【求む】カオス転生でダークサマナーが就職する方法   作:塵塚怪翁

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続きです。
今回は、装備回。


第45話 DEMOuntable Next Integrated Capability cAR

 

 

  第45話 DEMOuntable Next Integrated Capability cAR

 

 

「それで久しぶりに会ったと思ったら、車が欲しいんだって?」

 

「ああ。すまないな、黒医者ニキ。

 技術部へ紹介して欲しいんだが大丈夫か?」

 

 

 夏も過ぎ秋になると、テレビや新聞ではけたたましい程に一つのニュースを繰り返していた。

 中東において湾岸戦争後にクウェートに駐屯したままだった多国籍軍が、エジプトの首都カイロの付近で反政府武装組織と大規模な衝突を起こして戦闘中だというニュースであった。

 そのニュース記事の新聞を示しながら、黒医者ニキの個人用オフィスで隆和は彼に話を続けた。

 

 

「これなんだが掲示板によると、多国籍軍に化けたメシア教過激派がイラクの中東一神教に大打撃を与えたのが湾岸戦争の裏側らしいじゃないか。

 しかも、その前のイランとイラクの戦争でもアメリカ政府を通してメチャクチャにかき回して、現地の霊能組織でもある宗教組織に打撃を与えるのがメシア教の目的だったとか。

 今回の激突も、裏向きにはメシア教と現地の組織が集まった連中との大規模な戦闘なんだろう?」

 

「ああ。

 山梨支部の方でも詳細な情報を集めている最中なんだが。

 エジプト神話軍が呼びかけて周囲の戦力をかき集めて【多神連合】を結成して、メシア教とぶつかったのは間違いないようだ。

 戦力比などの詳細な情報はまだだ」

 

「場合によっては、これが終末の引き金になるかもしれないと考えるとなぁ。

 今はいろいろと立て込んで大変な時期なんだよ、俺」

 

「そういや奥さんたち、出産日がそろそろなんだってな?

 3人も同時に身籠らせるとかうちのメンバーでもそうそういないぞ。

 未成年で年上に子どもを作らせた某支部長と同じくらいすごいじゃないか」

 

 

 そう黒医者ニキに言われて、照れればいいのか怒ればいいのか分からない複雑な顔で隆和は頷いた。

 

 隆和の子を妊娠している高橋なのは、華門和、吉澤加奈の3人はすっかりお腹も大きくなっていて、裏の事情も良く解っているガイア系列の産婦人科に入院してもうすぐ来る出産予定日を待っている状態だった。父親は同じという事もあって4人部屋の同じ一室に三人で入院しているのだが、隆和は顔を出すたびに看護師たちにはひそひそと陰で好奇心からいろいろと言われているからか3人と一緒にいない時にどこからか股間への熱い視線を感じるのが不気味でならなかった。

 

 彼女らの事も関係しているので、隆和はトモエも伴って彼に相談に来ていた。

 

 

「それで? 車が欲しいなら地元のカーディーラーに行けばいいじゃないか」

 

「これから終末になった時に普通の車が動くかどうかが疑問なんだ。

 異界では電子部品を使ったものはまともに動かないだろう?」

 

「ああ、なるほど。

 それなら、聞くだけ聞いてみようか。

 売ってくれるかどうかは自分で交渉してくれ」

 

 

 黒医者ニキが内線で電話すると、数十分後に一人の男がやって来た。

 成人男性にしては少し低めの身長で、金髪で赤いコートに黒のズボンに右足だけ金属製のブーツを履いている隆和もファンだった漫画の主人公にそっくりの男がそこにいた。

 やって来た彼に、黒医者ニキは挨拶をして話しかけた。

 

 

「よう、呼び出してすまないな、【エドニキ】。

 そういや、弟さんは?」

 

「いや、ガチャにも出してない倉庫の品を買ってくれるかもしれないんだろう?

 アルなら向こうで倉庫の整理をしているよ。

 で、初めましてアーッニキ」

 

「どうも、初めまして。今回はよろしく。

 いやー、本当にそっくりだなぁ」

 

「おう、俺たちハーフだからな。こんな容姿でも日本人だぜ。

 あと、アルのやつも作業用の霊装であのフルプレートを着て働いているよ。

 俺だって『あべたかかず』に会うのは3人目だぜ?」

 

「俺と似たような人がいるのは噂では聞いていましたけど、3人目?」

 

「ああ。

 道下ってキャラそっくりのシキガミを連れた同性愛者の奴。

 この間小学生の子どもを弟子を取った男女の両方イケる【くそみそニキ】。

 そして、転生者も含めて3人同時に孕ませたノンケのアーッニキの3人だ」

 

「似ている人って、割りといるんですねぇ」

 

「まあな。

 そっくりな奴って、マイナーからメジャーまで割りと幅が広いぞ。

 おバカな氷の妖精にそっくりなのに頭脳明晰で支部長をしているやつとか、ゾンビ漫画の美少女キャラそっくりで男の娘アイドルで売り出したやつとかいろいろいるぞ。

 アーッニキの奥さんの一人だって、あの白の冥王そっくりの『魔王ネキ』だろ」

 

「それはまあ、最近あの白い服そっくりの霊装防具も手に入れて時々着ていたからね。

 尋常じゃない威力のメギドラで悪魔を薙ぎ払っていたし」

 

「そこにいる黒医者ニキだって、あの漫画の医者そっくりだろ?

 もっとも、有名だから同じような格好の奴は10人くらい居るけどよ」

 

「私の事はいいんだよ、エドニキ。

 それより、彼を案内してやってくれ」

 

「おう、そうだな。

 じゃあ、アーッニキついて来てくれ」

 

「ああ。

 それじゃあ、今回はありがとう黒医者ニキ。

 決まったら、知らせに来るよ」

 

 

 隆和は礼を言うと黒医者ニキと別れ、案内するためにトモエと別の場所に移動するエドニキに付いて行った。

 

 

 

 

 黒医者ニキのいたシキガミ製造と医療棟のあるエリアから離れ、隆和たちは大型の倉庫が建ち並ぶ特殊な乗り物の開発エリアへとやって来た。ここは地元民はほとんどいない上に、俺たちの仲間内でも熱狂的な連中しか近づかない場所でもある。本人たちは対策していて平気なために気にしていないが、単純に爆発事故も多いからだ。

 開発した動力機関の試験で爆発しそうになると、見学者をそのままに素早く近くの塹壕に飛び込む耐爆白衣の群れはここの風物詩でもある。

 隆和たちが通過した場所でも車両の開発をしているようだが、研究者の俺たちが活発に議論がしているようだった。

 

 

「馬鹿野郎! 作業用ならレ○バーでいいだろうが!

 モ○ルスーツみたいなでかいのが作れるかっ!」

 

「まず小型のスコー○ドッグを作って二足歩行の実証からだろ?」

 

「それならそんな古臭いやつじゃなくて、ナイ○メアフレームだろ!?」

 

「いや、ヒ○ドルブはどうだ!? せめて、ザク○ンクで!」

 

「合体と変形はロマンだ。これなら、車両とロボットのいいとこ取りだろう!」

 

「だからってトランス○ォーマーは止めろ。

 ゲッ○ーみたいな変形機構のせいで人の乗るスペースが無いぞ」

 

「この大型トレーラーは変形して司令官にするんだから、『コン○イ』でいいだろう!?」

 

「これは『オ○ティマス・プライム』だろうが! 正式な名前で呼べよ!」

 

「おい! まだそれに、誰もシキガミコアを乗せるとは言ってないだろう!」

 

 

 作業場の隅を通って扉を閉めて喧騒から遠ざかると、案内していたエドニキが振り返ってこう言った。

 

 

「勘違いしないでくれよ。

 あの連中とは違って真っ当な車両の開発している奴もいるからな」

 

「まだ終末は来ていないのだから、できれば普通の形の車にしてくれ。

 警察に呼び止められるのは困るから頼む」

 

「ああ、分かっているよ。こっちだ」

 

 

 しばらく廊下を歩きエドニキが扉を開けると、そこには彼らが開発した思われる車が多数並んでいた。

 中の様子は、奥の方に昭和の蜘蛛男や光の巨人にと特撮に出て来たトンチキなデザインの車両が所狭しと再現途中で陳列されているのを見ないことにすれば、整然と多数の種類の車がずらりと並んだ車の整備工場のようである。

 隆和とトモエが呆けたように周りを見ていると、部品をどれに優先して使うかを議論している作業着を着た数人の技術者の間からフルプレートの長身の男性が現れた。エドニキが片手を上げて声を掛けて近づいて行った。

 

 

「おーい、アル。準備は出来ているか?」

 

「あ、兄さん。

 言われたとおりに、どの車でも指定してくれればすぐに整備して出せるようにしておいたから。

 じゃあ、ぼくは研究室の方に戻るよ」

 

「ああ、後でな」

 

 

 全身鎧の彼が去ると、エドニキは備え付けのノートパソコンを弄ると隆和たちに話しかけてきた。

 

 

「どうだ、あの鎧そっくりだろう?

 各種耐性やパワーアシストもついた自慢の霊装なんだぜ」

 

「そっくりだった。それで、中身はいるのか?」

 

「もちろん、いるとも。

 それで、どんな車が欲しいんだって?」

 

「まず、前提として終末を見越して、異界の中でも走れる車がいいんだ。

 あと、今使っているのは軽自動車なんだが、小さ過ぎて家族の送り迎えなんかに苦労したんだ。

 だから、日本の道路でも使える大型の物が欲しいんだが。

 欲を言えば、噂に聞くバスに変身できる黒猫の彼が欲しい」

 

「その黒猫、本当にいたらハムコネキが欲しがるけどやる夫さんに渡されるのがオチになるよ。

 …んー、要望に当て嵌まるやつで現在完品なやつは、と。

 3つあるなぁ。

 この中から選んでもらう事になるがいいか?」 

 

「とりあえず、見せてくれ」

 

 

 隆和がそう答えるとエドニキは彼らを最初の車のところへ案内した。

 そこには黒い塗装のされたアメリカ製のスポーツカーがあり、特徴的なのはフロントの先の部分に赤く左右に動きながら点滅しているランプが付いている所だろうか。

 エドニキは得意げに手で示しながら説明を始めた。

 

 

「こいつは見たことのある奴ならすぐに分かるが、『ナイト2000』のレプリカだ。

 異界の内部だと電子部品が働かないのは知っているだろう?

 だから、電子制御の部分をシキガミのコアで制御出来ないか試作されたのがこいつだ。

 シキガミとしての名前は、【Knight Industries Two Thousand、K.I.T.T.】だぞ」

 

「いやな、エドニキ。

 乗せたい人数が10人近い数を想定しているんだ。

 スポーツカーのこれではちょっとな」

 

「そうか。まあ、次に行くか」

 

 

 車の方から「えっ、もう行くのか?」という視線は感じたが、申し訳なさそうに見るトモエ以外の二人はさっさと次の車の方に移動した。

 次に行った場所には、ヒョウ柄の塗装が施され屋根に猫耳のついたマイクロカーと同じようなデザインのサンルーフの窓と後部がオープンデッキになっているトレーラーが接続されているサファリバスがあった。

 

 

「こいつは、2作目が炎上したとある獣娘アニメで登場したバスだ。

 これの特徴としては、異界内部での野営も行えるようにキャンピングも出来るトレーラーがある点だ。

 操縦は、そこに見えるぬいぐるみみたいな形状のシキガミが行なうようになっている。

 しかも、これの動力は開発されたマグネタイトバッテリーを使用したモーター駆動の電気自動車なんだ。

 アーッニキ、これなら大勢乗せられるぞ。どうだ?」

 

「済まないが、一般の公道でサファリバスは使えないぞ。

 確実に警察に呼び止められる事になる。

 もう少し、大人しいデザインの車はないのか?」

 

「まあ、そうだよな。

 動力部分はエンジン音を出すのに結構、苦労したんだがなぁ。

 じゃあ、次で最後だな」

 

 

 物悲しげに操縦席からこちらを見る青いシキガミの視線をトモエはペコリと頭を下げると、そのまま次の車に移動して行った彼らに小走りでついて行った。

 最後に行った場所は倉庫の一番奥にあり、そこには黒い塗装の施されたワンボックスカーが置いてあった。今までのものに比べて形状はあまりにも普通なので、隆和とトモエは身構えてエドニキの説明を聞いていた。 

 

 

「さて、こいつが今うちにあるバラされていない最後の完品の車だ。

 それでこいつは前の2つのシキガミ制御の部分と、MAGバッテリー駆動の電気自動車の部分を既存の車に組み込んでみた一番面白みのない車だな」

 

「いや。こういうのでいいんだよ」

 

「そうなのか?

 見ての通り、車種は一部の界隈でも有名な『ハ○エース』のカスタムモデルだ。

 前に2人と後ろは詰めれば6人乗れるな。

 後ろの座席を全部倒せば、寝台にもなるようにしてある。

 MAGバッテリーは後部の荷物スペースの下に来る形状になってる」

 

「いいじゃないか。これで頼むよ」

 

「ああ、分かった。

 ところで、ステアリングに秘密機能付きのボタンとかいるか?」

 

「いらないよ!」

 

 

 楽しげにそう聞くエドニキに、隆和は思わずそう返した。

 

 

 

 

 それから、数日後。

 隆和の血肉を使ったシキガミコアも組み込まれた黒いワンボックスカーが、隆和の居る華門神社へと届けられた。

 珍しげに神社のメンバーが集まって見ている中、興味深げに見ていた夜刀神華に隆和は聞かれた。

 

 

「先生、この子って名前は何て言うんですか?」

 

「ん? 

 何か長い英語の名前があったけど、縮めてこうしたよ。

 【デモニカー】だ」




後書きと設定解説


・関係者

名前:デモニカー
性別:男性
識別:シキガミ
職業:安倍隆和のシキガミ
ステータス:Lv10・フィジカル型
耐性:物理耐性・電撃弱点・呪殺耐性・状態異常無効
スキル:突撃(敵単体・小威力の物理攻撃)
    押しつぶし(敵単体・大威力の物理攻撃。命中率は低い)
    食いしばり(HPが0になった際、自動的に一度だけHP1で復帰する)
    三段の恵体(ステータスの体が15増加する)
    三分の活泉(最大HPが大きく上昇する)
    シキガミ契約のため主人以外からの精神状態異常無効
スキル(汎):食事(水分のみ)
詳細:
 ガイア連合でデモニカの試作品の一つとして作成されたシキガミ
 黒いハイエース型のライトバンの形をしており非常に頑丈な身体をしている
 電子制御の代わりにシキガミコアを用いて車体の制御をしている
 動力はマグネタイトバッテリー駆動のモーターで動いている電気自動車と同じ仕組み
 欠点はバッテリーの充電に大量のマグネタイトを必要とするために実用が困難な点
 意思の表現はそれらしいという理由でエンジン音やライトの点滅などで行なう

ちなみに、彼らはこちらに回される個人用でない希少なシキガミコアを奪い合っていました。


次は出来るだけ早く。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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