人外こと安心院なじみはとりあえず何かの職に就こうと思い、どんな仕事につこうかと考えながら散歩がてら外を歩いていた。この日本の首都でもある東都は様々な物や人が集まっていた。そして今いる場所は米花町。別の世界では犯罪都市とも言われる程に事件が多発している街だ。そんな所で見た目こそ美少女な彼女に何も起こらないわけもなく。
「おい!そこどけ!」
「いてて、何するんだ君…」
灰色のフードを被った長身の男が人外にぶつかりながら走り去って行った。その男の後を警官が追いかけて行った。そして少し遅れたところをコナンが走ってきた。子供の足では追いつくのは厳しいだろう。こちらに気づくと駆け寄ってきた。
「なあ安心院さん、さっきの男どこ行ったかわかるか?」
「あっちの方に走って行ったけど、それが君の素なんだね」
「そんな事言ってる暇は…って安心院さんそれは…」
再び先程の不審な男を追いかけようとしたが、コナンは人外の手に持っていた物を見て動きを止めた。その手には緑色の草のようなものが詰まった袋があった。
「いきなりぶつかって来たからね。ちょっと手が出ちゃった☆」
「出ちゃったって…それ麻薬みたいだよ。警察に言わないと」
「そうだね、さっきの男は捕まってるといいけど」
流石は人外と言うべきか、一方的にぶつかって来た男に反応してその男からスったようだ。スった物は麻薬らしき物で先程の男は麻薬販売人ということだろう。コナンが警察に連絡してくれたようで、警察はすぐ来てくれた。
「あっ、高木刑事!」
「コナン君じゃないか!通報したのってもしかしてコナン君なのかい?」
「まあね。とにかくカクカクシカジカで……」
来た刑事さんとコナン君は知り合いのようで状況を説明してくれていた。一通り事情が伝わると人外の方に歩いて来た。
「
「いいけど、僕のことは親しみを込めて
「は?……いえ、わかりました。では…」
呼び方に言われるとは思っていなかった高木刑事は、困惑したようだが、すぐに事情聴取に取り掛かった。語られた事はコナンから聞いた事とほとんど同じだったようですぐに終わった。仕事が終わると彼はすぐ帰っていった。
取り残された人外とコナンはというと
「安心院さんは何してたんだ?」
「僕は仕事探しがてらに出歩いてただけだよ」
「ふーん。ねぇこの後暇?」
「ナンパかい?いいよ付き合ってあげる」
コナンは人外に何かに誘うように言った。人外も何かコナンに何か狙いがある事はわかっていたが、あえて乗ってあげる事にしたようだ。コナンの先導の元どこかに向かっていた。
「安心院さんって得意な事ってあるの?」
「うーん、全部同じぐらいだからねぇ」
「じゃあ、苦手な事は?」
「無いよ、できない事を探す事が難しいぐらいにはね」
「じゃあ……ってどうしたの?」
「いや、こうして探られるのも久しぶりでね」
道中、コナンはどうにかして人外について情報を集めようとしていたが、人外は自身を探られる事を楽しんでいる節もある。そんな事をしているとコナンは立ち止まった。どうやら目的地に着いたようだ。
「…毛利探偵事務所?」
「そっちじゃなくて、下の方」
「喫茶ポアロ?お洒落なとこじゃないか」
その喫茶店には何かあるのか、コナンは中に入っていった。人外もその何かを楽しみにして中に入っていった。
「いらっしゃい…ってコナン君じゃないか。そちらは…」
「こんにちは安室さん」
「僕は安心院なじみだよ。君は…どこかで会った気がするんだけど」
「?貴女とは初めましてだと思いますが、僕は
喫茶店の中に入ると、カウンターの方から声が聞こえて来た。明るい色の髪で褐色肌のイケメンと言える好青年だった。名前を安室透というそうだ。人外は彼に心当たりがあるようだ。少し考える素振りをしたが思い出したようで口を開いた。
「ああ、思い出した。警察学校だ。たしか
「!警察の人でしたか」
「えっ、でも前は自宅警備員って」
「今はね。暇つぶしに見学に行ったんだよ。あの5人以外期待外れもいいとこだったけど」
「5人?」
「ゴリラみたいな奴とヤンチャそうな男に大人しそうな青年に、今言った降谷に、女子にモテモテだったイケメン」
「ねぇ、なんで降谷って人だけ名前も知ってるの?」
「少しだけ話した事があったんだよ。向こうは覚えてないだろうけど」
「そうなんですか」
コナン達は人外の意外な過去に少し驚いた。安室は自身の正体がバレないかとヒヤヒヤしていたが、表に出さないようにしていた。
「んー、安室くんおすすめのメニューとかない?」
「でしたらハムサンドとかどうですか?」
「安室さんのハムサンド美味しいんだよー」
「じゃあそれ2つほど」
「わかりました」
人外はおすすめのハムサンドを待ちながら携帯をいじり始めた。しばらくするとその携帯から着信音が響いて来た。誰からか電話が来たようだ。
「ジン君からだ」
「「!!?」」
意外な人物から電話がかかって来たようで少し人外が驚いた様子をした。コナン達もその名前を聞いて驚いていた。人外はそんな2人の様子を横目に電話に出た。
「何のようかなジン君」
『久しぶりだな、
「勧誘なら間に合ってるよ」
『あの方も待っているのだがな。またかける』
「……切るの早くないかい?」
要件が済むとすぐ電話を切られため息をついて携帯をポケットに戻すと、こちらを見ているコナン達の方に顔を向けた。
「?…何か用?」
「電話の相手って誰だったの?」
「今でいう弟子みたいなものだよ。何かと勧誘してくるけど」
「お弟子さんがいらっしゃるんですか。何を教えたんです?こちらハムサンドです」
「ありがとね。頂きます。んー、狙撃に格闘術とかいろいろだよ。あ、美味しい」
「それは良かったです」
人外は探偵達にいろいろ質問されるが、ハムサンドを食べながら適当に返していく。探偵達は人外がペラペラと喋るため疑いながら話を進める。
「写真とかないの?」
「あるとは思うけど見たいの?面白くないよ?」
「見てみたいなー」
「僕も興味あります。貴女のお弟子さん」
「別にいいけど、見てから文句言わないでくれよ」
2人の頼みもありジンとの写真を見せる事にした。ポケットから再び携帯を取り出すとアルバムから写真を探し始めた。多くの写真から見つけると2人に向けた。その写真は見慣れないどこかのセーラー服を着た安心院なじみがピースをしていて、隣には長い銀髪で全身黒色のコートで身を包んだ男が立っていた。
「「っ!」」
「知ってる人?なんて聞くのは野暮かな?探偵さん達」
「僕の事も知ってるようですね」
「まあね。バーボン、ゼロ君って呼んだ方がいいかな?」
「!どういうつもりだ」
「お遊びだよ。面白おかしく生きていきたいんだ僕は」
「その生き方はいずれ身を滅ぼすぞ!」
「身に染みてるさ。もう変えられないのさ」
安室は人外の生き方に忠告するも、それでも変わらない彼女の技量と精神に恐れるものの自らの使命のためにもどうにかしようと考えた。
人外が人外たりえる由縁を思い知らされた探偵達。人とは考え方が異なる彼女にどう接するか考えさせることになった。
「ごちそうさま。また遊びに来るよ降谷くん」
「はあ、わかりました。あと安室です」
「ついでにじゃあねコナン君」
「俺はついでかよ…じゃあね安心院さん」
そう言うと人外は席を立ちアポロから出て行った。取り残された探偵達はというと
「今度はすごい人が出てきたね」
「ああ全くだ。あの男の師匠か、想像できないな」
「安心院さんFBIとかにもコネを持ってるって言ってたよ」
「そうか、彼女の力は計り知れないな。でも…」
「安心院さんは一般市民だよ」
「わかっているさ」
人外の影響力は自分達が思っている以上に大きいという事に気づき、彼女を引き込めないかと考えているのではと考えたコナンは釘を刺したが、諦めたわけではないだろう。実際もし人外を引き込むことができたのならばその組織は世界を動かす事も容易になるだろう。
人外は「また来る」と言った。機会はまた訪れるだろう。
「仕事どうしようか」
人外は元々職を探しに外を出歩いていた。事件に巻き込まれたり小学生にナンパされたりしてそんなに時間を取れなかったため再びぶらぶらしていた。
「ちょっとそこの君!」
不意に話しかけてくる人がいた。またナンパだと思い、2度目は面白くもないし文字稼ぎにしかならないと考えると無視して先に進む事にした。
「ちょ、聞こえてないわけじゃないんでしょ?」
1度や2度なら無視していればいいと思ってナンパを全カットしようとしたが5回もしつこく話しかけてくるとなるとそうもいかなかった。
「しつこいね君も、何の用?」
「やっと止まってくれた…。君、芸能人とか興味ない?!」
ナンパだと思っていたがスカウトだったようだ。人外はスカウトして来た人の身なりや表情を見て、丁度いいと思い乗ってみる事にした。
「いいよ、その話乗った」
「え、事務所とかいろいろ説明とか聞かなくていいの…?」
「これで詐欺とかだったりしたら僕の見る目が無かっただけさ。僕は人を見る目はあると思っているからね」
「あっ、そう。でも書類とかいろいろやってもらう事あるから、ついて来て貰えるかな」
「わかったよ。これからよろしくね」
契約とかいろいろ、そんな誰も興味のないだろうから全カットされたが、結果を言えば人外、安心院なじみはなんでも「できる」事から様々な事をやってみる事になった。こうして人外はあっさりと仕事に就く事ができた。
そしてしばらくすると歌も演技もやって体も張る芸能人は珍しく、全てをこなしてきたため彼女の人気が出るのは早かった。いつまでこの生活が続くのかは人外の気分次第だがすぐ終わる事は無いだろう。