秘密結社のバイトの日常   作:ライ麦小麦

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どうも先月あと3話ぐらい投稿すると言って投稿しなかった作者です。

ふと焼きそば食べている時に思ったんですけど「」の隣に喋ってる人の名前を書く、所謂台本形式なんですけど無い方が読み易いですか?
試しに今回は台本形式じゃなくしてみました。

個人的にはこれの方がなんかこうシュッってなってかっちょ良かったんで無しに変更したい所存です。



博士と楽しい釣り体験。

 

 

 

「…釣れないですね」

 

「…ずのー」

 

 

現在、僕と博士が居るのはアジト付近の潮の香りが漂う防波堤。

アジトでゴロゴロしている僕へ「釣りに行こう」っと突如誘われ、大漁という淡い期待を抱いていたが…現実は空のクーラーボックスを見ながら竿を握っているだけだった。

 

 

「にしても博士から誘ってくるなんて珍しいですね。何かあったんですか?」

 

「少しだけこの地域の海の生態系が気になってね。何匹か採取しときたかったんだ」

 

「だから自分で釣ろうってことですか?」

 

「うん!海君を誘ったのは僕1人だけだと寂し…海に落ちちゃったら助けてもらう為!」

 

 

そんな期待を向けられてしまったが、一点残念な知らせがあった為、僕は告げる。

 

 

「…僕、泳げないんですよ」

 

「えっ?そうなの?」

 

「僕の泳ぎを観たら子供が泣くぐらいです」

 

「…こよの麩菓子(ふがし)食べる?」

 

「ありがとうございます。いただきます」

 

 

僕は誰よりも泳ぎが下手くそな事を自負している。

あまりの下手くそさについたあだ名は悪○の実を食べた漢。海賊王だって夢じゃない。

 

気まずい空気の中、貰った麩菓子を(かじ)りながら青色に何処までも続く水平線を眺める。

このまま釣りをするのが少し寂しいと考えた僕は博士へ話題を振った。

 

 

「実はここの海、巷では少し有名なの知ってましたか?」

 

「ううん。知らなかった」

 

「変な物を見たという証言が数多くあるらしいです」

 

「例えば?」

 

 

僕の話に興味を持った姿を見ながら学校のクラスメイトが話していた内容を思い出す。

 

 

「…よく聞くのは…喋るサメ、ぬるぬる動く大きな影、あと海賊コスプレ女ですかね」

 

「待って最後の何?」

 

「僕もよく分かりません」

 

 

この話は所謂、都市伝説みたいなもので信憑性はそこまでない。だけど最後のやつに関しては現実味があって逆に怖い。

 

現実に戻ろうと先程と変わらない空の箱を見る。

このまま坊主で帰るなどと考えるとため息が自然と出てしまった。

 

 

「…釣る場所が駄目なんですかね?」

 

「塩焼き…お刺身…お味噌汁…」

 

「いや博士。気が早いですって。釣れてから考えるやつですよ。それ」

 

 

約3時間、ここで座っているが魚が食いつく気配すら無い。ただ運が悪いだけなのか…はたまた何か理由があるからか。僕は博士へとある見解を言う。

 

 

「もしかしたらコヨーテの博士に怯えて魚が近寄って来ないんじゃないですか」

 

「なに〜?お魚さんこよにびびっちゃってるの〜?」

 

「…頭ピンクコヨーテだから?」

 

 

ぼそっと言ったそんな僕のデリカシーの欠けた言葉を聞いてしまったのか、博士は無言で近寄り、両手で僕のほっぺたをぐいーっと引っ張ってきた。

 

 

「うひょでひゅ!うひょでひゅ!ひょーふぁん!」

 

「最近はピンクじゃないでしょ!」

 

「わかりまひぃたから!ひっふぁるのひゃめて!」

 

 

ヒリヒリと痛む自分のほっぺたを労りながら今度から言葉選びは慎重にやろうと結論付けた。

ふと握っている自分の釣り竿に違和感を覚える。

一瞬戸惑ってしまったが今日、初のHITだと理解した。

 

 

「あっ。やっとかかりましたよ!」

 

 

咄嗟にロッドで相手の動きに合わせる。

体が持ってかれる感覚を味わい、もしかしたら大物だという期待から胸が高鳴った。

数十秒間のファイトのおかげで水面に魚影が見える所まで接近する。

 

攻防の末、餌にかかった物が水面から姿を現した。

力み過ぎたからか釣り上げたものは僕らの背後へ飛んでしまう。

 

 

「意外と大きかったんじゃないですか?」

 

「…なんか人みたいな形してなかった?」

 

「人?」

 

「んー?こよの気のせいかなぁ」

 

 

気になった僕らは後ろをぐるっと振り返り、釣れた獲物を見る。

 

 

 

 

 

 

 

「あっどうも。シャチの沙花叉クロヱです」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「そういえばコレそういう感じのヤツだ!!」」

 

 

 

 

 

釣れたのは魚を咥えた沙花叉さん。

なんかもう色々と嫌になってきた。

 

 

「あっ!餌にしてたお魚食べてる!」

 

「シャチなもんで…」

 

「"通なもんで"みたいに言わないでくれます?」

 

「…泳げ沙花叉くん…」

 

 

何処かで聞いた様なフレーズを言う博士。

 

 

「さっきので十分過ぎたのに海に逃げ込んだたい焼きの歌の主人公みたいな新キャラを今出さないでくださいよ!」

 

「そもそもなんでクロたんが海で泳いでるの?」

 

「魚を獲ってた」

 

「もしかしてシャチの本能、目覚めかけてます?」

 

 

よく見れば沙花叉さんが手に持つバケツに沢山の魚が入っていた。魚が釣れなかったの沙花叉さんの所為な気がする。

 

僕はバケツを手に取り、凝視した。

 

 

「…見た感じだと鷹嶺さんが言っていた魚はいないですね」

 

「海君、ルイルイに何か頼まれてたの?」

 

 

鷹嶺さんへ釣りへ行く旨を伝えた際、食べたいと頼まれていた魚が一匹居た。僕はメールで送られた写真を見せながら博士の質問に答える。

 

 

「シーバスって魚です。なんでも夏が旬で美味しいらしいですよ」

 

「あーすずきかぁ。この時期は太ってて美味しいって聞くからねぇ」

 

 

僕たちの会話を聞いた瞬間、沙花叉さんの目の色が変わる。

 

 

「分かった!沙花叉頑張る!シーラカンス見つけてくる!」

 

 

そう言いながら意気揚々と海へと飛び込んで行ってしまった。

多分あの人、鷹嶺さんが壺売ったら買う気がする。

 

 

「…なんか生きた化石探しに行っちゃいましたよ?」

 

「クロたんは何年後に帰ってくるんだろう」

 

 

なるべく僕が生きているうちに見つけてほしい。

僕は目線を変え、沙花叉さんのバケツを指さす。

 

 

「どうしますか?僕たちの目的が果たされちゃいましたけど…」

 

 

この量ならこれ以上釣りを続ける意味も無い。

しかし博士の方は止める気は毛頭無いようだった。

 

 

「…こよだけ釣れていないのは悔しい…」

 

「あっ。僕は釣れたことになってるですね」

 

 

果たしてシャチが釣れたことはカウントしても良いのだろうか。

そんな事はお構いなしに博士から負けたくないというメラメラと燃え上がる思いが僕へと伝わって来た。

 

 

「博士。僕はいつまでも付き合いますよ」

 

「待ってて!僕が美味しい魚釣ってあげるから!」

 

 

気合のこもった声を聞きながら、新しい餌を付ける為、僕は自分の釣り竿を持つ。

その時ふと思ったことを質問した。

 

 

「そういえば博士はどの餌を使っているんですか?」

 

「餌?えっとねぇ」

 

 

博士は淡々とリールを回す。

僕が予想していたのは虫エサやイカの切り身などだと思っていたがどうやらそうではないらしい。

 

水飛沫と共に海から上がってきたのは…

 

 

「スロット」

 

 

スロット⁉︎

 

 

ドデかいスロットだった。

 

 

「なんでスロットを餌にしてるんですか⁉︎普通機械を餌にしないでしょ!」

 

「ギャンブル好きの魚もいるかもでしょ!」

 

「思考がギャンブラー!」

 

「大丈夫!設定は6だから!」

 

「そういうことじゃないんですよ!ていうか精密機械なのに海水に浸して大丈夫のんですか⁉︎」

 

「完全防水に改造しているんで大丈夫です!」

 

「くそ!意外と対策して来てやがる!」

 

 

沙花叉さんが獲っていたのもそうだけど、今まで魚が寄ってこなかったのコレも要因の一つな気がする。

ピカピカ光っているし。

 

 

「そりゃスロットを餌にしているなら魚達も戸惑って近寄れませんよ!」

 

「分かんないよ!研究結果がない以上、可能性は0じゃない!」

 

「多分誰もやろうとしないからですよ!"よし釣りしよう!餌ならスロットの方が効率が良いかも!"って普通はならないでしょ!」

 

「これで釣れるまで、こよは帰らないよ!」

 

「いつまでも付き合うなんて言わなければ良かった!」

 

 

またもや自分の発言を誤ったことに後悔していると、博士の釣り竿が揺れていると気がつく。

つまり、スロットに魚が食いついたという事を表していた。

 

 

「あっ食い付いた」

 

「んなあほな」

 

 

そんな間の抜けた返しを僕はしてしまう。

そりゃスロットで魚を釣れたら誰でも驚くだろ。

 

瞬時に博士は釣り竿を握り、僕と同じ動作をする。

釣られそうになっている物は弱っている様に思える程、抵抗はしてこなかった為、案外簡単に釣れてしまった。

 

一番重要なのは何が釣れたか。

 

恐る恐るスロットと共に上がってくる物を僕らは見つめる。

 

 

 

 

 

「なんで設定6で当たらないんだよ!収束してよ確率!」

 

 

 

 

 

慣れた手つきでスロットを打つ沙花叉さんだった。

 

 

 

 

 

 

 

「「またか!!スロ叉!!」」

 

 

 

 

 

 

 

「誰がスロ叉だ!」

 

 

 

 


 

 

 

数匹の魚が入ったクーラーボックスと釣り道具を持って僕らは帰路を辿っていた。流石にあの量は食べきれないという事で、3分の2は海へと返す事にした。

 

夕焼けが眩しく感じる中、僕は博士へ感謝の意を表する。

 

 

「初めての釣りで色々と心配でしたけど結構楽しかったですよ。誘ってくれてありがとうごさいます」

 

「海君初めてだったんだ」

 

「中学時代の友人と海水浴には行ったことがあります。けど釣りは無かったですね」

 

 

海水浴といっても泳げないからずっと砂遊びをしていたな。職人技というのだろうか、砂遊びを極め過ぎて立派なお城を作ったこともある。

 

そんなどうでもいい事を思っていると沙花叉さんが僕の心を抉る言葉を言い放つ。

 

 

「海くん…友達居たの?」

 

「ゴホッ」

 

 

吐血する思いで僕は自慢するかの様に言い返す。

 

 

「か、片手で数えれるぐらいですけどね」

 

「どんな人が居たの?」

 

 

ふと中学時代を思い出す。

 

 

「…多分写真見た方が早いです」

 

 

…思い返してみれば僕の友人は個が強すぎて言語化出来ないような気がする。

僕は自分の携帯を取り出し、写真フォルダのアプリを開く。上の方へスクロールし、お目当て物を見つけ沙花叉さんへそれを見せた。

 

 

「どうぞ」

 

「集合写真?」

 

「おぉ海君ボロ泣きだ」

 

「涙腺がゆるゆるなんです。卒業式なんて我慢出来るわけないですよ」

 

 

見せたものは卒業式の際に撮った僕を合わせた六人の集合写真。

今思えば結構充実した学校生活が送れていたと思う。

そんな感傷に浸っていると沙花叉さんが僕の服の袖を引っ張って来た。

 

 

「…ねぇ海くん…この子…」

 

 

そう言いながらとある人物に指を指す。

 

 

「…この子がどうしたんですか?」

 

「ど、どんな子だったの?」

 

 

指されたのは頭に帽子を被る紫が似合いそうなとある少女。

 

 

「えっと…専攻で魔法学を学んでいましたね。その分野に関してかなり優秀で地元では結構有名でした」

 

 

僕自身、選んだ専攻は違えど、何度か教わった事はある。才がないからか使えなかった時は「こんなんも出来ないの〜?」っと煽られたのはいい思い出だ。…なんかどっかの総帥と似てるかも。

 

確か今は推薦入学で魔界の方で勉学を励んでいると知り合いから聞いた。何度かお邪魔したことがあるが…あっちの世界はどうも僕の体が受け付けず苦手なんだよな。

そんな事を思っていると、突然沙花叉さんからとある提案をされる。

 

 

「こ、この女の子の写真…貰っていい?」

 

「えっ?いやまぁ別に構いませんけど…何に使うんですか?」

 

「ふへへ〜秘密!」

 

 

僕は沙花叉さんの携帯へ写真のデータを送る。

途端に喜びステップする沙花叉さんを追いかける為、僕と博士は又歩き出した。

 

 




偶に自分も釣りに行きます。
あと深い意味はないんですが私目のノートパソコン、何処行ったか知ってる人いますか?
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