レスカ長編 Take my revolithion!!   作:湯乃屋

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Take my revoluthion!! 1-2

「え~願いましては・・・」

 パチパチと、そろばんを弾く音が薄暗い店の片隅から不気味に聞こえている。

 時刻は丁度、日が傾き始めようという所。近隣の飲食店などは声を競って、自慢のメニューを紹介し、軒先からはなんともイイ匂いが、まぁ往来ともなればゴチャマゼになってしまうのだが、ココは

 「だーもう、無理に決まってんでしょ!」

 ドーン!と、大げさな音を立ててちゃぶ台、いやさ。テーブルをひっくり返したと同時に、ズガガガガ・・・・と。物理的に色んなモノを引き裂く音と、横倒しのテーブルの向こう側の震えるほどの衝撃に、思わずとも持っていた鉛筆を真っ二つ。

 「ぬわーっはっはっは!踊れ、もっと踊れ!オレ様のマシンガンに合わせて、調子よくちょーしょく(朝食)まで踊るのだぁっ!!」

 「ちょっとダ・サイダー!こっちにまで火の粉、飛ばさないでって言ってる、で・・・しょごっ」

 「あ、ヤベェ」

 レスカはゆっくりと、そろばんを握り締めたまま仰向けに倒れ込んだ。

 

 ココはドキドキスペースの片隅。往来をゆく面々は、ハッキリ言ってチョットおっかない雰囲気が漂っている場末の、最奥の酒場兼宿屋の店内、のハズだったのだが。

 未だ、硝煙の立ち込めるフロアを良く見るとそこここに、ダ・サイダーのストレス発散に協力させられた可哀そうな名もなき大男たちがヒクヒクと、がれきと成り果てたテーブルやら椅子やらの影で時々うなったりしている一方。

 「いや~今回ばかりは悪かった、スマン!」

 「満面の笑顔で言うセリフじゃないわね、イタタ。ったく一体何回、店をブチ壊せば気が済むのよ」

 「何を言う。向かってくる火の粉を払ったまでだ。喧嘩を売られて買わないなんて、男じゃない!」

 ナハハ!と、スッキリサッパリ気分上々を抑えきれないダ・サイダーは、レスカの額のタンコブに絆創膏を貼りながら、それでもキリリ!と目元を引き締め・・・一秒後には再びニカニカと戻ってしまうものだからレスカの方は。

 「あ~あ。ようござんしたわね。そんだけイイ運動したんだから、今日のご飯は格別でしょうよ」

 おう!と得意満面にこぶしを振り上げるなり、お許しが出たと早速、厨房に走っては、(乱闘騒ぎさえなければ)今日のディナータイムに供されるはずだった料理の数々を物色しては、あーでもない、こーでもないと何やらブツブツ言っている。

 「はぁ~気の弱そうな店主だから良かったものの。余所の店だったらとっくにクビよ」

 「だよな~ぬわっはっはっは!」

 笑い事じゃないわよ!と言いたい所だが、その気力もない。レスカは本日何度目かの溜息でタンコブをさすりながら、生き残っていた椅子に腰をかける。と、絶妙なタイミングでダ・サイダーがいそいそと、ホカホカ湯気の立った料理の数々を運んで来た所だった。しかもどれもチャンとレスカの好みをわきまえた料理で・・・仕方ないな。と許してしまう辺りが

 「ダメなのよね~」

 「何だ?オレ様のチョイスに文句でもあるのか」

 「はん!まだまだ甘いわね。確かにアタシの好みはバッチリだけど。美容と健康を考えると、60点ってとこかしら」

 「あ~オマエはゼイ肉が付きやすいからな」

 「何ですって!」

 以下略。

 んじゃ、改めまして。いつの間に目の上にタンコブをこさえたダ・サイダーと、額にタンコブのレスカ。ある意味仲良く、すっかり冷めてしまったスープに口を付けてはウットリご満悦。

 「それよりレスカ、オレ様たちは、一体いつまでこんな事を続ければ良いのだ」

 「そりゃ、ベッピーンの気が済むまででしょ」

 「だってもう何日になる?コンテナにブチ込まれて以来、来る日も来る日も強制労働。しかも今日のメインはせいろ蒸しをリクエストしておいたのに!今日せいろどう?きょうせいろどう(強制労働)なんてのはどうだ?ぬわっはっは・・・」

 「だーもう我慢できない!何だってこのアタシが、こ・ん・なっ!地味~なバイトに明け暮れながらアンタのくっだらないダジャレに付き合わされなきゃなんないのよ」

 手にしていたスプーンをダ・サイダーの鼻先に突きつけてやると一瞬ポカンと、続いてタジタジと、何をするかと思ったら前菜のレタスにフォークを突き刺して、

 「ち、ちったあ落ち着け、野菜が足りてないんだな、な?」

 「あさって午後、ハラハラワールドイチの宝石商との会談があんだけど!モシャモシャ。んぐ!以下もビッチリ盛りだくさん」

 「それを言うならオレ様だって。親衛隊をいつまでも放っぽとくと、おっかない奴がいるぞ?」

 「ココからだと、超高速船で飛ばして半日。明日の午後には出ないと間に合わないの。どんな事をしてでもココを脱走しないといけないのよ!」

 続いて白身魚のムニエルにフォークを突き立てて、またまたレスカの口に押し込む。切るという工程をスッ飛ばしたものだから頬はパンパン、若干ハミ出しながらも口を動かす姿にニヤニヤしながら、ダ・サイダーは自分の分はキッチリ、ナイフを入れている。

 「んな事言ったってな~。アララ城に連絡、だけはしたくねえよなあ。そんなコトしたら出禁食らうのが目に見えてんだから。ベッピーンの方はどうだ」

 「全然!電話は繋がらないしメール送りつけても、ウンともすんとも」

 「積んだな」

 「冷静に言ってんじゃないわよっ!」

 そのまま、ダ・サイダーの首に手をかけて前へ後ろへガックンガックン・・・ぐええっと、それでも目を白黒させながらもメインのステーキに必死で手を伸ばして、またしてもレスカの口に押し込み!まだ余裕がありそうだ。

 それにはさすがのレスカもウットリと、目には星さまがキラキラ・・・大人しく椅子に座りなおして堪能しながら改めまして。今度は自分の手でステーキをパクリ!はぁ~シアワセ!

 「まー何だ。オマエは心配するな?オレ様がなんとかしてやるから」

 「そうだわ!クイーンサイダロンを呼んだらどうかしら。水戸の印籠作戦!さすがに伝説の勇者さまって分かったら、借金チャラ間違いないんじゃない?」

 「お前、オレ様の話を聞いてなかったのか?そもそも、そんな事しようものなら目立って目立って・・・目立つのは良いんだが。善良な市民に、また悪い奴が現れたのかといらん心配を振りまくだけだろうが。それに、メタコなら出かてるぞ」

 「この肝心な時に!」

 「まさか本気だったのか?無理にでもメタコの口にメタルコインを押し込むつもりだったのか?イヤ、レスカならやりかねない」

 ダ・サイダーが真っ青になって頭を抱えても、そんなの見ちゃいない。アタマをかきむしりながらヒステリックに、ギコギコと行儀悪くステーキを切ってはまた、口いっぱいに詰め込んでいる。

 と再び、国宝の宝玉が滑り落ちる。

 「そうだ!それより、その大仰な奴を売っ払っちまおう!そうすりゃ一発どころかオツリが・・・ギャー!」

 「世の中には言っていいことと悪いことがあんのよ」

 羽根手裏剣で鍛えたコントロールが放ったフォークは見事!ダ・サイダーの眉間にヒット。

 「おいこらブス!ウチのダーリンに何するジャン!ついさっき、自分の勝手な都合でクイーンサイダロンを云々言っていた奴の言うことじゃないジャン」

 と、あわててフォークを抜きつつ、的確な突っ込みを入れてくれたのは。

 「ヘビメタコ!アンタ一体どこ行ってたのよ」

 「ちょっと、ダーリンのお使いジャン」

 「どうだった?」

 と、懐から取り出した絆創膏をセルフでペッタン。至近距離でザックリ刺さっていたのに、どういうアタマの固さをしているのだ?ともかくワクワク顔で目をキラキラ輝かせて。ヘビメタコとしてはそんな無邪気な天使顔で見つめられたら・・・

 いやいや期待に答えなくては!涙をのんで歯を食いしばって、コレを見るジャン。と数枚の羊皮紙を吐き出す。それこそまさに!ダ・サイダーの用意していた待望の最終手段なのだ。

 「ミリオンクラスの賞金首、一攫千金の大チャンス!コイツらそろってこの町に来てるジャン、カモがネギしょってやってくるジャン」

 「全部でひいふう・・・大儲けじゃない、ステキ!」

 「その情報、ウラは取れているんだろうな」

 「もっちろんジャン!だってこいつらの親分だって奴に町の入り口でばったり、話を聞いたんジャン」

 「そのオヤビン様がどこの誰かは知らねーが。いよし!そうと決まれば〆のデザートをさっさと片付けて、ラジオ体操第一~」

 「ところで」

 ヘビメタコはぐるりと、ずっと気になっていた酒場の惨状を見渡してから、レスカの背後にピッタリ視線を留める。

 「ソイツ誰ジャン?」

 レスカの裏拳とダ・サイダーの一升瓶がタイミングバッチリ!いかにも痛そうな音を立てて、復活した大男の顔面&後頭部に決まり、派手にホコリを立ててKO!

 「ちょっとダ・サイダー、取りこぼしてんじゃない」

 「う~むオレ様、調子悪いかも」

 と言いながらも、構わずプルルンっとプリンを頬ばってウットリしている。対するヘビメタコもいつもならば「イエ~イ、ダーリン以下略」と来る所だが、今日ばかりは。慌ててテーブルから飛び降り、気絶した哀れな大男と、賞金首ポスターとを見比べて

 「ダーリン、まさにコイツが賞金首ジャン」

 「何ですって?それじゃ、親分が来る前にチャッチャとしょっ引かなきゃ」

 「ちょっと待つジャン、何か言ってる」

 すかさず吐き出したマイクを男の口に寄せて、スイッチオン。

 「お、覚えてろ、親分がカタキを」

 「えぇ~面倒くさい!。ダ・サイダー、もういっちょ頼むわ」

 「断る!なぜなら、は、腹が、イタタタ・・・すまん、トイレ!」

 脱兎のごとく。

 「ってちょっと!だから早食いの癖は直しなさいっていつも言ってるでしょ。ど~うすんの、アタシ一人じゃ流石に自信ないわよ」

 「逃げるジャン?」

 「冗談!こんっな大金目の前にして、逃げ出すレスカ様だとお思い?待ってなさい、今から考えるから」

 言うなり、レスカは人差し指をぺろりと、その指で左右の頭に円を描いて、ポクポク・・・   

 「チーン!ひらめいたわ!耳かしなさいゴニョゴニョ・・・」

 「そんなんで上手く行くジャン?」

 「任せなさいって!」

 果たして、レスカがひねり出した策とは。

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