【求む】カオス転生でダークサマナーが就職する方法   作:塵塚怪翁

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続きです。
今回は、中ボス戦。


第24話 異界・大内屋敷攻略 前編 

 

 

  第24話 異界・大内屋敷攻略 前編 

 

 

 こうして、異界である『大内屋敷』の攻略は始まった。

 

 実際に攻略しているメンバーもそうだが、それらのほぼ全ての準備を整えた彼女と彼女に従う華門和とその一党も今回の件では張り切っていた。 

 関西支部はと言うより天ヶ崎千早は、恩返しと少しの打算のためにかなりの金額とコネを張り込んで今回の攻略に望んでいた。

 何しろ子供の時分に一人だけ助けて貰った記憶と恩への感謝は、千早の中に強く刻まれている。

 この件を片付けて少しでも恩返しが出来たなら、とそう考えていた。

 もちろん、庇護されて認識が古いままの家の駒として生きるように教育されていた華門和と一族の女性たちも、隆和に向ける感情は彼女とあまり違いがない。

 

 ともあれ、彼女は邪魔な存在の副支部長だったいけ好かない女を大人しくさせると動きだした。

 まず、いろいろと貸しのあった腐百合ネキ他数人の転移能力持ちに【トラエストストーン】の必要数作成のために報酬も用意して2週間ほど拘束し、大佐ニキを始めとする外部の応援を交渉して呼び寄せ、恐山やヒノエ島などの大型異界の攻略情報を取り寄せて必要だと思われる機材や車両の数を調べて手配し、現地の情報などを集めて資料を作成するなどをちひろにも協力してもらい準備したのだ。

 

 それも数を減らせはしたが、人事の引き継ぎや人員不足のためにすぐに切り捨てる事が出来ない明らかにこちらへの敵対心から手を抜いて作業をする副支部長のシンパの事務員も使いながらでの事だ。

 実際、彼女の秘書団として動く華門和たちや反副支部長派の事務員たち、ついでに伝手で連れて来たウシジマニキがいなければ準備はあと数週間は伸びていただろう。

 だからこそ、現場で脱出路を確保しつつ外との連絡役をまとめるレスラーニキからの異界の情報は、彼女を驚かせるのに充分だった。

 

 

「それで攻略の方は問題はないんですか、支部長!?」

 

「ああ、それは今のところ大丈夫だ。

 むしろ雑多な悪魔が出るより、天使どもで相手が統一されているなら対処が楽だ。

 天使対策はいつもしているから、【蠱毒皿】や【マハムドストーン】の備蓄もある」

 

「それは良かったわぁ」

 

「それよりも問題なのは大佐ニキの部下から連絡があったんだが、この異変は10日ほど前に始まったらしい。

 その時にメシア教関係者らしい人物がここに入り込んだらしいが、何か知らないか?」

 

「10日前ですか、ちょっと待ってや。

 …………、その日前後の報告書を見たんやけど『異常なし』となっとる」

 

「監視員本人に確認は取れないのか?」

 

「シフトでは、…………数日間同じ人2名やな。

 すぐに、話を聞くように人を手配します」

 

「大至急、よろしく頼む」

 

 

 その1時間後、彼らの所在確認は取れたが彼らは死亡してしまっていた。

 彼らがいたのは、警察病院の死体安置所で司法解剖中であった。

 警察の調査では一昨日にかなりの飲酒をした酒酔い運転による死亡事故で、2人の乗っていた車は高速で淀川に車ごと飛び込んだらしいとの事だった。

 元々、彼らはガイア連合の転生者の関係者だからと雇われていた多くいる現地霊能者の一人だったが、家族の話だとその仕事から戻って来てからその日の朝に出かけるまでは変化はなかったそうだ。

 ガイア連合の調査員の調べでは、何かに洗脳されたのはないかという事だったが結局誰が行なったのかは判らずじまいだった。

 

 

 

 

 ここで、現在のこの異界内を迎撃側の視点から見てみる事にしよう。

 

 この異界は、全ての端が壁で囲われた箱庭のような形状をしている。

 今はこの異界の天使たちしか見れないが、言ってみれば前が小さな日本風の山城のようだったとするなら今は十数個の西洋風の塀で遮られたエリアが並ぶ迷路のようである。

 そこを、関西支部のメンバーと大佐ニキの部下たちを含め総勢50人弱で攻め入り、それを超える数の天使たちは各エリアと本拠である教会のあるエリアに守備の主力を配置し迎え撃っている状態である。

 

 そこの主力を配置したエリアにて、この異界のボスにして異界の奥に封印されている物から湧き出るマグネタイトを吸い上げ天使たちを生み出している大天使を守るべく、親衛隊長とでも言うべき【天使パワー】はとても苛立ち持っていた槍の石突きで床を大きく鳴らした。

 本来ならば、自由に空を飛べる天使たちで地を這う不信心者共を一方的に嬲れていた筈が、開幕のあの常軌を逸する一撃でそれが出来なくなったのだ。

 次々と突破されている部下たちの不甲斐なさにギリギリと歯ぎしりをしている時に、大天使の側にいたはずの中年男性の神父が現れた。

 

 

「御使い殿、奴らの様子はどうでしょうか?」

 

「戦況は膠着しているという所だ。

 大天使さまのところへ戻り安心させるがいい、信心深き殊勲者よ」

 

「御使い殿の精鋭と俺が連れて来た連中も使えば、全員止められるでしょうか?」

 

「貴様の連れてきた不浄な木偶どもはともかく、我々の実力を疑うのか?」

 

「い、いえ、そんな事はありません。主の威光もありますから!」

 

「そうだ。仮にここに来たとしても我々がいる限り、大天使様の所へは行かせん」

 

「わ、分かりました。では戻ります。御使い殿よ」

 

 

 そう言うと、パワーは難しい顔をしてまた入口の方を睨んだ。

 

 一方、天使パワーとそう話したその神父は教会へ戻ると、こちらにはもう注意を払わないあの不気味な大天使のいる礼拝堂を通り抜けようとして大天使を見た。

 それはもともとこの異界を守っていた天使に、持ち込んだ黒いフォルマを掲げることで勝手にその天使と融合し変化した大天使だった。

 その不気味な姿を横目に見ながら奥の扉を開けると、教会へと変化したここで唯一変化せずに日本屋敷のままの室内に入った。その部屋の中央にある下り階段を降りれば、不気味な狐のレリーフがある石壁がありその奥に何かあるらしいのは分かっている。

 この事態を引き起こしたこの男にとっては、ここの階段のある部屋で早く事態が治まるようにとブツブツと何か言いながら震えているしかなかった。

 

 

「くそっくそっ。

 『密告をすれば地獄に落ちる』とあれ程、体に諭したのに裏切るとは!

 いや、まだだ。まだ。

 ここを切り抜けて海外へ行きさえすれば、また前のようにヤれるはずだ。

 うん、日本人は教え飽きたしな、今度は白人がいいか。

 ああ。ああ、楽しみだ。

 また、抑えたように泣く女達に“霊肉祝福”を施してやれるのが。は、ははっ」

 

 

 この神父の名は【長田保】。

 

 隣の半島にある国から来た帰化人で、メシア教の神父の一人でもあった。

 以前からこの男は、地位と洗脳の話術で婦女暴行を何件も影で繰り返していた。

 この事態を引き起こす切っ掛けになったのは、相手をさせていた信者の少女の手紙から上に犯行がバレて教会内の執行部隊に追われ捕縛されそうになったことだった。

 長田は夜逃げした時に、前に誤って殺してしまった少女の死体の処分を依頼したある同胞のいる犯罪組織の「ジングォン」に逃げ込んだ。

 逃げ込んだ先で長田はこの組織を取り仕切っている邪術師の若い女に引き換え条件として、指示書と道具、それに連れて行く連中を渡され、上手くいった暁にはこの異界を作り上げた功績で海外の過激派への合流の手助けを約束されている。

 この怪しげな女の言う事を、そう信じ込んでいた。

 

 しかし、彼は気づいていなかった。

 その約束をした妖しく笑う女の影の頭部と四肢が、触手のように揺らめいているのを。

 

 

 

 

 ガイア連合による異界の攻略は順調に進んでいた。

 一部の破魔魔法への対策をしていなかったシキガミが天使の破魔魔法でリタイアしたり、不意を撃たれて大怪我をしたメンバーが撤退したが、天使に相手が統一された事が返って対策が取りやすくなり攻略を後押ししていた。

 それは、攻略中の隆和たちにも言える事だった。

 

 

「今です! やりなさい!」

 

「「「ハッ! 【ヒートウェイブ】!」」」

 

 

 隆和たちがエリアに侵入したと同時にプリンシパリティが号令を出し、その入口目掛けて8体ほどのアークエンジェルが殺到して【ヒートウェイブ】の複数の剣閃が不意打ち気味に叩き込まれた。

 

 

「散開!」

 

「この、【メギドラ】!」

 

「主様には触れさせません。【疾風斬】!」

 

「「がああああ!」」

 

「余所見は危ないぞ」

 

「そんな馬鹿な! 我々が簡単に……ぐぺぇ❤」

 

「これでっ、終わりっ、かなっと!」

 

 

 しかし、天使たちによる不意打ちでの全体攻撃の連打は、隆和たちには対処は簡単だった。

 すでにこのやり方は、以前の女性悪魔達に散々されていたのだから当然である。

 隆和の合図と共に放たれた攻撃を避けるように3人共に散開すると、多少のダメージをなのはが食らうも反撃の全体攻撃でアークエンジェルたちを殲滅した。

 最後に隆和が攻撃を掻い潜り、指揮官のプリンシパリティに接近し攻撃を叩き込んで状態異常にすると、【疾風斬】のダメージと【耽溺掌】の状態異常で白目を剥き動かなくなった天使を掴み上げ人中と顎に拳を叩き込み、最後に鳩尾に膝蹴りを叩き込んで止めを刺した。

 隆和は周囲を見渡しながら空曜道の術で周囲に敵はもういないのを確認し、懐の封魔管を弄りつつ皆の傷の具合を尋ねた。

 

 

「怪我の具合は大丈夫か?」

 

「これくらいなら魔石で充分なの。

 この服、着るのは恥ずかしいけど防御力はすごいの」

 

「こちらも軽症です、主様。

 ただ、コートがもう使えません」

 

「ファースを出して治療してもらうまでもないか。

 さて、これでエリアも5つ目だし、そろそろ着いてもいい頃なんだが」

 

 

 隆和が奥の方を見ると、遠くに見えていた高台の教会も近くまで見えてきた。

 今まで戦った天使達との戦闘による消耗も数が多いだけなので、隆和よりむしろ範囲魔法で多数を薙ぎ払う役目のなのはの方が消耗している。

 コロコロとチャクラドロップを舐めつつ、なのはが話しかけて来た。

 

 

「わたしたちが来ていた時より異界が広くなっているのに、攻略するのがとても楽なの。

 どこかの軍人の人が言ってた『戦いは数だよ、兄貴』は、本当だと思うの」

 

「ああ、俺とコレットになのはを加えた3人では10年掛けても無理だったからなぁ。

 それがガイア連合に加わって一年と経たずにここまで来れた。

 すごいと思うぞ」

 

「主様。コレットとして言うなら、まだ果たした訳じゃないから感慨にふけるの早いよ」

 

「ああ、分かっているよ」

 

「それに今までは、こういう回復アイテムとか大阪では普通は手に入れられなかったの」

 

「ああ。それは確かに」

 

 

 実際、隆和自身がガイア連合に加わるまでは、なのはが山梨から時々持ってきたものを除くとここまで潤沢にアイテムの入手は出来なかった。

 それを考えると、今のこの機会に一気に攻略して師匠に会わなくてはと改めて隆和は考えた。

 そろそろ次のエリアに向かうために皆に声を掛けた。

 

 

「休憩も終わりにしよう。次の場所に向かうよ」

 

「分かったの」

 

「はい、主様」

 

 

 不意打ちに注意しつつ、作業着の青いツナギ姿の隆和とバカでかいSFのビーム砲を持った白と青のアニメ衣装のなのはに、腰にSF装飾の鞘に入った日本刀を腰に下げたロボットもののパイロットスーツを着たトモエがたゆんたゆんと胸を揺らしながら白亜の石積みの門をゆっくりとくぐり抜けた。

 

 

 

 

 くぐり抜けた途端、男性の叫び声がして隆和たちがそちらを向くとくぐり抜けた先では戦闘が続いていた。

 身長は5mに達するだろうか、ドクロのような顔と厚い白い毛で覆われ頭部にトナカイのような大きな角をした大きな怪物と、この攻略にも参加していた痛みに顔をしかめているサラリマンニキと上半身にダンボールを被り黒のブーメラン水着を履いた素足の男性が怪物の前で攻撃を加えている。

 

 

「【絶命剣】! これでどうです!?」

 

「駄目だ! 傷がどんどん治っているぞ、サラリマンニキ!

 くそっ、【覚悟の挑発】!

 うちのダンボーは大丈夫か!?」

 

「瀕死状態です!

 持ち込んだ蘇生アイテムはもうありません!」

 

 

 彼らの後ろで倒れた全身をダンボールで出来ているシキガミを、サラリマンニキのシキガミであるユカノが右手に刀を持って倒れたそのシキガミの様子を見ていた。

 その様子を見て取り、隆和が声を上げて走り出した。

 

 

「なのは、彼女たちの近くで待機してくれ。

 トモエ、こっちも攻撃するぞ。

 服部さん、代わります!」

 

「すまない!

 こいつは元は人間で、傷がすぐに治るぞ。気をつけてくれ!

 【ダンボールニキ】、引くぞ!」

 

「おう!

 行きがけの駄賃だ! 【牙折り】!

 あ、おまえアーッニキか! ウホッ、後は頼むぞ!」

 

「グガウッ!」

 

「お、おう!?」

 

 

 そのダンボールを被った男性はその悪魔を蹴るとその反動で華麗なジャンプを決めてシキガミたちのところに降り立ち、ダンボールの『●▲●』が印刷された顔らしき場所をこちらに見せて隆和に声を掛けた。そして、痛みに顔をしかめながらもサラリマンニキが隆和たちの方に会釈をし、彼らは懐から取り出したトラエストストーンで撤退して行った。

 撤退して行ったダンボールニキの挑発に釣られていたその悪魔の隙に、走り込んだトモエが名刀ムラサマを抜き放ち攻撃を仕掛けた。

 

 

「しっ、【黒点撃】! ……手応えが悪い?」

 

「グルウッ!」

 

「こいつは【邪鬼ウェンディゴ】!

 火炎弱点で、物理耐性持ちだぞっ、トモエ!」

 

「隆和くん!」

 

「なのは、援護を頼……!」

 

「グガァァァァァ!」

 

 

 血走り真っ赤になった目で、周りを見たウェンディゴが【雄叫び】を上げる。

 隆和たちの力が抜け、トモエも【攻撃の心得】でかかっていたタルカジャの効果が消えた。

 舌打ちしながらも、ダメージは見込めないだろうがスキルを込めて殴る隆和。

 

 

「ちっ、【耽溺掌】! ……どうだ!?」

 

「グルゥ?」

 

「少しは痛がれよっ! 効いてもいないのか! 

 最近こういう奴が多いなっ!」

 

「こちらでやります!

 ムラサマ起動! 【黒点撃】!」

 

「なら、【フレイダイン】!」

 

「ガッ! グガァァァッ!」

 

 

 トモエとなのはの攻撃はそれなりにダメージを与えているようだが、今度はこちらの攻撃に怒ったのか、ウェンディゴが両腕を足元にいる隆和とトモエに連続して叩きつけてきた。

 【狂気の暴虐】。一度に複数回攻撃して来るスキルである。

 

 

「ちっ」

 

「隆和くん!」

 

「主様! 私が守りますっ、【愛の猛反撃】!」

 

「ガアッ!」

 

 

 隆和とトモエが避け損ねてそれぞれ一撃を受け重いダメージを食らうが、隆和への2撃目はトモエが切り払い逆に手傷を負わせた。

 しかしよく見ると、ウェンディゴの最初にトモエが攻撃した足の斬った痕がもう繋がりかけているのが隆和には見えた。

 埒が明かなくなる。ここは、一気になのはの火力で押し切る事に隆和は決めた。

 

 

「なのはっ、チャージしてそいつをぶちかませっ!

 トモエっ、こいつの動きを止めるぞっ!」

 

「わかったの」

 

「分かりました、主様っ!」

 

「行くぞっ!」

 

 

 なのはが背中を塀に預けてバスターライフル・スタッフの発射態勢になったのを隆和は横目で確認すると、腰のポーチからアイテムを取り出しウェンディゴの足の方へ走り寄る。

 彼が取り出したのは、特別な加工がされたアイスピックである。

 

 【マジックアイスピック】。

 

 彼は、山梨で修行をしていた時に、自分の攻撃力をマジックストーンで補うやり方にもう少し火力を上げられないかと考えた。そして、息抜きに見たとある作品で相手に刺して爆発させるナイフを見て閃いた。普通に投げるよりダメージが上がるのでは、と。

 そこで、黒医者ニキに紹介してもらったアイテム作成者に、アイスピックの柄の部分にマジックスト-ンを付けて発動できないかと聞いた。大笑いした彼は、ニヤリと笑うと「まかせろ!」と言うと、一日でそれを作り上げた。 

 構造は、単純である。

 アイスピックの柄の部分にマジックストーンを装着できるようにした使い捨て品で、ピックの部分はとても鋭い呪的処理された硬化系ステンレス鋼製である。

 

 隆和は逆手に持ったそれのカバーを外すと、ウェンディゴの右足の小指に突き刺し起動させた。

 

 

「起動!」

 

「ガッ、ガアァアァ!?」

 

「ならば、【黒点撃】!」

 

「ギャアアァァァァッ!」

 

 

 隆和が起動したアイスピックの【アギラオ】に火炎弱点のウェンディゴはたまらず姿勢を崩した。さらに、トモエが焼け焦げた小指と隣の指を切り飛ばした。

 たまらず膝をついたウェンディゴは、右手で傷口を押さえながらこちらを睨みつけると範囲魔法を使った。

 【マハブフーラ】。

 隆和たちに向けてここら辺一帯に、強烈な氷雪の嵐が吹き荒れる。

 

 

「ガアァァッ!」

 

「くっ」

 

「きゃっ」

 

「…【コンセントレイト】、くうっ」

 

 

 ダメージを負うがまだ動ける。なのはが撃つにはもう少しかかる。

 隆和はもう一本アイスピックを抜くと、今度は左足に向けて走り出した。

 隆和が何をしようとしているのかに気づいたのかウェンディゴは、隆和を捕まえようと左手を伸ばす。

 その左腕に隆和を援護するように、トモエが斬りかかった。

 

 

「【黒点撃】!」

 

「ガアッ!」

 

「よしっ、そっちに!」

 

 

 隆和は狙いを左の足からトモエが斬りつけた腕の傷に変え、持っていたピックをその傷にねじり込みマジックストーンを起動した。そして、傷の中で破裂した【アギラオ】の火炎が吹き上がる。

 痛みに絶叫するウェンディゴと重なるように、なのはが声を掛けた。

 

 

「グガァアァァ!」

 

「隆和くん!」

 

「…! トモエ、射線をっ!」

 

「はいっ!」

 

 

 隆和とトモエがそれぞれ左右に飛び退るように避けると、なのははそれを確認しバスターライフル・スタッフをウェンディゴに向けて本日2回目の大出力の人を飲み込める太さのピンクの光線を解き放った。

 

 

「バスターライフル、セットアップ。スキル解放、照準よし!

 いけっ! 【メギドラ】!!」

 

「グ、グガッ、グガアアァァァァッ!!」

 

 

 自分の上半身を消し飛ばされるつかの間の間にウェンディゴは、いや、ウェンディゴの転生者で半グレ集団を率いていた【ハン・ジングォン】は理性を取り戻し、最後に憶えているベッドで組み敷いていた愛人のはずのあの女の暗がりの中でもはっきりと見えた三日月の形の笑みを脳裏に浮かべながら、マグネタイトの霧となって消えて行った。

 

 このウェンディゴを消し飛ばした光の奔流が再び異界の空へと消えていくのを、この異界にいた全て者が目撃していた。

 そう、この異界を侵食し続けていた教会に座する異形の大天使も。




後書きと設定解説


・アイテム

【マジックアイスピック】
アイスピックの柄の部分にマジックストーンを装着できるようにした使い捨て品
主に相手に刺して起爆して使用するが、普通に石を使うより石の加工賃が掛かり高い
ピックの部分は呪的処理された硬化系ステンレス鋼製

・関係者

名前:ダンボールニキ
性別:男性
識別:転生者(ガイア連合)・20?歳
職業:ガイア連合地方派遣異能者
ステータス:レベル20・フィジカル型
耐性:破魔無効
スキル:とんぼ蹴り(敵単体・小威力の物理攻撃・クリティカル率高)
    牙折り(敵単体・小威力の物理攻撃・しばらく攻撃力を1段階低下する)
    覚悟の挑発(自分へのダメージを軽減し、攻撃を引き受けやすくなる)
    みかわし(物理攻撃を回避しやすくなる)
    全門耐性(物理・万能以外の属性攻撃を受けた際、ダメージを50%にする)    
詳細:
 ガイア連合に所属するいつもダンボール型の霊装を被っている覆面転生者
 いつも全門耐性を付与されたダンボール霊装と黒のブーメラン水着を着ている
 回復魔法を使う専用シキガミの「ダンボー」を所有

・敵対者

【天使アークエンジェル】
レベル10~20 耐性:破魔無効・呪殺弱点
スキル:ハマ(敵単体・低確率で即死付与)
    ヒートウェイブ(敵全体・小威力の物理攻撃)
詳細:
 この異界ではレベルはランダム

【天使プリンシパリティ】
レベル20~25 耐性:銃弱点・破魔無効・呪殺弱点
スキル:マハンマ(敵全体・低確率で即死付与)
    ディアラマ(味方単体・大回復)
詳細:
 この異界ではレベルはランダム

名前:ハン・ジングォン
性別:男性
識別:転生者(邪鬼ウェンディゴ)・36歳
職業:在日外国人半グレ集団リーダー
ステータス:レベル30 
耐性:物理耐性・火炎弱点・氷結耐性・破魔無効
スキル:マハブフーラ(敵全体・中威力の氷結属性攻撃)
    狂気の暴虐(敵複数・1~4回の中威力の物理攻撃)
    雄叫び(敵全体・攻撃力と防御力が1段階低下)
    活脈(最大HPを上昇させる)
    大治癒促進(戦闘中行動順になる度に、HPが少し回復する)
    悪魔化(精神状態異常無効及びステータス増加。
        ただし、スキルを使用すると理性的な判断力を失う)
詳細:
 容姿は、典型的なアジア人顔を鬼のように邪悪に歪ました顔の大男
 大阪を拠点にしている数十人規模の過激な半グレ集団のリーダー
 殺人、強盗、強姦、窃盗、麻薬売買など何でもやる極悪人だった
 身内の術師によって洗脳強化改造済み

謎の女性は一体誰なんだろう?


次は、異界突入の続き。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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