とある異聞の銃器製造(ガンメイカー)   作:双月ノエル

11 / 20
どうも、1ヶ月程度更新出来ずにすみませんでした。
電気を改するに突破と書いて電改突破と申します。
サブタイトルは本編の内容に沿うようにしていますが、ネタバレになっていないか心配です。


問題解決と、戦うべき敵とは

煌貴の行動は迅速の一言に尽きるものだった。

人と人との、僅かな隙間に自らを滑り込ませる。

始めて煌貴は、身体が小さいと小回りが効いて便利だなーーーそう、実感したのだった。

だが、進めども進めども、由季は見つからない。ーーーというよりもどこにいるのかわからない。

そんな時、煌貴の携帯電話に着信がきた。

苛立ちながらも、電話に出る。

 

【あら、意外と素直に出るのね。ーーー要件だけ云うわ。貴方の妹の現在地はそこから南、貴方の学生寮の近くにあるわ】

 

相手は不要能力だった。

煌貴の苛立ちを察してか余計なことは何も云わず、要点のみを話してくれる。

電話が終わると同時に煌貴は学生寮に向かい、走っていた。

 

 

由季は、アリサと別れるとすぐに家路についていた。

煌貴にこの事がばれると後でどうなるのかーーー考えるだけで恐ろしい。

煌貴は中学生とはいえ、あの夜翔流の正式な後継者だ。身体能力は半端じゃなく高い。

由季は仕置きにあうのではないかと危惧していた。

由季に対して起こった危険の付き纏うような出来事についてはやけに敏感な兄だ。きっとこの事もすぐに露見してしまうだろう。

言い訳する間など無い。せめて話くらいは聞いてくれるだろうが、それでもせいぜい仕置きの質が下がる程度だろう。

うーん、と頭を抱えながら行き交う人の合間をすり抜けるように進み、寮の前まできた。

憂鬱な気持ちのまま部屋の鍵(ロック)を解除し、扉を開ける。

そこには先客がいた。

そう。ーーー出来ればあって欲しくなかった一番最悪のパターンになってしまったのだ。

だが、一部、由季の想像と違う点があった。

煌貴は、由季が帰ってきた事を確認すると、ただ無言で目を伏せ泣いたのだ。

 

 

翌日、何時の間にか寝てしまったらしい煌貴は朝早くから不要能力に呼び出されて由季と共にスペースのアジトへと足を運んでいた。

 

「ーーー今から私たちスペースの主な活動内容を説明するわ…くれぐれも口外しないようにね、どうなっても知らないわよ」

 

司令官の座るような高い椅子に腰掛け、頬杖をつく不要能力は開口一番、重要なことを言い出した。

スペースでの主な活動は『学園都市外の問題解決』ーーーつまり、警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)では手出しが出来ない、そして他の暗部連中が担当している問題以外の問題の解決。そうなると必然的に学園都市外の問題を解決するしかなくなる。

そして、学園都市外での戦闘は能力の秘匿が重要になってくる。

そこで、学園都市での恩恵を受けていないメンバーを固めて暗部として活動させているのだ。

聞くところによると、警備員の男--鬼柳蒼甫(きりゅうそうすけ)というらしい--は学園都市にくる前に地上最強(バーサークドライヴ)、彼曰く鬼神状態という一種の呪いのような能力を手に入れたらしい。

地上最強とは、最高にして最強の肉体に、戦の神が与えた恩恵なのだが、その力は強く、肉体に負荷を与えるものだという。

蒼甫はそのままでも常人の数倍の力を出す事が可能だが、それはあくまで一対一の場合のみだ(・・・・・・・・・)。一対多数の場合は囲まれるといくら蒼甫とは言え、苦戦を強いられる。

そこで身体能力が飛躍的に上昇する能力を使う事で効率的に立ち回る事が可能だ。

だが、一度能力を使うとそれから丸一日は身体中が軋むように痛むという。

そこで、誰かもう一人学園都市外で戦える能力を持った人間はいないかと探していた時、煌貴が現れた。

一瞬で煌貴の技量を見抜いた蒼甫は煌貴をなんとかスペースに誘えないかと不要能力達と相談し、極限状態で選択を迫るという強引だが効率的な手段に出たのだ。

 

「ーーーちょっと質問がある。具体的に俺達が戦わなければならない相手っていうのを教えて欲しい」

 

と、煌貴は不要能力に尋ねた。

不要能力は少々渋ったが、やがて口を開き、告げた。

 

「そうねーーー言うならば、学園都市に敵対する機関、若しくはそれに協力している組織よ」

 

煌貴にとってこれは予想していた返しだ。

煌貴は、どのような敵と戦うかなど始めからあらかた予想はしていた。

その中でもどの辺りまでが敵なのか、という線引きがしたかったのだ。

 

「わかった。で、その戦闘っていうのはいつ招集がかかるんだ?」

 

と、煌貴が言った瞬間ーーーさらが慌てながら部屋に入ってきた。

 

「た、大変ですっ!以前から監視を続けていた機関が監視の死角を突いて逃亡!現在、所在不明に!」

 

その言葉を聞いた途端に場の空気が一変した。

由季は、その雰囲気に耐えきれず、思わず後ずさりをしてしまったほどだ。

 

落ち着きなさい(・・・・・・・)。そう、奴等が動いたのね。近いうちに何かやるとは思っていたけれど、こんなに早いとはね…」

 

不要能力が言うと、さらは落ち着きを取り戻し、オペレーターとしての責務を全うすべく、すぐさま所定の位置に着く。

 

「ーーー今回の敵は以前より学園都市に反抗的な態度を取り続けてきた世界的な貿易会社の『セレクション』よ。一応『赤き翼』に連絡して舟を一艦、用意しておいて貰って。彼奴らが空からくるとも限らないし、備えあれば憂いなしだわ」

 

不要能力がさらに指示を飛ばす間に蒼甫は忽然と姿を消していた。

煌貴はその事が少し気にかかったが、取り敢えず『月輝蓮』の調子を確かめる。どうやらこの刀は日によってコンディションが異なるらしい。今日は微妙だ。

 

【そりゃあ、微妙だろうよ。何せ久々の実践だ。緊張もするさ】

 

突然、頭の中に直接反響するように声がする。

こんな真似が出来るのは今まで出会った人の中でも一人しか知らない。ーーー詳しく言えば人では無いのだが。

 

「どういう事だ…ディゼルタ=クロウ」

 

【おいおい、フルネームはやめてくれ。何だかむず痒くなってくる。麻凛の言ってたようにクロウと呼ぶか、せめて役職名の封剣神と呼んでくれ】

 

なるほどこいつの役職名は封剣神というのか、と心の中でほくそ笑む煌貴だが、そんな事よりも聞きたい事があった。

 

「なあーーー封剣神様よ、何故この刀『月輝蓮』には人間みたいに調子があるんだ?」

 

そう尋ねると、クロウは苦笑いを浮かべながらこう切り替えしてきた。

 

【人間にだってその時のコンディションってものがあるだろう?物にそういうのがあったらおかしいのかい?】

 

確かに、それはあるのかもしれない、と煌貴は頷く。

それから少し他愛の無い会話をしていると由季に声をかけられた。

 

「お兄ちゃん…誰と話してるの?」

 

由季の質問に、煌貴はどう答えていいのかわからなかった。

まさか神様と話している、なんて言って信じてもらえるはずがない。

どうしようか悩んでいると不要能力が早く行け、と言わんばかりにこちらを睨んでいる。

由季にまた後で教える、とだけ告げて煌貴は部屋の外へ出て行く。

ーーー正直なところ不要能力は何もかもわかっていて助けてくれたのかもしれない。




次回、ようやく戦闘編と鬼柳さんの能力に煌貴君の能力の実態です。
実態と言っても直死の魔眼を実践するだけなんですけどね。
それにしても今回はかなり伏線を張ってしまいました。『』内は重要な事や語句という感じにしているので注目しておいた方がいいかもしれません(赤き翼とかセレクションとか)
年内の投稿はこれ切りにしようと思っています。理由としては受験生なので冬休みは勉強をしたいのと、年末にPC設置の準備で忙しくなってしまうからです。
さて、今回の作業用BGMはロックな東方ボーカルアレンジメドレーです。
にこさうんどでかなり昔に落としたのですがiPhoneと比べて音質がいいですね。流石ニコニコ動画です。
では、また年を越したらお会いしましょう
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。