レスカ長編 Take my revolithion!!   作:湯乃屋

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 「どぉ~も引っかかるミャ」

 

 「ん?何がどこに引っかかったって?」

 

 「なに寝ボケてるの、ムグ!タマQの一体どこに?引っかかるような場所があるのよゴックン!」

 

 早々に、言うんじゃ無かったミャ。という後悔を重量級のため息と共に吐き捨てて、はぁ~。気を取り直してタマQはラムネス、ミルク二人の顔を交互に見上げる。

 

 「ボックが言いたいのは、この依頼!考えれば考えるほど不自然としか思えないミャ。そもそも緊急救助要請の通信がボックたちの船を、それも移動中に狙って入ってくるなんて。聞いたこと無いミャ」

 

 「だから、緊急だったんでしょ?ムガ!たまたま通りがかったのがあたしたちで、ング!ラッキーじゃない」

 

 「それに、通信の声から相当の美女と見た!ムフフッ映像が無かったのが残念。ってストップ!ミルクさん、落ち付こう?しゃべるか、食べるか、怒るかどれか一つに・・・」

 

 言うが早いか、持っていたペットボトルがラムネスの横っ面を張り倒した事は言うまでも無いとして。はぁ~、コッチはコッチで溜息も出したくなる。イザって時は頼りになるのに、普段は。

 

 「ど~ぉして。コレで世界を救った勇者なんだか」

 

 こんなお調子だから、タマQこそシッカリしなくてはいけないのだ!改めて、辺りに慎重に視線を飛ばして様子を伺う。

 

 先導のラムネスの持つ懐中電灯で照らし出される壁面はどこも古く、そこかしこ禿げ落ちている。湿度なんてまるで無いのに陰気で、いかにも出そうな嫌~な雰囲気。

 

 典型的なニャイルの遺跡に、居座っている海賊団を追い払って欲しい。と言う、そこら辺のギルドにでも持って行ってしかるべき程度の依頼なのに。

 

 「ミルク、足元気を付けて」

 

 しいて言えば。

 

 確認しながら障害物をまたぐミルクの足元には、いかにも海賊下っ端のボーダーシャツ男が目を回してぶっ倒れている。これで何人目だろう?

 

 「ちったぁ怪しむべきだと思うんだがミャ」

 

 何が?と振り返る口のまわりがパウダーシュガーで化粧されていては、ツッコむ気にもなれない。

 

 「それにしても、ヨイショ。持ってくるお菓子の量を間違えたわ、コレじゃ飢え死にしちゃう」

 

 「オレも気になってたんだ。この惨状・・・オレたちより先にこの遺跡で海賊討伐してる誰かがいるって事だよな、タマQ」

 

 「ラムネス!ボックは、ボックは信じてたミャ!」

 

 「無差別殺人鬼じゃないといいよな~ニャハハ!」

 

 「そんな事言って~そこら辺の隠し扉からイキナリ出て来るかもよ」

 

 「ギャ~~・・・」

 

 「って、脅かすなよタマQ~」

 

 「ボックじゃないって、ミャ~~!!」

 

 「キャ~~!!って、何なの?」

 

 「うわ~って、だからぁ」

 

 どーん!

 

 って、本当に三人の背後で破壊音&爆風が起こって、弾かれたように振り返ると。

 

 もうもうと立ち込める煙に浮かび上がるシルエット。本当に、そこら辺の隠し扉から突然現れた無差別殺人鬼!?

 

 「イテテテ・・・オレとした事が。てかこのトラップに引っかかるの、これで何回目だ?我ながら学習能力が~いやいや。巧妙に隠されているから仕方ない!ってアレ?あんたら、まさか敵?すんませんでした、命だけはご勘弁を!」

 

 言うなり、音がするほどの勢いで体を二つに折って土下座!?更には、どこから取り出したのか白旗まで振りふり。

 

 「なんだ弱そうな奴だミャ。どうするミャ?」

 

 「どーもこーも。う~ん~、とにかくさ、カオ上げてよ」

 

 と、眉をハの字に手を差し伸べたのが運の尽きだった。そンじゃ、と思いっきり勢いを付けて、言われたとおりに頭を上げたものだから。

 

 「うがっ!・・・って、う~わ~~!!」

 

 「キャーラムネス!・・・フンガ!」

 

 とっさに、ミルクが手を伸ばして何とか支えているものの。突然現れた落とし穴に、ひゅるるる~~・・・と、いつまで経っても地面にぶつかる音のしない、落ちてしまった懐中電灯の余韻を思うと。

 

 「ちょっと!アンタも手伝いなさいよ、腕が、シビレる~!」

 

 うんとこしょ、どっこいしょ、ハァ~あ。うつ伏せたり、あおむいたり、とにかくゼーハー言うばかりの三人。あやうく初対面の人間と心中する所だったミャ。

 

 「ちょっとあんた?どう言うつもりよ、油断させておいて罠にハメるだなんて!」

 

 「ぐ、ぐるしぃ~た、たった今、力を合わせた仲じゃないか」

 

 「そ、そうだよミルク、半分は彼の力で助かったんだし」

 

 でもォ~!と、言いながら放り出してクネクネ。柔らかく微笑むラムネスに頬が赤らんでいるのはいいとして。放り出された方は星を飛ばして、大丈夫か?

 

 「それで?オマエはボックたちを狙う敵の刺客かミャ?それとも」

 

 「おおかたダストシュートに捨てられた廃棄人員じゃないの?」

 

 「う~ん、後者かな」

 

  このご時世、という嫌~なワードが思い浮かんだのか一瞬、場が凍りついた事に気が付いたのだろう。焦って手の平を顔の前で振って見せて

 

 「そ、そんな憐れむ目で見ないでくれよ、オレはクビョウって、ついさっきクビになった元下っ端のしたっぱの便所掃除係で」

 

 思わずサっと身を引いたミルク。それはいくら何でも失礼なんじゃないかな。

 

 「えへへ、ゴメンナサイ~育ちがいいモンだから、つい~」

 

 「ところであんたらは?新人か、だったら辞めとけ。この一味はブラックだ」

 

 「オレはラムネス。んでこっちがタマQにミルク。ここの遺跡に居座ってるっていう海賊を追っ払って欲しいって、頼まれたんだけど」

 

 やっぱり、どこかで聞いたような話だな?そう!前回ベッピーンが言っていた、ダ・サイダーがニャイルからやっと解放される要因となった・・・ニャイルが雇った傭兵団?やっぱりワナ?だが。残念な事にそれに気付くキャストはこの場に居ない。

 

 どころかクビョウに至っては、年頃の少年らしく目をキラキラさせて

 

 「ラムネス、にタマQにミルクって、もしかしてアナタ様はあの伝説の勇者?」

 

 「ミャ~あんまり持ち上げないでやって欲しいミャ、すぐ調子に乗るから」

 

 「何だよタマQ、チョットくらいいいじゃないか。オレのファンなんだぜ?ニャハハ!って、コラ~!!」

 

 「キミがミルク姫か、カワイイなぁ~テレビで見るより断然!いよし決めた。オレ今日からミルク姫に乗り換えるっ」

 

 「あらン困るわぁ、乗り換えって言われてもぉ、あたしに乗っかってイイのはラムネスっていう将来を誓い合ったフィアンセだけでぇ」

 

 「こら~!どさくさにまぎれて手を握るんじゃないの!」

 

 「いやん!ラムネスってはこんな所でぇン」

 

 「でえ?違う!ゴカイだ、今のナシ」

 

 「あんたら面白いのな」

 

 面目ないミャ。

 

 

 気を取り直して。

 

 クビョウという道案内を新たに加えたパーティーは相変わらず。何のトラップもない、所々に転がる海賊をまたいで何の苦もなく進む、進む。

 

 「コレ?レスカの姐御がなぎ倒してった跡。なーんか物々しい釘バットでさ、まさしく鬼ババ!」

 

 「レスカに聞かれたら・・・」

 

 「釘バットってもしかして、新女王の杓杖とか言ってなかった?」

 

 本当、何言ってるんだか。と呆れ顔のクビョウも、ラムネスももちろん本気にしていない。ミルクはケラケラ面白がってるし。タマQからもココアに考え直すように一言、言わなければと改めて思った。

 

 「ところで、さっきの話は本当かミャ?」

 

 「信じられないわ、お姉さまがココを占拠している海賊の親玉だなんて」

 

 「う~ん。まさかレスカに、自分の部下に牢に閉じ込めさせるなんてアハンもっとォなんてSッ気があったなんて」

 

 ウンウンと腕を組んで頷くクビョウ。アッサリ鵜呑みにしちゃうラムネスたちの薄っぺらい友情もどうかと思うけど。それ以前に、話聞いてたんじゃ無かったの?それこそ本当に、明日の太陽拝めなくなっちゃうよ?という突っ込みをしてくれるキャストも以下略。

 

 「そこが引っ掛かるのよね~さっきのタマQじゃないけど。本当はコレ、リアル脱出ゲームじゃないの?最近流行ってるじゃない」

 

 「ともかく。行く先に居るのがレスカならさ、直接聞けばいいんじゃない?」

 

 「そうそう。で?あとどのくらい歩くの、あたしお腹が空くと動けなくなる体質なんだけど」

 

 「もう追い付く頃・・・」

 

 パリン!とガラスが砕ける音と共に灯が、クビョウの掲げたランタンから光が奪われる。飛んできた何かがかすめて、消えたのだ。ミルクは慌てて何か・・・お菓子のオマケの弱いペンライト!急いでパッケージに手を掛ける、がラムネスの手がそれを制す。

 

 「下がっていて」

 

 見えないと分かっていても、しっかり頷くミルク。クビョウの手を引いて今来た道、壁に寄り添う。ひんやりと冷たいレンガの感触と、真闇・・・今度こそきっと敵だわ、どうか!力になれなくても、せめて届きますように。

 

 

◇◆◇

 

 

 「何でオレ様がキサマを守ってやらねばならんのだ?」

 

 ムカつく!

 

 暗闇の中にありありと、あの日のダ・サイダーの、純粋に不思議そうな顔が見えるようだ。あれは確か、初めて二人で出陣したシーラカンス号の中だったか。

 

 「確かにキサマは秘書かもしれんが、こうして前線に、オレ様の相棒になったからには、それなりのウデが無くてはな。・・・なに?女ひとり守りながら戦い抜く腕も無いのかって?バカかお前は。ずっとオレ様に張り付いてるつもりか?話にならん」

 

 コレはホイホイ城に帰ってお仕置きされて、その後だったか。確か、その翌日には。朝、顔を合わせるなり細身の剣を投げて来て、面食らったっけ。

 

 「今日からオレ様が特別に稽古をつけてやろう、感謝しろよ」

 

 そンで有無を言わせず練習場まで引っ張られて。そのせいで指がゴッツくなった事、今でも気にしてるんだから!

 

 「ヘタクソ。どうした?悔しかったら一撃くらい返してみろよ?」

 

 あんまりムカ付いたから、持ってた羽根ペンを投げてやったのよね。モチロン額に命中!アイツってば、何て言い返してくるかしらって待ってたら。

 

 「そうか、投げナイフ!だったら手裏剣とか。剣なら長剣よりもどっちかって言うと・・・」

 

 

「レスカ、タガーなんてちっこい剣で、大丈夫ジャン?」

 

 ヘビメタコから受け取ったエモノを二回、三回・・・手の中で転がしている。それは細身のフルーツナイフに似た、いっそ頼りないくらいのひと振り。うん、悪くない。と満足そうに口端を吊り上げる。

 

 「ま、見てナ!」

 

 走り出すと同時に、それまで持っていた釘バッドを思いっきり放り投げる。ガラン!と耳に痛いくらいの音で目くらましになれば。それは・・・どうやら効果があったらしい。ようやく慣れてきたのか、今ではボンヤリと見えているシルエットは期待どおり!

 

 キン!と高い音で弾かれた?びっくりしたのは、レスカの方。一発で!そう思ったのに、まさか反応して来るなんて。あわてて引いて壁を背にする。もしかして、そう思っていたからか舌打ちが漏れ聞こえる。

 

 「もしかして、アイツかもって思ってたジャン?」

 

 「だったら、今の一発で行けたハズなんだけど」

 

 「そんなに強いジャン?」

 

 「ダ・サイダーよりマシ!」

 

 再び駆け出す、と今度は相手の方も合わせて、足音が向かって来る。耳を澄ませて・・・大きく踏み込んで、体重をかける!

 

 が。

 

 そこに目標は無く、大きく空振り。反動でよろけた体と、頭を整理する間もなく。

 

 「右斜め上!」

 

 ヘビメタコの合図に慌てて体をひねる。矢継ぎ早に「しゃがんで!」の声に崩れると、一拍遅れた髪の先がひと束。切られて目の前を落ちて行く。

 

 「このっ!」

 

 渾身の力を振り絞った軸足払いでようやく、相手のバランスを崩す。その隙に這いつくばるように距離を取るものの。

 

 「早く決着をつけないと、ヤバいジャン」

 

 「分かってるわよ!」

 

 汗で張り付いた髪をうっとおしそうに払う。まだ序の口なのにもう、スタミナ全然が足りていない。ずっと城で姫をやっていた所為と言えばそれまでなのだが。ちょっとヤバいかかも。そう思い始めている顔だ。

 

 「唯一の救いは、相手の方から打って来ない事ジャン」

 

 「今のところはね。せいぜい甘えさせてもらう・・・わっ!」

 

 言った傍から。ほんの今までレスカが立っていた場所を一陣の、鋭い風が弧を描く。とっさに後ろに引いた、と言うより、よろけた体で何とかかわしたものの。

 

 「左上!、右下!今っ!」

 

 ヘビメタコの合図に応えるタイミングも一拍、二拍と遅れるようになって来ている。それは何もスタミナのせいばかりではない、その証拠に。

 

 リズミカルな足音と共に、体重をかけて大きく振りかぶって来る!まんま、レスカの太刀筋をなぞったかと思うと直後。左手に持ち替えた二太刀目。

 

 ぐ!と、体を二つに、膝が崩れ落ちる。

 

 クス、と小さく。トントン、と遠ざかる足音。一太刀ごとにくるくると、目まぐるしく変わる相手の切っ先、まるで癖のない太刀筋。熟練かと思うと、信じられないような凡ミスが目立つ。シロウト?まさか。だって、だとしたらこのセンスは何だ?

 

 対して。なす術もなく睨みつける目も、どこか揺れている。二太刀目、持ち手側でみぞおちを突かれたレスカの膝はこの機会に、休息を要求している。それを・・・気力だけで引きずり上げる姿はもう、明白としか言いようがない。それでも。

 

 その時だった。

 

 突然。体を鷲づかみにされて口をふさがれる。ムグ、ムグ~ッ!

 

 「ヘビメタコ、オレだ、クビョウだ」

 

 そのまま部屋の隅まで連れて行かれ、弱いペンライトの光に浮かんだ顔は、オマエ!

 

 「クビョウ?無事だったジャン!」

 

 「こっちも連れて来たわよ」

 

 思ってもみないミルクの声に顔を向けると、更に驚いた事に、その掌に乗っかっているのは

 

 「タマQちゃん?どうなってるジャン」

 

 「って事は、もしかして。ラムネスが闘ってる相手はレスカかミャ?」

 

 改めて。四人は再び、剣げきのするほうへ顔を向ける。ボンヤリと浮かぶ程度のシルエット、それがまさか。

 

 「タマQが付いていながら!何で最初に確認しなかった訳?」

 

 「ラムネスは・・・チョッピリ楽しんでるみたいなんだミャ」

 

 ハァ?っと顔をゆがめるミルクに対して、クビョウはウンウンと頷いている。

 

 「学校じゃ教えてくれないって奴だな、オレはゴメンだけどって痛!」

 

 「バカな事言ってないで!一刻も早く辞めさせなきゃいけないのよ?何かアイディアないの?こんな、ペンライトの弱い光じゃあそこまで照らせないし」

 

 「そこはオレにお任せ!ブレーカーを・・・痛って!」

 

 「有るんならもっと早く点けなさいよ、バカ!」

 

 力任せに背中をたたいた瞬間よろけながら。クビョウは渡されたペンライトの光を頼りに壁伝いに、見えなくなる。剣げきとは違う物音、じりじりと過ぎるばかりの時間。一体、何をモタついているのだ?早くしないと・・・レスカの方が持たないと言うのに!

 

 ガシャン!

 

 途端に、目も眩むほどの光に誰もが手で覆う。二回、三回とまばたきで強制的に慣らして、改めて顔を向ける。思った以上に広い空間の奥の方、飾りの付いた両開きの扉のすぐ前。

 

 焦点の合わない瞳で見つめ合うレスカと、ラムネス。お互いに振りかぶった体制のまま、急に誰かに止めに入られたような感じから・・・にぱっと、笑ったラムネスの顔がまともにレスカの胸の谷間にダイブ。

 

 「ぱふぱふ~この柔らかさ、確かにレスカに間違いないにゃ~」

 

 「ムカ!何よラムネスのエッチ!」

 

 「ミルク姫、危ない!」

 

クビョウの叫びに反応して顔をそむけたから。

 

 ミルクは気が付かなかった。なおもわだかまる闇の中から、ぬうっと生えた手が、走り出したミルクの腕を掴んだと思った途端。力任せにレスカの背後の、扉めがけて突き飛ばす!

 

 言葉を発するより早く・・・それが命取りになった。寸前で倒れ込んだミルクにダメ押しのように、ぐいと肩を押しつけて扉に、その文様に肩が触れた瞬間だった。

 

 ポワっと淡い光が、触れた個所から波紋のように広がり、みるみる・・・まるで魔法陣のように青白く浮かび上がり、ひときわ強く発光したかと思った途端。

 

 「きゃああぁぁぁっ!」

 

 苦痛に歪む顔はいっそ美しく、思わず誰もが見惚れ、その隙に・・・どういう事だ?ヘビメタコの目には文様に、まるで沼にでも落ちてゆくようにじりじり・・・沈んでいる?

 

 ミルク!と手を伸ばしたラムネスも。触れた一瞬、苦痛に顔を歪める。と入れ替えるように、ミルクの顔から意識が消えるのが分かった。それから・・・

 

 時間にして、ほんの数秒だったろう。気が付いた時にはミルクも、ラムネスも消えて、すっかり文様に呑まれて、後には。

 

 余韻を惜しむようにボワっと、ひときわ強い光を発してそれきり。薄明かりの照らされた空間には、耳が痛くなるほどの静寂が肌を、氷のように刺すばかり。

 

 「ワープ、ゲート・・・」

 

 誰の声だったか。それに応えるように人物が、呆のように座り込んだまま一歩も動けなかったレスカに手を伸ばし、抱き寄せる。

 

 誰もの視線がその、突然現れた人物を指している。レスカも、ようよう首を巡らせて、その不気味に歪められた目と、目を絡ませる。

 

 「立ち話もなんだし。どうぞ?奥へ」

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