【求む】カオス転生でダークサマナーが就職する方法   作:塵塚怪翁

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続きです。
ラスダン、最終戦開始。


第25話 異界・大内屋敷攻略 後編

 

 

  第25話 異界・大内屋敷攻略 後編

 

 

 怪我をある程度治した隆和たちが最後のエリアである教会前に足早にたどり着いた時、そこは戦場になっていた。

 教会の入り口の前には一際大柄の体格で西洋の甲冑を着込み大盾と槍を携えた【天使パワー】がおり、大声で周囲に居る治癒魔法持ちが多くいるためか数十はいるだろう数の天使達を指揮してこちらの侵入を防ごうと躍起になっていた。

 

 対してこちら側には、どうやら隆和たちとは別のルートで辿り着いたらしい 大佐ニキが率いている『国境なき復讐者』を中心としたガイア連合のメンバー15名ほどが陣取っていた。

 どうやら大佐ニキが連れて来た精鋭も、全員レベル10~20とそれなりにレベルの高い現地勢でも上澄みの人たちだったが半数以下に数が減っているようだ。

 しかし、こちら側には2名ほどアメリカ軍の爆発物処理班が着るような耐爆スーツを着た精鋭のメンバーがいて、両手に直立したままの人が隠れられる大きさの金属製の盾を持ってジリジリと教会の方へと近付いていた。その二人が相手の攻撃を引き受けながら進み、他のメンバーはその隙に天使達の数を呪殺呪文やアイテムで減らしながら近づくのにこちらも躍起になっていた。

 

 彼らが着ているのは、アメリカ軍の型落ちした耐爆スーツをガイア連合で改造した霊装防具の【ジャガーノート】。

 全身を分厚い装甲で覆い顔の部分も透明な特性の樹脂で出来ている物を霊装に改造し、【物理耐性】、【火炎耐性】、【衝撃無効】が付与され防御力は凄まじく高いが移動力がかなり低い一品である。それに、パワーアシストが不完全な為に使用には自前の筋力が必要な点も難点である。

 彼らはこれを2つ【挑発】系のスキル持ちに着させ、デカデカと『ゴッド◯ァックユー』と赤字で書かれた大盾を持たせて天使の攻撃を集中させながらも前進している。

 そこへ、隆和たちが合流した事に気付いた大佐ニキは、慌てて彼らに近づくと話しかけた。

 

 

「アーッニキ、魔王ネキも無事に来てくれて助かる。すぐに頼めるか?」

 

「待ってくれ。この状況は?」

 

「見ての通り、向こうの羽つき共も必死なのだろう。攻めあぐねている。

 もう一度、アレを放てるか?」

 

「わたしの方は大丈夫なの。ただ、これでこの杖は撃ち止めだけど」

 

「それでも構わん。その分は俺の炎で何とかしよう」

 

「どうせなら、タルカジャは使える奴はいるか?

 4つ最大まで攻撃力を上げて、後ろの教会ごと吹き飛ばそう」

 

「よし。それなら、副官の彼女が使える。そっちは?」

 

「トモエが使えるぞ。トモエ、なのはを守れ。ファースもだ」

 

「了解です、上官殿」

 

「分かったわ、主様」

 

「隆和くん。撃ってしまって、お師匠様は大丈夫?」

 

「それは……」

 

 

 言いあぐねる隆和に、トモエが声をかける。

 

 

「主様、彼が守る封印は今は教会の地下にあると思われます」

 

「何故、分かるんだ? トモエ」

 

「コレットとしての記憶に、彼が普段は最奥の部屋の地下によく降りていた記録があります。

 たぶん、そこに重要な物があるはずです」

 

「そうか、よし。じゃあ、それで行こう。

 その間、あいつらはこっちで引き受けることになるな」

 

「周りの雑魚の羽つきはこちらで減らしているが、アーッニキはどうする?」

 

「あのデカブツのリーダーは、【天使パワー】か。

 電撃耐性、衝撃弱点、破魔無効、呪殺弱点ね。

 あいつは俺が足止めをするか。

 始めるぞ!」

 

「主様!」

 

「トモエたちはなのはの死守だ!」

 

 

 トモエが声をかけるが、隆和はそのままパワーへと走り出す。

 なのはが両手で構えるのを見て、大佐ニキは周囲に声をかけた。

 

 

「鷹目くん、聞いていたな?

 君はタルカジャを掛けながら、反動に対して彼女を支えるんだ。

 皆、またアレをぶちかますぞ!

 射線に気をつけて、害鳥共を減らすぞ!」

 

「「了解」」

 

「「おう」」

 

 

 なのはが教会正面の入り口に向けてバスターライフル・スタッフを構え、大佐ニキの副官の女性の鷹目とファースが後ろから支える。

 そして、なのはの横でトモエがムラサマを構えて待機する。

 教会の入口の前に居る自分に向けられるその砲塔を見て、あの光の奔流の元だと気付いたパワーは自分に飛ぶ呪殺を別の天使を蹴り飛ばして身代わりにしつつ絶叫した。

 

 

「ああああ、まさかそれがっ…!?

 非常呼集!! 大天使の危機であるぞ!

 全員ここに集まるのだ!!」

 

「お前の相手は俺だぞ、パワー!

 【耽溺掌】!」

 

「ちいっ!」

 

 

 隆和が殴りかかるのを見て、パワーはとっさに近くに浮いていたエンジェルを捕まえて盾の代わりにし、隆和の攻撃が当たり悶えるエンジェルを投げ捨てて隆和を睨みつけた。

 

 

「~~~~~ッ❤!? ~~~~~たすっ❤」

 

「嫌な予感がしてみれば! 厄介な真似をするなっ、背教者よっ!」

 

「俺はメシアンじゃないのだから、当たり前だろう?

 お前らより、公園の鳩のほうがまだましだ」

 

「おのれっ、我だけでなく全能なる主も馬鹿にするのか!?」

 

「そういや、鳩の姿が多かったな4文字は。

 ああ、勘違いするなよ。

 バカにしているのはお前ら、食う気も起きない手羽先の事だからさ」

 

「貴様ぁぁぁっ! 死ねい、【白竜撃】!」

 

 

 パワーが突き出す白光に包まれた槍や他の天使の攻撃を後ろに跳び避けて、隆和は見鬼で周囲を見る。

 周囲に居る天使の集団は他のメンバーの攻撃で数を減らしているのにも関わらず、他のエリアから飛来する天使のせいでいっこうに減る様子が見られない。

 隆和たちが持ち込んだ呪殺系アイテムは既に無いのが惜しまれるが、とりあえず斬りかかってきた手近な天使の顎を殴り砕いて再びパワーに接近する隆和。横目で見ても天使達が殺到しているようだが、なのはの方は順調のようだ。

 

 

「【タルカジャ】です」

 

「【タルカジャ】。なのは、準備はいい?」

 

「【コンセントレイト】、OKなの。次で撃つの」

 

「ええい、鬱陶しい! 【マハラギ】!

 我々の攻撃力も上がっているっ。彼女に近づけさせるなっ!」

 

「了解! 死ね、天使共!」「ははっ、【ムド】だ!」

 

「死にさらせっ、【マハザン】!」

 

「【挑発】! どうした害鳥共っ、そんな攻撃効かねぇぞっ!」

 

「ベースキャンプ送りになった嫁の仇! 【地獄の焼きごて】!」

 

「これぞ、波動! 【破邪の光弾】!」

 

「ぬぅん! 筋肉の力を見よ、【肉体の解放】!」

 

 

 …一部なんか変なスキルを使うガイア連合のメンバーがいるが、概ね順調のようである。

 それを確認した隆和は右手でマジックピックの一つを抜くと、天使達の間を縫ってパワーへと駆け寄って行く。

 周囲に号令をかけつつ、パワーは槍から光弾を放って彼を迎え撃つ。

 

 

「誰かあれを止めろぉ!

 ちぃっ、貴様は近寄るなぁ! 【タスラムショット】!」

 

「おっと。これでも喰らいな」

 

 

 隆和は近くで怪我のために蹲っていたエンジェルを掴むと、パワーに向かって放り投げた。

 パワーの攻撃に当たり四散し破片となって飛び散るエンジェルの体と手に持つ大盾で奴の視線を塞ぎつつ、天使に近付いた隆和は宙に浮かぶパワーの左膝の裏に跳び上がってピックを突き刺すと地面に降りた所で【ガルーラストーン】を起動した。

 

 

「起動」

 

「ぎぃ、がぁぁぁあっ!」

 

 

 自分の弱点でもある衝撃属性の攻撃で左足が千切れそうなほどの傷を負わされたパワーは、今度は自身の痛みのために再び絶叫した。

 隆和が、衝撃属性ではなく同じ効果の疾風属性の魔法を選んでいたのは理由がある。

 空気の塊をそのままぶつけるような衝撃波を出すザン系の魔法より、かまいたちのような衝撃波を出すガル系の魔法の方が傷を負わせた際に効果的だと判断したからである。

 その傷により態勢を崩し、パワーは隆和を憎悪の眼差しで睨み絶叫し続けている。

 

 

「きぃ、貴様っ、殺してやるぅ!!」

 

「いいや、もうお前の方が終わりだよ。じゃあな」

 

「【タルカジャ】です!」

 

「【タルカジャ】。なのは、OKよ!」

 

「バスターライフル、セットアップ! スキル解放、照準よしっ!

 いけっ、【メギドラ】発射!!」

 

 

 隆和が身を翻してその場を跳び去ると、パワーの眼にはその向こうでこちらに銃身を構えて放つなのはの姿と視界一杯にピンクの輝きを持つ光の奔流が迫ってくるのが見えた。

 

 

「……おお、主よ。我にすk…」

 

 

 膝を付いたままのパワーは、思わず主への祈りの言葉を呟くと周りにいた天使達諸共に光の中に消え去っていった。

 

 

 

 

 なのはの放ったその光の奔流のようなメギドラの破壊力は、天使達だけでなく天使パワーの背後にあった大天使の座する教会にもそれを及ぼしていた。正面の扉を吹き飛ばし礼拝堂の最奥にある十字架の前にいた大天使を飲み込んだ直進するその光は、そのまま奥の壁も荘厳な内装の教会内部も消滅させながら異界の果てにある壁にぶち当たり消えてしまった。

 その威力に銃身が融解しその熱さでなのはがスタッフを地面に落とす音が響く中、勝利の歓声を上げようとした彼らの目に教会の中にいたその異形の大天使の姿が飛び込んで来た。

 

 その直径は5m程だろうか、宙に黒い球体が浮いていた。

 その表面には絶えず動き続けている白い幾何学模様の様な線が走っており、損傷を受けたのか全身から煙が上がっていた。

 隆和のアナライズとメンバーの持つアナライズ用の測定器には、【大天使レリエル】という名が映っていた。

 大天使レリエル。

 それは『エノク書』に登場する天使の一人であり、その名は「神の夜」を意味するという天使で懐妊を司る天使ライラ(ライリエル、ライラヘル)とも同一視される大天使でもある。

 そして、飢えたレリエルは傷により失った力を取り戻すべく自分のスキルを使った。

 

 【光を飲む闇夜】。

 

 それは、敵味方関係なく周囲にいる全てに放たれる大威力の呪殺属性魔法であった。そして、この魔法は相手に与えたダメージに応じて自らの傷を癒やし、呪殺が弱点の相手は確率にもよるが即死させる効果がある。

 それが、全周囲に崩れかかった教会を吹き飛ばす勢いの黒い色の衝撃波として撃ち出された。

 概ね、呪殺対策として耐性や無効化装備をしているガイア連合のメンバーと違い、この場にいた他の連中は違った。

 

 まず犠牲になったのは、天使パワーの号令で異界中からかき集められていた天使たちだった。

 

 

「あああっ、呪詛がっ!」

 

「そんな大天使様っ!」

 

「……何故っ!?」

 

 

 レリエルがわざわざ全ての天使に【呪殺弱点】を共通して付加して召喚していたのは、こうしていざという時に傷を癒やすためのマグネタイトの素とするこの為だったのだろう。

 

 その次に犠牲となったのは、教会の中で隠れていた長田保であった。

 自らを守る最後の砦でもあった【封魔の鈴】を握りしめて部屋の隅で今更ながら神に祈っていた彼は、レリエルの放ったそれに巻き込まれ瞬時に四散しレリエルに吸収された。

 ただ、彼が最後に不思議に思ったのは、脳裏にあの邪術師の女性の舌打ちする音が消える瞬間に聞こえた事だがそれを深く考える暇もなくそのまま消えて行った。

 

 この行動で半分ほど傷は癒えたが、まだレリエルにはマグネタイトが必要だった。

 今しがた消えて自分の糧となった男によって持ち込まれたフォルマによりこの異界の封印を守っていたハリティーとライラが融合して生まれた彼女であったが、封印していた呪物をガラクタになるまで吸い上げて天使の軍勢を産み出していた為、他にこの場にある一番マグネタイトを持つ個体を吸収するべく影にしか見えない口をそれに伸ばした。

 

 

 

 

 一方、ガイア連合の面々もその姿を見て困惑していた。

 他の天使の姿は消えたのだが、その場から動こうとしないあの天使の姿に見覚えがとてもあるのでその姿を見ながら距離をおき話し合っていた。

 

 

「レベル40の【大天使レリエル】か。

 うわっ。物理吸収で、当然ボスだから破魔と呪殺は無効か」 

 

「弱点は?」

 

「電撃属性だ」

 

「何だったっけ、何かのアニメで見たような?

 確か、迂闊に近づくといけなかったような気がする」

 

「ああ! エ◯ァンゲリ◯ンだ! パチンコのリーチで見たぞ!」

 

「仮に似た攻撃をするとして、他にどんな方法だった?

 さっきのは呪殺属性のダメージ魔法だから、我々には効果が薄いとしてだが」

 

「昔の作品だし、解らないな。

 だが、さっきの威力が威力だから耐性装備の体力の低いやつは危ないぞ」

 

 

 そこまで話した時に、チャクラドロップを複数個噛み砕いて飲み込んだ大佐ニキが号令をかける。

 

 

「さっきのやり方はまだ出来るか、魔王ネキ?」

 

「スタッフがもう使えないけど、普通の呪文ならまだ使えるの。

 チャクラポッドの飲み過ぎでお腹が苦しいけど」

 

「よし、レベル25以上のメンバー以外は即刻、撤退だ。

 ……残るのは、俺とアーッニキたちだけか。

 無効化装備の奴は動きがないうちに攻撃を再開だ。

 アーッニキ、すまんがレベルが一番高い君にあいつの足止めを頼む」

 

「ああ、任された。

 トモエは、ここでなのはたちの護衛だ。

 ファースは、……ちっ、さっきので殺られていたか。

 なのは、ここで大佐ニキと援護を頼む」

 

「うん、気をつけてなの。隆和くん」

 

 

 他の面々がトラエストストーンで撤退していく中、この場に残るように言われたトモエが思わず聞き返した。

 

 

「主様!?」

 

「今、マッパーの魔法で確認して敵対者はアレ以外いなかった。

 だが、伏兵は注意すべきだ。

 それに、物理吸収のボス相手に破魔と物理技だけのトモエでは無理だ」

 

「……わかりました、主様」

 

「じゃあ、行ってくる」

 

 

 そう言うと、マジックピックを抜きつつレリエルに向けて走り出す隆和。

 それを援護するように大佐ニキとなのはが魔法を放つ。

 

 

「【トリスアギオン】!」

 

「【フレイダイン】!」

 

『!』

 

「何だっ!?」

 

 

 二人の魔法が炸裂し震えるレリエルだが、視線は隆和に向いていた。

 やたらと目を引く金のネックレスもそうだが、この個体はこの中でマグネタイトが一番多く且つこの異界で唯一いたあの男と同質の力を持っているとレリエルは感じていた。

 だからこそ、奇襲に近い形で隆和を影の中に引き込んだ。

 

 【丸飲み】。

 

 文字通り、敵単体を飲み込んで緊縛(バインド)で動きを封じつつHPを吸収するスキルである。

 レリエルはこれで後はあそこに居る3体を倒し怪我を癒やせば、また徐々に天使を産み出しつつ異界を広げられるだろうと考えていた。

 

『【神の夜】の名において、我と一つになり全ての人間に安寧の眠りを』

 

 それこそが、今の彼女の目的である。

 だが、その迂闊な行動は彼女の死を招く行動だった。

 

 

「【耽溺掌】!」

 

『~~~~~~ッ!? ~~~~~~~~~~~ッッッ❤❤❤』

 

 

 今までに経験のしたことのない脳髄を焼くような快楽にレリエルは襲われた。

 球体の表面に浮かぶ白い模様が明滅し、それ以上に体が振動を始め隆和をその場に吐き出した。

 

 何故、こうなったのか。

 理由は単純である。緊縛は精神無効の耐性を持つ隆和には効果がなく、隆和のスキル【耽溺掌改】は【相手の体内に直接触れる間は状態異常のみ相性を無視して貫通する】のだから。

 つまり、隆和を飲み込めばこうなるのである。

 

 レリエルは動きを止めた。それを好機として動いた者がいた。

 

 

 

 

 彼女は己を悔いていた。

 彼女は己の油断と弱さを悔いていた。

 

 彼女はもともと己の主以外は眼中になかった。

 主の家の祭神だった鬼子母神のハリティーが偉ぶっていた時も、

 屋敷の地下に眠る呪物を求めメシア教の部隊が襲ってきた時も、

 迎え撃つために屋敷を異界に沈めた時も、

 そのリーダーだった女性の天使を主が従えた時も、

 守っていたのが主である彼の先祖が大陸から持ち帰ったというお経の木簡だと知った時も、

 長年の一族の負の感情が溜まり呪物と化していたと聞かされた時も、

 長年の封印が解け、主が外の世界に出た時は少し心配したが、

 戻って来た事で全ては些事だと思っていた。

 

 もともとこの屋敷の片隅で祀られていた稲荷だった彼女にとっては、彼の側に居られればそれで良かった。

 

 だから、主が封印を強めて外に作った弟子を待つ為に即身仏になるのも止めなかった。

 だから、ライラが門番として守護者を気取るのも気にしなかった。

 だから、ハリティーが主のいる部屋の前で守護者を気取るのも気にしなかった。

 

 だから、動かなくなった主の側で彼女はただ丸くなって眠っていた。

 

 だから、あの日、こうなるのを止められなかった。

 

 あの日、いつの間にかこの異界に来た男が持っていた禍々しいフォルマは、男が掲げると警戒のために出迎えていたハリティーとライラをあっという間に異形の天使へと変え、それはここに眠る呪物と封印、その上己や彼女の愛する主までそのマグネタイトを吸い上げ異国の羽根つき共を大量に産み出し始めたのを止められなかった。

 彼女にはその時にはもう主の魂を抱え、諸共に地下で石となり身を守るより手段が無かった。

 

 悔いていたからこそ、階上のあの忌まわしい異形の動きが止まり近くに主と同じ力を持った存在を感じ取った事で好機と考え彼女は、復讐のために石と化した己の身を戻し階段を駆け上がった。

 

 

 

 

 レリエルの動きが止まり吐き出された隆和は、立ち上がり【ジオンガ】の石の付いたマジックピックを構え直した。

 くらくらとする頭を振り、隆和が攻撃をしようとした所で奥にあった地下への階段から3尾の白い狐が飛び出して来た。

 警戒する隆和を優しげな目で見たその狐は咥えていた緑の結晶を隆和に手渡すと、頭を下げそれを頼むとでも言うように彼に一礼した。

 不思議に思った隆和が呼び止めようとしたが、狐は「コーン!」と高らかに鳴きそのまま身を翻すとレリエルを睨みその身を白熱した状態へ変えると体当たりをした。

 轟音と爆発。

 顔を手で覆っていた隆和が煙が晴れた時に見たものは、狐が体当たりした場所の球体が欠け中の赤い肉のような物が露出し血を大量に吹き出しているレリエルの姿だった。

 倒すチャンスだ。ここに居た皆はこれを見逃さなかった。

 

 

「ジオンガストーンだ。喰らえ!」

 

「【トリスアギオン】! 【トリスアギオン】!」

 

「【フレイダイン】! 【メギドラッ】!」

 

 

 電撃が、火炎が、核熱が、そして万能属性の魔法が何度も飛び、ようやく球体の表面の白い模様は消えレリエルは幾つもの破片へと砕けて落ちるとそのままマグネタイトの霧となり消えて行った。

 そして、異界の崩壊が始まった。

 隆和は、走り寄って抱きついてきたなのはとトモエを支えながら歩き寄って来た大佐ニキに声を掛ける。

 

 

「大佐ニキ、脱出だ。なのは、トラエストストーンは?」

 

「大丈夫、ここにあるの」

 

「ああ、早く出よう」

 

「じゃあ、起動なの」

 

 

 こうして、4人の姿はこの場から消え脱出したのだった。




後書きと設定解説


・アイテム

【ジャガーノート】
デモニカ開発前、アメリカ軍で使用される耐爆スーツを改造した霊装防具
物理耐性、火炎耐性、衝撃無効が付与された防御力は高いが移動力の低い防具
難点はパワーアシストが不完全な為、使用には自前の筋力が必要な点
主に、大佐ニキの隊のようなミリタリー大好きな人に使用されている

・敵対者

【天使パワー】
レベル30 耐性:電撃耐性・衝撃弱点・破魔無効・呪殺弱点
スキル:タスラムショット(敵単体・中威力の銃属性攻撃)
    白龍撃(敵単体・力依存による中威力の破魔属性攻撃。
        弱点を突いた場合、確率で即死付与)
    ディアラマ(味方単体・大回復)
    堅盾の秘法(戦闘開始時、味方全体の防御力を初期値の25%上昇)
詳細:
 この異界での守備隊長であり司令塔の天使

名前:長田保
性別:男性
識別:異能者・51歳
職業:日本メシア教関西支部司祭
ステータス:レベル5 破魔無効
スキル:ハマ(敵単体・低確率で即死付与)
    逃走加速(逃走の成功率が上昇する)
    洗脳、脅し、誘拐
装備:封魔の鈴(ボス敵以外との遭遇をキャンセルできる・邪術師製)
詳細:
 関西メシア教支部の司祭で帰化人
 地位を利用して複数人の日本人女性を暴行していた
 諸々の悪事が発覚しそうになり過激派への鞍替えのために行動中
 使用後の女性の後始末のために半グレに協力していた

【大天使レリエル】(ボス)
レベル40 耐性:物理吸収・電撃弱点・破魔無効・呪殺無効
スキル:光を飲む闇夜(敵味方全体・大威力の呪殺属性攻撃。
           ダメージに応じてHPを吸収する。
           弱点を突いた時、確率で即死付与)
    子守唄(敵全体・中確率で睡眠を付与)
    永眠への誘い(敵味方に関係なく睡眠状態の相手を即死させる)
    丸飲み(敵単体を飲み込んで緊縛し、毎ターン、HPを吸収する)
    デクンダ(味方全体・能力減少効果を全て消す)
    天使召喚(自身のレベル以下の天使達を召喚できる。
         ただし、インターバル時間とMAGが必要)
詳細:
 大内の家に攻めて来たメシア教部隊の元リーダーの大天使ライラが変化した
 ライラと同一視される大天使で、「神の夜」が名前の意味である
 宙に浮かぶ黒い球体に幾何学模様の白い線が走っている異形の大天使
 長田保が持ち込んだ邪術師特製フォルマによって、暴走しボスになった
 ※ボス補正によりHPとMPは増大し、破魔・呪殺は無効化、状態異常も耐性がある

・関係者

名前:タマモ
性別:女性
識別:妖獣タマモ
詳細:大内の家で祀っていた稲荷神が成長変化した妖獣
   レリエルに力を吸われ弱体化していた
   主である大内隆の魂と共に石化して身を守っていた

この最終戦を書いている途中、本家様のラストを見て大変驚いた。


次は、第一部最終回。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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