多くは語らずにおきます。二階堂樹です。
久しぶりなので、もっと拙い文章で、短いですが、どうか楽しんでいただければ幸いです。
あれから数日。
表立ったような事件は起きず、○○区で殺人だとか、○×区で盗難だとかいう、日常よく目にするようなニュースしか流れてはこない。一応、
そんなわけで、現在煌貴は休日を利用してトレーニングジムに来ている。
そして、その隣では蒼甫が入念に準備運動をしている。鍛え抜かれた肉体はそれこそ筋肉の塊と形容していいほどの威圧感があった。
最初はガタイが良い、で済んでいた蒼甫の身体が、動くたびに眠っていた本能を呼び覚まし、それに呼応するように肉が突出する。
よし、と言うと蒼甫はそのままジムの壁に沿ってランニングを始めた。
煌貴はそれを見つつ、訓練用の木刀を構え、基本の型の復習に入る。
ーーーそれを監視するように見る影は二つ。
「へぇ、すごいな。蒼甫はともかくあの銀髪の子、夜翔流…だっけ?それの使い手なんでしょ?それにしてもすごい集中力だな……」
「そうね、あの子が引き抜きできたのは幸いだったわ。……最後、結構なこと口走った気がするけれど、どうにかなるでしょ」
と談笑するは不要能力と『赤き翼』の舟に居た、蒼甫に隊長と呼ばれていた人物だ。
「……それで、そろそろ、いいかね?こっちの方は準備万端なんだが」
「ええ、いいわよ。いつも通り鬼柳にやってもらおうかと思ったけれど、壊しちゃいそうだしあの子の方がいいわよね?」
「つまりは戦闘データを取るからってことだろ?ハイハイ、こっちも協力してもらえるだけありがてェ……それでいいぜ」
†
ジムで鍛練していると、不意に不要能力から模擬戦闘をしないかと持ちかけられた。
実践に勝るものはない、と煌貴は快く承諾し、アジトの地下にある闘技場に連れてこられる。
「……模擬戦闘だからって、あれはないだろ⁉」
と、煌貴が指差すのは『ヤシャ』の装甲を大分削り、バックパックから無造作に生える羽のようなスラスターが特徴的な
「大丈夫よ。多分。あっちも武装は物に当たると光子化する、訓練用のカートリッジに付け替えて、実弾系の武装は全部外してるし」
「いや、あれって思いっきり鉄の塊だろ……あれが、スピードつけて体当たりしただけでもその辺の2tトラック程度なら軽く吹き飛ぶだろ」
反論はしてみたが、不要能力はじゃあ頑張りなさいとだけ言い残し、その場を後にする。
不安しかないが、とにかくやるしかない。
いざとなればこちらも月輝蓮の使用は許可されている。因みに、余談ではあるが、月輝蓮は普通の刀よりも重いので、使用時以外はクロウが粒子化させている。
「……始めよう」
凛、と。
駆動鎧の少女は一歩踏み出す。
そのまま滑るように近づいてくる。
ルールとしては、こちらは弱点となる幾つかの鎧がない箇所に打ち込めば勝利、あちらは自動小銃をこちらの頭部に突きつければ勝利、というものである。
煌貴は後ろにステップで避け、壁を蹴って駆動鎧の後ろに跳躍する。
駆動鎧がそれを感知すると同時に煌貴は一撃を的確に胴にーーー入れようとして、吹き飛ばされた。
「ぐ……っ⁉」
コンクリートで作られた壁に思いっきり衝突し、ゴガン!と鈍い音が響いた。
煌貴は動こうとするが、身体がそれを拒む。
その間に駆動鎧はガシャガシャと音を立ててこちらに近づいてくる。
数秒、近づいてくるのを待ち、自動拳銃を取り出したところで身体中に力を込め、竹刀を露出部である足へと、横薙ぎに振るう。
「ッ!」
駆動鎧はそれに驚き、後ずさるが、それも間に合わない。竹刀の先端が足を捉え……る寸前、拳銃にあたり、それが緩衝材となり足に到達する時には威力はすっかり衰えてしまっていた。
だが、急にスラスターを後ろに動かしたことで、不調が出たようで、走ってこちらに近づいてくる。
チャンスだ。そう思い煌貴は残りの力を振り絞り、亜音速の一撃を頭部に叩き込む。
然し、それと同時に竹刀はその一撃の重みに耐えられずにバキリと音をたてて真ん中で折れてしまった。
唯一の武器を失った。
「月よ!」
煌貴はすかさず月輝蓮を喚ぶと、袈裟斬りを見舞おうと走り出す。
対して駆動鎧も武装が尽きたのか、空間から自動小銃を出し、応戦しようとする。
ーーーそこで、ブザーが鳴る。
「
「……手加減も何も、あっちも本気だったじゃない」
「駆動鎧と生身の人間が対峙すれば、能力差では駆動鎧が圧倒的に有利だ!そこで彼は少しでもその差を埋めようと足掻いただけだろう」
「……そんなこと言われても。やっちゃったものはしょうがないでしょ」
入口である鉄の扉が開かれ、隊長と呼ばれていた男が出てくると同時に駆動鎧の少女につっかかる。
……どうやら、助かったようだ。
正直言うと、月輝蓮を喚び出した時点で煌貴の身体は限界を迎えていた。あのままでは、自動小銃を避ける間もなく、死んでいただろう。
「……仕方ない、一応、君も後で彼には謝っておきたまえ。…君、煌貴と言ったか?ここの区画は病院に繋がっている。信頼できるところだ、さあ、行くぞ。肩を貸すんだ……」
隊長と呼ばれていた男に引きずられるように闘技場を後にする。その際、後ろを振り返ると、駆動鎧の少女は無機質でありながらも、どこか名残惜しそうな目をしていた。
現在時刻4:21ーーー今日は簿記検定があるので早く寝なければ、と思いつつ夜更かししてしまいました。
一応、一時間程度で書いたので変なところだらけですが、また、連載を再開する予定なので、どうかこれからもよろしくお願いします。