【求む】カオス転生でダークサマナーが就職する方法   作:塵塚怪翁

50 / 63
続きです。


第48話 地元巡業・私立京都洛陽女学園

 

 

  第48話 地元巡業・私立京都洛陽女学園

 

 

『エジプトでの多神連合の惨敗は、エジプトの神連中のやらかしが原因とは本当か?』

 

『霊地を壊された腹いせではと、掲示板の方にも報告が上がっていたから探してみろ。 

 メシア教に敗色濃厚になった所で勝手に損切りして、前線に呪殺と病を振りまいて戦場に派遣されていた他所の一流どころの異能者をミイラにして魂ごと魔界に持ち帰って引き上げたそうだ』

 

『残った連中もただじゃ済まないだろう?』

 

『アメリカ軍と天使共に掃討されて逃げ帰ったって、現地の日本の関係者が報告してくれたよ。

 それでいくつもの現地の宗教組織や政府も大打撃を被って、アメリカの石油メジャーが嬉々として乗り込んだとさ』

 

『連中は「主の導きがあった」とでも言うつもりか?

 裏の世界だけじゃなく、原油取引も完全にアメリカ主導になるのかよ。

 日本も9割以上石油は中東依存だろ?』

 

『ああ。だから、新潟とか日本国内でも原油を採掘しようと俺たちが動き出してる。

 原油の取引でアメリカを通じてメシア教に何を言われるか判らないしな』

 

『これのおかげで、先物取引の相場とか資源企業関連の銘柄が世界中で乱高下しているぞ。

 アフリカや中東は霊的には落ち着いても、OECDはもう駄目だな』

 

『そうだな。

 メシア教に取り込まれる前に、人員を国内に呼び戻すようにグループ各社に呼びかけよう』

 

 

 

 

 年が明けてしばらく経ち、もうすぐ節分になる頃になった。

 

 転生者掲示板ではエジプト神話の連中のやらかしが盛大に暴露され、ガイア連合のメンバーである経済界や政界の『俺たち』が対策に追われている中、華門神社ではある一人のお客を迎えていた。

 土産としてその人物が持って来たガイアグループ系列のコンビニである『トリプルセブン』が売り出した恵方巻きを神社の皆に切り分けて、神社内の応接室で隆和と千早は応対していた。

 

 

「いや、子どもも生まれたというのに顔も出せないで済まなかったね。安倍くん」

 

「いえ、お互いに色々と忙しかったのでしょうがありませんよ」

 

「そうや。祝いの品は頂いていたのやから、それで充分や。藤野はん」

 

 

 そう千早が言うと、面前のソファに座る人の良さそうな高級スーツを着た中年の男性はにこにこと微笑みながら鷹揚に頷いた。

 

 彼の名は【藤野槇雄(ふじのまきお)】。

 

 彼はいわゆる『富豪俺たち』の一人であり、現在は日本酒造組合の幹部をしている人物だ。もともと彼は京の出身で河童を宣伝キャラクターにしている蔵元で働いていたが、職人より商人としての才があったので社長に見込まれ伏見の酒造組合を経て日本酒造組合の幹部にまで上り詰めていた。そして、財界で他の俺たちと出会い、地元の関西でのガイア連合の進出の経済的後押しをしている者の一人でもある。

 

 

「ここの改装費用などのグループからの融資は気にしないでいいとも。

 それに見合う成果は出ているようだし、君らにはいろいろと期待させてもらっているからね。

 次に天ヶ崎くんに子どもが生まれた時は、盛大に何か贈るとしよう」

 

「いややわ、藤野はん。恥ずかしいわぁ」

 

「ありがとうございます。

 彼女との子どもも、情勢が落ち着いたらすぐの予定ですよ」

 

「いや、君の働きは本当に助かっているのだよ安倍くん。

 特にあの京都の妖怪ババァ共や関西支部をかき回していたあの女を排除してくれたのは、手が出し難くてね胸がすく思いだったとも。

 おかげで、友人の一条くんも家族と過ごせる時間が増やせていたようだ」

 

「それで今日はどんな用件で来られたのか聞いてもええやろか?」

 

「ああ、そうだったね。いくつかあるが、まずはこれだ」

 

 

 そう言うと彼はアタッシュケースを取り出すと、テーブルに乗せて開いて見せた。するとその中には、数十枚のプラスチック製と思われる色の違うカードが緩衝材と共に入っていた。

 彼は黒色の自分の名前が記されたカードを見せると説明を始めた。

 

 

「これは我々の新しい身分証だよ。

 これがあれば、外部の人間を引き入れた今の状態のうちでもいちいちデータベースで相手を調べて書類を作る手間も省けるからね。

 文字通り、色分けで事前の申請の通りに手早く相手を判別出来るようになる。

 中東の一件は君らも聞いただろう?」

 

「はい、聞きました」

 

「これからは国内の人間だけでなく、より多くの海外の人間がメシア教に追われて日本に疎開してうちに参加してくると山梨では予測している。

 選り分けのためにも、技術的にも霊的にもしっかりとした新しい身分証が必要だったという事だ」

 

「わざわざ持って来てくれてすまない事ですわ、藤野はん。

 それでうちらはその黒いカードという訳やね。

 もしかして、ICカードの機能も含まれているんやろか?」

 

「現金やマッカではなく、ガイア系列の企業でのみ使える【ガイアポイント】だがね。

 ほら、最近CMも始まっているだろう?

 『世界が崩壊しても大丈夫』や『国が変わっても大丈夫』とか。

 あれは嘘じゃないぞ。終末後の通貨の代わりだと計画されているからね」

 

「ウシジマニキに頼んで現金資産のほとんどをマッカや他のものに切り替えていましたが、やけにこれにしておけと言っていたのはそのせいだったのか」

 

「うちの口座やここの会計も、まだ完全に日本円を無くすのは時期尚早やからな。

 でも、出来るだけ早く交換しといた方がええと皆にも言っておかな」

 

 

 相談を始めた隆和たちを見て出されていたお茶を飲み、彼の話は続く。

 

 

「金と銀と銅クラスの名簿はこれでいいかは後で確認して欲しい。

 たまたまこちらに来る予定のあった私も、これを届けてくれと頼まれただけだからね」

 

「頼まれた、ですか?」

 

「ああ。山梨支部の技術者の新田くんだったか。

 何でも神主殿の高弟で、山梨で『邪教の館』を開くらしい。

 人魚を北にある八百比丘尼の異界でスカウトするのだと言っていたな。

 たしか、南雲くんと言ったかな?

 ここ京都の北部に支部を作った知り合いに手助けしてもらうとか言っていたようだが」

 

「邪教の館と言うからには、悪魔合体も出来るんかもしれへんな。

 ショタオジの直弟子みたいやし、すごい術者もおるもんやな」

 

「やっぱり、ショタオジの直弟子と言うだけあってその新田という人はすごいんだろうなぁ」

 

 

 彼の話を聞いて、感心するように隆和と千早は頷いていた。

 ちなみに、彼らは【ミナミィネキ】の本名が【新田美波】である事は知らないし、今まで彼女が作った装備を隆和たちはいくつか使用しているが、黒医者ニキが作成者の名前を言う必要もないと考えて伝えずに渡しているので気が付いていない。

 

 

「まあそこらへんは置いておくとして、そろそろ私の用件の方に移ってもいいかね?」

 

「ああ、はい。どうぞ」

 

 

 隆和がそう答えると、藤野氏は懐から手帳を取り出し説明を始めた。

 

 

「それでその調査員が戻ってこないと?」

 

「うちの子飼いの興信所でね。出来れば、行方と原因の方も突き止めて欲しい」

 

 

 彼の説明によるとこうだった。

 

 彼には藤野秋葉という末の娘がいて、現在彼女は高校2年生で京都の新興ではあるが金持ちの子女が通う全寮制の『私立京都洛陽女学園』に自宅から通っているのだが彼女から相談を受けたのが始まりだった。

 彼女によると、親しくしていた『安藤優子』という友人がある時から夜に寮にも帰らなくなっているとの事だった。

 その日、その安藤優子という女性は図書委員の仕事で日が暮れるまで図書室の掃除をしていたらしい。彼女が昼の授業にも出なくなっているのに学校側は問題はないとして扱っており、学校側からは彼女は他の一部の素行の悪い生徒と特別授業に参加しているとだけ通告があってお終いだった。

 秋葉嬢の証言によれば、彼女は素行が悪い事は決してなくこんな事になるのはおかしいので父親である彼に相談したのだと言う。

 

 

「娘が通っている学校が怪しげな事をしているからと、私は表向きに教育委員会などを通じて調べてもらったが異常はないと言われたんだ。

 ただ、娘がこんな事で嘘を言うはずがないからね。

 個人的に雇っているオカルト方面にも詳しい興信所に調査を依頼したんだ」

 

「それでその調査員たちが戻ってこんのやね、藤野はん」

 

「ああ。

 彼らが突き止めた所によると、ここの校長と教頭が月に一度、教育委員会のお偉方や評判の怪しい会社の重役を学園に招いて秘密裏に懇親会を開いているとの事だ。

 最近になって始まったらしいが、それから学園への寄付金も増えているらしい。

 先月の最後の報告では、その懇親会の内容を盗撮すると言って潜入したまま帰って来なかった」

 

「俺にそこに行って欲しいのは何か理由でも?」

 

「行われているのが新月の夜だと言うから、裏の事情が関わっているのはまず間違いないだろう。

 危険なので娘には学校を休ませているが、年明けからこれ以上長期に渡るのも拙い。

 それなら、私の伝手で雇える最大の大駒である君に頼みたいのだよ」

 

「こちらは構いませんが、次の新月の夜はいつになるんです?」

 

「2日後になる。頼む」

 

 

 

 

 そして、当日の新月の夜になった。

 

 生徒が帰り日も沈みきった頃、学園へと高級車が幾台も入っていくのを離れた場所に停めた黒いワンボックスカーのデモニカーの中から隆和たちは眺めていた。裏口の通用門も閉められしばらく経ったのを待ち、彼らは動き出した。

 車の中には隆和とトモエ、それにカーマと吉沢加奈がいたがドアを開けながら隆和は彼女らに告げた。

 

 

「まず、俺とカーマ、それに加奈とで忍び込んでみる。

 その間は他の皆はここで待機だ。そして、合図があったらデモニカーごと突っ込んでくれ」

 

「あの、私も行くんですか?」

 

「こういう潜入する依頼は加奈の方が経験があるだろう?

 訓練はしていも実戦からあまり遠ざかり過ぎるのもよくない。

 だから、信頼している君に手助けして欲しい」

 

「そう言って貰えるのは嬉しいのですけど、…それでこの服は?」

 

 

 彼女は、自分が着ている胸元の開いた赤と黒色のボディスーツ型の身体のラインがバッチリと出ている霊装を真っ赤になりながら指さして尋ねた。

 

 

「お祝いだって、山梨の黒医者ニキから贈られてきたんだよ。

 ぜひ、加奈に着せてやってくれってメッセージ付きでね」

 

「……あの、年甲斐もなくて恥ずかしいんですけど」

 

「性能はお墨付きだし、似合っていて可愛いよ加奈。

 それに言ってはなんだけど、それより過激なデザインのやつを加奈より年上の人が加奈の実家の方で着ているらしいよ?」

 

「実家のそういう部分は目をつむって下さい。本当にお願いします」

 

「ああうん、わかった。それじゃあ行くとしようか」

 

「主様。お気をつけて」

 

「バックアップは任せたぞ」

 

 

 隆和はトモエにそう声を掛けてデモニカーの車体を軽く叩くと、返事のランプの点滅を受けながら加奈と塀を乗り越えて侵入した。

 

 

 

 

「よっと」

 

『ギギャッ』

 

「【絶命剣】」

 

『ギキィ』

 

「それらしいのはこちらの方みたいだな」

 

『グゲェ』

 

 

 カーマの弓が巡回役らしいレベル4【幽鬼モウリョウ】を貫いて倒し、もう一匹の方を加奈がスキルで倒した。奇襲を試みていたらしいもう一匹を握り潰した隆和は、しばらく移動した校舎内で事前に貰っていた校内の見取り図を月明かりの中で確認していた。

 どうやら新月の間だけ濃いマグが立ちこめて、校舎内が異界のような状態になっているのか悪魔がうろついている状態となっていた。ただ、この状態が続けば、もしかすると一定の条件が揃った時だけ異界が発生するような危険な場所になってしまうかもしれないと加奈は隆和に指摘した。

 

 

「話に聞いた事のある【影時間】みたいな奴かな?

 そういう仕掛けのある異界もあるとは聞いていたが」

 

「前にそういう異界に踏み込んで行方不明になった同僚を拾い出した事があります。

 一旦閉じるとそういう異界はなかなか開くことはなくて、その時は身体や装備の残りの破片しか回収できませんでした」

 

「少なくとも俺が側にいるから安心してくれ。

 そうすると、怪しいのはこの『貴賓室』とかいう広めの部屋だな。

 校長室のすぐ隣にあるし、ここにいるんだろう」

 

 

 人気のない夜の学校の廊下を慎重に移動し、隆和たちは1階の一番奥にある校長室と貴賓室のある廊下にたどり着いた。

 廊下の端に隆和たちを待たせ偵察を申し出た加奈がそっと近づくと、貴賓室と書かれたプレートのついた扉の隙間からは明かりとくぐもった女性の声がが漏れている。中を覗くと、5、6人ほどの裸の中年男性たちが焦点が合わない虚ろな目をした数人の女生徒達を嬲っている光景があった。一番奥の方にはコウモリの翼を生やしたニヤついた表情の背広の中年男性がおり、紫色の肌の痩せぎすのそいつがリーダーのようだった。

 しかしそこでそのまま戻ろうとした加奈は、腰に差していた忍者刀を廊下の脇にあった消化器にぶつけて大きな音を立ててしまった。

 

 

「そこにいるのは誰だ!?」

 

「あっ、しまった!」

 

「加奈、こっちへ。カーマ、外に合図だ!」

 

「まかせて!」

 

「ごめんなさい、隆和さん」

 

 

 部屋の中が騒がしくなった見た隆和はカーマに指示を出すと、こちらに走ってくる加奈の元にと走り寄った。

 中からズボンを慌てて上げてリーダーらしい中年の男が出てくると同時に、カーマが窓の外へと【魅了突き】を込めて空に矢を放つ。

 加奈を背中に庇い、隆和はレベル17【夜魔インキュバス】と目に映る男と対峙した。

 それらを見て舌打ちしたその男は隆和たちに誰何の声をかけた。

 

 

「ちっ。貴様ら、どこの回し者だ?

 ここがオレ様の庭だと知っての行動か?」

 

「お前こそ、誰に召喚された? 答えるなら考えてやるぞ?」

 

「黙れ! いくらオレ様より強かろうがこれで終わりにしてやる。

 さあ、オレ様に従え! 【セクシーダンス】!」

 

 

 勝ち誇った顔で魅了の効果がある腰を怪しげにふるダンスを踊るインキュバス。

 だが【押しつぶし】で校門の鉄柵をぶち破るデモニカーの轟音がして、驚いてその方向を見たインキュバスの隙に隆和は拳を握りそのまま走り寄った。

 隆和たちが近づく事に気が付き、インキュバスは慌てふためいた。

 

 

「な、何で魅了が効かないんだ!?」

 

「愛の神に効くわけがないでしょう? 【魅了突き】!」

 

「対策くらい当たり前だろうが! 【地獄突き】!」

 

「私は隆和さんのものなのよ! 【絶命剣】!」

 

 

 3人の攻撃を受けてボロボロになりながらも転がり、逃げ込んだ部屋の中の少女たちにインキュバスは声をかけた。

 

 

「おい、お前たち! 俺を早く助けろ!」

 

「クスクス、ばーか。誰が助けるもんか」

 

「「ねー」」

 

 

 ここの制服を着ていた黒い被膜の翼と黒い尾を生やした女生徒たちは皆、クスクスと笑いながらインキュバスを嘲笑った。

 そして、部屋の中にいた中年男性たちを魅了のスキルで動けなくして転がすと、【夜魔リリム】に成り果てた彼女らはインキュバスに答えた。

 

 

「教頭のくせにそんな化け物になって変な術で私たちにこんな事をさせ続けた挙げ句に、同じ化け物に変えたあんたにいつまでも従うとでも思っていたの?」

 

「今までは従うしかなかったけど、あんたより強くて助けてくれそうな人が来たならもう用済みよ」

 

「こんな汚らしい事をしないと飢えるような化け物にしたあんたなんか死んじまえ!」

 

「お、お前ら、容姿がいいからこそ目を掛けてやったのに!」

 

「事情は彼女らに聞けばいいようだし、一度悪魔になると人に戻すのはうちの技術でも手間なんだ」

 

 

 彼女らにも見捨てられたインキュバスに、隆和はそのまま拳を振り下ろしその頭蓋を打ち砕いた。

 

 

「教頭は行方不明になったとしておくよ。じゃあな、【チャージ】、【地獄突き】!」

 

「待て! 俺は騙されただk……ベグゥ!?」

 

 

 

 

 この事件の後日談を語ろう。

 

 デモニカーが駐車場で大騒ぎを起こしたことで周辺住民の通報があり、駆けつけた多数の警察の車両が来た事により事件は終了する事となった。

 インキュバスと化していた教頭が消滅した事により校舎内の異常も消え失せていたおかげもあり、隆和はリリムとなっていた彼女らの協力で目当ての呪物を回収すると彼女らを連れて警察の到着前に引き上げる事が出来た。

 

 貴賓室にいた男達はその後逮捕され、府警のオカルト担当とガイア連合の担当者が隆和と藤野からの連絡と捜査から分かった事を吟味し協議した結果、彼らは強制買春と入札談合の罪で収監される事となった。

 もともとあの場にいた男達は、学園の校長に一部の教育委員会のメンバーに建設会社の幹部だった。

 どうも中途半端にオカルトの知識があった幹部の男が、手に入れた人を淫魔に変える呪物を用いて府内の学校関係の入札で便宜を図ってもらうために、知り合いだった学園の教頭を引き込んでサバトの接待を開いていたというのが真相のようだった。

 全ては悪魔を利用できると考えたこの幹部の男の愚かしさが招いた事件だった。

 

 呪物であった古い書物の『魔女が与える祝福』はそのまま封印処理をされて山梨に送られ、半魔のリリムとなっていた女生徒たちはガイア連合の病院へと送られ治療を受ける事になったと、隆和は娘の友人を助けた事へ感謝する藤野から知らされた。

 治療を受けた女生徒たちもこの事は凄惨な体験となった事で、ある者は完全に人間に戻って全部忘れる事を望み、またある者はリリムとなったままミナミィネキのスカウトを受けて高校卒業後は彼女の店に就職したりする事となった。

 

 また、彼女らの一人だった藤野の娘の友人である安藤優子は、他の彼女らとは違い友人の秋葉と共にガイア連合に参加する事になったと複雑な表情の藤野から知らされ、彼の愚痴を隆和は聞くことになるのだった。

 

 

 

 

 大阪の某ビルの事務所。

 

 人払いを済ませた事務所の豪華な椅子に座る神経質そうな顔を事さらに歪めたその男は、一層、不愉快気にしながら電話先の女と話していた。

 

 

「……という訳で、顧問弁護士のあんたにはしでかしたうちの馬鹿の弁護を頼みたい。

 無罪が無理なら、あいつが独断でしたという事にしてくれ」

 

『は? 強姦魔の弁護を私にやれ、ですって? 冗談は止めてくれるかしら』

 

「おい。高い金を払って顧問にしているのを忘れるな!

 あれでもうちの中では仕事の出来る奴だったんだぞ!?」

 

『ふん。そっちの事情は知ったことではないけど、私自身でなく忠実な後輩ならどう?

 別に有罪でも構わないんでしょう?』

 

「それで構わん。

 クビにはするが、今までの功績を考えて最後に弁護士くらいは付けてやるつもりだからな。

 くれぐれも余計なことを口走らせないようにだけ注意してくれ」

 

『わかったわ。

 近日中にそちらに連絡させるようにするわ。

 せいぜい会社を潰さないようにだけはしてくださいね?』

 

 

 そう言い残し切れた電話の受話器を叩きつけるように置いた金上は、いつかのように度数の高い高級酒を飲み干すと唸るようにブツブツとつぶやいていた。

 

 

「くそっ、あの馬鹿野郎。勝手に持ち出しやがって!

 京都の方に食い込むのもこれでご破産だ!

 まあいい。あの船の方も直に来る。

 それまでは、警察の連中の好きになどさせてたまるものか。

 そうだ。鋭のやつ、テレビ局を手に入れたとか言っていたな。

 なら、この件で協力させてやるか」




後書きと設定解説


・関係者

名前:吉澤加奈(よしざわかな)
性別:女性
識別:異能者・32歳
職業:くノ一武術インストラクター
ステータス:レベル10/12
耐性:破魔無効・呪殺無効(装備)
スキル:絶命剣(敵単体・中威力の物理攻撃)
    クナイ乱射(敵全体・小威力の銃属性攻撃)    
    武道の心得(物理スキル使用時のHP消費量が半分になる)
    房中術
装備:忍者刀(模造刀)
   対魔忍スーツ(魅了無効付与。ガイア連合製スケベ霊装)new!
   呪殺無効の銀の指輪 new!
詳細:
 対魔忍(仮)出身の他の忍者流派の組織に嫁いでいた未亡人くノ一
 主人公に救助され押し気味に口説かれてOKし彼の元に来た
 20代にしか見えないショートカットの胸の大きい色気の増した美女
 10歳の娘の「桃子」(【ステルス】習得住み)と息子の「悟」がいる
 前の義実家から解放され自分の経験を頼りにされて今の性活を楽しんでいる

名前:藤野槇雄(ふじのまきお)
性別:男性
識別:転生者(ガイア連合)・56歳
職業:日本酒造組合幹部
ステータス:レベル3
耐性:破魔無効・呪殺無効(装備)
スキル:ポズムディ(味方単体・毒状態を治療する)
    財力・交渉術・根回し
詳細:
 戦後の早い時期に産まれた転生者の中で経済的に成功した【富豪俺たち】の一人
 河童をイメージキャラにした蔵元の出身で組合で頭角を現して重役になった
 関西支部の大口スポンサーで、京都競馬場のガイア関連にもしっかり食い込んでいる
 京都神社庁理事の一条氏とは友人であり、京都内の霊能関係では協力をしている
 上の息子二人は母の死から父親と折り合いが悪く家を出ている
 末娘に高校生の藤野秋葉(ふじのあきは)がいる
 容姿のイメージは、某錬金術師漫画のティム・○ルコー

・敵対者

【夜魔インキュバス】
レベル17 耐性:電撃弱点・衝撃耐性・魅了無効
スキル:夢見針(敵単体・小威力の銃属性攻撃。低確率で睡眠付与)
    セクシーダンス(敵全体・中確率で魅了付与)
    吸血(敵単体・小威力の万能属性HP吸収)
    人化(自身・人だったときの姿になれる)
詳細:
 「私立京都洛陽女学園」の教頭だった男が憑依され変わり果てた悪魔
 古物商から手に入れた古文書「魔女が与える祝福」により召喚した
 古文書自体に召喚を強要する魅了の術が掛かっていた
 元々は魔女狩り時代の異端審問官が功績を得るために作った書
 悪魔を利用しようとした愚かな金上の部下が教頭に書を渡した

【幽鬼モウリョウ】
レベル4 耐性:破魔弱点・呪殺無効
スキル:吸血(敵単体・小威力の万能属性HP吸収)
    吸魔(敵単体・小威力の万能属性MP吸収)
詳細:
 この件を調べに来た調査員の成れの果て
 殺された後にインキュバスに使役されていた
 隆和たちには気付かれずに倒された

【夜魔リリム】
レベル2 耐性:氷結弱点・電撃無効・魅了耐性
スキル:セクシーアイ(敵単体・中確率で魅了付与)
    吸魔(敵単体・小威力の万能属性MP吸収)
    人化(自身・人だったときの姿になれる)
詳細:
 「私立京都洛陽女学園」の元女生徒たち
 魅了の術で【接待】をさせられる果てに半魔になった


次回は、近いうちに。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。