なかなか書きたい話が決まらず、気が付いたら二月が終わってました。申し訳ないです。
今月は3〜4話ほど投稿出来ると思います。
一応、今回から新しい章です。
夏休みの宿題で出る日記って後回しにしがちだよね
「バイト見て!見て!」
「どうしましたか?総帥」
スイギョウザ観察日記を書いている時、総帥が自慢げにA4サイズのノートを開き、僕へ見せびらかしてきた。
「コーラの成長日記つくった!」
「ま〜た変なの作りましたね」
コーラの成長という異質なワードから頭が痛くなる。
ノートをよく見ると内容は意外にもしっかりと書いてあった。
「まぁ僕もholoxのバイトを始めて時間が経ちます。大抵の事では驚きませんよ」
「こんなにも立派なコーラが咲きました」
「変化球ときましたか。危うく驚く所でした」
僕は大きく息を吸い込み吐き出し、言葉を投げかける。
「…コーラが咲くってなに?」
すると何処から持ってきたのか総帥の手には小さな植木鉢。
そこから生えている草木にはアルミ缶のような物が実っていた。
「うわっなんだこれ。本当に咲いてる」
いやこれどういう原理で咲いてるの?
予想の斜め上が来た事を驚いている僕を横目に総帥は実っているコーラを一つもぎ取る。プルタブを引きプシュっと炭酸の音が響いた瞬間、ぐびっと中身を飲み込んだ。
「ぷはっー!やっぱ美味しい!」
「…あんまり考え過ぎない方が楽な気がしてきました。総帥、僕も一つください」
そういえばこの前にコーラ咲かせるとか言っていた様な気がするし、大方博士の薬が関与でもしているのだろう。
「ん?いいよ〜」
「ほれ」っと言いながら総帥のとは別の物を渡される。僕は受け取り、総帥を真似、コーラを喉へ流し込む。炭酸が強かった為か少しだけ喉が痛んだが、味は普通のコーラとなんら変わりなかった。
「普通に美味いっすね」
「吾輩の優しさで包まれてますんで」
考え過ぎない方が良いと言ったがどのように育ったかは気になってしまうのは至極真っ当な事であるだろう。
いやだってコーラが咲いてるんだもん。
「すみませんがその観察日記、借りても大丈夫ですか?」
「勿論だ。吾輩の力作に感激するなよ?」
「御意」
自信満々に渡してきたノートを受け取り、表紙を捲る。
日にちが書かれ、数行の文字が書かれた日記から僕は小学校の時代を思い出した。確かアサガオを一瞬で枯らしていた気がする。
そう思いながら最初のページに視線を向けた。
今日から日記を書いていくぞ。
博士から貰った薬も有るし、成功するのは確実だろ。
咲かせた後はバイトにでも高く売る
驚かせよう。
簡潔にまとめられた作文。
斜線が引かれていた所は見なかった事にしよう。
2日目にして薬の効果が出てきたな。流石こより印。
もう芽が出てきてるわ。
コーラとのご対面も時間の問題だとみた。
「意外と早く芽が出てたんですね」
「吾輩、愛情込めてるんで」
おぉ〜!
結構成長してきたぞ!吾輩植物育てる才能あるかもしれないな!
買う物
・人参
・玉ねぎ
・ナス
・ラプのお菓子
「いやなんかこのページだけ買い出しのメモ書きとして使用されてますよ⁉︎」
「幹部が使っていた気がする」
「なんでここにメモしたんだよ鷹嶺さん!」
「確かこの日はカレーだったな」
…少し雲行きが怪しくなってきた。
日記だからと軽視していた僕を殴りたい。著者はあの総帥だ。普通な物のはずがない。
書くの面倒くさくなってきたし新人にでも書かせよう。あいつ暇そうにしてるし
「あれ?こっから先は総帥が書いてないんですか?」
「途中だけな。飽きちゃって新人に任せちゃった」
なんで沙花叉がにっきをかかないといけないんだよ!!こんなのてきとうにかいてやる!らぷらすはこども!QED!ぽぇぽぇ!
…なんか総帥馬鹿にされてる。
「吾輩読めなかったんだよね。これ」
「いやまぁ読めなくて正解だと思います」
その言葉に総帥は首を傾げていた。
メモ書きを除けば思っていたよりも普通の成長日記だという事に僕は少しばかり疑問を感じる。
「なんというかここまでは普通の植物と大差無いですね」
「最初の方は普通の植物と同じだったな」
最初の方という言葉から特異な箇所が少なからずあると予測する。
「てことは何処で変化があったって事ですか?」
「コーラを育てるぐらいだからな。一つや二つぐらいはあって当然だろ」
「その時の日記を見せてほしいです」
「あぁ〜。いつ頃だったっけ…ちょっと貸して」
持っていたノートを持ち主へ返し、総帥は思い出す様にノートをペラペラと開く。お目当てのページを見つけたのか「あった!」っと声を出し、僕へ見せてきた。
…コーラは当分飲みたくはないな。
「何があったの⁉︎」
「吾輩は真理を知っちゃったんだよ…ハハッ」
乾いた笑みを出しながら上手く笑えていない総帥を見て、僕の背筋が凍る。
「今バイトが持ってるそれ…フハハッ」
「怖い!怖い!怖い!」
その発言により一瞬にして、今握っている物が値の知れない物に見え、溢れないように机の上に咄嗟に置いた。
「慣れって怖いな」
「今はあんたが一番怖いよ!」
「新人が書いてくれたやつもあるぞ」
しゃちはこーらがすきですゆるしてください
「沙花叉さん⁉︎」
「新人はこっち側だったな」
「いやこれかなりトラウマ植え付けられてますよ⁉︎海の王様頭下げちゃってますもん!」
「あと変化があった所は…」
あんなの見たくなかった。
コーラを咲かせるのは禁忌だったんだろう。
「だから何を見た⁉︎」
「この世には知ってはいけない事もあるんだよ」
「愛情込めて作ってくれた物をこう言うのは悪いと思うんですが!ちょっと飲んだ事後悔してます!」
「バイトはそっち側なんだな」
総帥は視線を僕の背後に向けながらそう言う。
「えっ!何々⁉︎何が見えてるんですか⁉︎」
「あっ…」
「なんのあっ⁉︎後ろ⁉︎後ろに何か居るんですか⁉︎黙ってないで言ってくださいよ怖いから!」
自分のsan値がゴリゴリ削られる感覚に陥る。
すると僕の怯えを遮るかのように隣の部屋の扉が勢いよく開けられる。そこから姿を現したのは
「いや〜こんな立派成長させちゃってからに」
「た、鷹嶺さん?…どうしたんですか?」
「やべっ!」
鷹嶺さんの姿を見た総帥はコーラが実った植木鉢を庇うように自分の体で隠していた。しかし総帥の体のサイズでは隠せない程に成長している植物…無論、丸見えだった。
「駄目だよー。コーラ咲かせちゃあ」
「や、やめろぉ!これは吾輩が1人で一生懸命育てたコーラだ!」
「いや沙花叉さんに手伝わせてたじゃないですか」
「飲み物とか食べ物にこよりの薬を使うのはholoxの規約違反だって知ってるでしょ?」
「だ、脱法だ!バレてないから脱法!」
んな無茶な。
「なんならバレちゃってるよ?」
「合法性が仕事してない気がしますけど…。ていうかそんな規約、最初から有りましたっけ?」
規約自体は高い頻度で更新されてる為、規則が増減したとしても不思議には思わない。前なんて"海君は週2で沙花叉の部屋掃除をする"っと付け足しされていたから黒ボールペンで消しておいた。
「餃子の生物化の影響で生じた多大なる損害と向き合ってね」
「それで追加したって事ですね」
「だったら幹部!バイトだって外で育ててる野菜に博士の薬かけてたぞ!」
「いやまぁ…バレてないから」
僕は視線を総帥へ向け、ドヤ顔をする。
「うわっ!その顔腹立つ!」
「最近教えてもらった相手を煽るスキルです」
「誰から教わったんだよ!」
「某シャチさんです」
名前は秘密です。匿名性を出さないと怒られそうだし。
コツは口角を少しだけ上げる事。
「取り敢えずその植木鉢は没収だね」
「こ、こんな所で吾輩の大切な
そう大きな声を出し、植木鉢を持ちながら外へと逃げ出した。
「あっ逃げた」
「あっ!ラプラス!」
「捕まえれるもんなら捕まえてみろ!」
慌てて鷹嶺さんも追いかけるように外へ出る。
初めの静かさに戻ったアジト。1人取り残された僕は何を思ってか机の上に置かれていたコーラ観察日記の最後のページを開き、近くにあったペンを握り文字を書き始めた。
コーラ育てて怒ーられる
「…後で鷹嶺さんに採点してもらおう」
そう言いながら残っていたコーラの缶を握る。
何故か僕が握っている缶はやけに冷たかった。
幻のバレンタインの話をどうするか考えてます。
因みに自分の最初で最後のバレンタインチョコは同性の友人から貰ったやつです。先生にバレないようにと受け取った場所はトイレでした。軽くトラウマです。