秘密結社のバイトの日常   作:ライ麦小麦

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今回はクッキーを作るだけです。

読者の方々に笑顔を


お菓子作れる人は凄いと思うんだよ

 

 

とある日曜、学校も休みという事で僕はholoxのアジトの中で暇を持て余していた。

特にやる事も無いので総帥から勧められた本を読んでいると

 

 

「バイトぉ、暇だから面白い話してくれよ」

 

 

ソファーで寝転がる総帥が僕へそう言ってきた。

僕は本を読むのを止め、総帥へとある話を語り始めた。

 

 

「ここ最近の話なんですけど」

 

「うん」

 

「家の中の回線が悪くなっちゃって電話が出来ない状態が続いたんですよ」

 

「そりゃまた災難で」

 

「そこで業者さんに" 電話をかけたいんですけど "っと相談したらこう言われたんですよ。かけるのは醤油だけにしとけって」 

 

「いや海鮮だけにゆーてな!」

 

「「ガッハッハ!」」

 

 

 

 

「どうしてくれるんですか?この空気」

 

「100%お前のせいだろ」

 

 

摩擦0で直線運動した僕の話は遥か彼方へ飛んで行ってしまった。

そんなやりとりをしていると台所の方から香ばしいバターの香りが漂ってきた事に気がつく。

 

 

「なんか良い匂いしますね」

 

「さっき昼ご飯食べたばっかだぞ?」

 

 

満たされたお腹ではあるがスイーツとなれば別腹。

気になった僕らは台所方へ向かう。

台所に着くと同時に覗き込む為、僕と総帥は顔だけ出し匂いの理由を確かめようとした。

 

 

「よし!あとは焼き上がるのを待つだけでござるな!」

 

 

そこにはオーブンを見つめる風真さんの姿があった。

すると「んっ?」っと僕らの気配に気が付いたからか視線がオーブンから僕たちの方へと変わる。

 

 

「うわぁああ!びっっくりしたぁ!」

 

「何作ってるんだ?侍」

 

 

顔だけ出している僕らに驚く風真さんを気にせず総帥がそう尋ねる。僕らが疑問に思っていると、とことこ歩いてくるぽこべぇがとあるお菓子のレシピ本を開き()()()()()()()() ()と書かれたページを見せてくれた。

 

 

「クッキーですか。どうりで良い匂いがするわけですね」

 

 

オーブンから漂う甘い香りから自然にお腹が空いてしまう。

 

 

「近所の人から薄力粉とバターを貰ったのでござるよ。皆殿が甘い物食べたくなるかなぁって思ったからクッキーでもつくろうかと…」

 

「僕から85点」

 

「吾輩から90点」

 

「それ何の点数?」

 

 

風真さんは合計175点の風真ポイントを叩き出した。

 

 

「でもお菓子作りなんて凄いですね。僕が作ろうとすると全てが黒になっちゃいますから」

 

「クッキーは結構簡単に作れるでござるよ?」

 

 

風真さんはぽこべぇからレシピ本を受け取り、僕へ渡してきた。

 

 

「材料も余ってるから風真と一緒に作るでござるか?教えるのには自信があるでござるよ!」

 

 

元気よく自信満々に風真さんがそう言ってきた。

 

 

「僕、89点」

 

「吾輩、おまけの91点」

 

「…本当に何の点数?」

 

 

過去最高の180点の風真ポイントである。

 

 

ーーーーーー

 

 

手を洗った僕らはそれぞれエプロンを身につけ、準備満タンの状態で台所に立っていた。

 

 

「気をつけろバイト、キッチンは戦場だからな。油断したらやばいと思え」

 

「yes my dark」

 

「風真はそんなに気張らないでいいと思うのでござるがなぁ」

 

 

僕はクッキーのレシピに目を通す。

ある程度の工程は覚え、後は風真さんの指導の元、作るだけだ。

 

 

「じゃあまずは薄力粉をふるうでござるな」

 

「すまん…薄力粉…お前とは付き合えない」

 

「粉をふってどうするでござるか!」

 

「トラウマなんでやめてください。それ」

 

 

お手本を見せる様に風真さんは薄力粉をふるい機を使い、ふるう姿を真似ながら僕も作業をしてみたが意外にも楽しいと思えてしまった。案外、僕はこういう細かな作業が好きなのかもしれない。

 

 

「あとは溶かしたバターに砂糖、卵黄を混ぜ、ふるった薄力粉を入れヘラでよく混ぜ合わせるだけでござるよ」

 

「やっぱ愛とか込めた方が良いんですかね?」

 

「風真はいつも目一杯込めてるよ」

 

「総帥、僕らも負けてられませんね」

 

「吾輩の愛にこの(クッキー)が耐えれるか見ものだな」

 

「かっこいいですよ総帥」

 

「だぁろ!」

 

 

僕は総帥とパチンとハイタッチをする。

しかし、そんなやり取りは風真さんにスルーされてしまった。

 

 

「それじゃあ混ざるでござるよ」

 

「やるぞバイト」

 

「分かりました」

 

 

僕らはとある物も取る為にも一度台所を離れる事にした。お目当ての物を台所へ運ぶと同時に風真さんの表情が変わる。

 

 

「…何を持ってきてるでござるか?」

 

「何って…」

 

 

僕らは持ってきた物を見せながら風真さんへの質問に答えた。

 

 

「「(うす)(きね)」」

 

「も、餅つき⁉︎ヘラでやるって言ったでしょ!」

 

「「誠心誠意込めて打ち込ませていただきます」」

 

多分、風真誘う人、間違えたかも!!

 

 

総帥が杵を持ち、僕は間の手の役割。

勿論、美味しくなる為の愛を込め忘れてはいけない。

 

瞬間、総帥が材料が入れられた臼へ向かい杵を振り下ろし、ペチンという音が鳴る。その行動を何度も繰り返す。

 

 

おらっ!おらっ!美味しくなれ!

 

 

僕の掛け声に総帥が合わせる。

 

 

おらっ!ここが良いのか!

 

「なんかその愛歪んでない⁉︎」

 

「さぁ始まって参りました!第一回、何を作っているのか分からなくなってしまった大会!!司会進行は匂いに釣られたこの"博衣こより"が務めさせて貰います!」

 

「横に同じく匂いに釣られた"鷹嶺ルイ"と"沙花叉クロヱ"が実況、解説をさせもらいます」

 

「いつから居たんでござるか⁉︎」

 

 

横を見るといつの間にか博士達が椅子の上に座っていた。

発言からただ単にクッキーが食べたいのだろう。

 

 

「ちょっと!この数のボケを風真一人では捌き切れないでござるよ!さ、沙花叉なら!」

 

 

自分の役割が人手不足だと判断した風真さんは沙花叉さんへ助けを求める。

 

 

「現在、沙花叉は私の隣で寝ております」

 

「んん〜…お魚ぁ…」

 

何しにきたんだよ!!

 

 

しかしそんな小さな願いも叶わなかったようだった。

 

 

「おっと!ここでクッキー生地が完成したのか臼から取り出しましたよこよりさん!」

 

「次の工程は型を取るですねぇ!」

 

 

流れる様な作業をとある理由で風真さんが止めようとする。

 

 

「いや一度冷蔵庫で生地を冷やさないと…」

 

「冷やされたのがこちらになります」

 

 

冷蔵庫から冷やされた生地を総帥が取り出した。

 

 

摩訶不思議な冷蔵庫!これ仕組まれてるでござるよな⁉︎

 

 

僕と総帥はクッキーの生地をまな板の上に乗せ、めん棒で伸ばし、型が取りやすい状態にする。僕は総帥へどんな形が良いかを尋ねた。

 

 

「どんな形の物を作りますか?無難に星とかハートにします?」 

 

「吾輩の形とかが良い」

 

「難易度凄く上がりましたね」

 

「そっちの方が燃えるだろ?」

 

「総帥…一生ついていきます」

 

 

僕は総帥と肩を組む。

 

 

「こ、これわ!二人だけの円陣ですね!解説のルイ姉はどうお考えですか」

 

「やってやろうっていう意気込みが感じられますね!これは強いですよ!」

 

「もう風真帰って良い⁉︎」

 

「残念ながら帰る家はここでございます!私たちの家です!」

 

「だあ"あ"あ"!」

 

 

そうこうしているうちに僕らの型抜きの工程は終わりを告げ、星形、ハート型、総帥型と様々な形を作り上げ、達成感に浸っていた。しかし最大の難所、焼きという工程がまだ残っている。

 

オーブンの中へ型取った生地を並べ、後はスタートボタンを押すだけ…だが僕の手が震えていた。責任という重荷を感じ僕が緊張していると気が付いたのか総帥の手がそっと僕の手の上に乗っかる。

 

 

「お前だけにこんな大役、任せるわけないだろ。吾輩も一緒だ」

 

「そ、総帥」

 

 

そしてスタートボタンを押した。

 

 

「だぁああ!押したぁああ!これはもう優勝です!こよ感動しました!」

 

「最後に感動もくれた両選手に盛大な拍手を!」

 

 

パチパチと響き渡る拍手が僕たちの勝利を示してくれる。なんと心地いい音なのだろうか。

 

 

 

 

「……なんなんでござるか!これ!!

 

 

 

オーブンからチンと焼き上がる音と共に風真さんの声が周りの拍手の音で消えていった。

 

 


 

 

「何はともあれ美味しく出来て良かったでござるな」

 

「美味しいねこれ。いろはまた腕あげたんじゃない?」

 

「うへへ〜。褒めてもなんも出ないでござるよ?ルイ殿〜」

 

「…ラプちゃんの形をしている…」

 

「吾輩だと思って食べてくれ!」

 

「食いづらいわ!こよをなんだと思ってるだよ!」

 

「…沙花叉さん、寝ながら食べてますよ」

 

「おいしー」

 

 

無事焼き上がったクッキーをholoxのメンバーで食べていた。きっと今まで作ってきた手料理の中で一番の出来だろう。そう思っていると一つの案が僕の頭の中に浮かび上がった。

 

 

「…文化祭でこのクッキー出しますか?この美味しさなら十分に出せますよ」

 

「へへっ」

 

 

風真さんは気恥ずかしいそうに喜んでいるがお世辞なしに風真さんのクッキーは美味しかった。

 

 

「ん?良いと思うぞ。飲食を出す許可は降りてるんだろ?」

 

「一応申請はしてます」

 

「名前は風真クッキーで良いんじゃないか?」

 

「恥ずかしいんでござるが?」

 

「せっかく作るのでいろんな人に食べてもらいたいですよね」

 

 

僕の案に答える様に総帥が一つ提案してくれた。

 

 

「じゃあこんなのはどうだ?このクッキーをいろんな人に渡して回るみたいな」

 

 

そんな総帥の考えを聞いた風真さんが

 

 

「……UBER GOZARU?」

 

 

っと言った。

 

 

「僕、100点」

 

「鷹嶺、100点」

 

「こより、100点」

 

「ひゃくうぅー」

 

「吾輩、120点!」

 

 

だから何の点数でござるか!

 

 





一周年おめでとうございます。
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