レスカ長編 Take my revolithion!! 作:湯乃屋
日が暮れて。
約束の時間、約束の暗がりに揃った懐かしい面々にダ・サイダーは・・・自分でも意外なくらいにワクワクしていた。あくびが出るようなチョロい仕事だったにも関わらず、だ。それどころか、想定内とはいえ警察に追われるような羽目に陥ったにもかかわらず、だ。
集まった野次馬たちはヤンヤやんや、手を振ってファンサービスに余念がないのはダ・サイダー一人だけ、他の連中は口をそろえて「コッチはそれどころじゃないっつうの!」ったくダラシねーな! それでも、何とか逃げ切るあたり、流石と言うか何と言うか。
そして今は。
カンパーイ!と、弾ける声とそれに負けないくらいのグラス同士がぶつかり合う高い音、勢い付いてこぼれる泡の光景に、まだ酔っ払っても居ないのに胸が熱くなるのを感じていた。
「ささダーリン、ぐっと、ぐぐ~っと」
一気にあおったグラスを置いた途端におかわりを、なみなみ満たしては、花がほころんだような笑顔を向けてくるヘビメタコをホンの少しだけ目顔で窘めて。早ぇよ。でもま、許す!今度は、物理的に継ぎ足す"隙"を見せないように、一口だけ含んで、思わず頬が緩む。
「でも。自分たちのボスをいけにえに逃げて来るなんて。トンデもない盗賊団ジャン」
「あの顔は傑作だったな!でも、おかげで各々、懐にチョロまかした分は無事だったんだ、尊い犠牲に乾杯!」
「まだ死んでないジャン?」
もちろん冗談だ。言いながらグラスを傾けて、安いだけの酒に心ゆくまで酔いしれる。盗賊団の拠点、と言い張るこの安宿件酒場は、立地的にも立場的にも、国の中枢であるアララ城からずいぶん離れた、きっと城の連中が見たら顔をしかめて、そそくさと逃げ出すような、乱雑なネオン街の一角にあった。当然そこに集まる連中もそれなりに軽く、浮かれた羽虫のような連中ばかり、もちろんダ・サイダーもその一人。
グラスに口を付けたまま、改めてぐるりを見渡すと、さっきの盗みに参加していない奴もずいぶん混じって来た。ダ・サイダーとレスカが来ると言うのでわざわざ来てくれた奴も居ると聞いている。まるで・・・
同窓会みたいだ。
頬が緩みっぱなしがら、一人ひとりの顔と記憶を繋げてゆく。アイツは確か、オレ様の使いッパシリで、相変わらず地味に悪いことをやってるらしい。アッチの奴は心を入れ替えて慈善事業に取り組んでいるって、マジかよ。あっちは・・・誰だ?
「ダ・サイダー!なに隅っこでシケてやがんだ、らしくねーだろ。それよか、見ろよこの足かせ!お前が来るって聞いて、わざわざ大脱走して来たんだぜ?イカしてるだろ、このシマシマ囚人服」
得意気に泥まみれののカレースプーンを見せびらかしながら、後ろから絡んで来た腕を解きながら。イヤ、オマエは見つかる前にさっさと帰れ。と口を開きかけた時だった。
「何よぉ、もう始まってるじゃない。乾杯くらい待っててくれたって良かったんじゃなぁい?」
真打登場!とばかりに聞こえてきた声に目を向けると、一斉に集まる人並みに埋もれてチラとしか見えなかったが、レスカだ。朝のままのスーツ姿、着替えて来ると思っていたが一応、急いで駆け付けたのだろう。遅れた理由、言い訳くらいは聞いてやろうか、話したい事もあるし。と腰を浮かしかけ・・・まあいい、後にしよう。
「ボスさまも、一緒にお帰りだったんすけどぉ」
ギャ!とヘビメタコが短く叫んで肩パットに引っ込む。見るとすぐそこに、肩に乗っかる心霊写真よろしく薄気味悪い顔を見付けてしまったモノだから、思わず。
バキ!と軽快な音でノックダウン、その後ろからもう一人。何だオマエら?射撃ゲームかよ。思わず構えた所で。
「構えるなよ!・・・ったく、愚兄のおかげでコッチまですかんぴんだ。盗んだお宝は没収されるし、釈放金は払わされるし。オレたちいい方の盗賊なんだからさ、もうすこし優しくしてくれてもいいと思わないか?」
ブツクサ言いながら、とりあえずは去った危機(オレ様の仕業だが)に未だにチラチラ横目で警戒しながら腰掛けて、カウンターで貰って来たのだろう二つのグラスに例の安酒を注いで、片方に口を付ける。すると合わせたように、今しかたブッ飛ばした方が復活、むしろ全回復して来てその隣に。仲良くグラスを傾けて、一息。
かぁ~生き返る!と上機嫌な大声の方が、心霊写真と間違えた愚兄で、盗賊団のボス。ダ・サイダーたちに声をかけたのもコイツだ。その隣のヤレヤレ顔でチビチビやってるノッポの方が弟。本当の兄弟かどうかは知らないが、二人で盗賊団を纏めているライヤーとか言うコンビだ。
「今日のヤマだって、裏金タンマリため込んでるお貴族サマの私腹からチョチョイっと失敬させてもらおうって、だけだったんだから」
「余ったら募金するつもりだったしな」
「余るのか」
にへへ、とそろって笑うと似ている。ま、いいけど。ダ・サイダーは椅子の背にもたれて、見渡す。本当に、よくこれだけ集めたものだ。と、一息付いて半分ほどに減ったグラスをテーブルに戻した隙だった。
対面から伸びてきた手がその隙を、やっぱりなみなみの酒で満たして。「どうだった?」弾むようなユニゾンに顔を向けると、期待満面の四つの目が薄暗い照明に反射してキラキラして見える。
どうって・・・
「お前らのバカさ加減は良っく分かった」
腕を組んでふんぞり返って。鼻をふくらませながら横目で盗み見ると「やっぱりダメか~」と途端に軟体スライムのようにテーブルに張べり付いて、グダグダのたうちまわっている仕草も、やっぱり一緒。
「そこなんだよな。オレたちだって本当はもっとデッカイ事やりたいんだよ、でも知識も経験も足りてないんだよな~。こんなことならオレも戦闘部隊に」
「兄キには無理だろ」
「もっと無理な弟に言われたくない」
しばしにらみ合っていたが。揃ってダ・サイダーを見るなり椅子の上に足を上げて、正座?
「そこで相談なんだけど。ダ・サイダー、いやさダ・サイダー師匠!オレたちの代わりにボスになって、こいつらを纏めてくれねーか」
「何言ってんだ、そうじゃないだろ。ダ・サイダー、時々でいいんだ。手伝いを頼みたい。もちろん親衛隊長の合間でいいんだけど・・・」
爽やかな笑顔のまま弟をブっとばすと、顔を上げた兄の方凍り付いている。ほんの軽く触っただけなのに良く飛んだな、ちゃんと食ってるのか?
「ガセネタだ、気にすんな」
「それじゃ」
「悪いな」
カラン、と氷が鳴る。らんちき騒ぎの真っただ中、そんなかすかな音が耳に付くなんて。予感はしていた、短い時間とは言え一緒に行動をしていて。背中に感じていた視線、期待。でも・・・うつむいて、照明の加減か蒼白に見える兄の顔。悪いな、は本心。半面、断る理由を問われれば返答に詰まってしまうだろう。それでも。
重く開かれた兄の口から出た
「やっぱりレスカと結婚して王様になるって噂が本命・・・」
あれ?と思った時には壁にめり込んでいた。ダ・サイダー自身の仕業と気が付いたのは、握りしめられたこぶしが高く掲げられていたから、そうなのだろう。ヘビメタコも、目じりをつり上げて肩パットから飛び出しては口内マシンガンをスタンバイしているのだから、そうなのだろう。とは言え、まじまじと見つめても、そう言えばチョット痛いかも。見ると、今度は戻って来た弟が蒼白に色を無くしている。
「とんでもないガセねたジャン!ダーリンはウチだけのダーリンじゃん!」
「それは違うぞヘビメタコ。オレ様は全ドキドキスペースの女子のモノ、いわば公共物!それなのにだっ」いいぞノッて来た!良っく聞きやがれ野郎共。
「ココにはオンナッ気が足りない、つうか無い!何だこの汗臭い集団は?それに」
「そんな危ない仕事なんて、平和を勝ち取ったこのご時世にあるジャン?」
ヘビメタコが言葉を継ぐ。ダ・サイダーと顔を見合わせて、二人分の勢いの良すぎる視線を一身に受けて、サァどう出る?
対する弟はさっきまでの蒼白顔から、にやり。ココの照明は一体どうなってるんだ?丁度、顎の下から懐中電灯を当てたみたいなウラメシヤ顔で頬を引きつらせて・・・思わず引く。
「無かったら、こんな話持ち出さないよ」
ここぞとばかりに服の下から取り出した資料の表紙をめくって、スタイリッシュ気取り。今度は別の意味で、思わず引く。
「この、やれ復興だ何だのバカ景気に乗じて一発勝負に出ようって。バカな考えを起こすお貴族サマは案外多いんだよ。おっと、守秘義務がありますから」
早々に、再び服の下に仕舞い込んでは見せてくれない。まぁ当然か、しかし。
フム、と身を引いて顎に手を当てる。悪いな、と断った理由・・・ヘビメタコに目を向けると、その大きな瞳にダ・サイダー自身が映り込んでいて、きっと。同じことを考えているんだろうな。ココで、今言ってしまうつもりジャン?
バカみたいな連中、未だ落ち着く様子さえ見せない。ケチな仕事を苦労して探して来ては、今日みたいに失敗して。それなのに反省もせずにまた次に目移りして、繰り返し。コイツ等は確かに、いい奴なんだがそれだけ、ただのゴロツキの寄せ集め。ボスになる?纏め上げる?考えただけでも骨が折れる。・・・骨が折れる、面倒くさい、気力が湧かない。このオレ様が?
アララ城に入って以来、のんびりチヤホヤその日暮らしをするようになって以来・・・ダ・サイダーは何とも言えない、調子のおかしさを感じていた。すぐイライラするし、それなのに無気力で、何のやる気も起きない。いっそ、新しい冒険を求めて飛び出してしまえば、でも。いっそ、昔の仲間でも集めて裏稼業でも旗揚げるか、でも。
ワッと、ひときわ大きな歓声に顔を上げる。再び思い出しているのは、あの廃墟の街でヘビメタコに語った夢。それと同じ夢を抱いている、この場に集まった愛おしくもバカな連中。
ココで今、レスカに話すよりも先に
「オレ様だったら・・・どんな危険なヤマだって安心安全、確実に顧客と秘密を守る」
「・・・そう!」
「こんなあけっぴろげな安宿を拠点にしてたんじゃ、いい仕事は来ねぇよな。誰も知らない、地図にも載ってない秘密のアジトが」
「あるのか!?」
ぐいっと詰め寄られてようやく。短いけいれんと共に現実に戻って来る。いつの間に復活したのか兄弟揃って、キラキラと期待に輝く目を向けて・・・やっぱり同じ顔じゃねーか。慌ててグラスを一気にあおるが、もうほとんど残っていなかった酒では、喉まで出かかった言葉を流し込むには足りなかったらしく引っかかったまま、声も出せない。
うっかり、オレ様とした事が。レスカに、一番喜びそうな相棒に一番に知らせるって思っていたのに。だがそんなデリケートな事情なんて知ったこっちゃない兄弟はぐいぐいっと、更に迫って来る。がたがたと椅子を鳴らして後ずさるがもう。手の平に当たるのはごつごつした石壁の感触、後がない。どうする?どうせ言うつもりだった。でも・・・
「実は・・・」
「やっぱり!ダ・サイダーなら何か面白いヤマ掴んでるんじゃないかって、オレの言ったとおりだろ?」
「依頼主は?具体的にどのくらいの儲け話なんだ?」
「命がけは御免だぜ」
「待て、そういう話じゃない」
「じゃぁどういう!?」
畜生、ひっかかった!顎を引くと喉がぐう、と。ぐうの音も出ない時ってのは実際にはぐうって出るんだな。んな事ぁどうでもいい!今や眼前にまで迫った瞳はキラキラ百二十パーセント、本当どうなってるんだココの照明。そんな目で見つめられたら思わずヘンな気持ちに・・・なるか!
どうするオレ?引っかけられてちょっと腹立ったし、マシンガン乱射(大迷惑)で誤魔化すか?それともいっそ
「あ、いたいたダ・サイダー、ちょっと聞いて欲しいんだけどさ」
「レスカ!会いたかったぜ、遅かったじゃねーか、何処ほっつき歩いてたんだよ」
「な、何なんなの?気持ち悪いわね」
途端に生ゴミでも見付けたような目を投げつけられるが、今日は許す!ぐいぐい背中を押して手近な空いたソファに座らせて、オレ様も。舌打ちでもしているだろう兄弟の方は見ないように、至極自然を装って。レスカから見たら不自然極まりないギクシャクとした動作でいつも以上に格好を付けて空のグラスを傾ける。
「ちょっと大丈夫?」と覗きこんで来る瞳とマトモにぶつかったせいか、鼓動がハネ上がる。それなのにレスカと来たら。その後のフォロー一切無しの放置プレイとばかりにサッサと切り上げて、大きく伸びをするなり背もたれに倒れ込んでくつろぎモード。
「でも本っ当!ツイてないわ。せっかく楽しみにしてたのに、駆け付けたら全ー部片付いてて、バカ騒ぎだって宴もたけなわ!」
ちらっとダ・サイダーに寄越してくる目は何かを探るようで、ダ・サイダーの心臓が一段と跳ね上がる。これは・・・イケル!見えるぞ、オレ様にはしっかと、レスカがオレ様の話を感涙にむせびながら聞き惚れて挙句狂喜乱舞する姿がっ!
残念ながら、その時のダ・サイダーは完全に目がイッていた。そのはず、完全に頭に血が回らなくなった状態で無理矢理フル回転で妄想を膨らませていたのだから。さらに残念な事には、レスカの方も普段通りの状態では無かった事。レスカとしては当然、遅れた理由、言い訳。それとも真っ先に文句を言われるだろうか、まだ大丈夫なら・・・
「ゴメン!どうしても抜け出せなかったの」
先手必勝。
「アタシもね、いちおう努力はしたんだけど」
「そうかそうか。そんでもって、突然の来客をフクロにしてたんで遅れたって訳か」
「・・・ハァ?」腹の底から引きずり上げてきたような声でもってレスカが、ようやく気が付いた。コイツおかしい、って事は叱られたりする心配は無いって事か。そんじゃ。
「はぁ~何言ってんのアンタ。もしかして、アタシを待っててトイレ我慢してたんじゃない?バカね、ホラ、早く済ましてきなって」
「だぁ~違う!キサマの中でオレ様はど~ういう残念なイケメンキャラなんだ?」
「ダーリン!」
「おう!そうだった」
こちらも正気に戻るなり「実は」と何度目かの文句でレスカの目を正面からとらえる。と今度はレスカの方が真っ赤になって、するとどうした事か、あんなに飛び出しそうだった言葉が本格的に喉に引っかかって、詰まって。
ごくりと唾を飲み込む。
「じ、実はだな・・・ココに居る連中にも報告せねばならんし、こういう事は順序が大事だからな。実は今日は、その・・・レスカに重要な告白が」
「プロポーズだ!」
「シ!大事なところなんだから。それより誰か、ビデオ回せ」
「ボス、電池切れです!」
「こんな時に?仕方ない、表のコンビニで買ってこい。ってな訳でちょっと待ってもらっていいか」
「それはモチロン・・・って違~う!!」
思わずマシンガン乱射に踏み切ったのはテレ隠しなどでは断じて無い!だってよ、酷いと思わないか?みんなして盛大にオレ様をイジり倒すわ、レスカと来た日にゃ、腹抱えて涙目になるまで大爆笑とか。・・・このオンナ、ちったぁションボリするなり、恥じらうとか照れるとか無いのか?本っ当可愛げの無いオンナだな。これじゃ、オレ様一人がバカみたいじゃないか!
・・・・・・
硝煙の匂いと立ち込める煙。すっかり荒れ果てた酒場は。それでも騒然と、むしろ盛り上がりを極めて半狂乱と言ってもいい。本当に、バカばっか!その中でただ一人、ダ・サイダーだけがグッタリとくたびれ果てて、地べたに座り込んで・・・もうヤダ。
ホイ、と泣きそうな顔を上げると新しいグラスが、レスカがニッカリと歯を見せながら半ば強引に押し付けてくる。鼻を近づけると香ばしい、お茶のようだ。
「でもさ、本当のところ。いつまでこうやって、コイツらとバカやっていられるんだろうね」
見上げる横顔は、髪と同じ金色に縁取られて見えて、思わずとも見惚れてしまう。つと、レスカのあかい瞳が見えたかと思うと慌てて逸らされて、ぐっと伸びをしてからダ・サイダーの隣に座り込むなり、やや早口で続ける。
「ココは落ち着く!コイツ等、本当どいつもこいつもバカばっかり、もちろんアタシも」ダ・サイダーを見て、戻す。「アタシってさ、本当はこうじゃない?なのにさ・・・らしくないよね、こんな格好。あんな、タイクツでキュウクツなお姫サマだなんてさ」
緊張すると早口になる癖。上等そうなスーツ姿と地べたに胡坐。何もかもちぐはぐで、レスカらしい。
「地がでてんぞ」
「出してんの。・・・でも、さ」
すっと立ち上がって、手を前で軽く重ねて。洗練された立ち姿に不器用な笑みが浮かぶ。
「わたしはアララ・カフェオレだから」
「レスカ!」
急な大声にビックリして目を丸くしている。ふふん、バカめ!ダ・サイダーも立ち上がるなり、軽く重ねられた手をもぎ取る、と更に丸く大きく開かれた目が白黒めまぐるしく、こちらを見返してくる。
「いいじゃねぇか、レスカで」
「でも」
「オレ様が許す!」
「・・・何よ、それ」
うつむいて・・・何だよ怒ってるのか?心の狭い奴だな。でもそんなら尚更!オマエがレスカでいたいって思ってるなら、オレ様がその場所を死守してやろう。題して、ベリィ・グレート・ドリーム計画!一番にオマエに聞かせてやるんだ、ありがたく思え。
この間、人手不足だからってオレ様が受けた親衛隊の任務があったろ?そこで!何を見付けたと思う?んっふっふ、聞いてオドロケ。
「実は・・・」
「イヨッシ!もうちょっと頑張ってやるか」
勢い付いた大声で、振り返ってガキの頃みたいに微笑むから・・・ダ・サイダーは「実は」の「は」の口のまま、続く言葉を一瞬忘れてしまった。
「アンタにそこまで言われたらさ、引けないだろ?」
じゃなかった、引けないでしょ。ん~やっぱ慣れないな。でもフッ切れた感じ。アンタもたまにはいい事言うじゃない?ちったぁ、見直してやってもいいかな。ってな訳で。アタシの新しい門出を祝って、エイエイオー!
勢い良く掲げられる手、引っ張られてよろけて、それで気が付いて、ようやく解放される。レスカは"景気付づけ"と一気にお茶をあおると、自分で持ってきた癖に文句を垂れて、それでも上機嫌に。でもやっぱり物足りない顔で「ちょっと漁って来るわ」言うなり行ってしまう。ダ・サイダーは。
再び、ずるずると地面に尻を付けると誰の顔も見えない、別世界のようになってしまう。アイツは。カフェオレを演じてはいるものの本当はこっちの、悪いイイオンナ、レスカこそが本来の彼女なのだ、と思っていた、の、に。
居なくなってしまうと言ったのか。決めてしまったのか、カフェオレになると。行ってしまうのか。
ダ・サイダーを残して。
オレ様は・・・
先ずはレスカだな。アイツを真っ先に誘ってやらねーと、うるせぇだろ?それに・・・相棒だからな。
香ばしい、渋いお茶と一緒に飲み込む。用意していた言葉を、危険な冒険の誘いを、俺たちの故郷の事を。
言えねぇよ、なぁ