【求む】カオス転生でダークサマナーが就職する方法   作:塵塚怪翁

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続きです。


第3話 ガイア連合山梨支部にて その2

 

 

  第3話 ガイア連合山梨支部にて その2

 

 

 上機嫌で話すショタオジを見ながら、二人のこの後の訓練の事を気の毒に思いながら黒医者ニキとちひろは書類を手に取り話し始めた。隆和は、新しいパイプ椅子を持って来て隣に座ったコレットと神妙な表情で話を聞いている。

 

 

「さて、話が前後するがまず今いる【ガイア連合】についてだ。これは千川さんから頼むよ」

 

「はい。では私から説明させて頂きますね。

 ガイア連合は、ここ日本最大の霊地である富士山、そこに立つ日本最高の神社【星霊神社】を中心にして設立されました。

 ここは、転生者専用の掲示板でここにいる神主の【ショタオジ】が【富士山覚醒体験オフ会】を呼びかけ、それに賛同した転生者達が集まったのが全ての始まりでした。

 徐々に集まる人も増えて業務が拡大する内に、転生者を助ける相互組織【ガイア連合】は生まれ日々拡大しているのが今の状況です。

 最近でも青森の恐山の大型異界を鎮め、初の大型地方支部が建設されている途中です」

 

「そして、彼女がこのガイア連合の実質的な事務方のトップで、ここで怒らせると一番おっかない【千川ちひろ】さんだ。

 よく憶えておくように。では、改めてよろしく」

 

「「よろしくお願いします」」

 

 

 二人して真面目に頭を下げる姿に、どうしてダークサマナーを自称しているのか調査資料を不思議に思いながら、黒医者ニキの足の甲を踏みつつちひろは話を続ける。

 

 

「まず、こちらがあなたを『転生者』だと判断したのは、ウシジマさんからの情報でした」

 

「ウシジマから?」

 

「はい。

 彼はあなたが通信制の高校卒業資格を取るために倉庫整理のバイトをしている時に知り合ったそうですね?」

 

「はい。そうですが?」

 

「彼はその頃にはもう闇金業者として働いていたそうですが、そうして仲を深める内にお互いの事を話して除霊の仕事を貰うようになった、と」

 

「ええ、そうですね」

 

「転生者として判断した情報ですが、あなたはお酒の席でこの世界ではまだ発行されていないとある作品の『オルソラ』という女性キャラが好みとおっしゃっていたとか?」

 

「ウシジマぁ!?」

 

「ふーん、へー」

 

 

 思わず叫びだした彼の横で、不機嫌そうなコレットの顔を見てくすりと笑って追加情報を出すちひろ。

 

 

「なるほど。

 金髪碧眼でシスター、女性の好みは変わっていないようですね」

 

「!?」

 

 

 その言葉を聞いてぱあっと明るい顔をするコレットと焦りだす隆和、それを楽しく眺める三人。

 期待に満ちた目で彼を見つめるコレットと助けを求める視線を出す彼を見て、もう充分と思い次の話題に移るちひろ。

 

 

「資料によると、先日、建設現場での仕事をお辞めになって、それからウシジマさんから受けた仕事先で今回の事件に出くわしたので間違いありませんね?」

 

「はい、そうです。

 そういえば、助けた彼女たちは無事ですか?」

 

「それについては向こうで助けた4人は、警察病院で収容されて入院していますが命に別状はないそうです。

 これについては向こうの方で処理されるので大丈夫でしょう。

 問題はこちらに連れてきた3名です。

 そちらについては、黒医者ニキからお願いします」

 

 

 そう言われ、資料を手に黒医者ニキは話し出す。

 

 

「まず主犯の男についてだが、現在、眠らせて拘束し変身能力の検査と記憶の洗い出しを進めている。

 身元は戸籍自体がいじられているから、追うのに時間がかかりそうだ。

 記憶の方も時間がかかるのでまだ途中だが、変身の方は分かったぞ。

 言ってみれば、至極原始的な人間と悪魔の悪魔合体の術だな。

 あれだ、『デビルマン』が近いな。

 意識の方も悪魔側に侵食される形でやや悪魔主導のようだ。

 記憶の吸い出しが出来ればもっと詳しく判るだろう」

 

 

 今度は資料から2枚の写真を取り出し、こちらに見せた。

 一枚は檻の中で眠らされていたあの猫耳の少女のもので、2枚目は同じ彼女だがどこかの制服を着ていて猫耳がない身分証の写真だ。 

 

 

「この少女は、現地から発見された遺留品の中にあった身分証から分かった。

 彼女の名前は、【百々地希留耶】。中学2年生の14歳。

 今回の主犯の手で行われた“実験”の被験者で唯一の生存者だ。

 彼女は【魔獣ネコマタ】と合体させられ、悪魔人となっている。

 彼女は家出中に誘拐され巻き込まれたようだが、現在は意識も取り戻しこちらの女性スタッフが彼女と話している最中だ。

 落ち着くまでは暫く掛かるだろう」

 

「彼女の両親に連絡はしないんですか?」

 

「彼女自身が両親や警察への連絡を拒否しているんでな。

 落ち着かせたら、時間を置いて再度話す予定だ。

 その時は同席してもらうぞ」

 

「何故、俺が?」

 

「彼女は現地人だ。

 我々は転生者を手助けするのが目的の組織であって、現地人を助けるのは関係した転生者本人の裁量に任せるルールだ。

 今回は『安倍隆和』の名義でここで治療を受けさせる形になっている。

 その後で、彼女を放り出すのも面倒を見るのもそちら次第だ」

 

「……」

 

「よく考えろ。まだ、あるんだからな」

 

「まだ?」

 

 

 黒医者ニキは資料の別の書類を手に取ると、訝しげに見る隆和の方を見て話し出す。

 

 

「3人目は現場であの男に乱暴されていた現地人のシスターだ。

 遺留品の装備からもメシア教のシスターであるのは明白だ。

 復元して綺麗にした顔写真付きで教会の日本支部に問い合わせて、彼女の遺体は近日中に教会に引き渡される予定だ。

 まあ、身体を検死したらそういうのも納得だが」

 

「何があったんです?」

 

 

 そう彼が聞くと、黒医者ニキは不愉快げに続ける。

 

 

「彼女は今回の事件を別の視点から個人的に調査していたらしい。

 実際、地元の霊能組織は気付かずに君が関わってから気付いたようだからね。

 あと、あの男がバフォメットの姿になっていたのが最悪だった。

 相手がシスターだからか、彼女は魂まで犯されて蘇生は不可能だった」

 

「助けた時までは生きていて、コレットの回復魔法で傷は癒やしたはずなのに?」

 

「身体の傷が癒えても、魂が欠けてしまったら蘇生魔法でも無理だ。

 君にそこまでの思い入れがある相手なら助けるが、知らない人物だろう?

 悔しく思うなら、ショタオジの訓練で強くなることだ。

 それに、もう一人いるんだぞ。忘れるな」

 

「……分かりました」

 

「隆和。私はずっと側にいるから頼って」

 

 

 落ち込んでいる隆和の手を握り、慰めるようにいうコレット。

 それを見て、「自分の話はこれで終わり」と黒医者ニキは手をひらひらさせながら部屋を出て行った。

 ごほんと咳をして空気を入れ替えるように続きの話をするちひろに、慌てて居住まいを正して二人は真面目な態度に戻った。

 

 

「さて、今度は私からのお話です。

 今回の事件の後始末は、私たちも慈善団体ではありませんから代金なども発生します。

 それに今後のことについてもありますので、その辺についてお話しましょうか?」

 

「いくら位掛かるのでしょうか?

 それなりに貯金はありますけど大丈夫でしょうか?」

 

「落ち着いて下さい。それは、後でお話しますので。

 まず、【女神転生】と【終末】についてはどこまで理解されています?」

 

「前は、両親や病気や仕事に追われてゲームとかよく知らないまま終わっています。

 なので、今世でウシジマさんからある程度は聞いています。

 この世界は前の世界でゲームにあった世界の危機が起きうる世界で、それが【終末】だと。

 だから、資産の半分以上はマッカや宝石に替えて彼に預けています」

 

「最低限の情報は得られているようで助かります。

 我々は、その終末が10年以内に起こると予想して動いています。

 具体的にはアメリカのメシア教が世界中に核ミサイルのICBMを降らせ、悪魔がどこにでも現れるようになり、文明の崩壊後はメシア教と他の有力な神々が争いながら世界を治めるようになるか、または聖書の大洪水が起きて2回めの『方舟』で文明リセットされると考えられています。

 ご理解されましたか?」

 

 

 そこまで聞いて、隆和は自分の将来の夢がガラガラと音を立てて崩れていくような感覚を感じていた。逆に横に居たコレットは、昔に自分が所属していた頃のメシア教を思い出し、彼は気の毒には思うがアレならやるだろうなと納得していた。

 ちひろにしてみれば、もし仮に彼の話に聞いた異界をどうにか解決できたとしても、コレットもいるのだし表の職業について平穏な生活が出来るとは思えない。何しろ、彼の死後も離れないと目で示している彼女がもう後戻りが出来ないところにまで連れて来ているのだから。

 (まあ、それは彼の事情だし)と思い、構わずに彼女は話を続ける。

 

 

「そこで我々は、そのために転生者の皆様用に特典として無料で【個室のシェルター】を用意しています。

 また、覚醒されてこちらの霊能関連の仕事をして頂くなら『シキガミ』と呼んでいる主に忠実なパートナーとなる人造悪魔も御用意できます。

 なお、ご家族や配偶者の方のシェルターの増室や治療は基本【有料】ですのでご注意下さい。これは、今後はあなた方にも適用されるのでご注意下さい」

 

「……そうだ。今回の事件の件ではどうなるんですか?」

 

「その辺に関する細かい手続きや交渉などは、こちらの事務所と現地のウシジマさんとで話がついています。逆に、こちらからお支払いする事になると思います」

 

「え、そちらにお支払されるような事はした憶えはないんですが?」

 

「隆和。私たちの身の上話をしたでしょう?

 その中に、彼らが値段を付ける情報があったの。

 こうやって言ってくれるなんて、この人たちは親切なことなのよ?

 真面目に素直に働くあなたが好きだからそのままにしていたけど、これからはその辺も勉強するからね?」

 

「ああ、分かったよ。コレット」

 

 

 愛する彼を守ることが最優先のコレットにすれば、こうして自分や裏の世界に浸っても変わらずに真面目で誠意を持って働こうとする15年をかけて子供の頃から見てきた彼の素直さは、今日は特にたまらなく可愛らしく思える。今夜は絶対に一緒に寝ようと考えつつ、彼を守る決意を新たにしている。

 どピンクな雰囲気を目の前で示されたちひろは、かなり長時間となっていたのでもういいやと今日の話を締め括ろうとした。

 

 

「とりあえず、今晩はそちらにはこちらで用意した宿泊施設でお泊りいただいて、明日からショタオジの覚醒再修行を受けていただいて、その間に他の件は我々とウシジマさんで進めておくので頑張って下さい」

 

「はい、長い時間ありがとうございました。千川さん」

 

「ん? 終わったか、終わったね。

 俺もかなり休憩が取れたし、明日からまたよろしくね。アーッニキ」

 

「はあ。神主さんもよろしくお願いします」

 

 

 そして、この場で行なわれた会談は終了しそれぞれにやる事を考えつつ解散となった。

 

 

 

 

 その日から、彼らは二ヶ月ほど山梨支部に滞在することになった。

 二ヶ月とは、ガイア連合側の事情と彼への特訓の事情が理由である。

 

 まずガイア連合側の事情だが、現在は恐山の大型支部の建設をしているがそれと並行して、次の大型異界(後に【ヒノエ島】と呼ばれる島)の攻略計画と合わせて瀬戸内支部と北陸支部の建設計画も進んでいた。

 最もそれらの計画は、数カ月後には張り切った連合員の頑張りとちゃんとした睡眠への情熱により、日本全国に19の支部を完成させることになりショタオジを呆れさせていたが。

 とにかくそれらの計画のためにも、その中継地点になる関西に霊地にあるちゃんとした宿泊施設が求められ幾つかの派出所が作られていた。

 彼の今後にも関わってくるそのうちの一つが大阪城付近に造られ、箱だけは出来ていたそれの内装と内部の施設の設置に二ヶ月は掛かるというのがガイア側の事情である。

 

 もう一つの彼の特訓の事情とは、主に彼に施されるのが体術と攻撃の回避がメインになるのだがそんな物は普通にやったら数年は掛かるので、短期間でダメージが抜けるのまで考慮して二ヶ月でやろうという楽しげなショタオジの判断によるものだった。

 それでは、彼への特訓の方から観ていくことにしよう。

 

 

 

 

 あの会談の翌日から始まった『痛くなければ覚えませぬ』とモットーにしたそのショタオジの彼が受けた【覚醒訓練】は、他の被験者ならトラウマを再発させていただろう。

 まずは前菜として、本家様のAAスレ『愉快な転生者がメガテン世界で生きあがくようです』の三話と四話の【高難易度修行】(非覚醒者時体験コース)と似た物を二日ほど同じ体験して能力が増えるかどうか様子を見ることになった。したが、増えなかった。

 

 それでその翌日、彼らからショタオジに強くなった理由の物品が届いたから見て欲しいと連絡があった。

 強い結界のある部屋で出来ればショタオジ一人でというので彼がそれなりの用意をして向かうと、昨日までの影響から【パトラ】で頭をハッキリさせたらしい二人が緊張した面持ちで指定した部屋で待っていた。彼らの側には、長さ1mほどの長さの何かを厳重に封印するように力の強い札を貼られた箱が置いてある。

 気になるが軽く挨拶をしてショタオジが彼らの前に座ると、隆和とコレットが話し出した。

 

 

「実は、この中の物が急速にレベルを上げられる原因になったアイテムなんです。

 今まではウシジマさんのビルの地下倉庫に預かって貰っていたんですが、『もう預かれない。ガイア連合に行けたのだからこれを引き取って処分してくれ』と言われてしまって困っているんです」

 

「隆和の住んでいた安アパートには置けませんし、出来れば買い取りか処分して貰えませんか?

 私たちはもうこれで強くなれませんから」

 

「特別なアイテムを使ってそこまでレベルを上げていたのか。

 じゃあ、中を見せてくれるかな?」

 

「この部屋は結界はありますよね?」

 

「大丈夫。ここは俺の本拠地の【星霊神社】の敷地内だよ?」

 

「よかった。じゃあ、開けますね。コレット、しばらく開けてなかったから、念のために封魔管に戻って」

 

「はい。気をつけて」

 

 

 心配げなコレットが退場すると、隆和はそっと紐を解き蓋を開けた。

 蓋を開けると一瞬可視化するくらいの強力な魔力が溢れ、中の物が見えた。

 そこには緩衝材に覆われていた高さ40cmほどの顔が削られて無い身体の衣装から仏教の像と判る立像が入っていた。

 ショタオジの目にも、明らかにヤバイ物だと見えた。

 

 

「……それは?」

 

「自分の地元は関西な上に、霊能関係の依頼で行くのも京都や奈良なんかも含まれる畿内だったんで偶にこんな物が見つかるんです。

 これを手に入れたのは、前の職場で働いてる頃だから3年くらい前でした。

 異界化して死亡した好事家の別荘を何とかしてくれと依頼がウシジマさんから来まして、最奥の部屋でこの仏像と好事家の遺体に絡みついていた悪霊の塊を倒して見つけたんです。

 記録には、【呪いの仏像】と。

 その後に残された資料を調べると借金の代わりにこれを今は潰れた寺から買ったとかで、伝承だとこの仏像を持つ者は試練を与えられ打ち勝つと強い力が手に入るとありました」

 

「なるほど。それからはかなり強力な【リベラマ】が発するみたいだね。

 無分別に周囲の悪魔を呼び寄せるんだから、その好事家が未覚醒なら助からないのも道理だね」

 

「はい。だから、あまり他の人には知られたくなかったんです。

 トラブルの元にしかなりませんから」

 

「それでどうやって、集まった悪魔を倒したんだい?」

 

 

 そう聞かれて、少し遠い目をしながら隆和は答えた。

 

 

「俺の知り合いに、【高橋なのは】さんてよく知ってる作品にそっくりの女性が居るのです。

 その人、陰で【魔王】さんと言われるくらいに何でも吹き飛ばす範囲魔法が得意な人だったんです。

 俺のスキルは女性には好かれませんので、師匠の異界に行って俺がこの仏像を紐で縛って背中に背負って囮になりました。

 そして、近付いてきたのを高橋さんが吹き飛ばして、抜けてきたのをコレットが倒すパターンでした。

 休みの日にこれを続けていたら、レベルだけはこんなに上がったんです」

 

「ああ、その女性も先日ここに来た転生者だね。……その顔は知らなかったのかい?」

 

「はい」

 

 

 かなり驚いている隆和に、ショタオジは楽しそうに告げる。

 

 

「今回、君をここに紹介したのがいい機会だとウシジマニキは思ったんだろう。

 こちらに、今まで知らなかったりしてこっちに接触して来なかった転生者を数人ほど連れて来たんだよ。

 その中の一人に、その名前の彼女がいたんだ。

 声も『田村○かり』にそっくりだった」

 

「ええ、そっくりなんですよ。格好は普通の服なんですけどね。

 まあ、ウシジマさんにも考えがあるんでしょう。

 金銭で何かない限り、こっちに不義理をする人じゃないですから」

 

「まあ、君が信用しているならいいか。

 それじゃあ、その仏像はこっちにはかなり有用な物だから買い取らせてもらうよ。

 いいかい?」

 

「お願いします」

 

「それじゃあ、【新車のポルシェ・ボクスター】円位で買うね?」

 

「……は? えー、え?」

 

「不満かな? それじゃあ、【諸々オプション付き】位がいいかな?」

 

「そじゃなくて、NANでソんナに田書く1?」

 

「落ち着いて。口調が変なふうになっているよ?」

 

 

 混乱している彼に、クックっと笑って続けるショタオジ。

 多分、彼は今も表の世界の金銭感覚でいて、除霊仕事も一件で○十万円位だったのだろうとショタオジは予想をつけた。

 彼にはもう必要ないだろうけど、使い方次第で化けるこの仏像は手に入れたいと考える。

 

 

「この仏像のことを知っているのは、君と【魔王ネキ】とウシジマニキだけかな?」

 

「はい。その3人だけです」

 

「なら、割合は少ないけどその三人にも代金を分けるから売って欲しい。

 もちろん、この値段は他に売って欲しくないのと当分の間の口止め料もあるから」

 

「えーと、じゃあお願いします」

 

「うんうん。この件はこれで終わりだ。

 会計はちひろさんに言って処理して貰うから、大丈夫だよ。

 それじゃ、午後から本格的に始まるので昼飯は程々にしてから来てね☆」

 

 

 仏像を箱に閉まってショタオジに手渡すと、一礼して隆和は訓練の準備をするべく部屋へと戻って行った。

 封印の箱を大事そうに持ち、上機嫌で事務所の方に向かうショタオジは考える。

 

 これは昔、どこかの僧が周囲の人物の成長を願って創り、代々その寺で彼のようなやり方で異能者を促成するのに使われたのであろう。

 しかし、戦後になって記録は焼失しこの仏像も厄介なものと成り果てて、数奇な縁から彼の手を経てこうしてここに来た。これは、大事にうちで使うことにしよう。

 やっぱり彼には色々な物を齎してくれたのだから、感謝を込めて丁寧に午後からの訓練を指導することにしようと彼は新たに内容を考え直していた。

 その日の午後、クスクスと笑いながら来たショタオジに隆和は本能的な危機を感じたらしい。

 

 その後に行なわれた特訓は大怪我しても死んでも魔法で治るから大丈夫と、『痛くしなければ覚えられないなら、なんなら死んでも痛い位にしてもいいよね☆』というある程度本気で殺しに来る戦闘訓練だったという。

 

 ショタオジ曰く、「二ヶ月でやる予定だから、ギリギリのギリギリを突いてみた☆」だそうだ。

 合掌。




後書きと設定解説


・アイテム

【呪いの仏像】
高さ40cm、重さ4kg、金メッキの金属製の極めて頑丈な顔のない仏像
どこぞの霊能組織が売ったのを入手した好事家が変死した事件で入手
所持者に覚醒しないと意味がない【経験の幸運】の霊験を授けるが、
苦難として周囲の悪魔を呼び寄せる極めて強い【リベラマ】を発生させる
買い取り手が居ないため、大枚はたいて封印用の箱を買って所持していた
異界で背中に紐で括り付ければレベル上げのアイテムになった


次はガイア連合関係者との会談のその続き。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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