とある異聞の銃器製造(ガンメイカー)   作:双月ノエル

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お久しぶりです。
電改突破改め二階堂樹です。
実は世間に作品を出す時、どんなペンネームにしようか、と考えていた時期がありまして。その時期に考えついた名前がこの二階堂樹というものです。…気に入った名前貼り付けただけですがね


戦闘と、出会いと

不要能力に押されるようにして部屋から出ると、そこには、形容するならば砦ーーーいや、要塞と読んだ方がいいのか。兎も角、人ではなく、まるで城を守る強固な要塞の如く佇む蒼甫がいた。

彼は頭こそ何もしていないものの、上半身は鎧ーーーそれはまるで騎士の甲冑のようなーーーに覆われ、下半身は普通の人間ではあり得ない筋肉の付き方をしていた。煌貴には、それが怪物の脚のように思えた。

「…キツくないか?」

と、煌貴が尋ねると「そうだな」と言い、上半身の装甲を殆どパージし、残されているのは腕部装甲と手甲くらいのものだった。

一方の煌貴は私服にグレーのロングコートを着込んでいる。とても戦場に行くとは思えないほどの軽装だ。

「一応、駆動鎧に入っていきなさい。…何かあってからじゃ、遅いのよ」

そう不要能力に言われ、渋々煌貴も駆動鎧を着込む。

スペースの保有する駆動鎧はどうやら最近の駆動鎧と比べると旧式にあたるらしく、遠隔操作ではなく、操縦者が中に入り直接操るタイプのものらしい。

(中に入ってみて実感したが、蒸し暑いな…)

駆動鎧内部は密閉空間だ。

更にGを少しでも減らすために余分なスペースは全て割いてあるため、人が入るとどうしても内部の気圧が高くなってしまう。

蒸し暑いのを少しでも防ぐためにさらが開発したユニットを装着する。それは特定の装甲をパージしても安定して戦う事ができる特殊な力場を発生させるものだ。因みに少しだけだがGを軽減しているらしい。本当に微々たるものだが。

 

 

駆動鎧を装着すると、スペースのアジトの外で舟を待たせているからそれに乗れ、との指示が出た。

スペースのアジトーーー中はかなり近代的な造りだが外から見るとただの一戸建てーーーから出ると、そこには何も無かった。

そもそも、水に面していない街中で移動手段が『舟』というのも気にかかる。

煌貴が辺りを見回していると、不意に蒼甫が低い声で言った。

「来たか…?」

そう、呟いた後。本当に数瞬の出来事だった。

まず、目の前の空間が突如膨れ上がり、破裂。それと共に虚空から巨大な空を飛ぶーーー否、空を『翔ぶ』艦が一隻現れた。

それは地面ギリギリを這うように少しずつ進む。ーーー煌貴達を置いて。

「走れ!舟に近付けば独自の重力場が発生して俺たちを拾ってくれる。だから兎に角走れ!」

そう云うと、所々に駆動鎧の装甲の付いた蒼甫は一目散に走り出した。

煌貴とて負けてはいられない。が、しかし。流石に駆動鎧を完全着用(フルアーマー)で走るのは無理がある。

ーーー仕方が無いので、一瞬だけスラスターを展開して前方へ大きく跳躍した。

すると、力場は前面に展開される。即席ではあるが、使用者にかかる負担を減らす事の出来る障壁となったのだ。

「間に合えーーーっ!」

跳躍しつつ、手を伸ばす。

先に重力場に拾われた蒼甫もそれに気付き、すかさず手を伸ばす。

手と手が絡み合う。

蒼甫は、手を掴まれたと知るや否や能力を腕部に限定使用し、煌貴を力一杯引き上げた。

「助かった…か?」

「ああ、俺がいなかったら危なかったがな」

「その事に関しては感謝している。ありがとう、鬼柳」

蒼甫はそうか、とだけ返し、力場から船内へと進んで行った。それに、煌貴も後から続く。

 

 

通路を進んでいくと、防刃ジャケットにプロテクターをし、アサルトライフルを持った警備員がいたるところにいた。

「やぁ、御客人。ようこそ『赤き翼』へーーーって何だ、蒼甫かよ。お前、たまには良い女の子くれェ連れて来いよ」

不意に後ろから声をかけられる。

見た目は先程までの警備員と変わらないが、纏っているオーラが全く違った。言うなれば、場慣れした歴戦の兵士だ。

「よォ。元気してたかよ、隊長。つってもここにいるって事は、まだへばってないみたいだな」

「ハッ、テメェと違って俺様は丈夫だからな。電極ぶっ刺して狂ってる連中よか長生きする自信はあるぜ」

と、仮にも戦闘にいくと言うのに呑気に話している二人に嘆息する。

煌貴は何もする事が無いので適当に船内をうろついてみる。

だが、どこに行っても警備員しかおらず、退屈なのは変わらない。

 

ロビーラウンジでベンチに腰掛け、ふてくされていると、声をかけられた。

「こんにちは。今、一人?」

顔を上げてみると、質の良い黒髪を肩甲骨の辺りまで伸ばした同年代くらいの少女が立っていた。

「ああ、ちょっと暇になっちゃってね…」

今、煌貴は駆動鎧を着込んでいるのだが、ステルスモードにしてある為、外部からはただの私服姿の煌貴にしか見えないのだ。

そのためかこの少女は物怖じせずに声をかけてきた、のだろうか。

「ね、ちょっとお話しようよ。目的地までまだ時間あるし…ダメ?」

「いや、別に構わないよ。丁度暇を持て余してたところだし」

あざといな、と煌貴は思いつつ面白い事が聞けるかもしれないと思い、話に乗る。

「あ、私は|白金有沙(しろがねありさ)。よろしくね」

「俺は千夜、千夜煌貴。短い間だけどよろしく」

舟が目的地に着くまでの間、二人は他愛ない話をした。

学校でどうだったとか、学園都市に来てどうだとか、趣味だとか、そういったものだったが、何故か家族の話題にだけはお互い触れなかった。

ーーー色々と話している内に艦内アナウンスが流れる。

 

【乗客又クルーに告ぐ。本艦は間も無く奴等の一個中隊の待ち構える湖畔へと辿り着く。尚、本作戦の目的は敵の実験を阻止する事、そして、可能ならば実験に使われた者を回収する事。

ーーーでは、総員配置に付けィ!】

 

有沙とのおしゃべりを止め、煌貴は蒼甫と合流しようと立ち上がる。

「もう、行っちゃうの?」

有沙に引きとめられる。だが、一刻の猶予も無い今、構っている暇はない。

「ああ、お前も早く逃げろよ…っ!」

言った瞬間、有沙はその場から忽然といなくなっていた。

しかし、気にしている場合ではない。

元来た通路を進むと、蒼甫が待っていたと言わんばかりに通路のど真ん中で仁王立ちしていた。

「遅いぞ、煌貴。何だ、お前好みの娘でもいたのか?」

クックッ、と笑いながら云う。

蒼甫なりに緊張感を誤魔化そうとしたのだろう。

そのおかげか、とてもリラックスできた。

「さーて、そろそろ降下だ。いいか、ここでは敵を倒す事よりも生きる事を第一に考えろ。あ、敵は殺しても構わんぞ。彼奴ら大体改造兵や死体兵だから人殺しにはならん」

「死体兵は何と無くイメージ出来るが、改造兵って何だ?」

「まあ、その名の通り改造した兵隊だよ。大概肉体を外部から無理矢理改造したのだな。それでも俺の全力の1%にも及ばないが」

肉体を無理矢理改造されたのならば、多分、通常の人間の2倍はパワーがあると思うのだが、蒼甫のパワーはそれをはるかに上回るようだ。

 

舟底のカタパルトに駆動鎧の脚部を固定し、衝撃吸収ユニットを前面にフルで展開。重力場を自動設定にして、身体を支える。

 

【そろそろ抜けるぞ…3,2,1,降下!】

 

アナウンスが響く。

その時には船体のハッチは開き、カタパルトから蒼甫と煌貴が射出される。

スラスターを微調節しながら、敵と思わしき影を発見し、スコープの倍率を上げて見る。

「何だよあれ…合成獣(キメラ)じゃないか!」

「まあ、見た目はただの犬と鷲がくっ付いただけみたいだが、あれは結構恐ろしいぞ。何せ2tトラック悠々と潰すパワー持ってるからな」

蒼甫が降下中に説明してくれる。

だが、無意味だ。

例えどれだけのパワーだとしても、夜翔流を超える事は出来ない。

流石に、囲まれてパワー勝負に持って行かれると厄介だが、そうでなければ、一撃で絶命させれば良いだけの事。

降下はもうすぐ終わる。

煌貴は、逸る気持ちを抑え、集中を開始する。

脚部装甲から排気が行われ、上方向へ向いていたスラスターは徐々に閉じていく。

重力場が前面から全面に張り巡らされ、準備は完了した。

煌貴は背面にある粒子長剣(フォトンブレード)を掴むと、スラスターを後方展開、射出に使った脚部装甲をパージし、合成獣(キメラ)の群れへと突っ込む。

「お前だけに良い恰好させてられるかよ!」

と、脚と腕に能力を開放した蒼甫が続く。

静かな湖畔は、激戦の音色に包まれていく………




あの隊長さんは艦内アナウンスの人と同じです。口調同じ感じだとわかりづらいですね…次回から善処します。
さて、次回ですが、ようやく私の本領発揮、戦闘回です。
セレクションの目的とは?実験とは何ぞや?赤き翼って何の組織?あの女の子誰⁉などなど。少なくともセレクションの目的と実験の内容くらいは吐かせますよ。私が血反吐を吐いたとしても。
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