身体能力チート貰っても転生先が超次元だったら意味ないだろ! 作:村岡8bit
あと、評価くれたらすごく喜びます。
一年生達のユニフォームが届いたので、今日から特訓を始めようと思う。
「始めるつっても、今回は様子見程度で済ますがな」
「亭慈さん、特訓って言ってますけどこれどこに向かってるでやんすか?」
俺の横を歩く栗松がそう尋ねてきたので、一度歩みを止め、皆がいる方を振り返る。
「河川敷だ」
「河川敷ぃ?どうしてそんな場所へ行くんでやんすか?」
雷門中にはグラウンドが設備されているのに、それをなぜ使わないのか。一般的なサッカー男児ならば当たり前に抱くであろう疑問を浮かべる栗松。
俺に変わって半田が栗松の質問に答える。
「俺達サッカー部の人数はたったの8人、ついこないだまでは4人だった超小規模クラブ。そんなんだから、グラウンドの使用許可が降りないんだよ。だから、十分に特訓できる場所に移動してるってわけ。河川敷にはグラウンドがあるからな」
「そーいうこった、ま、安心しろよ。確かに行き先は河川敷だが、半田の言った通り十分に特訓できる場所だからさ。それも、お前らを筋肉痛で身動き取れなくさせる程度にはな」
口が三日月に裂け、所謂不吉な笑みという奴が溢れてしまった。染岡がドン引きしているが、あとでしばこうと思う。
「えぇこわ……副部長、何するつもりなんですか……?」
「それはついてからのお楽しみってことで。まぁでも、さっきも言ったが今回の特訓は様子見程度だ。そこまで身構える必要はねぇよ」
肩を抱いて体を震わせる宍戸の背中をポンポンと叩く。何度も言うが今日は様子見程度の特訓だ。そこまでハードなものではない。それこそ部活初日にして一年生達が死んでゆく、なんてことは絶対にない、はずだ。
河川敷に着くと、トイレに行っている壁山を待ちきれず、先に出発していた円堂が既に手にグローブを嵌めた状態でゴール前に立っていた。
「おーい!遅いぞお前ら!早くサッカーやろうぜ!」
「全く、円堂君ったら……」
流石に木野もこれには呆れた様子でため息をついていた。ホント、いつも円堂のお世話お疲れ様です。今度メシでも奢ってあげようかな。
「いつも通りのサッカーバカっぷりだね〜、円堂は」
いつの間にか俺の隣へと位置づけていた優が間延びした口調でアホっぽく笑う。お気楽なやつだな。
俺は木野と同様にため息を漏らし、円堂に負けないデカい声で叫ぶ。
「だからお前は気がはえーんだよ円堂!あと今日の二年生は一年生のサポート役だからグローブは要らねぇ!」
「ええー!?何でだよ!せっかく新しく入部したやつらと一緒に特訓出来るのに、サッカーやんないのかよ!」
「なんでもだ!いいからやるぞ!さっさとそのグローブ外せ!」
「ちくしょう、分かったよ……」
渋々といった感じでグローブを外す円堂。その表情はとても怪訝そうで到底納得しているとは思えなかった。こうなると、練習にも支障をきたしてしまいそうだ。
ったく、しゃーないなぁ……
「おい円堂!……今日の特訓は一年生も混ざるってことで何時もより控え目にして、早めに打ち切ろうと思ってる」
「! それって……!」
「余った時間は、お前が好きに使っていいぞ」
「本当か!?いよっしゃー!!」
遠回しにサッカーしようぜと伝えた途端にはつらつとしだす円堂。うーん、この扱いやすさよ。
「……半田さん、部長と副部長っていつもあんな感じなんですか?」
「あぁ、残念ながら。円堂はいつも亭慈にいいように使われてるよ」
「うわぁ……」
半田からこれが日常の風景だと聞かされ、宍戸が可哀想なものを見る目で円堂を哀れむ。やめてやれよ宍戸。
「よーし!そうと決まれば早速特訓だ!皆、一度こっちに集まってくれ!」
円堂がそう呼び掛けると、グラウンド内に散らばっていた部員たちがコートの脇にあるベンチへと集まってくる。
「今から今日のトレーニングメニューの説明をする。優、ボード」
「はいは~い……っと、ほいドーン」
あいも変わらず気の抜けている優が肩に掛けていたトートバッグをガサゴソと漁りだし、手に小さめのホワイトボード持って見せびらかすまで約15秒、トロいなコイツ。
「じゃ~ん、今日の特訓内容が書いてあるホワイトボードで〜す」
「俺の口からも説明はするが、基本的にこのボードに書いてあることが全てだ。何をすればいいか分からなくなったらこいつを見るといい」
「副部長、すごい字がキレイですね」
「んふふ、そうでしょそうでしょ。源はずーっと前から字がキレイなんだよねー」
「ありがとう少林寺、でも何故そこに反応した。文字の綺麗さより特訓の内容を見てくれ」
俺の字がキレイなのは当たり前だ。前世含めたらもうアラサーの年ですよ。そいで字が汚いとか無いでしょう。
そしてなんで優が誇らしげにしてるんだよ。お前のこと褒めてる訳でもないのに。なんならお前めちゃくちゃ字汚いだろ。円堂には負けるがそれでもかなり汚いぞ。
「今日は一年一人につき二年が一人サポート役に就く。つまりは二人一組のペアになって特訓するってことだ。んで誰に誰がサポート役として就くかっていうのは……まぁ適当に決めてくれ」
「亭慈お前……その変なところでいい加減になる癖はどうにかできないのかよ」
「無理、諦めろ」
「源は昔っからこうだからねぇ〜」
別に何もマズいことではない。最初は全員で走り込みだから、そんときに走りながらでもペア考えればいいだろ。とまぁこんな楽観的なこと考えているのがいい加減ってことなんだろうけど、どうも治す気にはならないんだよな。なにか不便があるわけでもないし、別にいっか、みたいになる。
「まずは手始めに走り込み。俺が先頭走るから着いてきてくれ。んじゃ行くぞー」
◆
場所は変わらず河川敷、しかし時刻は打って変わって夕暮れだ。額から伝う汗を拭い、一息ついてから口を開く。
「っし、今日はこんなところかな。皆、お疲れ様」
「……かはっ……」
「むり……からだがうごかない……」
「なんで先輩達はそんなにピンピンしてるんッスか……?」
「様子見っていうのは……嘘だったんでやんすか……」
俺が終了の合図を出すと、次々に力無く地面へ倒れこんでいく一年生達。なんか、入学したての頃を思い出すな。
「嘘じゃねーよ。いつもの亭慈ならこの倍の量のトレーニングを要求してくるぞ。おまけに数キロある重り付けられたりしてな」
「俺達も最初の頃はお前らみたいにすぐへばってたよ。まぁでも、直ぐに慣れるさ」
「おーいお前ら! サッカーやろうぜ!」
そんな一年生とは対照的で、涼しい顔をしている2年生達。一年生達は信じられないといった感じの視線を俺達に送っているが、お前らも近いうちにこうなるぞ。あと円堂はうるさい。死にかけの一年を労ってやれよ。
「こ、こんなの耐えられないっス……」
「俺もでやんす……」
「これが続くなら……おれ、多分サッカー部辞める……」
「同じく……」
一年共がなにやら不穏な事を言っている気がしなくもないが、まぁ無視しよう。
「円堂、シュート練頼むわ」
「おうっ!任せろ!」
◆
雷門中サッカー部の部室、そこには二年生達の姿はまだ無く、一年生だけが集っていた。
少林寺がため息をついて口を開く。
「絶対に続かない……って思ってたのに……」
「あんな風に言われたら……なぁ……」
四人が回想するのは放課後、河川敷で行われる地獄のような特訓中に掛けられた先輩からの言葉の数々。
『おう宍戸!おめぇやれば出来るじゃねぇか!その調子だ!』
『いい感じだぞ少林。これならすぐに俺たちの実力に追いつけるかもな?』
『いいぞ栗松!お前ならもっと行けるハズだ!さぁ来い!』
『壁山、お前のポテンシャルは一年生の中でも随一だ。お前は俺が絶対に強くしてやるから、覚悟しておけよ?』
「辞められるわけないでやんす……」
「ッスねぇ……」
サッカー部での特訓はとてもハードで、2年生の先輩達もとても厳しい。しかし、褒めるところはとことん褒めてくれるので、なんだかんだ言って一年生達のモチベーションは常に高いところにあるのだ。
「なんの話してるのー?」
「おわぁ!?し、鹿目さん……。いつからいたんですか……」
「ちょうど今来たばっかだよー。驚かせるつもりは無かったんだけど、ごめんね」
いつの間にか開かれていた部室の扉。マネージャーの鹿目がスポーツドリンク用の粉を箱ごと抱えながら、一年生達の会話に首を突っ込む。
「こんにちはッス鹿目さん。先輩達が褒め上手っていう話をしてたっス」
「褒め上手……あー、そういえば源がなんかやってたなぁ。一年生の育成にあたってのなんちゃらかんちゃらみたいなの」
「亭慈さんでやんすか?」
「うん。源って結構仲間思いだからね〜。君たちのことも色々考えてくれていたっぽいよ」
「へぇ〜、あの亭慈さんが……」
思わず感心の声をを漏らす一年生達。あの鬼畜すぎるトレーニングメニューを考え、それを容赦なく実施させてくるあの鬼の亭慈がそんなことをしていたとは、思ってもいなかったのだろう。
「亭慈先輩っていつもは厳しいでやんすけど、案外いい人なのかもしれないでやんすね」
「そーそー、源は案外いい人なんだよ〜。ふふふ」
当人の知らないところで好感度が上がる亭慈源であった。
ちなみに主人公が行った一年生の育成にあたってのなんちゃらかんちゃらは、ゲットした新入部員を逃さないためには嘘でもいいからおだてろ。という内容のシンプルカスのクソ講義です。
書きたいことを詰め込んで書いてたらプロットには存在しなかったヒロインが登場した小説があるってマ?まぁここなんですけど。つまり鹿目優はノリと勢いの産物ってことなんです。プロットは言うまでもなく1から組み直し。取り敢えず帝国戦までは完成した。
それと、評価くれたらとても喜びます。
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