そ小学校が休みの日、コナンは少年探偵団のみんなと公園でサッカーをして遊んでいた。
「元太ー!シュートだ!」
「おう!行くぞー光彦!」
「!!」
コナンからパスを貰い元太がゴール前にいるキーパーである光彦に言い、光彦は両手を広げ来るであろうボールがいつきても大丈夫なよう構える。
「行けー!」
元太はそう言いながら思い切りボールを蹴り飛ばした。しかしそのボールはゴールから大きく外れ、明後日の方に飛んで行った。ボールは隣にあった家の塀を越えていってしまった。
「何やってるの元太君!」
「そうですよ!」
「悪い悪い」
そんな元太を責める探偵団の光彦と歩夢だが、元太は悪びた様子もなく言う。
「おいお前ら、俺と灰原でボール取りに行くから」
「あ、待ってください!僕達も行きます!」
「そうかじゃあ行くぞ」
少年探偵団の全員でボールを取りに行く事になりボールが飛んで行った家を訪ねに行った。その家は大きく、工藤の本邸にも劣らないほどだった。
「それにしても大きな家ね」
「博士ん家の隣にある
「ははは、あれは
コナンは元太の漢字の読み方に呆れながら呟き、考える。
(それにしてもこんなところにこんな大きな家あったんだな)
コナンは高校2年になるまで、つまり17年間この街で育ってきたがまだ知らないところがあることに少し驚いていた。考えていたら少年探偵団の3人が玄関のチャイムのボタンを押していた。
「「「すみませーん!!」」」
3人は声を揃えて大きな声で言っていた。
「どんな人がでてくるかな」
「優しい人だといいね!」
「こんな家を建てれるぐらいなんだから、家政婦さんあたりが出てくるんじゃないかしら」
「そ、そうですかね」
どんな人が出てくるのかと話し合っている探偵団の3人に灰原がそう言う。そんな事をを言い合っていると玄関のドアが開いた。中からは長い黒髪の綺麗な女の人が出てきた。年齢は成人したぐらいだろうか。
「きれいな人ですね!」
「モデルさんかな!」
女の人の容姿を褒め称えていると言っていた女の人がこちらに近づいてきた。
「君達、僕の家に何のようかな」
女の人は気怠げそうに問いかけてきた。
「僕達隣の公園でサッカーをやってたんです」
「元太君がボールを蹴り飛ばしちゃって」
「この家に入っちまったんだよ」
「それで僕達はボールを取りに来たんです」
状況を説明すると彼女は思い当たるものがあるのか納得した様子だった。
「あのボールのことかい。たしかに飛んできてたよ」
「やっぱり!」
彼女の言葉に元太達3人は向き合い喜んだ様子でいた。
「取りに行ってくるけどここで待たせるのもなんだし、中に入るといいよ。ジュースぐらいなら出せるよ」
「まじかよ!」
「いいんですか!?」
「僕以外誰もいないしゆっくりしてきなよ」
「「「はーい!」」」
ジュースという言葉に釣られたのか元太達は彼女に着いていった。その様子にコナン達は
「たく、あいつら……」
「いいんじゃない?彼女悪い人には見えないし」
「あのなぁ…」
何気ない話をして少し駆け足でみんなの後を着いていった。
家の中は部屋の中はわからないが玄関や廊下は外見に反して庶民的な内装をしていた。着いていくとその部屋には広かったが、内装はほとんど何も置いてなかった。
つまり置いてある物は逆に目立つ訳で、
「すげー、ドリンクバーがあるぞ!」
「歩夢お店以外では初めて見た!」
「どこで買ったんですかね!」
(家の中にドリンクバーって……それにしても種類多いな、おいおいワインまであるぞ)
なんと壁の1面はドリンクバーで埋められていた
家の中にはあるドリンクバーは珍しく、元太達は興奮していた。コナンも同じだが、今はその種類の豊富さに驚いていた。
「まあゆっくりしていきなよ、僕はボール取りに行ってくるから」
「「「「はーい!」」」」
そう言うと彼女は部屋から出て行った。すると探偵団の3人はドリンクバーに駆け寄っていった。
「すっげー!いちごオレなんてあるぞ!」
「こっちの方はいろんな種類のお茶がありますよ!」
「何飲もうっかな!」
元太達を横目にコナンは他に置いてあった棚なんかを見ていた。
気になったのか中を漁り出した。下から開け始めるとそこには大量の資格を取得した証である賞状が無造作に入っていた。
(医者に薬剤師、すげえな、こっちは国家公務員。おいおい核燃料取扱まであるぞ、難関資格ばっかじゃねえか。名前は〈安心院なじみ〉か、何者なんだ?彼女は)
コナンは中を見るのに夢中になっていたが気づくと彼女はボールを片手に部屋に帰ってきていた。そしてコナンの背後に立っていた。
「何をしているのかな君は」
「えっと...どんな人なのか気になっちゃって....ごめんなさい!」
「まぁいいよ。見られて困るものなんて入っちゃいないし」
安心院なじみという彼女に問われ、コナンは流石に悪いと思ったのか謝るが、そんなコナンに気にしていないようで普通に許してくれた。そしてコナンは何か気になったのか質問しようとした。しかしそこで
「あっコナン君ずるーい!お姉さんとお話ししてるー!」
「ずるいですよコナン君!」
「そうだぞコナン!」
彼女と話をしているコナンにずるいと思った歩夢達が飲み物が入ったコップを片手にそう言いながら近寄ってきた。そんな彼等に何か思ったのか彼女は近くに置いてあったテーブルの方に歩いて行った。
「少しお話ししようか、君達も座りな」
「やったー!」
彼女は椅子に座ると他のみんなにも座るよう促した。彼女の言葉に喜んだ探偵団達はぽつんと置いてあったテーブルと6つの椅子に腰掛けた。
「お姉さん名前はなんていうの?」
「そうだね、少し自己紹介をしようか。何事も最初が肝心だからね。
僕の名前は
「人外?
「もちろんその通りさ。僕は人間じゃない、人でなしさ。それと僕の事は親しみを込めて
彼女の自己紹介はよくわからなかったため灰原が問うがやはり彼女の言葉は彼等には伝わらなかった。とりあえず自分達の事を話す事にしたようだ。
「僕の名前は
「私は
「俺は
「僕は
「灰原哀よ」
「「「僕達(私達)、少年探偵団!!」」」
一通り自己紹介を終えるが人外を名乗る安心院なじみは興味が無いようで「そうかい」と呟いた。コナンは彼女に気になる事があったのを思い出すと質問し始めた。
「ねえお姉さん。お姉さんはどんな仕事してるの?」
「僕の仕事?強いていうなら自宅警備員だね」
(自宅警備員って……ニートかよ)
「なぁ、自宅警備員ってなんだ?」
「小嶋君にも分かりやすくいうと無職、ニートって事よ」
コナンの質問に彼女は普通に答えるが、その言葉の意味がわかる者は残念な人を見る目で彼女を見た。わからなかった元太は灰原の言葉を聞くと一瞬考えるような仕草をしたが、自宅警備員がどういう事かわかったのか、呆れた視線を彼女の方に向けた。しかし彼女はそれでもなんとも思っていないようだった。
「お姉さん。お仕事はちゃんとしないといけないよ?」
歩夢の、つまり小学校1年生の言葉には流石に何か思う事があったのか彼女は何か悩んだ様子だったが、彼女は何か決めたようだった。
「そう思うかい?なら僕も職に就こうかな」
「何か当てでもあるの?」
「まあね、いろんな資格を取っておいたから、僕のような人材は引く手数多なのさ」
「お姉さん実は凄い人だったりするんですか?」
「まぁね、まずはそのための一歩。運動不足気味だったから丁度いいよ」
「??」
彼女の言葉は安心院さんを仕事に就かせる事に成功したようだ。安心院さんはそう言うと椅子から立ち上がり、サッカーボールを片手に外に出る扉に手をかけた。
「サッカーやるぞ、少年少女達」
「「「!!やったー!」」」
彼女と共にサッカーができると知るとコップをテーブルの上に置いて外に走っていった。そんなみんなの様子を見ていたコナンと灰原だったが。
「あいつら遠慮って言葉を知れよ……」
「あら、彼女を仕事に就かせる事ができたんだからいいんじゃない?」
「なあ灰原、あの人についてどう思う?」
「あの人って安心院さんの事?別にちょっと変だけどいい人だと思うけど。何かあった?」
「棚の中には大量の資格の賞状があったんだ。その中には核燃料取扱や薬剤師なんかもあったんだ。全部は見れなかったが他にも数十枚あった」
「あの年齢でそんな資格持ってるなんて相当優秀なのね。悪用するような人には見えなかったけど。もしかして彼女例の組織に関わってると思っているのなら、違うわよ。」
「そうか、ならいいんだ。なら俺たちも行くぞ」
聞くだけ聞いて何も言わないで行くコナンに全く…と灰原は呟き後を追った。
灰原の言う例の組織とは、世界で暗躍している裏の組織のようなものだ。FBIや警察などに追われている。酒の名前をコードネームとしているその組織をコナンは黒の組織と呼んでいる。
コナン達が遅れて公園に着くとそこには安心院さんが巧みなボール運びで少年探偵団の3人を翻弄している様子が見えた。運動不足気味とはなんだったのだろうか。
「お、コナン君達も来たか。手加減はいらないよかかってきたまえ」
安心院さんにそう言われるとコナンはサッカー少年としての何かに火がついたのか走って向かって行った。
しかし、結果をいえば探偵団ほどではないがコナンも彼女に遊ばれていた。
(この体になってから本気ではやってなかったけど、思うように体が動かねえ。元の体なら負けねえのに!)
「コナン君がサッカーで負けてるなんて...。コナン君がんばれー!」
「すげえサッカー上手いなあの姉ちゃん!」
サッカーで負けるのは流石に自分に許さなかったのかコナンは無茶になり始めした。その結果…
「はぁ……はぁ、はぁ。マジかよ」
「なかなかやるねコナン君」
高校生の時と同じような動きができず、体力を多く消費し疲れ果ててしまっていた。安心院なじみは頭の上にボールを乗せて立っていた。
そして元太達も近寄って来た。コナンのこんな姿を見るのは初めてだったようだ。彼をいろいろ弄っていた。
「安心院さんってサッカーやってたんですか?」
「そんなにやってないぜ?」
「えー、ならなんでそんなに上手いんですか?」
「僕は生まれつきなんでも「できて」しまうんだよ。おかげで困った事はないんだ」
「そ、そんな人もいるんですね」
光彦が安心院さんにいろいろ質問していた。彼女のなんでもできてしまうという言葉は流石に信じてはいないようだが、あの様子を見るに他のスポーツもそれなにり上手いんだろうと思った。
その後はそれぞれチームに分かれてサッカーをしたりして時間が過ぎて行った。そして日が暮れてきた頃。
「え!もうこんな時間なの?!」
「マジかよ、まだ遊び足りねえぞ!」
「何言ってるんですか元太君、そろそろ帰りますよ」
歩夢が公園にあった時計を見てそう言うと、他のみんなもそれに気づきそれぞれ思った事を口に出していた。
「安心院さん今日はありがとうございました!」
「お姉さんまた遊ぼうねー!」
「また遊ぼうな姉ちゃん!」
光彦達はそんな言葉を言いながら公園から走って言ってしまった。コナン達も続いて帰ろうとした。
「ちょっとコナン君、哀ちゃん」
「「??」」
安心院さんに呼び止められて何があるのかと困惑する2人だったが、彼女に言われた言葉は彼等に深く関わる事だった。
「君達体が小さくなったとかそんな事ある?」
「「!!!??」」
「な、なんのこと?」
「そんな演技しなくてもいいよコナン君」
知られるわけにはいかない秘密をずばずば言い当てられて驚き、共に警戒をする2人だった。
「どういう事かしら」
「いや、体を小さくする薬に心当たりがなくもないからね」
「貴女組織のことを知っているの?!」
「組織ってどの組織?」
「どのって……!危ない、危うく組織に情報を渡すところだった」
灰原は危うく自分から身分を明かしかけてそう誘導しようとした安心院さんの方を睨みつけるが、本人はどこ吹く風、平然としていた。
「ちょっと遊んでみたくなってね、そんな薬作るようなとこなんてそうあるわけじゃない。まあジン君やシャロンちゃんのとこかな?シェリーちゃん」
「貴女、私の事を!」
「僕のとこにはその手の情報は勝手に集まってくるからね」
安心院なじみは関係者かどうかはともかく、少なとも黒の組織とコナン達の関係を知っているらしい、今はそれだけでも彼女はコナン達には脅威になっていた。命を握られていると言ってもいい程に。故に彼女に警戒していた。
「そんな警戒しなくてもいいよ、彼等に直接関係は無いからね」
「どういうつもりだ?」
「僕はスポンサーみたいなものさ。いろんなところのね」
「た、例えば?」
「君達にもわかるようなのは、FBIやCIAとか」
「証拠は?」
「必要かい?」
「いや、いい。お前がどういう人間かはわかった」
「ふーん。でも後で赤井君あたりに聞くんだろ」
「………まだ何かあるの?」
「いーや?君と話がしたかっただけだよ、工藤新一くん、じゃあね、また」
「ああ。また」
互いの情報の探り合いをして話は終わった。それぞれ自宅に帰っていった。コナン達にわかったのは安心院なじみという女は自分達なんかよりも多くの情報を持っていて、いろんなところにパイプがあるという事。舐めてかかっていいような存在じゃない事ぐらいだった。
そしてコナンは居候先の毛利探偵事務所に帰り、皆が寝静まった頃電話をかけていた。
「赤井さん、いまいい?」
「ああ、大丈夫だ」
「安心院なじみって人知ってる?」
「!どこで知った?」
「やっぱり知ってるんだ」
「悪いが彼女に関わる話は『国家機密』になる。いくらボウヤでも話すことはできない」
「まあ本人に聞くからいいよ」
「彼女に会ったのか?!いったいどこで……」
(想定はしてたけどほんとにあの人FBIと関わりがあるんだ。って事はCIAにも…)
コナンは協力者でもある赤井秀一に電話をかけ、今日出会った安心院なじみについて聞いていた。
「あの人仕事に就くって言っていたよ」
「何?いったいどこに…」
「赤井さん、交渉しない?」