撃準備!!」

 

「なのは! うってつけの出番だ!

 ファース、トモエ、彼女を後ろから支えて!」

 

「オーケーなの。早速、これを試すときが来たの」

 

「了解です」

 

「はい、主様」

 

「射線上の奴はすぐに退避しろ!」

 

「「「わああああ!」」」

 

 

 慌てて迎撃のために動き出す彼らを他所に、ファースとトモエに後ろから支えられたなのはが腰を落とし構えると天使の群れに杖の先を向けた。

 奥の教会の方から雲霞のごとく飛んでくる天使の群れを狙い、隆和が声を掛けた前にいる色とりどりのコスプレチームの連中が射線から泡を食ったように逃げるのを確認すると、彼女は杖のロックを外した。 

 そして、右脇に抱えるようにして持ち左手で取手を持って添えながら、某白い羽つきWのロボットと言うより白い尖った頭の異星ロボットのランチャーのような体勢でその大型ビームライフルにしか見えない先端からピンク色の閃光を解き放った。 

 

 

「バスターライフル、セットアップ。スキル解放、照準よし。

 【コンセントレイト】、OK。

 逝けなの! 【メギドラ】!!」

 

「う、うぐぐぐぐ!?」

 

「ちょっ、狙いが!?」

 

 

 全力の反動は流石に厳しかったのか、ファースの方がバランスを崩し天使の群れだけの狙いが少しズレてしまった。

 だが、今まで以上に強力な勢いとエネルギーの奔流のような光線は空中をこちらに向けて近付いて来ていた天使の群れを薙ぎ払い、最初のエリアの門の上部分と奥にある本拠地だろう教会の上に突き出た鐘楼を消し飛ばしそのまま異界の空の彼方へと消えて行った。

 この威力は、彼女自身のスキルの【コンセントレイト】【万能ハイブースタ】【魔導の才能】【三段の賢魔】【大虐殺者】に、バスターライフル・スタッフに込められた1日に3回まで使用可能な【追加魔法威力】【千発千中】により威力を増幅された【メギドラ】のおかげだろう。

 

 なのはの持つ『バスターライフル・スタッフ』、これはもともと山梨支部の技術班で鳴かず飛ばずの成果しか残せていなかったある転生者の技術者が作り上げた迷作であった。

 

 後に【ホビー部】と呼ばれるグループに入りあらゆる魔法少女の変身アイテムを作り出す一員となる彼は、かつて夢中になった【大きいお友達】の意地であの魔砲少女アニメの主人公の赤い宝玉の再現に躍起になっていた時に、3徹の末に意識が朦朧とした頭に浮かんだ【前世で見た白い服を来たかの魔砲少女と白い羽根を持ったWなロボットアニメのBGMとSEが使われたMADムービー】という天啓(という名の煮詰まった妄想)が閃き、これを作り上げたという。

 

 これの彼が元々命名していた名は、【ディバインバスターライフル】。

 

 しかし、完成後に仲間内から、「取り回しを考えろ」「杖じゃねえだろ?」「重くて長すぎて片手じゃ持てないぞ」「そもそも魔法少女じゃねえだろ」と散々に言われて現在の形に落ち着いた。

 しかし、彼は最後までこう言っていたという。

 

『MS魔法少女だっていいじゃないか! ライフルに見えたって魔法を放つならそれは魔法少女の杖だろう!』

 

 そして、本体に命中率を上げるスキルの【千発千中】とプレロマやブースタ系の魔法の威力増幅スキルカードを多数打ち込んだ【追加魔法威力】スキルを込めたカートリッジを組み込む事で、このなのは向けに売れたもの以外は在庫になっているこの“杖”は完成してしまったのだ。

 

 ともかく、撃ち終わり薬莢を排出し冷却させるエフェクトを作動する杖を降ろし、なのはは撃った先を見た。

 その先には、一部が消失した門と慌てたように飛び回っていた生き残りの天使たちが奥の方で地上に降りる様子が伺えた。

 それを見て息をついたなのはは、隆和の方を向き話しかけた。

 

 

「すっごい威力なの。すっごく気持ちがいいの!」

 

「それは良かったね。

 でもやっぱり、支えるのにファースみたいに力が無いと取り回しに難があるなぁ。

 それに1日4回以上撃つと銃身が融解するらしいし、カートリッジも1発500マッカじゃなければなぁ」

 

「相変わらず、ストレス発散で魔法をぶっ放すのは好きなのね?」

 

「その辺はお互い言いっこなしなの、色ボケトモレット」

 

「トモエ、だからね。

 悪魔合体とか夜の事情とか、こっちの内情は他人に知られたくないでしょ?」

 

「まあ、それはそうなの」

 

 

 それを見ていた近くにいた数体のリリカル魔砲少女作品の姿の少女シキガミ達が、自分もあのシキガミの彼女の杖が欲しいとマスターに強請っているが、隆和はそれを見て「彼女はそっくりだけどシキガミじゃないし、あの杖を持つのは難しいだろう」と思ったが説明するとややこしくなるので黙っていた。

 わいのわいのと言い合っているなのはとトモエの方に、笑みを浮かべて大佐ニキが近づいて来た。

 そして、とても物欲しそうになのはの方を見ながら声を掛けた。

 

 

「素晴らしい! 素晴らしい火力の上にこんな見目麗しい女性でもあるとは!

 見ろ! 天使共が慌てふためいて逃げ散っている!

 どうだね、魔王ネキ。ウチで砲兵をしてみる気はないかな?

 報酬も望む物を出来る限り用意しよう。

 ぜひ、検討して頂きたい!」

 

「女性としてでなく、火力で求められたのは初めてなの」

 

「いや、大佐ニキ。俺の彼女を戦場に連れて行こうとしないでくれ。

 副官の女性も睨んでいるぞ」

 

「はっはっはっ。おっと、これは失礼な事をしたかな?

 あまりの素晴らしさに興奮してしまったよ。

 なら、そのビームランチャーの製造元だけでも教えてくれないか?」

 

「まあ、それくらいなら」

 

 

 大佐ニキに入手先を教えている隆和たちに、レスラーニキが彼に付き従う十数人ほどの直参の筋肉集団を引き連れ声を掛けてきた。

 

 

「おう、宣戦布告にして派手だったな。

 切り替えの早い連中はもう奥に向かったぞ。

 それと、入口の確保と救助の方は俺たちに任せてくれ!」

 

「………………」

 

 

 そう言われ、隆和たちと大佐ニキは彼らの方を見て無言になった。

 そこには、プロレスマスクに白いへそ出し魔法少女衣装をピッチピッチに着込んだサイドチェストのレスラーニキを筆頭に、ブレザーやセーラー服に魔法少女にヒロインの衣装などの女性向け霊装をピッチピッチに着込んだマッチョメンの集団がポージングをして立っていた。

 しかもアナライズの使える隆和には、全員がレベル15前後はある物理耐性のあるマッチョ大男の集団に見えている。

 

 彼らの名は、人呼んで【シックスバッグレディーズ】。

 

 普段は支部長のようにその体格とタフさで初心者達の指導をしているが、危険地帯用の衣装を着るための覚悟を決めたレスラーニキの呼集があると、愛用の廉価で防御力がある一番供給量も多い女性用霊装を着込んで集まる筋肉マッチョメンのチームである。

 あくまで趣味でなく、実用性の観点からこれらを着ていると彼らは主張している。

 合言葉は、【筋肉は自分を裏切らない。さあ、君も一緒に鍛えよう!】である。

 

 そんな彼らがにこやかに隆和たちを見ている。

 

 

「ん? どうした?

 ああ、君らもこの筋肉の美しさに魅了されたかな? はっはっはっ。

 こうして、俺らがバックアップはするから安心して往くといい」

 

「ふーっ、全隊駆け足。移動するぞ!」

 

「こっちも行こうか?」

 

「はいなの」

 

「行きましょう、主様」

 

「了解です」

 

 

 足早に移動を始める彼らを、不思議そうに見送るレスラーニキ。

 この時のためにと買い込んだ、高さ30cm程の禿頭のボディビルダーがにこやかに笑いながらサイドチェストのポーズをしている金色の金属製の像である【お願いゴールデンマッスル】を取り出し、レスラーニキは首を傾げた。

 

 

「こうやって、安全のために悪魔避けのアイテムも手に入れたんだがなぁ?」

 

『上腕二頭筋、ニ頭がいいね! ナイス・チョモランマ!』

 

 

 

 

 隆和たちも門を越えて次のエリアに入るが、そこに出たのは隆和たちだけだった。

 ただ、壁を越えてあちこちから戦闘音や掛け声が聞こえるので、完全に断絶されてはいないらしい。

 彼らの目の前に、エリアを守る悪魔らしい天使たちが舞い降りた。

 【天使エンジェル】が8体、リーダーらしい【天使アークエンジェル】が1体そこにいた。

 即座に攻撃しようとするなのはとトモエの肩に手を置き、隆和は情報を得られないかと考えファースを伴って前に出た。

 それを見て、不審そうに話しかけるアークエンジェル。

 

 

「ふむ。

 我らが領土を犯す不心得者の仲間かと思えば、我が同胞と契約しているとは。

 何用か? 答えによっては裁きが降ると知れ」

 

「それなら、一つだけ。

 この異界はいつから御使いの領土になったのかを聞きたい」

 

「……よかろう。

 人の暦で太陽と月が10回ほど入れ替わる前か。

 信心深き者がもたらした聖遺物により、大天使が降臨されたのである。

 汝らも、その力と主の威光の前にひれ伏すがいい」

 

「ところで、ファースは上級天使についてどう思う?」

 

「…………」

 

 

 こっちに来てからは従順に従っていたファースではあるが、敵が同じ天使なら従うのか不安になると考えた隆和はここであえてファースに聞いてみた。

 全員の視線が集まる中、光のない目で隆和を見てファースはこう答えた。

 

 

「上官殿、主への信仰と契約の遵守は別です。

 ボクは、個人の思惑で契約を反故にするような愚か者ではありません」

 

「いや、悪かった。試すような事をして」

 

「いえ、それにもう同じ天使は信用もしていませんし。

 使い捨てにされるのはもう御免です」

 

「貴様ぁ、ただのエンジェルのくせにそんな事を抜かすのか!

 主の怒りを知r……」

 

「【トリスアギオン】!」

 

「ぎゃあぁぁぁ!」

 

 

 ファースの返答に怒った様子のアークエンジェルが何か言いかけた所で、後ろの入口から来た大佐ニキの放った豪炎によって天使が燃やされ瞬く間にMAGへと変えられた。

 残りの天使たちも、彼の連れて来た隊員たちの放つスキル込みのボウガンや呪殺魔法ですぐに消されてしまった。

 ファースを小脇に抱えて横に避けていた隆和に、不機嫌そうな大佐ニキが話しかけた。

 

 

「何を害鳥共なんぞと、呑気に喋っていたのだ? アーッニキ」

 

「ファースを連れて話しかけたら情報が得られるかと思ってね。

 基本的に人を見下しているから、案の定、話してくれたよ」

 

「ほう、それで?」

 

「言っている事が本当なら、10日ほど前に誰かが来て異界がこうなったらしい。

 かなり大々的に準備していたから、どこかでここの異界の事を聞きつけたんだろう。

 【大天使が降臨した】とか言っていたから、メシア教徒が何かした可能性があるな」

 

「ちっ、やっぱり連中は害悪だな。

 それと、こっちもわかった事がある。

 この異界にエリアが幾つあるか知らないが、エリアを突破して門をくぐるたびに別のエリアの門に転移させられているようだ。

 ループはしていないようだが、ランダムの可能性がある」

 

 

 周囲を警戒しているトモエと大佐ニキの部下たちを見ながら、大佐ニキは懐からマジックストーンを持ち出して隆和やなのはと話を続ける。 

 

 

「事前の情報だと、以前は転移など無く門をくぐって奥に移動するだけだった。

 そうだな、アーッニキ?」

 

「前に来た時はわたしも一緒にいたから、その辺は間違いないの。

 前は天使なんて出ずに、妖精や鬼女に夜魔とか女性悪魔ばかりだったのも違うの。

 あと、樹木に擬態して不意を打ってきた妖樹とか」

 

「前は、奥の屋敷の手前のエリアで、ローレライやサキュバスにヴィーヴィルなんかが多数出て撤退した。

 俺では近寄れないし、なのはが魔法を撃つ隙もないほど攻撃されたからなぁ」

 

「なるほど。

 それらの悪魔はまだ見ていないな。

 ならば、参加者に配られた前報酬のこの【トラエストストーン】でチーム毎に撤退するのもありか」

 

 

 考え込む大佐ニキに、向かって前と左にある門を指差して隆和は聞いた。

 

 

「ところで、どっちに向かう?

 こちらは持ち込んだアイテムもかなりあるから、最奥に行くまでは粘ろうかと思う。

 以前と違って、ガイア連合に所属して手段が増えたからな」

 

「では、俺たちは左に行こう。

 無事に最奥に行けるのを願っている」

 

「ああ。じゃあ、俺たちは正面だな。

 まあ、強いて祈るような神さまもいないしな」

 

「違いない。それでは」

 

 

 そう答えると、隊列を組んで大佐ニキとチームは左に見える門から立ち去って行った。

 それを見送ると、隆和たちももう一つの門へと歩き始めた。

 その途中で、なのはが声を掛けた。

 

 

「ねえ、隆和くん。

 脇に抱えたその子、離してあげたら?」

 

「お、おっと、済まないな。ファース」

 

「いえ、慣れているのでお気になさらず」

 

 

 その言葉を聞き、『自分はお姫様抱っこがいいな』とか考えているトモエを先頭に彼らは門を潜って行った。




後書きと設定解説


・アイテム

【バスターライフル・スタッフ】(なのは用)
先端の長さが1m程の白と青の塗装がされた彼女専用の魔法の杖
先端が某白羽根つきガンダムの武器にそっくりだが、これは杖です
1日3回まで【追加魔法威力】【千発千中】が発動する
【追加魔法威力】:次の攻撃の魔法の威力を収束し大きく上昇する
【千発千中】:攻撃の命中率が20%増加する

・関係者

名前:大佐ニキ(藤岡眞一郎)
性別:男性
識別:転生者(ガイア連合)・28歳
職業:ガイア連合山梨支部地方派遣PMC代表
ステータス:レベル25・マジック型
耐性:火炎耐性・破魔無効・呪殺無効(装備)・精神無効(装備)
スキル:トリスアギオン(敵単体・大威力の火炎属性攻撃。相性を無視して貫通)
    マハラギ(敵全体・小威力の火炎属性攻撃)
    掃射(敵全体・小威力の銃属性攻撃)
    火炎ギガプレロマ(火炎属性攻撃のダメージが大きく上昇)
    指揮・カリスマ
詳細:
 某錬金術師の漫画に出てくる火炎使いの人物にそっくりな転生者
 大切だった家族や友人を殺した悪魔を根絶やしにするのが目的の復讐者
 同じ様な目的の仲間を集めてサバゲーマニアだった知識で傭兵部隊を設立した
 男女混合の傭兵チームの名前は、PMC「国境なき復讐者」
 現在、主標的の天使潰しの為の海外遠征をするための計画中
 チームメンバーは10~20レベルで、国内ではボウガンと改造モデルガンを使用

なお、大佐ニキの副官の現地人の女性は背中に入れ墨はありません。

次は、異界突入の続き。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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