身体能力チート貰っても転生先が超次元だったら意味ないだろ! 作:村岡8bit
性転換タグ追加しました
拝啓、前世の父さん、前世の母さん、あとバカ。こちらはうららかな春日和となりました。お元気でしょうか?私は今、住宅街を陸上選手顔負けのスピードで爆走しています。
「うおおおおお!新学期早々に遅刻はまずい!唸れおれの右脚!全てを屠れ俺の左脚!だああああ間に合えええ!っと近道こっちぃ!」
高さ5メートルはある塀を飛び越え、ストンとキレイに着地する。いつもは使わない、というか茨の道過ぎて使えない近道だが、背に腹は代えられないということで、使うしかない。
柵を飛び越えた先にあるのは今はもう使われていない廃工場。超オンボロだけどいつから放置されるんだこれ。
「錆びが手にボロボロつくから嫌なんだよな……」
愚痴を溢しながら廃工場の壁をよじ登り、屋根の端に手が掛かったところで一度静止する。
一度深く息を吐いてから腕に力を込める。するとその反作用で体が宙に投げ出されるので、前に一回転し体勢を整え、そのままドンッ!という近所迷惑確定の騒音を立てながらも着地を決める。
「うっは、たっけぇ」
屋根のはしっこから顔をのぞかせてみると、ここから地面までかなりの高度があることが分かった。高いところはあまり得意ではない。覗かなきゃよかったと、普通に後悔した。馬鹿じゃねえの?
「って急がなきゃ!なんのためにここ使ってんだよ!遅刻しそうだからだろ!急げよ俺!」
自分で自分に喝を入れ、視線を俺の通う中学校の雷門中へと移す。俺の目測だとここから雷門中への距離は1km以上、いや遠い。これ行けるか?前行けたから行けないことはないだろうけど。
「っし!
視線は雷門中を見据えたまま、屋根の上を走り幅跳びの助走レーンかのように駆けてゆく。あと一歩踏み出してしまえば足が空を踏む、というところで脚を折り曲げ、溜めの動作に入る。
「ふんッ!」
解放。バネのごとく俺はぶっ飛んだ。
「あ゛あ゛あ゛あああああ!待ってやっぱムリ高いいいいい! 」
後悔先に立たず。寝坊なんてしなきゃこんな地獄見ずに済んだのになあと、白目を向き滝のように涙を流しながら思った。
そのままおおよそ
「ヒィィィィ!あ待って着地しちゃう心の準備できないィィぃ!?」
着地予定点は校門、少しずつ減速するんだ俺。落ち着け俺、平常心だ。前回遅刻しかけた時だってなんとかなっただろう?じゃあ大丈夫だ。行ける。
「ぶべらっ!」
駄目でした。勢いはそのまま顔面から地面に衝突してしまう。
「ふがががががが」
アスファルトの道を顔面で抉りながら、なんとか勢いを殺す。これ摩擦で顔焦げたって絶対。蒸気出てるもん。
「いでぇ……」
赤く腫れた鼻をさすりながら体を起こすと、顔に貼りついていたアスファルトの破片がポロポロと落ちてゆく。幸いなことに顔は焦げていなかった。
「急がねぇと遅刻しちまう……」
次の瞬間、始業時間のチャイムが鳴った。はい遅刻。俺の命を掛けた苦肉の策は水の泡。ふざけんな。学校の一部破壊してまで間に合わせようとしたのに。
「新学期早々から遅刻とは、度胸あるね〜」
よろめきながらも歩き出そうとしたその時、背後から聞き慣れた声が一つ。振り返ると、そこに立っているのは制服を身に纏った小柄な少女。
「うっせ、寝坊したんだよ」
「源のことだから、そんなとこだろうとは思ってたよ」
「てか、お前もここにいるってことは遅刻だろ」
「あ、それに気づいちゃう?」
「気づかない訳ねーだろバカが」
目の前のバカは今世での俺の幼なじみ、
名字は違うし、性別も違うのに、時々このバカの顔が前世のバカと重なって見えるのが最近の悩みだ。
「優も寝坊か?」
「ハッ、ボクは君と違ってそんな間抜けなことしないよ」
「いちいち煽らなきゃ気が済まんのかお前は……じゃあなんで遅刻したんだよ」
「えっ……あー、っと……それはぁ……そのぉ……」
遅刻の理由を尋ねた途端に動揺しだす優。人に言えないくらい恥ずかしい理由なのか?おねしょでもしたのだろうか……
「まぁなんだ、言いたくなければ言わなくていいぞ」
「あっ、ううん!違うの!言いたくないわけじゃないんだけどね……」
「じゃあ言えよ」
「えっ……うぅ……」
今度は顔を赤く染めて俯いてしまった。何なんだコイツ。
「………と…い……た…」
「アァ?声ちっちゃくて聞こえねぇよ」
「源と!一緒に登校したくてずっと待ってたの!……なのに、源全然来ないんだもん。気づいたら時間になっちゃってて……それで、遅刻した」
「は?……ッぷ、ハハハハ!」
目尻に涙を溜めながら、もうどうにでもなれと半ばやけくそな声量で優が叫ぶが、だんだんと尻すぼみになってゆく。俺は思わず爆笑してしまった。
「な、何で笑うのさ!流石に怒るよ!」
「いや、フフっ、すまん、おもったより、フッ、理由が可愛らしかったもんで。……お前、マジでバカだなぁ」
「カッチーン!あーあー、もうかんっぜんに怒っちゃいましたー。何でそんなこと言うの?さっき着地ミスって顔面から行ってたくせに」
「なっ!?お前見てたのかよ!」
「そりゃあ勿論。なんなら、心の準備できないー、って叫んでるところから見てたよ。いやー、あれは見事だったね。見事すぎるチキンっぷりだったよ、全く。ププッ」
「てっめ……今のままでもねえそのタッパ、更に縮めてやろうかマジで」
「暴力はんたーい!ぶーぶー」
ギャイギャイと言い合いながら、校舎へ向かって歩く。俺たちは今日から中学2年生。学年が変わって、俺の日常にも何か変化が起こるのではないかと思っていたが、全然そんなことは無さそうだ。
変化といえば、サッカー部の新入部員来てくれるかなぁ……人数が増えればグラウンドで練習することすらできない現状も変化するだろうに……
◆
「それで二人揃って先生に叱られてたのか?はっ、バカだなーお前ら」
あの後、校舎に入ったら鬼の形相した担任が廊下で待ち構えていた。どうやら俺がアスファルトの道を破壊しているところと俺と優が喧嘩しているところの一部始終を目撃していたそうで、メチャクチャに怒られた。
そして現在、そのことを俺と同じサッカー部の部員、半田真一に笑われている。は?うざ。
横にいる優を見ると、彼女も頭に来たようで額に青筋が浮かんでいる。
「うるせーよ。半田、お前はさっさと必殺技使えるようになれ」
「そーだそーだ」
「うぐっ……あのなぁ、お前らそう簡単に言うけどさ、必殺技ってマジで習得すんのムズいんだぜ?それに、亭慈だってまだ必殺技使ったことないじゃんか」
「使う必要がないからな。使おうと思えば使える。俺が必殺技使ったらお前ら絶対に勝てないじゃん。ハンデだよ、ハンデ」
そう言って半田のことを煽ってやると、ぐぅの音も出ないようで、歯を噛み締め悔しそうにこちらを睨んでくる。
ま、今の俺の発言普通に嘘だけどな!おれ必殺技なんて使えねーよ!ていうか使えないのが普通だろ!なんで染岡はボールから龍が出せるの?なんで円堂は右手からデカい右手が出てくるの?おかしくない?おかしいよね。ふぇぇ……超次元すぎるよぉ……
「クッソ……それで納得出来ちまうお前の実力が恨めしいぜ……」
キャラクター紹介
亭慈 源:本作の主人公。名前は低次元の当て字だけど、そこまで低次元じゃない。むしろ超次元。足から炎は出ないし出したくもないけど、身体能力チート由来の圧倒的フィジカルで超次元をねじ伏せる(予定)
気になる女の子の前では素直になれない思春期(二度目)を拗らせボーイ。
鹿目 優:ヒロイン。主人公の幼なじみ。ちっちゃくておっぱいがでかい。前世の記憶があるらしいが主人公はそのことを知らない。ちなみに前世での名字は馬場
次話投稿は一週間以内
感想評価お気に入り、どれも作者のモチベへと繋がります。ありがとうございます。
文字数
-
更新頻度落として増やせ
-
今のままでいい