【求む】カオス転生でダークサマナーが就職する方法 作:塵塚怪翁
異界突入の続きです。
第7話 異界・羅生門
珠希が結界の切れ目を閉じると、その空間は淀んだ空気が漂っていた。
既にそれぞれが、カバンや袋から取り出した各々の武器を構えて周囲を伺っている。
隆和はバールのようなものを、トモエは模造刀を、サラリマンニキは模造刀の忍者刀を、ナイスボートニキはモデルガンを構えていた。
視線を他に向けながら、サラリマンニキが珠希に説明をするようにと話しかけた。
「説明を。それでわたしたちはどう動けばいいんです?」
「ここは京都でも有数の大異界【羅生門】。鬼と付く悪魔の住処です。
過去にここに来た者の記録だと、門の中は広大な平安京を模した物で、大通りを直進した先に異界を2分する大きな川と其処に掛かる一条戻橋そっくりの橋があり、そこに茨木童子が居ましたとされています。
異界の攻略は今はまだ大丈夫ですが、探して欲しいのは、あの馬鹿が勝手に持ち出した異界の封印の鍵【髭切の欠片】の一つです
妖鬼オニと渡り合える実力はあれど、頭の中がアレな男の身はどうでもいいんです」
「事前の説明とは違うようですが?」
「個人的にも知り合いで、あの男の実家には有能な跡継ぎなので捜索を頼まれたのも本当ですよ。
ですが、『抱かせろ』と家柄を鼻にかけて迫るだけの男は嫌いです。
あと、そちらの安倍さんを指名したのは、うちの血族じゃないかと調査報告が来たので確かめようと口実を」
「うーん。まあ、いいでしょう。それで、探す宛はあるんですか?」
「この欠片は有り体ですけど、血筋の人間が持っていると共鳴するんです。
それを辿っていけば、分かるかと」
そこまで聞いて、サラリマンニキが指示を出し門の先に進むことになった。
「隊列は前衛がわたしとトモエくん。
間に斉門さんと伊東くんで、安倍さん、後ろを頼みます」
「トモエ。今日は君が戦闘に慣れるのも目的だから、今はコレットはなしで」
「了承致しました、主様」
トモエの指示を求めた視線に隆和は頷き、隊列が組まれると動き始めた。
自分の準備は万全だが、仕事前の指差し確認と「ご安全に」がない事に何か足りない感じがしていた隆和が「空曜道」こと【マッパー】の術を作動させる。
珠希に言われたように、通路が碁盤のようで本当に古代の京を模したのだろう。
南にある門をくぐると大通りに出て、距離にしてかなり遠いが北の方に遠目に橋がかかっているのが見える。
そして、そのさらに向こうに見える白い線は模した御所の壁なのだろうか?
だが、金属片の袋を持った彼女の目は、大通りの先ではなく東の方を向いていた。
†
完全にただの感知器と化した斉門珠希は、目の前の様子を現実なのかと疑いながら見ていた。
彼女だとて、ガイア連合基準でレベル10になるので決して無能ではない。
九字印による【ハマ】、遠当ての術の【ザン】、さらに薬師如来呪法の【ディア】も修めている一族でも五指に入る術者だ。さらに、切り札としての秘術も授かっている。
しかし、目の前の光景は自分より弱いはずの少年のナイスボートニキにも活躍で負けていた。
「伊東くん、そのモデルガンの玉は破魔属性付きだ。
トモエさん以外、味方を気にせず撃ちなさい」
「はい。グロい死体ばかりっ、この」
「ア…ア…」
「トモエ! 最優先は近づけない事、次にあの紫の奴は自爆持ちの【幽鬼モウリョウ】で最優先に排除、アイテムの使用は自己判断で!」
「はい、主様。【霞駆け】」
「ウ…、ゴガァァ」
「水路で見ている【妖鬼アズミ】は来ないなら無視で。【暗夜剣】」
「ギギィ」
「普通に、躱して、殴っても、行けるなぁ! おら、ガキのくせに奇襲すんじゃない!」
「グギェ」
「数が多い。【気合】、【ラピッドニードル】!」
「これかな? 施餓鬼米だ」
「一掃します。【マハンマ】!」
「「「グギャアアア!!」」」
珠希の案内により4人が並べる広さだが狭い方の通路に入るが、通路を埋め尽くす数の【屍鬼ゾンビ】、屍鬼たちの影から奇襲してくる【幽鬼ガキ】、屍鬼たちを追い立てる【邪鬼イッポンダタラ】、屍鬼が途切れたのを見て自爆を狙う【幽鬼モウリョウ】、それらを後ろから【妖鬼オニ】たちを従えた【妖鬼モムノフ】が指揮する。
記録では敵は雲霞のごとくと書いてあったが、そんなに出る訳が無いと彼女は思っていた。
ただ、先達の記録を信用するかどうかは別として、仮にも根願寺に『大型異界』と認識される異界が彼女らの対処できるレベルではないのがこれで珠希にも理解できた。
異界の入り口からまろび出る悪魔を対処できたからと言って、凡百の彼らが入り込むことは死を意味するのだろうだから。
組織立って動く集団の司令塔だったオニやモムノフをスルスルと攻撃を避けながら近付いた隆和が動けなくして、気持ち悪い表情の彼らを他の皆がマグネタイトの塵に変えて一息つくことが出来た。
その場所からしばらく離れた場所で、彼らは休憩を始めた。
それぞれがチャクラドロップや傷薬を、珠希から見るとふんだんに使っている。
普段の彼女らだと、貴重すぎておいそれと使えない代物ばかりなのだ。
この強さ、このアイテムの豊富さ、自分たちの一族にはないこの理解の出来ない『ガイア連合』とは何なのだろう?
動揺している珠希はさておき、ガイア連合の彼らはそれなりに緊張した面持ちで話していた。
「トモエ、調子は?」
「敵影なし。問題ありません、主様」
「いやぁ、山梨を出て初っ端の異界がこんな調子で大変なことになったね。伊東くん」
「下手したら、あの量は駄目かと思いましたよ。
でも、なんか強くなれた気がするのでどうでしょう?」
「それは、屍鬼の群れが【軍勢】なみの量だったから上がっていてもおかしくないな。
【見鬼】。うーん、レベルは上がったけどスキルは変わりなしだね」
「レベル10台後半の悪魔もいたからね。
そりゃ強くなるだろう。回復も終わったし、休憩も終わりだ。
斉門さん、方角はこっちですか? ……斉門さん?」
「は、はい! こちらの方角です!」
呆然としていてサラリマンニキに声を掛けられてビクッと反応した珠希は、通路の先を指差す。
反応のあるらしい道の先は中央から外れ、奥の方へと続いている。
隊列を組み直してそちらの方向に行くと、血の跡があるのをサラリマンニキが見つけた。
路地全体に大量の血痕があり、そのまま引きづられたような跡が近くの大きいお堂の中へと続いていた。
それを見て、考え込む一同。
「斉門さん、それの反応は?」
「ええと、……この中です」
「……罠、ですか?」
「脳筋のオニ達のやり口じゃないですねぇ」
「ちょっと、あからさま過ぎるような?」
「伊東くん、あからさまでも踏み込まないといけないんですよ。
これも、お仕事ですから」
「他に入り口も無いですね。隊列は?」
「このままで行きましょう。安倍さん、いいですか?」
「分かりました。トモエ」
「主様?」
「トモエ、蹴り開けろ」
「はい」
皆で構え、サラリマンニキの指の指示でトモエに扉を蹴り開けさせた。
障子戸の扉はたやすく破れ、中に踏み込んだ。
†
中に入ると、奥にあったらしい仏像の祭壇には巨大な蜘蛛の巣が出来ており、そこには下半身が3本足で黒と黄色の縞模様をしている蜘蛛の姿を、上半身を長い黒髪の美女の姿をした裸身の女性がいてこちらを見てクスクスと笑っている。
お堂の中の壁は蜘蛛の糸で覆われており、中央には複数人の人間の食べ残しの山とそれをおやつのように食べている2匹の同じ姿の蜘蛛がいた。
奥の全長3mはあろうかという方は妖艶な美貌の成人女性だが、下にいた1mほどの2匹は上半身がコレットより胸が大きいがいいところ12、3歳ぐらいだろうか?
【見鬼】には、大きい方がレベル29【鬼女絡新婦(アルケニー)】、小さい方はレベル15【妖虫ジョロウグモ】と出ている。
そして、その2匹はしゃぶっていた骨を捨てケラケラと笑うと、こちらを指さしてきた。
「ねえ、母様。また、人間が来たよ」
「ねえ、母様。また、餌が増えるね」
「ほほ。ほんに運がいい。妾にも運が向いてきたようだの」
「ねえ、母様。食べていい?」
「ねえ、母様。食べていい?」
「おなごの柔らかい肉は、まず妾からぞえ?」
「「ええーーー」」
和やかに親子?の談笑をしている絡新婦たちを見ながら、隆和が意見を言って走り出す。
「奥のはレベル29です。俺が抑えます。
服部さん、他の15レベルの2体をトモエと手分けしてお願いします。
そっちの二人は、防御優先。いいね?」
「安倍くん!?」
「主様!」
「いくぞ、コレット!」
「やっと、出番ですね。行きます!」
隆和が呼び出したコレットと母親蜘蛛に走り寄ることで、位置的に娘蜘蛛の一体とサラリマンニキ&ナイスボートニキ、娘蜘蛛のもう一体とトモエ&珠希の組み合わせが出来上がっていた。
そして、そのまま戦いは始められた。
†
一番早く決着がついたのは、サラリマンニキたちだった。
彼らの近くにいた娘蜘蛛は、ニヤニヤと笑って胸を隠してしなを作ってみせた。
「やだぁ、助平。そんなに胸を見るなんて童女趣味なの~?
犯されちゃうのかな~、あたし。クスクス」
それを聞いたサラリマンニキたちは顔を見合わせると、彼女に言い放ち攻撃を開始した。
「どーも、人食い蜘蛛さん。Cカップ以上になってから言いなさい。【暗夜剣】」
「メスガキはノーサンキューだ」
「何すんのよ! 【ジオ】」
サラリマンニキの攻撃でかなりのダメージを食らった娘蜘蛛はお返しにと電撃を放つが、突き出した腕からは何も出ずに動揺する。だがそれならばと舌打ちし、防御している弱そうなナイスボートニキの方を攻撃するべくそちらの方へ体を向けた。
ただし、向けた先にいるナイスボートニキの姿は消えていく。
「じゃあな、【イルク】」
「ええっ、何で?」
「『俳句を読め』! 【気合】、【絶命剣】!」
ナイスボートニキの姿が消えるのに驚き、動きの止まった娘蜘蛛の首にサラリマンニキの忍者刀が叩き込まれそのまま首を刎ねる事に成功した。
首が落ち、マグネタイトの塵に変わる娘蜘蛛の姿を見つつ、他の援護をするために彼らは動き出した。
†
次に決着がついたのは、トモエたちだった。
「シャァア!」
「くっ」
その隣で戦っていた娘蜘蛛とトモエの戦いは、各々のレベル差があれど拮抗していた。
それは、両者の戦闘経験の差でもあった。
かたやオニ共や姉妹とも戦って生き残った娘蜘蛛に比べ、本格的な実戦は今日が初めてというトモエの差である。
その証拠に、相手の攻撃をいなし切れていない様子だった。
娘蜘蛛の何度目かの振りかざした腕を模造刀で受けるトモエ。
そして、そのまま噛み付きに来たのを顎を肘で殴りあげて躱す。
娘蜘蛛の口内に生えた鋭い牙には、ポタポタと紫色の液体が垂れている。おそらくは、毒だろう。
いまだに隆和の指示なしでの行動に不安を覚えているトモエは、思わず彼の背中をちらりと見てしまう。
それを隙と見て、飛びかかる娘蜘蛛。
「ギキィ!」
「あっ」
「【ザン】!」
「ギャンッ!」
トモエへ飛びかかった娘蜘蛛に、思わず遠当ての術を当てる珠希。
相手の弱点だったのか、思わぬ痛痒を与えているのに自信を持ちトモエに声をかける。
「何やってるの!? 早く!」
「くっ、【ギロチンカット】!」
「ギ、イィィィィィ!」
続けて袈裟懸けに攻撃が入り、大きな傷を負い動きが鈍る娘蜘蛛。
スキル効果の麻痺も入ったようで、驚愕の視線で簡単な獲物だと思っていた彼女らを見ている。
「とどめを刺さないと。【ザン】!」
「むっ、【ギロチンカット】!」
「ギイィアアアア!」
珠希の遠当ての術とトモエの一撃と更にもう一回の攻撃が入り、切り裂かれた体を倒れ伏しそのまま消えていく娘蜘蛛。
思わず座り込みそうになる二人だったが、一番の大物を抑えている人がいるのを思い出し二人はそちらに歩き出した。
†
絡新婦と対峙した隆和だが、何故だか目の前の奴に見覚えがあるような気がした。
コレットはその事に気がついたのか何か言おうとした所で、ギリッと牙を噛み締めた音と怨嗟に満ちた絡新婦の声がそれを遮った。
「そこの金髪の童女、見覚えがあるぞ。
貴様、我らがかか様を葬ったあの男と共にいたな?」
「童女じゃないわよ。
貴女、あの時のジョロウグモにそっくりね。
娘とでも言うつもり?」
「そうよ。
妾は貴様らがかか様を殺した時、巣の異界で帰りを待っていた娘の一人よ。
あの時、かか様が我らと番うに相応しい子どもを見つけたと言って出ていき、死の淵で送った死の間際の心象に貴様が写っていた。
あな、嬉しや。仇を討てる好機が来るとは」
「コレット、つまりこいつはあの時の蜘蛛の生き残りか?」
「そうなるわ。隆和」
「ほほ。翼付き共に追われ、この異界に潜り込んで傷も癒えた。
お主も他の者共と喰ろうて滋養にしてくれるわ。
邪魔するでない。眠れ、【ドルミナー】」
放たれた眠りの魔法は効かないので無視し、コレットに作戦を告げると隆和は構えて前に出た。
「俺が攻撃を捌いて時間稼ぎをするから、離れて回復を頼む」
「気をつけて、隆和」
「ほ。ただの男が妾の邪魔を出来ると思うてか。
この増上慢が。直々に誅してくれるわ、【巻き付き】!」
絡新婦が両腕を振るい、光に反射しているよく切れそうな蜘蛛糸が隆和に迫る。
しかし、隆和はまるで踊るような歩法で上体をずらさず捌いて避けた。
「ええい、面妖な動きでヌルヌルと鰻か、貴様は。【毒針】!」
「よっと、どうしたよ。
俺はあの時、お前らの巣に持ち帰られるはずだった子どもだぞ?
仇の一人だぞ。ほら、どうした?」
「おのれ、ちょこまかと。ぬん」
頭上から床板が壊れる勢いで蜘蛛の足を叩きつけられるが、飛び散った破片以外では怪我を負わない隆和。あの山梨の地獄の訓練に比べれば攻撃が大振りで単調すぎて躱すのが楽だと感じている隆和だが、それは自分のスキルとステータスがレベル相当の動きをしている証拠でもあるのだが気がついていない。
実際に、今いるメンバーでもサラリマンニキや後衛型のコレットでは躱すのは至難であるし、一撃でも喰らえば致命傷になるだろう。
後の二人は、躱すこともなく一撃で死ぬだろう。
だが、隆和が絡新婦を引き受けている間に、彼女の耳に娘達の断末魔が聞こえてきた。
その声に周囲を見ると、娘達は倒れ伏し既に消える所だった。
周囲の人間を見渡し、怒りで震え大声を上げる絡新婦。
「おのれ、おのれおのれぇ!
妾の子らを殺したなぁ、貴様らぁ!
殺して、臓腑を引き抜きバラバラにして喰ろうてくれるわ!」
それこそ般若の形相の絡新婦だが、駆けつけた周囲の人たちにはその姿に恐怖は感じられなかった。
何しろ先程まで、とてもシュールな光景が展開されていたのだから。
想像してみて欲しい。
工事現場で交通整理をしているような姿の男性が、腰を落とし膝の力を抜き踵をやや上げた構えで、右手にバールのようなものを持ちスルスルと蜘蛛の怪物の攻撃を躱している様子を。
これが袴を履いた道着の姿ならまだ良かったが、もう一度描写するが彼の今の服装は【青い安全ヘルメットに白の作業着の上下に安全靴】である。
そんな彼らの自らに恐怖するならともかくやや弛緩した雰囲気に気が付いた絡新婦は、ブチッと血管のキレるような怒りで頭が真っ赤に染まり我を忘れた。
「殺す!!!」
「お前をな」
「!?」
「【耽溺掌・改】」
隆和は絡新婦がこちらから目を外したその間に、彼女の間近まで潜り込み一撃を与えた。
ちょうどいい位置にある彼女の上半身のへその穴に指を突き入れて。
【耽溺掌・改】。
あの山梨の地獄の訓練で隆和が開眼した、スキル【耽溺掌】の進化したものである。
切っ掛けは、あの山梨で有名なあの猫又の彼女に訓練相手をして貰っている時であった。
襲い来る彼女の攻撃を1m四方の範囲で避ける訓練だったが、その時思わず彼女の口の中に指を入れスキルを発動してしまった。
もちろん(大笑いするショタオジが放置したため)スキルの効果が過ぎたその後に、真っ赤になった彼女にボロくずのようにされ相手をするのを完全に拒否されるに至ったが、その時に彼は考えついてしまった。
彼は状態異常とは、要は相手の体内のマグネタイトの流れを乱して効果を発揮する術では、と。
ならば、相手の体内に直接触れて術を流し込めばよりスキルが強くなるのではと彼は考えた。
そして、そこに滞在の最後に経験した【三人で一昼夜仲良く房中術】である。
その時にスキルの使用をせがんで来た二人に対して遺憾なく発揮し習熟したことで、この効果に目覚めた。
【相手の体内に直接触れる間は状態異常のみ相性を無視して貫通する】、である。
その結果が、今ここにあるR15な情景である。
勘違いしないで欲しいが、隆和は至極真面目にスキルを行使している。
「!????!? ………❤!? あっ、ああ! ❤❤❤❤❤❤」
「「「うわぁ」」」
「おーい、ぼうっとしていないで攻撃してくれ」
「「「あ、はい」」」
それからの光景は、目に余る物だった。
時間経過で状態異常が回復するのを見計らって、絡新婦のへそに指を何度も突き入れる隆和。
その度に、真っ赤な虚ろな顔でビクンビクンと痙攣する絡新婦。
早く終われと言わんばかりに全力で攻撃する他のメンバー。
こうして、その作業は絡新婦が完全に消えてその跡から金属片が2つ見つかるまで続いた。
†
金属片を回収した彼らは、無言で足早に周囲を警戒しながら撤退を始めた。
不思議と行きはあれだけ襲ってきた鬼たちの姿がない。
そして、何事もなく門まで辿り着いた時に、童女とも老女とも取れる女性の声が聞こえてきた。
「わしは、【茨木童子】。この異界の主よ。
目障りな寄生虫を始末した褒美に見逃してやろう。
わしは、酒呑が目覚めるか誰かが挑みに来るまでここの奥にいるつもりだ。
が、そこにいる男は別だ。わしの所には来るなよ。
わしは、鬼としてあのような無様な死に様は嫌だ。
来たら、綱や清明ですら捉えられなかった逃走術を見せるぞ。
いいな、来るなよ。
用事が済んだなら、もう二度と来ないでくれ」
その声を聞き、早く帰ろうという考えに一致した彼らはそのまま足早に異界を出ていった。
後書きと設定解説
・主人公
スキル:
耽溺掌
(敵単体・小威力の物理攻撃。高確率で魅了・緊縛・至福の状態異常を付与)
↓
耽溺掌・改
(敵単体・小威力の物理攻撃。
高確率で魅了・緊縛・至福の状態異常を付与。
相手の体内に直接触れる間は状態異常のみ相性を無視して貫通する)
・敵対者
【鬼女ジョロウグモ(アルケニー)】(絡新婦)
レベル29 耐性:破魔無効・呪殺耐性・神経無効
スキル:ドルミナー(敵単体・高確率で睡眠付与)
セクシーダンス(敵全体・低確率で魅了付与)
毒針(敵単体・小威力の物理攻撃・中確率で毒付与)
巻き付き(敵単体・小威力の物理攻撃・低確率で緊縛付与)
詳細:
隆和が子供の時に師匠と倒した絡新婦の分体の1体
【妖虫ジョロウグモ】
レベル15 耐性:電撃耐性・氷結弱点・衝撃弱点
スキル:毒かみつき(敵単体・小威力の物理攻撃・中確率で毒付与)
ジオ(敵単体・小威力の電撃属性攻撃)
詳細:
迷い込んだ人間と姉妹を喰って成長した絡新婦の娘蜘蛛
次回は、さらに事件の続き。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。