男だって戦車道がしたい   作:侯爵亭

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突発的な思い付きで書いております。
生暖かい目で、どうぞ見てやってください。
書いてみて、文才の無さを痛感しました。ヨシ。

ガルパン10周年おめでとうございます。
まだまだ、最終章も残っていて楽しみが続いていくのがうれしいですね。


プロローグ

「無理です。諦めなさい。」

「母さん、そこんところなんとかならないかな。」

「無理です。諦めなさい。」

 

全く同じ言葉で、こちらの願いは否定される。

この問答もかれこれ30分は続いている。どう頼み込んでも、無理の二文字で終わってしまう。

どういった経緯かというと、ここは西住家の一部屋。対峙している二人のひとりは、西住しほ。西住流師範で西住まほ、西住みほ、そして今、対峙している最後のひとり、西住吉継の母である。

 

「やっぱりさ、どうしても戦車道やりたいんだよね。戦車乗りたいんだよ。」

「無理です。諦めなさい。」

「高校の三年間だけでいいから、戦車道やりたいんだ。」

「無理です。諦めなさい。」

 

眉ひとつ動くことなく、決まったように否定するしほ。

対する吉継は、困ったような諦めたような表情で懇願している。

 

「戦車道は女性の競技です。何故そこまでこだわるのです?戦車に関わるなら、今のまま整備の技術を磨いて整備士としてでよろしいでしょう。」

「いやさ、そうなんだけど。憧れなんだよ、戦車道。ずっと憧れ。まほ姉やみほがやってるのがずっと羨ましいいんだ。」

「吉継。あなたが、憧れてるのは分かります。ですが、吉継は男です。だから、戦車道を履修することはできないの。でも、あなたの整備の腕は聞き及んでます。十分な力量があるのですから、このまま行けば戦車道における専属整備士として将来的に携わっていけるわ。」

 

普段は、多弁を好まず厳しいことの多い母であるが、諭すように吉継に問う。母の言うことはもっともであった。戦車道は女性の競技で、吉継は男。ただそれだけで戦車道は出来ない。そして、母の言うように整備の腕は確かである。戦車道の二大流派の西住流で、幼少より戦車に触り、父である常夫の背を見て育ってきたからこそ中等部でありながら整備士としての腕は、他の人よりも抜きんでていた。だから、整備士を目指して高校に進学して行けば最終的には何処かの学園辺りに整備士として活躍できるだろう。

 

だが、憧れー

憧れ。ただそれだけに尽きる。戦場を駆け回りたい。硝煙の中、戦略と戦略をぶつけ合ってみたい。試合をしてみたい。

憧れ。どうしようもない、戦車道への憧れが吉継に影を落とす。整備をしていると、どうしても戦車道がしたいという欲求が湧いてきてしまう。

いつも羨ましかった。姉である西住まほ、双子の片割れである西住みほが戦車道をしているのが、試合をしているのが羨ましかった。家では、練習として付き合い戦車に乗って練習したり、机上の戦略を話すことができるが競技には参加できない。

その違いが、どうしようもなく羨ましく、どうしようもない憧れになっていた。

 

「でも、元々は戦車は戦争の兵器じゃん。戦時中は、男が乗って戦っていたわけだから、参加できてもいいと俺は思うよ。」

「そうね。戦争の兵器、その畏怖を払拭し競技へと落とし込んだのが戦車道よ。そして、女性の社会進出を推進するように生まれた競技。だから、吉継はできないの。戦車道連盟で決まっていることよ。戦車道の競技参加は女性。私が師範でも競技資格を変えることは無理よ。諦めなさい。」

「まあ、そうだよね。駄目元では、あったけど仕方ないね。母さんの言う通り、整備士として進学していくよ。」

「ええ。そうしなさい。」

 

母の言葉にやっぱり駄目か。と眉根ん下げながら苦笑いに近い表情で返事をし、母を見れば珍しく自分の返答に少し申し訳無さそうな顔をしていた。

結局は、懇願が実らず、実家にいても仕方ないので、その日の内に自分が通っている学園艦へと戻って行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

時は変わり、ある学園艦の中学校。

戦車道は、渋々諦め。進学先の高校を決めなければならない。

中学三年生は、進路の岐路に立っていて各々の目指す学部や部活で進路先を決めたり、推薦で決まったり、はたまた偏差値に頭を悩ませたりしては談笑や愚痴り合いになっている。

 

「西住。お前は、進学先どうすんの?」

 

教室で、ぼーっと頬杖付き窓から外を眺めていると、三年間共に過ごした親友が飲み物を片手にやってきた。

 

「んー、どうすっかね。このままエスカレーター式で上がって整備科でもいいかな。」

「やる気ねえなぁ。戦車道するって息巻いて帰って無かったっけか?」

「駄目だったよ。戦車道は女の競技。男は参加する術は無いから、諦めなってね。」

 

割り切れ無い憧れを引きずったまま。生返事で返答すれば、苦笑しながら自分の前の席に座ってくる。

 

「そっか。だけどさ、なんか西住お前ならやらかしそう気がしてたんだよな。」

何がよと、視線だけ目の前の親友に投げかけた。

「俺もさ、西住に触発されて戦車道の試合の映像観たりしてんだけど、西住って黒森峰の西住みほさんと姉弟だろ?」

「双子な。だからってなにさ。」

「いやー、瓜二つ過ぎるじゃん。だから、突拍子も無いことするじゃないかって思ってたのよ。お前、入学の時も下級生にも最初は男装してる女がいるって噂になるからさ。地声も高いし。」

「あほくさ。吉継って名前で分か・・・・・」

 

西住みほ。双子の片割れが吉継。昔から、みほと瓜二つだからよく女に間違えられていた。母さんでさえ、名乗らなければ見分けがつかないくらいには今でも外見は似ている。外見だけは、いつも間違えられるからいつも通りのやり取りを返そうとして気付いた。

 

俺の返答が途中で止まったことに、訝しそうに見ている親友に

 

「それだよ。お前天才だな。そうだよ、全然気付かなかったわ。」

 

親友の一言で気付くことができた。みほと瓜二つで、女に間違えられる。つまりは、女装すれば戦車道できんじゃん。

鬱屈とした、人生のひとつの節目の岐路に光明が射した。

 

「何がよ。」

 

親友の問いに、

 

「俺、女になるわ。そんで、高校は戦車道やるわ。本当に感謝するわ。」

 

そう返答した後、携帯で全国の学園艦の総合説明会が内陸であることを知り、自分が入学する高校を決めようと決意した。

やべえ、冗談だったのに。って顔をしている親友には気づかず、天啓を得た俺は戦車道がやれることに舞い上がっていた。

 

「おい、本気かよ西住。冗談のつもりだったんだ。流石に男捨ててまでは無いよな?」

「ん?当たり前だろ。女装だよ、女装。」

「いや、それ犯罪じゃ・・・」

 

親友が咎めようとした口を慌てて塞ぐ。一瞬、クラスの連中がこちらを見るが、何でも無いと手を振る。

 

「馬鹿。声が大きいっての。」

「いくらなんでもやばいだろ。」

「いいか、これはチャンスなんだよ。戦車道ができるチャンスだ。それに、最後までバレなければ問題無い。」

「問題しかねーよ。」

「とにかく、今週末の説明会に行って受験先を決めてくる。」

 

親友の溜息を背に段取りを決める。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

という訳で、説明会会場にやって来たぜ。

既に会場では、様々な学園がパンフレットを配りながら説明や、モニターを使い動画での学園や学園艦の様子を流している。

ん?格好はどうしたのかって?制服扱っている服屋で、女子制服を買ったさ何とも言えない目で見られたが、戦車道ができるなら安いもんさ。

黒髪ロングのウィッグに赤いカラコン、女子制服で完璧だな。誰かと話す時は言葉遣いも変えよう。

後は、何処の高校にするか。一応、黒森峰などの名門校も来ているがパス。西住の息がかかって姉妹がいる所に行くなんて、ただの自殺行為だ。強豪校もリスクが高いな。早期にバレる可能性がある。サンダースなら三軍まであるから、アリかもしれないが長崎を母港にしてるから近すぎるんだよな。そうすると、絞られてくるなメイプルも北海道で離れててアリだな。ただ、やっぱり戦車道やってるところは、全国大会出場してるよな。

 

「んー、どうしましょうかねー。戦車道やるのにどこがいいかな。」

 

ベンチに座り独り言を漏らし、実家にバレるリスク計算をしながら、配られている各学園のパンフレットを見て志望校を決めあぐねている。学園艦の暮らしや学園の生活は正直どうでもいい。三年間バレずに戦車道ができる環境が在ればいい。それが難しいのだが・・・

 

「うちの学園にも、戦車あるからさー。良かったら来てみない。経験者が居てくれると助かるんだよねー。どう?」

 

ふと、広げたパンフレットの上に被せる様にパンフレットを見せながから声をかけられる。渡されたパンフレットには、『県立大洗女子学園』の文字。顔を上げれば、大分小柄なツインテールの少女がにこやかに話しかけてきた。

大洗女子学園。戦車道に関して、どこの学園が取り組んでいるか大体は把握しているつもりだが、この学園は聞いたことも見たことも無い。

渡りに船。正にこのことだと思う。無名校での戦車道なら、バレずにのびのびとやれる。ならば、二つ返事だろう。西住流に逃げるという文字は無い。

 

「大洗女子学園ですか。」

「そーそー。どう?うちの学園に来てみない?」

「宜しくお願いします。」

 

食い気味な返事に、彼女は若干引き気味になったが

 

「そっか。んじゃ、よろしくー。あたしは角谷杏。入学待ってるよ。」

 

うんうんと頷き、彼女こと角谷杏は一度手を振り去っていった。

そして、俺こと西住吉継の入学先が決まった。

 

一番身バレの危険が高く波乱が待っているとは、誰も予想がつかないことでそれはきっとまだ先の話である。

 

 

 

 

 




親友の独白
中学三年間を共に過ごして、西住が戦車道が好きなのは知っていた。自分も西住に付き合っているうちに多少は詳しくなった。アイツは、戦車道の戦車の整備がしたいんじゃ無くて、戦車道そのものがしたいんだなってことも、三年目で気が付いた。だから、ちょっと魔が差したというか冗談のつもりで、焚き付けたら本当にこっそり受験して女子校に行っちまった。俺は、悪魔の導きをしてしまったのか正直悔やんでいる。
というか、普通真に受けて女子校に行かねぇだろ。おかしいわアイツ。やっぱ、俺は悪くねぇな。
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