とある異聞の銃器製造(ガンメイカー)   作:双月ノエル

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すっかり紅葉も枯れ落ち、少し歩けば落ち葉のサクサクという音に心奪われる季節になりましたね。電改突破です。
なんだか毎回1〜3時に投稿しているような気がします。
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誤字やルビの振り間違いを訂正


始動する、主人公達

彼女は微笑んだままこちらを見据えている。

まるで煌貴を試すかのように(・・・・・・・・・・・・)

煌貴は断ろうと思ったが、先程の言葉を良く思い出して見る。

『決められた未来を壊したくはないか』

決められた未来とは?そして未来を壊すことはできるのか?など、色々と疑問はあったが、彼女は出入り口の扉に仁王立ちしながらこちらに微笑みかけるのみである。

煌貴は選ぶしかなかった。

 

「未来を壊す……?面白い……やってやろうじゃないか……!」

 

ここは多分彼女の本拠地だろう。武器の無い、ただの学生一人捻り潰す程度容易なはずだ。

だからここは(・・・)従っておくのが賢明な判断だと言える。

煌貴だけでは無い。

命がかかっている場面で、人間というものはその本能で生きようとする。生きようと命乞いを、生きようと服従を、生きようと相対を。全ては自分が生き残るためであり、そこに他人や事情を持ち込むような奴は馬鹿だ、大馬鹿だ。

例え自分の生活が辛くなろうと、生きていればチャンスはある。

例え自分以外が生き残れなくとも、生きてさえいれば他の人との繋がりが持てるかもしれない。

人は今を生きるものだ。過去に固執したのでは、生き残ることはできない。これは弱者の考えであるが、実際人間というものは弱い生き物なのだ。弱いから知恵を振り絞り、生き残ろうとする。

煌貴は、己の弱さを認め、千夜流を継いだ時の『自分が最強だ』などという甘い考えを捨て、生きようとした。

 

「…フフ、どうやら目論見は上手くいったようね」

 

彼女が、口を開いた。

態とらしく組んでいた腕を解き、フリーになった手をこちらに差し伸べる。

警備員の男は、何時の間にか消えていた。

 

「これからよろしくね、千夜煌貴。私は、そうね…不要能力(フェイト・グリーフ)とでも呼んで頂戴」

 

よく見ると彼女は小学校2年生くらいの背丈に、胸にブローチのあてがわれたドレス風の洋服を着ている。どこかの令嬢なのだろうか。

と、不意に思い出す。

幽季に部屋のカードキーを渡したか?

無くすといけないし、どうせ二人とも同じ部屋なのだから、と煌貴が二つとも持っていたような気がする。

すぐにでも部屋を出て行こうとすると、先程まで警備員の制服を着ていた警備員がスーツを纏い、扉を開いて部屋に入ってくる。

それでもお構いなしに部屋から出ようとする。

しかし

 

「おっと」

 

と、両肩をその細身からは想像もつかないような腕力で掴まれ、制止する他なかった。

 

「お前の言いたいことはわかる。妹の事だろう?心配することはない、今から俺が『保護』しに行く」

 

煌貴は、保護、という言葉に少し引っかかったが、彼はそれだけ言うとさっさと部屋を出て行ってしまった。

振り返ると不要能力がこちらをじっと見つめている。

だが、見つめている、と言っても身長差から必然的に見上げる形になるわけで、こちらからすれば上目遣いをされているようなものだ。

 

「……ついて来なさい。ここを案内してあげるわ」

 

彼女もそれに気がついたのか、急に不機嫌そうな顔になると、扉を開けて出て行く。

煌貴は、慌てるそぶりの一つでも見せてくれれば可愛いのに。などと思いながら、不要能力の後へと続く。

 

 

先ず案内されたのは司令室らしい。

らしい、というのは皆そこが不要能力が指示を飛ばす場所、としてしか把握していないためである。

皆と云ってもそれを聞いたのはこの組織の構成員の一人、白石さらにだけなのだが。

さらは、構成員に不要能力の指示を伝えるだけでなく、ミッションの遂行状況や敵の位置情報なども発信する、言わば戦況オペレーターをしているそうだ。

更に、それと並行して非戦闘員分の戦闘力を補うために、自立二足歩行型戦闘用駆動鎧(パワードスーツ)『ヤシャ』なるものを開発する役割もあるようだ。どちらかと云えば後者の方が本業らしい。

 

「ところで、この組織って組織としての名称はあるのか?」

 

唐突な煌貴の質問に、不要能力は少しばかり言葉を詰まらせる。

そして、口を開く。

 

「ええ、あるわよ。…学園都市、しかもアレイスター・クロウリーお抱えの暗部『スペース』っていう名前が」

 

暗部だとかアレイスター・クロウリーだとかいきなり云われてもそんなものは学園都市に来たばかりの煌貴にはわからない。だが、何となくこの組織は汚い仕事をしているのだと云うことは想像がついた。

 

「えっと…千夜さん、でしたっけ?スペースへようこそです!対したおもてなしも出来ませんがどうぞお寛ぎ下さい!」

 

そう云って作戦行動時に必要なインカムを渡してくる。

回線の変更なんかはこの司令室から遠隔でするらしい。だからか、変に弄るなと釘を刺された。

そこに、一本の無線が入る。

 

【悪い!しくじった…あの子たちを保護するのに失敗した!】

 

色々とノイズや呼吸音で聞き取り難かったが、要点をまとめるとそんな感じだ。

あの子たちとは…と不思議に思ったところで、煌貴はひらめく。

 

「まさか…由季を⁉」

 

不要能力は深刻な顔を乱さぬまま、ええ、と短く伝える。

となるとあの警備員は幽季をここに保護するために出て行ったのだろう。

だが、何故失敗する?継いだばかりとはいえ、最強とまで称された『夜翔流』の使い手たる煌貴に気付かれず背後を取るほどの使い手ともあろう者が。

 

その後、煌貴は警備員が早く戻ってこないかと思いながら、司令室で時間を潰していた。

そこに、例の警備員が入ってくる。

 

「クソが…失敗しちまった…最後で思わぬ邪魔が入ってな…」

 

そんなものはお前が油断していただけだと云わんばかりの形相で煌貴は警備員の男に近づく。

 

「おい…アンタ、俺の背後を取った奴だよな?なら、なんで女の子一人保護出来ないんだよ。その力は、ただ振るうためだけにあるって云うのか!」

 

「…人は誰でも隙ってやつがあるんだ。常人と俺やお前みたいな達人の違いはその隙が長いか短いかってところだ。だから、俺はお前の背後を取ることができたし、俺はアイツに邪魔された。隙っていうのは言い換えれば油断だから精神面の強化でどうにかできると思ってる奴がいるが…人間ってのは隙を埋めることが出来ないんだ。不完全だからこその人間だしな」

 

煌貴は激昂して警備員の男に掴みかかる勢いで詰め寄るが、警備員の男は淡々と、まるで人生に絶望し、自殺を考えるようなーーーそんな目をして煌貴を諭す。

だが、煌貴はそれに対して苛つきを覚えた。

何も云わずにその場から立ち去る。

そして、個室に無造作に置かれていた鞄の中からナイフを出し、懐に収めるとそのまま教えてもらった出口へ走り出し、外へ出ると、直ぐに大通りへ抜け、人混みへと紛れて行く。

 

こうして、物語の歯車は少しずつ、動き出す。運命は、永遠にあるからこそ、誰にもわからないのだ。




最長分量、3111字です。
2000文字を1時間ちょっとで書いたので誤字脱字や矛盾点などが多いかもしれません。
ちょっと補足的言い訳
・白石さら
やはり戦闘要員、指導者とくればメカニックやオペレーターがいた方がかっこいいよね!ということで作られたキャラ。学園都市の暗黙の了解があるため、無理矢理メカニック兼戦況オペレーターに。
こんなところですかね。
作業用BGMはTatsh feat.片霧烈火でBrack MUTATION。最近のお気に入り曲の一つです。
では、この辺で私は眠りを貪る愚民に成り下がろうかと思います。
※追記。ルビ振りを間違えていたので修正
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