【求む】カオス転生でダークサマナーが就職する方法   作:塵塚怪翁

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第50話 華門神社の新メンバー

 

 

  第50話 華門神社の新メンバー

 

 

 華門神社の異界で鶏肉と豚肉が捕れるようになってしばらく経ち、もうすぐゴールデンウィークに入る時期になっていた。

 

 春先に一斉に大量に来た中東や欧州からの避難民の収容と日本での生活する場所への振り分けも、後続が続々と大阪港にも来ている状態ではあるが関西支部の分は大まかには目処が付き落ち着きを取り戻しつつあった。今回、ウシジマニキからうちに来てくれそうな人物の紹介がしたいと言うので、隆和は千早とトモエを伴って関西支部を訪れていた。

 

 

・現地民能力向上計画「魔法少女☆プロジェクト」責任者拘束

 

『現地民能力向上計画「魔法少女☆プロジェクト」は、作品ごとに再現された専用霊装衣装と作品登場人物に似た素質のある少女を見つけ出しグラビアアイドルと実戦部隊にする計画である。

 既にリ◯カルや◯ギカ、プ◯キュアにシン◯ォギア等の作品キャラによく似た女性が発見され、作品の推しを自称する黒札達によるスカウトと訓練が行われてトラブルが起きているのは報告されている。

 そんな中、計画担当者の我々の一人がまた新たに拘束された。

 彼は少女たちの母親を対象とした専用の霊装とチーム名「ムチキュア(仮)」の設立計画を遂行した事で、とある地方支部員で黒札の女性の通報と対象女性らの訴えでセクハラとして拘束された。

 その後の彼の処分と計画全体への監査は動きがあり次第、報告する』

 

 

・山梨支部のシキガミ制作班、関係者入院によりまた製作一時ストップ

 

『現在、シキガミの製作は多岐にわたるが、注文者の趣味性により人型女性のタイプが主流である。

 その女性タイプもまた注文内容や製作者の好みにより種類が多岐にわたるが、その中の一つに艦○れやM○少女やアズー○レーンなどの「機械を纏った少女」がある。

 今回の事件の発端は、そのシキガミ制作班とロボ部に所属する技術者である【スレンダー至高ニキ】。

 彼はその主張で流麗なラインのロボ娘のようなシキガミが造形美と機能美を兼ね備えた至高だと断じ、その中で彼は「大きすぎる胸は邪魔になる」や「スレンダーはロリではないし同じように扱うな」と主張していた。

 そして先日、その主張を受け入れられない者達とマザーマシンをも止めての議論の末に大乱闘を開始し、数時間続いたそれはショタオジの鎮圧により骨折等の重傷者を多数出して終了した。

 再稼働するまで、施設の修理に1ヶ月は掛かるものと推測される。

 発端の彼もうっかり同僚の前で彼らの熱狂的な推しのデザインを痛烈にダメ出しした為に、魔法で治療しにくい複雑骨折等の重体となり現在は山梨の病院のICUで治療中である。

 今後の彼の行動には注意したい』

 

・サッカーワールドカップ、次回の開催はメキシコに決定

 

『数年前から日本でのサッカーの振興を目的に行われてきたワールドカップ(以下、W杯)の誘致が失敗に終わった。

 アジアでの初のW杯開催も、開催を強く推進していたサッカー国際連盟の前会長が直前の選挙で落選し反対派の新会長の後押しで理事会の投票によりメキシコの開催が決まった。

 誘致を推進していたW杯日本招致委員会関係者は大きく落胆していたが、関係者の海外渡航に強い懸念を示していた政財界の我々はこの件を注視しているとの事だ』

 

・ガイアグループ開発の国産OS「TORON」発売

 

『この度、ガイアグループのOS開発企業はアメリカ産OSの「窓95」の普及に先立ち、純国産OS搭載の国内向けのPCの販売を太々的に開始した。

 80年代から開発が続いていたこの国産OSは、一時は国内経済団体の動きによりアメリカの排除法制定と航空機事故により開発が停滞していた。

 しかし、ガイアグループはその発足の頃と同時期に一部のメンバーが強く後押しを始め、今回、グループ内の企業における電化製品やPCの標準OSの使用をこれに推奨すると発表された。

 対外的には日本独自のコンピュータ・アーキテクチャプロジェクト再構築のためとされているが、アメリカ製のOSを使用する事によるバックドア等のメシア教への強い懸念が根底にあるのは言うまでもない』

 

・国内ゲームハード市場、戦国時代到来

 

『今、国内のゲームハード市場は戦国時代を迎えている。

 ただし、それを強く後押ししているのはそれぞれのハードを強く信望する我々であるのは言うまでもない。

 「ガイア=サガゲームズ」の【サーガサターン】、「ガイア・コンピュータエンターテイメント(GCE)」の【トーイステーション】、「前転堂」の【ZENTENDO64】、それぞれの企業のそれぞれのハードに熱狂的なファンである我々の強い後押しが見え隠れする。

 今後のゲームハードの行く末を暖かく見守っていこう』

 

・日本霊能組織との大規模合コン開催に危険信号

 

『日本各地の霊能組織は各地に支部を作る際に、吸収や合併、同盟したのは記憶に新しい。

 合コンそれ自体は小規模の物が各地において行われてきたが、地方においてガイア連合の傘下で生き残った組織や団体からの婿入りや嫁入りした関係者を経由して各支部に見合いの要請が続いていた。

 この度、その要請を受け恐山支部が音頭を取り大規模な見合いや合コンが計画されていたが、一部の日本メシア教の参加要請があり計画を感づかれた危険があるため開催が延期されている。

 詳細は専用ホームページを見て貰いたい』

 

 

 紹介したい人物を連れてくると言うので支部の応接室で待ちながら、掲示板の情報のまとめサイトを見ていた隆和はいくつかの記事を見ていたが『魔法少女~』と書かれた記事を二人に見せて話しだした。

 

 

「なあこれ。この間、なのはがキレて山梨に連絡していた奴じゃないか?」

 

「ああ、これですね。

 先日、わざわざ家まで訪ねて来て、『魔王ネキ! 是非、ムチキュアのリーダーに!』とか変な計画を目の前で言っていた男性をぶん殴っていた件ですね」

 

「拘束して山梨に送り返したあの変なのの事やね、これ。

 なのははんが魔法で吹き飛ばさなかっただけまだ有情やと思うわ」

 

「結局、向こうで処分を受けるみたいですね。

 それにしても、あの男性は何がしたかったんでしょう?」

 

「トモエはん、世の中理解しないほうが幸せなこともあるんやで」

 

 

 そうやって3人が話し込んでいる所にウシジマニキが入って来た。

 

 

「待たせてすまなかったな。

 …何か話していたようだが問題でもあったか?」

 

「いや、問題は解決しているから大丈夫だよ。ウシジマニキ。

 それで紹介したい人はどんな人だ?」

 

 

 向かいのソファに座り、資料を取り出しその隆和の問いに彼は答えた。

 

 

「お嬢からは女性の技術者、魔術や霊的医療の術者が欲しいと言われていたんだがな。

 ちょうど、ウィッチクラフトを使う魔女の一団が中にいたのでスカウトを掛けたんだが、四国にいる土着の魔女一族に伝手がある者やより高額の報奨を持って交渉した他支部の連中に彼女らは掻っ攫われた」

 

「初耳なんやけど、四国に魔女が土着していたのんか? ウシジマはん」

 

「俺も今回の事で初めて知ったんだが、彼女らがアガシオンの作製技術を提供してくれたらしい。

 それでそちらと取引のある山梨の技術者が、同じ魔女ならと紹介してそちらに引き取られるのを希望する者がいたようだ。

 そして、残りはそれを真似てお嬢の提示した条件より良い条件で持っていかれた」

 

「そんなに良い条件だったか?」

 

「ああ。何しろアガシオンの前例があるからな。

 もっと前にアガシオンの技術の出処を知っていた黒札連中が、こぞってもっと良い条件を示して一族毎連れて行きやがった。

 ご丁寧にも、彼女らより前に来た魔女の同胞を紹介するおまけ付きでな」

 

 

 そう言って、ちょうど運ばれてきた茶を啜るウシジマニキ。

 確かにこちらで多くても数人だけ移住を引き受けると言われるよりも、同じ魔女の関係者がいる場所にバラバラにならずにいれるのならそちらに行くのは当然だろう。

 ただ、おそらく日本とはほぼ縁の無い対象の信仰の魔女たちのように変な神や悪魔と縁が薄い霊的技術者は貴重であるため少し残念である。

 がっかりした様子の隆和たちに、苦笑した様子のウシジマニキは資料の書かれた書類をテーブルに乗せるとそれを指さしながら話しかけてきた。

 

 

「早とちりしないでくれ。

 誰も紹介できないとは言ってないだろう?」

 

「それじゃあその人はどこにいるんだ?」

 

「女性ではなく男性だが、彼の名は【ヨハン・ファレンガー】。

 デンマークから逃げて来たドルイド僧で、魔女の一団と一緒に来たそうだ。

 身元の調査は終了しシロだったが、移住先が見つかるまでアルバイトをしてもらっている」

 

「アルバイト?」

 

「ああ。向こうには話が通っているから、直接会いに行ってみるか?

 彼が今いるのは、伏見稲荷大社のある稲荷山の封印異界の入り口だよ」

 

 

 

 

 隆和たちはウシジマニキから貰った資料に従って、彼に会うために関西支部を出発した。

 

 デモニカーで麓の神社の駐車場まで移動し付いていきたいと主張する彼を宥めると、隆和たちは無数にある鳥居を抜けて境内を通り稲荷山の神蹟地にある祭神『宇迦之御魂神』がメシア教により封じられた異界の入口のお堂のすぐ近くの石塚の前に着いた。

 そこはウカノミタマ自身ではないが、その近侍や側近とも言われる有力な稲荷神が封じられている異界であった。

 観光客はいないそこには、暇そうにしている黒札らしき異能者たちと学者や易者のような姿の数人の男性がその石塚にある石碑の所で話し合っていた。

 

 

「ミスター・ファレンガー!」

 

「……?」

 

 

 近づいた隆和が声をかけると、その中にいた痩せぎすの紺色のローブを身につけた白人の男性が不思議そうに振り向いた。彼は周囲の人たちに声をかけると、隆和たちの方へとやって来た。

 

 

「誰かな?」

 

「ガイア連合であなたの移住先となるかもしれない場所の者で、安倍隆和といいます。

 こっちは妻の千早とシキガミのトモエです」

 

「ああ、君たちが。

 じゃあ、私のここでの役目は終わりという事か」

 

「ファレンガーさん、行くのか?」

 

 

 彼がそう言うと向こうの人混みの中から男の声がして、その人混みの中からその姿を現した。

 攻略組らしい改造した和服を着た狐娘のシキガミを従えた茶髪の髪の高校生くらいの学生服の男性は、ファレンガーの方を見て話しかけてきた。

 

 

「ああ、迎えが来たようなのでね。

 私が助力できるのもこれまでのようだし、君も頑張りなさい」

 

「実際、俺たちにはここの入り口の謎掛けとか助けがないと無理だったし助かったよ」

 

「あんさん達は誰やろか?」

 

 

 千早がそう聞くと、攻略組らしい様々な衣装の彼らは顔を見合わすとお前がやれと押し付けあった挙げ句に最初の彼が諦めた顔で隆和たちに説明を始めた。

 

 

「あなた、【アーッニキ】さんの奥さんでしょう?

 噂は色々と聞いています。

 自分たちはガイア連合から来て、ここの異界の封印の解除を同じ俺たちの藤野さんと大社の関係者の人から依頼されているんです」

 

「藤野はんからは聞いてへんやけど?」

 

「頼み事をしたばかりだから頼み難いと言っていましたけど、それじゃないですか?

 とにかくここの異界に入るのに手助けしてもらうので、ファレンガーさんたちみたいな物知りの人に来て貰っていたんですよ」

 

「どういう事かな?」

 

 

 隆和が問うと、石碑の方を指さして嫌そうに彼は答えた。

 

 

「ここの異界なんですけど、一度入るたびにこの石碑に浮かぶ問題に答えないといけないんです。

 ルールは単純で挑戦回数は一日につき1回、聖書に関する問題を宣言して5分以内に答えられれば異界の中に入れるんです。

 異界の中はあらゆる仕掛けを施した迷宮で最奥の封印の要を破壊すればいいみたいですけど、力づくや力押しはお勧め出来ません。

 あと石碑を壊して無理やり通ると、中の封印した神ごと異界は消える仕組みみたいです。

 本当、ここの封印を構築した神父や天使は性格が悪いんでしょう」

 

「あんな事をするメシア教徒が良い性格なはずはないよ。

 それで、どういう問題かな?」

 

「今日出ているのはこれです。

 『聖書66巻の正式な名前を順に全て答えよ』、解かります?」

 

「分かるわけがない」

 

「そもそもメシア教嫌いが多いうちらに、こういう事が詳しい人間なんて早々おらへんやろ!」

 

 

 その千早の叫びに、彼とその場にいた攻略組の人たちが一斉に頷いた。

 それを見て苦笑しているファンレンガーを始めとする学者らしい人たちが話を続ける。

 

 

「だから、私たちみたいなメシア教の関係者じゃない聖書に詳しい異能者が集められているんですよ。

 日付が変わるか正解が出るたびに問題が変わるので、これを考えた人はいい性格をしています」

 

「実際に内部でもまた謎掛けの扉があちこちにあるので、攻略も遅々として進まない状況ですね。

 ここでこれなら祭神様のいる異界はどれだけ意地の悪い仕掛けがある事やら」

 

「各種の罠に完全な暗闇の通路に、立体交差の通路と一定時間ごとに切り替わる回廊。

 致死性の物はないですが、徹底的に惑わす事に特化していますよ。

 作った本人、これを見て笑っているんじゃないですかね」

 

「そういう訳で、着の身着のままで逃げてきたせいで手元のお金が足りないのです。

 なかなかいい報酬になるので、私もこれに参加していたんですよ」

 

 

 そう言って苦笑するファレンガーに、最初の攻略組の少年が声をかける。

 

 

「迎えが来たっていう事は、ファレンガーさんは行くんですか?」

 

「はい。私も落ち着ける場所が欲しいので」

 

「あなたの助言のおかげで異界に入れる人が増えていただけに残念です。

 お元気で」

 

「ええ、それでは」

 

 

 そう言って手を振る彼らに荷物をまとめたファンレンガーは別れを告げると、隆和たちと山を降り始めた。

 その道中、千早が彼に話しかけた。

 

 

「あんさんが希望する『森のほとりの庵』は用意出来るけど、うちらと来て良かったん?」

 

「彼らは彼らだけでも大丈夫でしょう。

 もともと、今回のことはアルバイトみたいなものですし。

 また会うことは出来るでしょう」

 

「それじゃあ、これからはうちでその知識を役立てて欲しい。よろしく」

 

 

 そう言う隆和の手を握り、彼は答えた。

 

 

「ええ、ドルイドの『ヨハン・ファンレンガー』です。

 日本語も大丈夫なのでどうぞよろしく」

 

 

 

 

 こうして華門神社の異界内の森の近くに小さな薬草畑がついた小屋が建てられ、ドルイドの彼は持ち込んだヤドリギを森の木のいくつかに植えるとウィッチドクターとしてここで生活を始めた。

 

 同じ薬師でもある樫原翁とも時々話して技術交換もしているようだとは、華門和から隆和は教えられた。

 また、神社の肉食系独身女性メンバーの何人かは彼にアプローチを始めているので近いうちに誰かに食われるだろうと、仲間を見る目で彼を見る既婚男性メンバーを見て隆和はその時は何か彼に見舞いを贈ろうと決めたという。




後書きと設定解説


・関係者

名前:ヨハン・ファレンガー
性別:男性
識別:異能者・37歳
職業:元健康食品会社社員/ドルイド僧
ステータス:レベル7
耐性:破魔無効
スキル:ディア(味方単体・HP小回復)
    アギ(敵単体・小威力の火炎属性攻撃)
    薬草師(傷薬などの先祖伝来の薬品の作成が可能)
    禁断の知識(ドルイドに関するいろいろな知識)
装備:祭祀用の伝来のローブ(弱い呪殺耐性あり)
   先祖伝来の道具や書物などいろいろ    
詳細:
 デンマークでドルイド達が経営する健康食品会社の社員だったドルイド僧
 ウィッチクラフト系の魔女たちが欧州から脱出する際に一緒に逃げて来た
 元いた仲間はメシア教の襲撃で散り散りになって行方知れず
 理性的で物静かな雰囲気だが人付き合いより研究に没頭するタイプ
 日本のアニメを見ていたので日本語は割りと達者

・ウカノミタマの側近の稲荷神の封印異界

伏見稲荷に存在する当時のメシア教でも性格も悪い方にエリートだった神父と天使たちが作成した封印異界
他人を惑わす稲荷の話を聞き、獣風情が逆に惑わされるのどうだと悪意と侮蔑を込めて作られたらしい
ちなみに異界の難易度は、あなたが過去プレイしたクソゲーの最低の迷路の数倍の面倒臭さを想像して下さい


次回は、近いうちに。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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