カガヤクンデス・マーチ!   作:Naoh_Seiju

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〇 状況の説明不足部分を少し加筆しました。
※:オクト・エキスパンションのネタバレを含みます。ご注意下さい。
※:この作品の設定は私の想像の産物です。
  公式設定と齟齬があった場合は、生暖かくスルーして下さい。
あるオクトリングが、地上で出来たインクリングの友達とバイトの訓練を行うお話です。
前作でサキが情けないシーンばかりだったので、少しはいいトコも見せたいな…と。
「どうして3カウントがドイツ語なんです?」「真面目で頑固というタコの性分が、創作のドイツ人っぽいから何となく。あと0のヌルがタコっぽいし」


カガヤクンデス・マーチ! 2

敵、オオモノシャケ三体…健在。

味方、私のみ生存。

味方の救助信号が飛び交うが、作戦成功が優先される…制限時間一杯逃げた方がいいな。

あと数秒…逃げ切る!

 

ドライ…

ツヴァイ…

アインス…

ヌル!

 

イクラコンテナからファンファーレが鳴り響き、シャケが撤退して行く。

集まって来る仲間の浮き輪にスプラッシュボムを投擲し、蘇生させる。

はしゃぎながらSPを祝砲代わりに撃つ仲間達を見ると…

(それは作戦遂行中に使って欲しかったのだが…)

肩を落としながら、とりあえず称賛信号を送る。

 

 

「いや~、今回も助かった! あんがとな、ゴロー!」

「バイトのセイコウのためサイゼンをつくしただけ…だ」

ロブズ・10・プラーの前のテーブル席でサキとくつろぐ。

「最後は俺達に構ってたらアウトだったもんなぁ…あ、俺アゲホイップね」

「そのハンダンができるならジュウブンだ…ロブサンドをヒトツ」

ここもすっかり馴染みの場所となりつつある。

私が地上へ逃亡して来てそろそろ一ヶ月になるだろうか?

オクトリングのNo.5600023であった私は、『ゴロー』と呼ばれる様になった。

初めてのバイトで知り合ったインクリングの『サキ』は、『トモダチ』なる関係である。

「むぐむぐ…そういやゴローの田舎訛り、大分クセが消えて来たな。都会に染まったってヤツか♪」

「イナカ…まあブンカレベルでいえばそうかもしれんが…」

インクリングは本当に深く考えないのだな…よく見れば私がイカでないと分かると思うのだが。

 

 

「お、どこかで見た顔だと思えば…」

「…久しぶり」

「バイトリーダーにハチさん、ちっス!」

「いつぞやはセワになった…」

地上に出て初めてのバイトで、チームを組んだバイトリーダーとオクトリングの女が声を掛けて来た。

私達の隣に腰掛けると、各々がドリンクを注文する。

「はぁ…やっぱバトルはだりぃ…」

覇気の無い声でバイトリーダーが呟く。

「バイトリーダーって…もっと気合入って無かったッスか?」

「…4号、バイトの時は元気なんだけどね。普段はあんまり、やる気が無い」

「こっちが素の俺だよ…テキトーに生きてぇ」

「…バイトになったら少しは頼れるのに。3号さんを見習って欲しい」

「俺は3号ってイカじゃねーよ…そもそも知らねーし。 …つーかお前らは何してんだ?」

アゲホイップを食べ終わり、指を舐めていたサキが口を開く。

「いやね、ゴローの田舎訛りが抜けたなーって話をしてたんスよ」

「…田舎?タコの言葉じゃなくて?」

「タコ…?何スかそれ?」

「まぁそう思うよなぁ…俺もハチに逢うまでそんな感じだったし」

イカダッシュアップルを飲み干したバイトリーダーが、懐かし気に答えた。

「そうだな…サキ、おまえはテンタクルズのファンだな、とくにイイダの」

「うん!あの困り顔サイコー!超可愛い!! …で、何でイイダの話?」

「カノジョはオクトリング…タコだ」

「…は?」

サキの顔を見るに、やはり分かっていなかった様だ。

インクリング側からすれば、大ナワバリバトルも忘却の彼方…か。

しかし…普段はこのような感情は生まれないのだが、相手の知らない知識を披露するのは気分がいいものだな。

…知識の積み重ねを是とする、オクトリングの習性なのだろうか?

なんて思っていたら…

「…ゴロー、そのイイダさんが、元タコワサ将軍のワサビ補給部隊の一員だったのは…知ってる?」

「ナンダト…!?」

私の知らない知識を披露された…やはり知識マウントはオクトリングの性なのか。

いや、そんな事はいい。

もしそれが本当なら…彼女のオクトリングに対する影響力は凄まじい事になる。

「…で、そのタコってのは…何?」

「普通そー思うよなぁー」

「…あたしやゴローはタコであってイカではない、だけど…それだけの話」

「りょーかいっス!」

「…カルイナ」

「最近はここいらでもよくタコを見かけるし、マジで気にする必要なんてねぇよ。そんな事よりバイトにでも…」

「…4号、今日は超大型シャケの調査」

「そうだった。 …クマサンの旦那の頼みなら、しょうがねぇよなぁ」

「…4号はよく分からない相手を信頼し過ぎ…」

「だってさ、バイトさせてくれるんだぜ?いいヤツに決まってるって」

「…怪しい相手にネリモノにされかけたあたしとしては…知らない相手は簡単には信用したくない」

「ふぅん? …お前らも調査、来る?」

「当分勘弁っス…」

「まだワタシではヤクにたてそうにない」

「そか。んじゃまたな」

「…バイトに行くなら、気を付けてね」

二人はクマサン商会へを歩いて行った。

 

 

「まぁ、この前みたいな規格外のシャケは置いといて…もう少しバイトで活躍したいなぁ」

サキはバイトになると、何時の間にかに浮き輪になっている事が多い。

ただ、浮き輪になってからの状況判断は意外と侮れない。

つまり、目の前にシャケが居ると焦ってしまい、恐怖心で冷静な判断が出来ないのだと推測出来る。

もう少し落ち着いて周囲を見渡す事と、そのポジションを活かせるブキの扱いに慣れれば…

「ふむ…サキにそのツモリがあるなら、トックンしてもいい」

「マジ!?つーか特訓ってカッコいいな!頼む!!」

私も完全には習得していないが…タコスナイパー教本のいろは位なら教えられるだろう。

「それならば…ゲンバでトックンがいいだろう」

「現場?…ってバイトで!?」

「あぁ…ただし、ワタシたちフタリで…だ」

 

 

お馴染みのクマサン商会経由では無い、戦闘訓練に近い形式でバイトを行える施設がある。

そんな噂を聞いていた私は、いい機会だと利用してみる事にした。

「こんなトコがあるんだな…知らなかった」

「ワタシもハジメテだ」

事前にブキの選択も可能との事。

丁度いい…サキのブキはスプラチャージャーで固定にしておこう。

二人で船に乗り、現場へと赴く。

「…ここは変わんねーんだな」

「カリバがみえた。 …スーパージャンプヨウイ!…ドライ!ツヴァイ!アインス!……ヌル!!」

私達はインクの弾丸となって、空を駆ける。

 

 

「到着っと!さてブキは…げぇ!チャージャーかよ…」

「トックンといっただろう。コンカイ、サキのブキはずっとスプラチャージャーだ」

「マジかよ!もっとこう…引き金を引きっ放しでバリバリインクが出るブキがさぁ…」

「チャージャーをつかいこなすならシュウイのカクニンはヒッスだ。イゼンにハチもいっていただろう?」

「『…周囲をよく見る事』だっけか?」

「タカダイをおさえて、シュウイをカクニン。テキのウゴキをよくみてウツかニゲルかハンダンせよ」

…教本はこんな感じの内容だったと思うが。

「オオモノはまかせる。ワタシはザコと、チャージャーでショリのむずかしいオオモノをかる」

「…やってみる!」

「ヒカクテキシャケのおだやかなカイイキをシテイしてある。キラクにいけ」

「りょーかい!」

 

水位:通常

 

「落ち着いて…落ち着いて……食らえ!」

 

ピッ!…バシュッ!

 

バクダンの頭部をサキの一撃が撃ち抜く。

インクを周囲にばらまきながらバクダンは倒れた。

「おっしゃあ!よ~し、この調子で…」

「サキ!シュウイをよくミロ!」

「げ!来んなっ!!」

高台への坂を駆け上がるコジャケの群れに、チャージャーを連射して応戦するサキ。

しかし…返り討ちに合う。

「サキ、そのバアイはニゲタほうがイイ…」

 

ばっちゃばっちゃばっちゃ…

 

サキの浮き輪にスプラッシュボムを投擲しながら、周囲の雑魚を掃討する。

それにしても…このスプラッシュボムは素晴らしいな。

破壊力があり、飛距離もそこそこ出る。

何より、どのようなブキを持たされようが…こいつだけは不変だ。

私はスプラッシュボムの投擲技術を磨くとするか…。

サキの救助にも必要だろうし、な。

 

水位:干潮

 

「ひろいバショならシャセンがとおりヤスイ。つまりチャージャーがユウリだ」

「お、おう…」

「そうオビエルな。サキのエイムはナカナカのモノだ。あとはしなないタチマワリをみにツケロ」

「おう!」

「チャージャーはヌリもコナセル。レンゾクでトリガーをひきながらマヨコにあるけ」

「…こ、こう?」

 

バンバンバンバンバン!

 

「そうだ、それでアシバとニゲミチをカクホしてからソゲキだ」

「…高火力でシャケを倒すブキだと思ってた」

「ヌリはジブンだけでなく、ナカマゼンインのセイメイセンとなる…カツヤクしたいならヌリもわすれずに、ダ」

それにしても…サキも大分様になって来たな。

単体のオオモノジャケなら落ち着いて狙撃出来るし、逃げの判断も早くなりつつある。

軍務を強要させられるオクトリングと違って、気楽に生きているインクリングだとばかり思っていたが…

幼い頃から4vs4の模擬戦闘を繰り返しているのだ、素養はあると言う事か。

 

水位:満潮

 

「マンチョウジはアシバがせまくなる。そのブンこまめにシュウイをカクニンしないとテオクレになるぞ」

「苦手なんだよな満潮…気付いたら囲まれててさ」

サキがゲンナリとした表情でボヤく。

私も…得意ではないな。

ともかく先にタワーだけ処理しておくか。

迅速にタワーを折り、ついでにカタパッドを処理した。

だが…私もまだまだ訓練が足りなかった様だ。

 

 

「よし、もど…ナニィ!?」

完全に前方不注意であった。

気が付けばヘビに取り囲まれて…圧殺されていた。

「ゴロー!」

「…スマン。サキ、どうにかシノイデくれ」

「いや無理だって!俺だけじゃあ…」

「『…周囲をよく見る事』、ダ。オチツケ…おまえならシノゲル」

バクダンとヘビがサキの陣取る高台へと迫る。

敵、オオモノシャケ二体…健在。

味方、サキのみ生存。

さて、サキ…どう凌ぐ?

 

 

センプクしてインクを回復しながら、サキは周囲を見渡す。

「…ゴロー!ヘビのケツに着いて行ってくれ!」

「……ワカッタ」

サキが何を思い付いたのか分からない。

だが…今はサキに縋るしか、無い。

そのサキの後方に、シャケの群れが迫っているのを確認した。

…が、敢えて言うまい。

 

「高台を抑えて、周囲を確認。敵の動きをよく見て撃つか逃げるか判断せよ」

 

サキが教本の教えをどう実践するか、興味がある。

「タイミングが命だ…狙い撃つ!」

ヘビが身体をうねらせてにじり寄り、バクダンがインクの塊を天に掲げる。

「今…だ!」

 

ピッ!…バシュッ!

 

サキの一撃がバクダンを貫き、バクダンがインクをまき散らしながら破裂する。

(エイムはいい。だが射撃に専念すれば…後方のシャケは、どうする?)

 

 

バクダンが撒き散らしたインクをもろに被ったヘビのコックピットは、連鎖的に爆発。

そして私も、蘇生した。

(成程…)

「後は頼むぜ、ゴロー…」

射撃前に、後ろから迫っていたシャケも把握していた様だ。

状況把握、精密射撃…やはりサキは狙撃手に向いているのかもしれないな。

「マカセロ!」

残存していたシャケは、スプラッシュボムピッチャーで全て平らげた。

「バイトシュウリョウだ…そしてサキのキソクンレンも、な」

 

ばっちゃばっちゃばっちゃ…

 

懸命に飛び跳ねるサキの浮き輪に、クスリと輪微笑みながらスプラッシュボムを投擲した。

 

 

「俺カッコよくね!?活躍出来たよな!?」

「ナンドきけばワカル…カツヤクしたよ、サキ」

「やっぱりぃ?俺もやりゃ出来るんだよなぁ~♪」

「フフッ…」

ロブズ・10・プラーで祝杯を上げながら、興奮冷めやらぬサキを微笑ましく思う。

「あんがとな、ゴロー。色々教えてくれてさ」

「ジッコウできたのはオマエのジツリョクだ、ホコルとイイ」

正直な話、出会って以来…サキの戦闘能力については侮っていた部分があった。

しかし、きっかけさえあればまだまだ伸びそうだ。

我々オクトリングは、日々の研鑽で自分を磨く事は誰もが心得ている事である。

だが、自分以外の誰かの成長を見守るのが…これ程興味深いとは思わなかった。

全く…インクリングと付き合うのは、面白い。

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