というわけでここに、二階堂樹、完全復帰を宣言したいと思います。
では、本編をどうぞ
「……やはり、そうなったか」
「どういう事なの?説明を要求するわ」
「どうもこうも無い。ーーー全ては決まっていた、というだけだ」
「……言ってる意味がわからないわ。もう一度聞くけど、どういう事なの?」
「なに、幾つか選択肢があって、どれかを選ばなければならなくなった場合、自分に最も有意義なものを選ぶだろう?そういう事さ」
「ーーーつまり、アンタたちの手のひらの上で踊らされてたってわけね」
「いやいやどうかな。確かにこれは予定の一つではあったが、必ず起こるとは思ってもいなかった。……まあ、幾つか選択肢がある中での最悪で最高のパターンだったがね」
「成る程、つまりこれはハイリスクハイリターンって事?」
「そうだ。最悪君らも死ぬ。だが、その代わりにこちらの得るモノも大きい」
「ーーーっ、始まったみたいね」
「ああ、こちらでも戦闘の開始を察知した。せいぜい、生き延びてくれよ」
「はいはい、わかったわ……」
煌貴は
倉庫のあった方とは逆方向、運転室のある方へ煌貴は進んで行く。
丁度、煌貴の最初にいた場所が運転室に近かったのか、連結している車両が少ないのか、運転室へはすぐに到達できた。
中の様子を伺うと、備え付けの固定電話で誰かと話している不要能力の姿が見えた。
どうやら彼女は外部と連絡を取る為に通信機器のある運転室へと来ていたようだ。
煌貴が、不要能力に声をかけようとしたところで、外で激しい爆発音が聞こえ、更にそれとほぼ同時に、不要能力は少し呆れたように電話を切った。
そして、彼女はすぐに入り口の方を向くと、煌貴の存在に気がついたらしく、いつものように妖艶な笑みを浮かべると、一言。これから戦闘に加わるとだけ告げ、煌貴を押し退けてさっさと戦闘領域に近い車両へと向かう。
煌貴も戦闘に備え、手持ちの武器の確認などをした後、すぐに不要能力を追いかけるように運転室から後続の車両へと向かって行った。
†
蒼甫は不用意に外へ出た事を後悔していた。
外へ出ると、そこには数人の服が待ち構えていた。
いくら蒼甫の肉体が強化されていようと、それが人智を超えたものであろうと、心臓を刺されれば死に、弾丸を受ければ怪我をする。
蒼甫はその能力を過信しすぎているのだ。
実際に、先の『王』との戦闘で負ったわき腹と腕の痛みはまだ完全に治癒してはいない。
だが、やるしかないのだ。
そう蒼甫は自分に言い聞かせ、外で待ち構えていた覆面に向く。
「……一人だと?」
「報告では3人と聞いているがーーーまあいい。取り敢えずやるぞ」
壁を蹴破り、飛び出してきた蒼甫に対し、敵方の歓迎は弾丸の嵐によるものだった。
それを蒼甫は横っ飛びで回避すると、すぐさま近くにいた一人にロケットスタートの姿勢から飛びかかる。
「ひっーーー!」
数秒で戦況がひっくり返る。
一人にやられた事で取り乱したのか、先程よりも精度が落ちている。
やれる、と確信した蒼甫は一気にその顔面を掴みにかかり、そしてーーー
「やはり、身体ばかり鍛えていると脳も筋肉になってしまうのか?」
車両の方から声が聞こえると同時、覆面の顔面を掴んだ蒼甫は背後から撃たれた。
「何ッ………」
右手を突き出したまま、その巨体は地に伏せた。
そこに、蒼甫を撃った『声』の主が近づいてくる。
「……どうせこの程度では死なないだろう。元が人間だとはいえ、人の領域を超えた奴だ。さて、どうするかな」
「なあ、リーダー、Gの奴……」
「言うな。言うと、集中出来なくなる。お前はGの為に無駄死にするつもりか?それで全滅したら、Gの為にも、いや。だれの為にもならない。我々は常に犠牲がつきまとっている。Gも、それを承知の上で入ったはずだ」
覆面ーーーUは、自分に力が無い事にとても苛立ちを感じた。
元々、戦争によって難民になった者たちで結成した組織だ。
皆、最初は銃を握るのさえ怖かったが、生き残る為、必死に戦った。
そして、いつしか精鋭部隊と呼ばれるようになってからも、人を殺すのも、殺されるのも怖かった。
だけど、自分はそれを盾に逃げていただけなのかもしれない。
そう。武装組織なんて稼業をやっていれば、いつかは壊れる。
この覆面、Uは今がその時だったのだ。
「……ん?どうした。早く残りがくる前にこいつの始末する方法を考えないといけなーーー」
い、と言葉をつむぐ前に、リーダー格の覆面の頭には綺麗な穴が空いていた。
こいつは無能だ。自分が生きる事しか考えてない。本当に大切なのは、全て殺しきる事じゃないか。
殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。
Uの生へのーーー何より、力への執着心が、狂気へと駆り立てた。
世界が、紅く、染まる。
「お、おい……リーダー!?リーダー!しっかりしてくれよぉ!」
「テメェ……裏切りやがったな!?」
裏切った?裏切ったのはそちらの方じゃないか。
何が、敵を挟み撃ちにする、だ。
あんな化け物が出てくるなんて聞いてない。
あれじゃ無駄死にするだけだと決まっている。
なのに何故、こちらに注意が向いた瞬間、撃たなかったのか。
それはこいつに迷いがあったからだ。
実際、Uにも迷いはあった。
だが、その迷いさえなければ。そう、一瞬の迷いで、Gは死んだのだ。
だからもう、迷わない。
「殺す……ッ!」
世界が紅から黒白へと移り変わる。
其れは、点と線で出来ていた。
覆面の頭にあった点に向かって拳を降ると、覆面の頭は爆散した。
血が、どばどばと噴き出ている。
返り血を浴びるのも気にせず、全てを殺す為にUは動く。
「や、やめろ!やめてくれ!く、くるんじゃない……この、化け物がッ!」
化け物……?
違う。
ただ、自分は力を手に入れただけ。
ああそうか。こいつは、力が無いから。だから、わからないんだ。
線を手繰り、絡めて点に。その点をつぶす。それだけだった。
点の部分は爆発を起こし、覆面は吹き飛んだ。
ーーーそして静寂が訪れる。
「………ぁ……………」
残ったのは虚無感と、地面に横たわったまま動かない蒼甫だけ。
かつての仲間はいなくなった。
ーーーいや、仲間はいるじゃないか。
蒼甫をこちら側に引き込めばいい。
狂った笑みを見せつつ、Uは蒼甫を起こしに近づく。
蒼甫を仰向けにさせ、肩を揺さぶる。返事がない。
そういえば、リーダー格が何か薬品を使っていた気がした。
それのせいか、と思い、Uは仕方なく残る2人の始末へ向かおうとした。
蒼甫の前から退く。その瞬間、左手に激痛が走る。
慌てて傷口を確認すると、手の甲にフルーツナイフが刺さっていた。
「……やっぱフルーツナイフじゃ、そんなに殺傷力は期待出来ないか」
声のするほうを見ると、そこには透き通るような淡い銀髪を肩まで伸ばした少年が立っていた。
……あいつが、残り。
判断すると同時に、線を手繰り、爆発を起こそうとする。
だが、その線は紅いレーザーにより断たれた。
「あら残念。貴方の右手を狙ったのに」
見ると、手からレーザーを獣の爪のように生やした少女ーーーいや、幼女がいた。
彼女はその外見に似合わないほど艶やかに微笑むと、そのままレーザーを射出する。
Uはとんでのところでそれを回避し、近くにある点を叩き潰す。
しかし彼女は既に銀髪の少年のいる場所まで後退しており、結果的にその爆発は、Uの腕を傷つけるにとどまった。
「殺す……ッ、殺す!」
呪詛を吐き捨てると、Uは線を絡め、只管爆発を起こす。
だが、それを煌貴たちは難なく避けると、煌貴はハンドガンを一発、Uの身体に撃ち込む。
だが、それはUの無差別に起こされる爆発によって、Uの元へ届くことすら叶わなかった。
こうも爆発を起こされては煌貴はナイフでの殺傷圏内まで近づけないし、不要能力の放つ謎のレーザーも爆風に飲まれて消えてしまうだろう。
……万事休す、と言ったところか。
「殺す!殺すッ!殺すッッ!」
Uはもはや、その単語によって動いている
だが、機械というのは高度であればあるほど、人の想像を絶するパワーを誇る。
Uは爆発を起こすだけの機械だが、その単純化された動きは徐々に洗練されていき、数十秒間隔で起こっていた爆発は、既に数秒間隔になっていた。
「ハイ、そこまでっ」
と。突如、聞き覚えのある声が聞こえた。
すると、空から小型の|駆動鎧(パワードスーツ》に身を包んだ少女が降りてきた。
重力制御を難なくこなし、地面へ降り立つ。その駆動鎧は、煌貴達の着用していた物と同じ型番のもので、パージしている部分は違うが、同型の物と一瞬でわかった。
「お前もッ、全て……全て殺す!」
Uは1秒程度で線を絡め、点を作ると、すぐに点を叩き潰す。
少女の姿が、爆風に飲まれる。
ーーーだが、次の瞬間。少女は爆風を吹き飛ばし、背中に背負っていた粒子長銃のセーフティを手慣れた手つきで外し、特に狙いを定めず、Uに向かって撃った。
当然、Uは回避をした。が、しかしその時には少女は粒子長銃を投げ捨て、腰にある自動拳銃を二丁取り出し、弾丸を放っていた。
それはUの左肩、そして右のわき腹を穿ち、Uは堪らず地に膝をついた。
「貴方がどれだけ銃を撃とうが、私には届かない。間違った力を手に入れても、それは破滅を助長するだけよ」
少女はそう言うと、膝をついたUの眉間に、コツンと自動拳銃を当て、
……因みに余談ではあるが、Uに興味を持った学園都市の研究員がその能力を調べてみると、Uの能力は
今回は約4000文字です。BGMには最近ハマっている湾岸MIDNIGHTのものを使用していました。
さて、次回の更新ですが、8月の中盤になると思われます。某大規模同人誌即売会へ足を運ぶのと、8月の中盤に県大会があるのが大きな要因ですね。部活の無い日に少しでも書き進めたいと思います。