とある異聞の銃器製造(ガンメイカー)   作:双月ノエル

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更新が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。
今回は無心で書いてたら変に文量が増えてしまいました。(3000文字程度だと思ったのに・・・)


襲撃と、力

目を覚ますと、そこは暗闇だった。

全てが黒く染まり、場を静寂が支配する。

そんな場所に、煌貴はいた。

 

【ーーー聞こえてるかね?】

 

頭の中に響く声。クロウのものだ。

クロウは神だ。神というものは全知全能であるはずだと煌貴は思い、今の状況を聞いてみることにした。

 

【ああ、それを丁度話そうと思っていたんだ。

まず、さっき君の戦った……『セレクション』とかいう会社の奴だがね。あいつ、こっちの界隈の奴だよ】

 

それは、つまり。

 

【元々は天に居たんだよ、あいつは。何があったかは知らないけど地に堕ち、人として生活していたらしいね】

 

詳しくは調査中だ、とクロウは言った。

だが、今欲しい情報はそちらではない。

煌貴のおかれている状況が知りたいのだ。

 

【なんだ、そんなことか。簡単だよ。あの後、不要能力(フェイト・グリーフ)とか言ったか?あいつが直々にお前ら二人を回収して、学園都市に向かってる最中だよ】

 

最中、という言葉に煌貴は妙に嫌な予感がした。

と、同時に遠くで爆音が聞こえる。

煌貴は咄嗟に携帯しているナイフを取り出そうと服を探るが、非常用に携帯しておいたハンドガンや、ナイフが無い。

慌ててポケットを弄ると、やはり煌貴の私物である旧式の二つ折り携帯電話も無くなっていた。

事態がよく飲み込めない中、突然、部屋の明かりがつく。

いきなり明かりがついたことで目が眩むが、何とか辺りを見回すと、そこには銃を構えた覆面が五人ほど煌貴を包囲していた。

 

「お前が最後のようだな……まったく、手間かけさせやがって……」

「早くヤろうぜ。俺のSCARが血を吸いたいって疼いてやがるんだ…!」

 

五人ならあるいは、と思ったが距離が離れすぎている。

これならば近づこうとしたところでフルオート射撃を食らって死ぬというオチだろう。

ならば、どうするか。

 

「……要件は、なんだ」

「ああ?ヤケに聞き分けがいいな……まあいい。俺たちの目的は学園都市暗部の殲滅。んで、さっきお前の仲間を二人殺してきたところ……」

 

ーーーと、言い終わる前にリーダー格と思われる覆面の身体が、紅い閃光に貫かれる。

 

「悪いけど、貴方たちなんかに殺されることなんて無いわ」

 

コツコツ、と靴音が響く。

覆面は何が起こったかわからず、ただ、閃光の元を辿り見ていた。

そう、不要能力だ。

 

「ば、バケモンが!」

 

誰かが叫ぶと、辺り一面は眩い光に包まれる。閃光手榴弾でも使ったのだろう。

だが、それは無意味だった。

白の閃光を切り裂くようにして、紅の閃光が迸る。

その光は、覆面を的確に貫くと、すぐに爆ぜて消える。

最後の一人になったところで、不要能力はさすがに疲れたのか、息を切らしていた。

 

「ッ!残念だったなクソガキがァ!」

 

覆面が叫ぶと同時、不要能力のいる通路の奥から、疾風が来た。

覆面がその正体に気がつくと同時に、バキリ、という快音が部屋に響き渡る。

それは、蒼甫が走って来た勢いのまま、飛び蹴りを覆面の腹に直撃させた音だった。

普通、腹を蹴られてもバキリなどという音は出ないはずだが、蒼甫の異常なまでの筋力から放たれる蹴りの威力は、腹に入っただけで頚椎にまで至るほどのものだった。

 

「あんなモンで殺せるほど、『闇』ってのは甘くないんだよ」

 

 

不要能力の話によると、煌貴達の乗っていたものは学園都市への輸送列車で、偶然その車両が襲われた、ということらしい。

過激派を一つ潰せたという事は喜ばしい事だが、弊害として輸送列車は完全に停止してしまっている。

勿論、煌貴を始め、『スペース』のメンバーは列車を動かす技術など持ち合わせていない。だが、迂闊に外に出れば、先程の過激派の仲間に鉢合わせしてしまうという可能性も無きにしも非ずだ。

取り敢えず煌貴は、携帯電話をはじめとする奪われたものを回収する事にした。

煌貴が奪われた物品の回収に行こうとした時には、不要能力はもう動いており、その場にはいなかった。

蒼甫はどうやら疲れが溜まっていたらしく、適当なところに寝転がると、すぐに寝てしまった。

 

【一応こちらから探ってみたが、君の携帯電話は倉庫みたいなブロックにあるようだ】

 

と。突然、クロウの声が聞こえた。

倉庫のようなブロック、という事はこの車両の積み荷が置いてあるのかもしれない。だとすると危険だ。

今回の一件が片付いている事を知らない過激派の仲間がまだ倉庫ブロックで待機していたら?

考えた瞬間に煌貴は行動していた。

下手に勘付かれて増援を呼ばれると厄介だ。

現状で、いつものように武器は使えない。煌貴は祖父から基本的な体術の手ほどきは受けているものの、蒼甫のような破壊力は無い。

だが、煌貴には機動性がある。

それを活かし、敵が気がつく前にこちらから仕掛けられればいい。

『夜翔流』は暗殺術とは云っても、元々は歩きやすい方法から生まれたものだ。だから、殺す事よりも、確実に気が付かれない事を重点的に訓練してきた。

先手さえ取れれば、ほぼ確実に一撃で仕留められるからだ。

一撃で仕留める。と、何度も自分に言い聞かせていると、いつの間にか煌貴は倉庫ブロックの前のドアに居た。どうも集中しすぎると視界が狭まってしまうのは人間の性なのか、ここまでの道のりで何があったのかは思い出せない。

煌貴は腰を落とし、這うような姿勢になると、ゆっくりと、ドアを開けた。

 

「ハロー、ここまでお疲れさん。だけど無駄だったな。俺はもう仲間に連絡をしたし、誰かしらくると思ってずっと待ち構えていた。ここでお前が俺を殺そうがどうしようが、お前らは後から来る仲間に消される。あいつらは俺達とは鍛え方が全く違うからな。いくら学園都市の能力者どもでも、大能力者(レベル4)程度なら能力にもよるがすぐに血祭りにあげちまうだろうなぁ……ウヒヒ……」

 

と過激派の一人が言うと同時に、煌貴は地面を蹴り、下腹部へと拳を叩き込む。

それに何も抵抗する事なく、過激派の一人は倒れてしまう。

何だか呆気なく終わってしまったな、と落胆している場合ではない。辺りを見渡すと、小さなコンテナの上に携帯電話が二つと、煌貴のナイフがあった。

見覚えのない携帯だったが、多分蒼甫のものだろうと思い、それも回収する。

そして煌貴は、倉庫ブロックを後にした。

 

 

蒼甫のいた車両に戻ってくると、蒼甫はまだ眠っていた。

煌貴が蒼甫を起こそうと近付くと、蒼甫はすぐに目を覚まし、煌貴に対して蹴りを放った。ーーー煌貴はそれをすんでのところで躱す。

 

「ん?……ああ、煌貴か。すまんな。不意に近付かれると無意識でそいつを攻撃しちまうんだ」

 

頭をかきつつ蒼甫は言った。

それに対し煌貴は何も言わず携帯電話を手渡すと、手短に先程過激派の一人が言っていた事を伝えた。

 

「ーーー確かにこれは俺のやつだな。いつの間に盗られてたんだ……っと、そんな事より増援がきてるんだっけか?んじゃあ、不要能力を呼んできてくれ。俺は先に言って様子を見てくる」

 

そう言うと、蒼甫は適当な壁を蹴破り、外へと出て行く。

煌貴も不要能力を呼びに車内を探索する。

 

 

 

ーーーどれだけ時間が経っただろうか。どれだけの仲間が死んだだろうか。どれだけの銃が、弾薬が、無駄になっただろうか。考えるとキリが無い。

過激派のリーダーはいつも考えている。

過激派と言っても、正確に言えば、過激派に雇われた武装組織なのだが。

 

『学園都市は能力開発と称する人体実験を日夜行っている』

とは外の人間の一部が広めた噂である。根も葉もない嘘……と言えば嘘になるが、極悪非道の限りを尽くしたような人体実験などは、学園都市ではしていないのだ。そういうことをするような科学者は学園都市から追放されるからだ。

過激派のリーダーは、そんな学園都市を追放された科学者から学園都市に復讐をしてくれと頼まれ、それを前払金有りという条件で飲んだ。

これまでテロをした事はいくらでもあるが、全て小規模の村を潰すためだのといった細々としたものでしかなかった。

さすがに金のためとはいえ、こんなにも大きなテロを起こす必要は無かったんじゃないかと、リーダーは思う。

先程連絡を受けた通りなら、既に十数人が死んだ。

いくら偵察隊だとしても、仲間が死ぬのは悲しい。

だが、これも武装組織として活動している運命だ。

それを割り切れないのは、人を殺す事に躊躇があるからか?

いいや違う。怖いのだ。

時間が経つにつれて、自分の死は近づいている。着実に、死神の魔の手が伸びて来る。今か今かと、死神は自分が死ぬのを待ちわびているのだ。

自然の摂理とは言っても、人間、死ぬのは怖い。

力の無いものは、力の有るものに殺される。

いつだってそうだ。

 

「……だったら」

 

最後くらいは自分が生きていた事を誰かの目に刻みつけようではないか。

生きた証を残すのだ。

 

「行こうぜ、仲間たち(クソッタレども)。どうせならいつもより過激になぁ!」

 

Yeah、Yeah、と歓声があがる。

そして、恍惚とした表情で、脆弱な人間たちは、死地へと向かう。




書き方が変わってしまった感じがする。
これが文芸部の力か……目に見えない力って強大で恐ろしいですねぇ。
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